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M-Tea*3_37-津波と人間/天災と国防/災難雑考 寺田寅彦

2011.4.9 第三巻 第三七号

津波と人間/天災と国防/災難雑考
寺田寅彦

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【週刊ミルクティー*第三巻 第三七号】
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(516KB)

定価:200円 p.178 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(19項目)p.143
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。

※ オリジナル版に加えて、ミルクティー*現代表記版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
※ この作品は青空文庫にて公開中です。転載・印刷・翻訳は自由です。
(c) Copyright this work is public domain.

飛び出せ! 週刊ミルクティー*


 しかし、ここで一つ考えなければならないことで、しかも、いつも忘れられがちな重大な要項がある。それは、文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増すという事実である。(略)
 文明が進むにしたがって人間は、しだいに自然を征服しようとする野心を生じた。そうして、重力に逆らい、風圧・水力に抗するようないろいろの造営物を作った。そうして、あっぱれ自然の暴威を封じ込めたつもりになっていると、どうかした拍子に檻(おり)をやぶった猛獣の大群のように、自然があばれ出して高楼を倒壊せしめ、堤防を崩壊させて人命を危うくし、財産をほろぼす。その災禍をおこさせた元のおこりは、天然に反抗する人間の細工であるといっても不当ではないはずである。災害の運動エネルギーとなるべき位置エネルギーを蓄積させ、いやがうえにも災害を大きくするように努力しているものは、誰あろう文明人そのものなのである。
 もう一つ、文明の進歩のために生じた対自然関係のいちじるしい変化がある。それは人間の団体、なかんずくいわゆる国家あるいは国民と称するものの有機的結合が進化し、その内部機構の分化がいちじるしく進展してきたために、その有機系のある一部の損害が系全体に対してはなはだしく有害な影響をおよぼす可能性が多くなり、ときには一小部分の傷害が全系統に致命的となりうる恐れがあるようになったということである。(略)
 二十世紀の現代では、日本全体が一つの高等な有機体である。各種の動力を運ぶ電線やパイプやが縦横に交差し、いろいろな交通網がすきまもなく張り渡されているありさまは、高等動物の神経や血管と同様である。その神経や血管の一か所に故障がおこれば、その影響はたちまち全体に波及するであろう。今度の暴風で畿内地方の電信が不通になったために、どれだけの不都合が全国に波及したかを考えてみれば、このことは了解されるであろう。

3_37.rm
(朗読:RealMedia 形式 488KB、3'57'')
milk_tea_3_37.html
(html ソーステキスト版 228KB)

寺田寅彦 てらだ とらひこ
1878-1935(明治11.11.28-昭和10.12.31)
物理学者・随筆家。東京生れ。高知県人。東大教授。地球物理学を専攻。夏目漱石の門下、筆名は吉村冬彦。随筆・俳句に巧みで、藪柑子と号した。著「冬彦集」「藪柑子集」など。

◇参照:Wikipedia 寺田寅彦、『広辞苑 第六版』(岩波書店)。

底本

津波と人間
底本:「寺田寅彦全集 第七巻」岩波書店
   1997(平成9)年6月5日発行
底本の親本:「寺田寅彦全集 文学篇」岩波書店
   1985(昭和60)年
初出:「鉄塔」
   1933(昭和8)年5月1日
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card4668.html

天災と国防
底本:「寺田寅彦随筆集 第五巻」岩波文庫、岩波書店
   1948(昭和23)年11月20日第1刷発行
   1963(昭和38)年6月16日第20刷改版発行
   1997(平成9)年9月5日第65刷発行
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card2509.html

災難雑考
底本:「寺田寅彦随筆集 第五巻」岩波文庫、岩波書店
   1948(昭和23)年11月20日第1刷発行
   1963(昭和38)年6月16日第20刷改版発行
   1997(平成9)年9月5日第65刷発行
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/card2500.html

NDC 分類:450(地球科学.地学)
http://yozora.kazumi386.org/4/5/ndc450.html
NDC 分類:452(地球科学.地学/海洋学)
http://yozora.kazumi386.org/4/5/ndc452.html
NDC 分類:453(地球科学.地学/地震学)
http://yozora.kazumi386.org/4/5/ndc453.html
NDC 分類:914(日本文学/評論.エッセイ.随筆)
http://yozora.kazumi386.org/9/1/ndc914.html


難字、求めよ

フラクチュエーション
土角造 トウカツ づくり
折片 切片(せっぺん)か。
『朝日グラフ』 アサヒグラフか。

年表

一六三三(寛永一〇)三月一日 相模・駿河・伊豆地震 - M 7.1、死者110〜150人。駿河・熱海に津波。
一七〇七(宝永四)一〇月 宝永地震。マグニチュード8.4。東海から九州にかけて巨大地震と大津波。
一七〇七(宝永四)一一月 富士山が噴火(宝永大噴火)。
一八五五(安政元)一一月 安政の大地震

一八九六(明治二九)六月一五日 三陸大津波
一九二三(大正一二)九月一日 関東大震災
一九三三(昭和八)三月三日 東北日本の太平洋岸に津波が襲来。三陸地方大地震。M8.1、死者3021名、不明43名、負傷968名。
一九三三(昭和八)五月 寺田寅彦「津浪と人間」『鉄塔』。
一九三四(昭和九)九月二一日 近畿地方、大風水害が突発。室戸台風が日本上陸。
一九三四(昭和九)一一月 寺田寅彦「天災と国防」『経済往来』。
一九三四 アメリカ、総計一一四回のトルネードに見舞われ、その損害額三八三万三〇〇〇ドル、死者四十名。
一九三五(昭和一〇)七月 寺田寅彦「災難雑考」『中央公論』。

◇参照:Wikipedia、『広辞苑 第六版』(岩波書店、2008)。

スリーパーズ日記

 本文中、「中華民国」はそのままとしました。

 嘉永・安政(1848〜1860)にかけて群発した地震を、大河『龍馬伝』のなかに見かけたおぼえがない。『JIN』とガチにかぶるのを避けたためか、震災後のコレラパンデミック(1858年から3年間)の描写もなかったように思う。

 「坂本龍馬略年表 1〜24歳」。菊地明『追跡! 坂本龍馬』(PHP研究所、2009.10)の「坂本龍馬略年表」をベースに、田中貢太郎「日本天変地異記」から江戸・東海道〜土佐の地震・津波をピックアップ。『広辞苑』と Wikipedia「地震の年表」にて期日と内容をクロスチェック。
 ちなみに天保の飢饉(1833〜1836)は、龍馬の生まれる直前にあたる。八歳違いの西郷隆盛・六歳ちがいの武市半平太・五歳ちがいの清河八郎ら世代は、飢饉当時の幼少の記憶がおそらく色濃いのに対し、龍馬以降は、それが薄くなる。
 Wikipedia によれば、「(安政東海・南海地震は)余震とみられる地震は9年間で3,000回近く」とある。余震が9年間。なぜ、龍馬は「海から支援する」という着想を持ち、また、海舟は「海防」という発想を実現することができたのか。黒船・攘夷という漠然とした抽象的な危機よりも、むしろ、地震・津波という現実的な危機の経験が先にあったんじゃないだろうか……と想像する。土佐と江戸深川本所。



2011.4.18:公開 八面玲瓏。
2011.4.21:更新
ちがいがわかる、さきちゃん。
目くそ鼻くそと呼ばれた男。しだひろし/PoorBook G3'99
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  • メニューに「マガジン航」への寄稿を追加。「「マチガイ主義」から電子書籍を考える」は仲俣さんによる紹介記事です。 -- しだ (2011-04-23 08:35:25)
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最終更新:2011年07月31日 23:18