MT*2_18-ボヘミアの醜聞 アーサー・コナン・ドイル
2009.11.21 第二巻 第一八号
ボヘミアの醜聞
A Scandal in Bohemia
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle
大久保ゆう訳
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定価:200円(税込) |
p.141 / *99 出版 |
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(19項目)p.179
近ごろ、ホームズとは会っていなかった。私の結婚(けっこん)が二人を疎遠(そえん)にしていた。結婚(けっこん)生活はまさに至福(しふく)で、初めて所帯主(しょたいぬし)になったこともあり、私の熱意(ねつい)はすっかり家庭中心にそそがれていた。かたやホームズといえば、持ち前のボヘミアン気質(きしつ)から世俗(せぞく)を避(さ)け、ベイカー街のわれらが下宿(げしゅく)にとどまり、古書の山にうずもれ、コカインと覇気(はき)を交互(こうご)にくり返していた。つまり麻薬(まやく)へおぼれたり、持ち前の洞察力(どうさつりょく)で事件に乗り出したり、である。例のごとく犯罪(はんざい)の研究に没頭(ぼっとう)し、多大なる才(さい)と人並(ひとな)みならぬ観察力(かんさつりょく)を駆使(くし)して、警察(けいさつ)でさえ絶望的(ぜつぼうてき)と匙(さじ)を投げた事件にも糸口を見つけ、謎(なぞ)を解(と)きあかしていた。おりおり、ホームズの活動を風(かぜ)のうわさに聞くことがある。トリェポーフ殺人(さつじん)事件でオデッサに招聘(しょうへい)されたとか、トリンコマリィでアトキンソン兄弟の奇妙(きみょう)な惨劇(さんげき)を解決(かいけつ)したとか、ひいてはオランダ王室のために秘密裏(ひみつり)に任務(にんむ)を遂行(すいこう)したとか。しかし、私も日刊新聞の一読者として知るのみで、かつて友人でありパートナーであった男のことを、直接(ちょくせつ)、知っていたわけではなかった。
2_18.rm
(朗読:RealMedia 形式 292KB、2'20'')
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle
1859-1930(1859.5.22-1930.7.7)
イギリスの小説家。スコットランドのエディンバラ生まれ。私立探偵シャーロック=ホームズの活躍する一連の推理小説で著名。歴史小説やSFも書いた。のち、心霊術に染まる。1887年のクリスマス、彼の最初のシャーロック・ホームズシリーズである『緋色の研究』が『ビートンクリスマス年鑑』にシャーロック・ホームズの登場として発表された。『四つの署名』を発表してから、ホームズは莫大な人気を博した。
◇参照:Wikipedia、『広辞苑 第六版』(岩波書店)。
底本
疑問点
けれでも → けれども 【ど】
ご自身の事件 → ご自身の事件を 【を】
以上、2件。
2009.11.23:公開
2009.11.26:公開
外字工作員、目くそ鼻くそ/PoorBook G3'99
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- ゆうくんの読みがなフラッグを追加。 -- しだ (2011-07-25 14:49:33)
最終更新:2011年07月25日 14:49