MT*2_9-セロ弾きのゴーシュ/なめとこ山の熊 宮沢賢治
2009.9.19 第二巻 第九号
セロ弾きのゴーシュ
なめとこ山の熊
宮沢賢治
定価:200円(税込) |
p.129 / *99 出版 |
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(7項目)p.52
※ オリジナル版に加えて、ミルクティー*現代表記版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。Windows & Macintosh ハイブリッド。
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ゴーシュは、町の活動写真館でセロを弾(ひ)く係でした。けれどもあんまり上手でないという評判でした。上手でないどころではなく、じつは仲間の楽手のなかではいちばん下手(へた)でしたから、いつでも楽長にいじめられるのでした。
ひるすぎ、みんなは楽屋にまるくならんで、今度の町の音楽会へ出す第六交響曲の練習をしていました。
トランペットは一生けん命歌っています。
ヴァイオリンも二いろ風のように鳴っています。
クラリネットもボーボーとそれに手伝っています。
ゴーシュも、口をりんと結(むす)んで眼を皿のようにして楽譜を見つめながら、もう一心に弾いています。
にわかにパタッと楽長が両手をならしました。みんなピタリと曲をやめてしんとしました。楽長がどなりました。
「セロがおくれた。トォテテ テテテイ、ここからやりなおし。はいっ。」
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宮沢賢治 みやざわ けんじ
1896-1933(明治29.8.27- 昭和8.9.21)
詩人・童話作家。岩手県花巻生れ。盛岡高農卒。早く法華経に帰依し、農業研究者・農村指導者として献身。詩「春と修羅」「雨ニモマケズ」、童話「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」など。
◇参照:Wikipedia、『広辞苑』。
底本
疑問点
セロ弾きのゴーシュ
合わないもなあ → 合わないものなあ 【の】か?
あかし → あかり 【り】か?
以上、2件。
2009.9.23:公開
2009.9.24:更新
目くそ鼻くそ/PoorBook G3'99
翻訳・朗読・転載は自由です。
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- 「あかし」は「風の又三郎」にもあった。異なる出版でも「あかし」なので、誤入力・誤植の可能性は低い。 -- しだ (2009-09-30 21:09:22)
- 「合わないもなあ」は、筑摩の全集(底本の親本)でも、書店にあった新潮文庫でも、「合わないもなあ」でした。 -- あすなろ (2009-10-01 08:31:15)
- あすなろさん、こんにちは。確認どうもありがとうございました。方言だろうかとも考えましたが、ここだけ方言っていうのも不自然ですし……わからないモナー。 -- しだ (2009-10-03 07:13:26)
- しださん、おはようございます。信山社、教育出版の異本でも、「もなあ」になっていました。講談社の『日本現代文学全集』(1980年)は、「もんなあ」でした。あと、筑摩の『宮沢賢治資料館 原色複製』に、手書き原稿の複製があったのですが、やはりはっきり「もなあ」と記されていました。1,2カ所の確認だと反応してしまうモナー。 -- あすなろ (2009-10-06 08:50:34)
- あすなろさん、チェックありがとうございもなあ。 -- しだ (2009-10-09 08:08:16)
- いえいえ。こちらこそだもなあ。 -- あすなろ (2009-10-11 08:07:59)
最終更新:2009年10月11日 08:07