2009.8.8 第二巻 第三号
美し姫と怪獣 ヴィルヌーヴ夫人
長ぐつをはいた猫 ペロー
楠山正雄(訳)
定価:200円(税込) |
p.104 / *99 出版 |
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(5項目)p.25
※ オリジナル版に加えて、ミルクティー*現代表記版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
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(略)ある日、町(まち)からしらせがとどいて、難船(なんせん)したとおもった商人(しょうにん)の持(も)ち船(ふね)が、にもつを山(やま)とつんだまま、ぶじに港(みなと)へ入(はい)ってきたということがわかりました。さあ、うちじゅうの大(おお)よろこびといってはありません。なかでも、ふたりの姉(あね)むすめは、あしたにももう、いやないなかをはなれて、町(まち)の大きな家(いえ)へかえれるといって、はしゃいでいました。そして、もうさっそくに、きょう、町(まち)へ出たら、きものと身(み)の飾(かざ)りのこまものを、買(か)ってきてくれるように、父親(ちちおや)にせがみました。
「それで、美し姫(ラ・ベル)ちゃん、お前(まえ)さんは、なんにも注文(ちゅうもん)はないのかい?」と、父(ちち)はいいました。
「そうですね、せっかくおっしゃってくださるのですから、では、バラの花(はな)を一(いち)りん、おみやげにいただきましょう。このへんには、一本もバラの木がありませんから。」と、むすめはいいました。べつだん、バラの花(はな)のほしいわけもなかったのですが、姉(あね)たちがワイワイいうなかで、自分(じぶん)ひとり、りこうぶって、わざとなかまはずれになっていると、おもわれたくないからでした。
(「美し姫と怪獣」より)
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モヴィルヌーヴ夫人 de Villeneuve, Gabrielle-Susanne Barbot
1695-1755
ド・ヴィルヌーヴ ガブリエル=シュザンヌ・バルボ。
シャルル・ペロー Charles Perrault
1628-1703
フランス、パリ生まれ。弁護士、作家、詩人。コルベールに認められ、ルイ14世に仕えた。ボワローらの古典派に対し「古典文学よりも現代文学の方がすぐれている」と述べ「古代派近代派論争」を起こした。民間説話に取材した『ペロー童話集』の作者として有名。作「赤頭巾」「青ひげ」「長靴をはいた牡猫」「シンデレラ」など。
楠山正雄 くすやま まさお
1884-1950(明治17.11.4-昭和25.11.26)
東京生れ。演劇学者・児童文学者。早稲田大学時代、坪内逍遙や島村抱月に師事。明治43年、冨山房に入社。近代劇の翻訳紹介に努め、内外の童話・神話・伝説を再話。著「近代劇十二講」「近代劇選集」「ファウスト」「楠山正雄歌舞伎評論」、訳「家なき子」「ふしぎの国のアリス」「イソップ物語」。
◇参照:Wikipedia、『広辞苑』、青空文庫作家別作品リスト。
底本
2009.8.10:公開
目くそ鼻くそ/PoorBook G3'99
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最終更新:2009年08月10日 04:27