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*M-Tea* vol.7 no.40 本の未来(五)富田倫生
*2015.4.25 第七巻 第四〇号
本の未来(五)
富田倫生
第三章 電子ガリ版で自分の本を作る
マックで読む電子ブックを作ろう!
エキスパンドブックを作る
英語バージョンでも日本語の本が作れる
暗い日に見つけたもの
狂ったオーケストラの大音響
青空のリスタート
ボタンを押したツールキット
ボイジャージャパン
ボブ・スタインとの出会い
あるがままの自分にできること
エキスパンドブック版『パソコン創世記』
&image(https://dlmarket-jp.s3.amazonaws.com/images/consignors/6/620/06222012_5587ed8e7f542.png?1434971593,http://www.dlmarket.jp/products/detail/313175)
[[【週刊ミルクティー*第七巻 第四〇号 ダウンロードサイトへジャンプ】>http://www.dlmarket.jp/products/detail/313175]]
(1.9MB)
&color(red){月末最終号:無料} p.145 / *99 出版
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。
※ PDF 形式。Mac OS X 10.4・Acorbat Reader 5.0、Windows 7・Adobe Reader X および SONY Reader(PRS-T2)にて確認済み。
※ この作品は青空文庫にて公開中です。
※ この作品は、クリエイティブ・コモンズ「表示 2.1 日本」でライセンスされています。利用条件は、http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/ を参照してください。
*PDF マガジン 週刊ミルクティー*
ハイパーカードは、祝田さんが強く引き付けられたソフトウエアです。心底惚れ込んで骨までしゃぶるように味わい、ここから多くを学びました。(略)けれど、新しい時代を開いたハイパーカードにも問題がなかったわけではありません。(略)
ハイパーカードはマック専用です。スタックを作ることも、作ったスタックを動かすこともマックの上でしかできません。それなら自分でと、日本の標準機のような地位を占めたPC-9801でハイパーカードを見られるようにするソフトウエアを作ろうと考えました。(略)
改良日本語版を使った『THE COMPLETE OZU』の制作が一段おちついた一九九四(平成六)年の春、祝田さんは仲間たちに「見せたいものがある」と声をかけました。
昼なお暗い、アトリエといった趣きの彼の仕事場に集まると、鮮やかなカラーのグラフィックスを組み込んだ、縦組み、アンチエイリアス表示のページがモニターに浮かんでいました。彼の言によれば、ハイパーカードによらない、まったく新しい仕組みで動いているといいます。
この新しい環境は、カラーが前提で自由に色が扱える。さらに、ひと続きの文章をページ単位で見せていく、より適切な表示の仕組みに基づいている。その結果、編集作業中に長く待たされるようなことがなくなり、小気味よく本作りを進めていけるといいます。
※ #ref(7_40.rm)
(朗読:RealMedia 形式 xxxKB、x:xx)
※ お休みしまーす。
富田倫生 とみた みちお
1952-2013(昭和27.4.20-平成25.8.16)
広島市生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。編集プロダクション勤務を経て、ライターに。ノンフィクションのさまざまな分野を取材対象としてきたが、次第にパーソナルコンピューターの比重が高まる。ボイジャーのエキスパンドブックを見て電子出版の可能性を本気で信じ込むようになり、「パソコン創世記」と名付けたタイトルを、コンピューターで読むことを前提に制作。このブック上の記述を、インターネット上のさまざまなホームページにリンクさせていくという作業を体験してからは、電子本への確信をさらに深めている。紙で出してきた著書に、「パソコン創世記」(旺文社文庫版、TBSブリタニカ版)、「宇宙回廊 日本の挑戦」(旺文社)、「電脳王 日電の行方」(ソフトバンク)、「青空のリスタート」(ソフトバンク)、「本の未来」(アスキー)がある。
◇参照:青空文庫「作家別作品リスト:No.55」。
*底本
底本:「本の未来」アスキー
1997(平成9)年3月1日初版発行
http://www.aozora.gr.jp/cards/000055/card56499.html
NDC 分類:007(総記 / 情報科学)
http://yozora.kazumi386.org/0/0/ndc007.html
NDC 分類:023(図書.書誌学 / 出版)
http://yozora.kazumi386.org/0/2/ndc023.html
*難字、求めよ
日立製のH68
ゲーム コンピュータ言語の一つか。(本文)
アップル II の互換機
MSXプロジェクト
コンピューター・エンコーディッド・ディスク
スーパーカード 独立したソフトハウスによって開発。ハイパーカードのいくつかの問題を乗り越えようと狙った製品。最初からカラーに対応しており、スタックと呼ばれるカードのまとまりを巧みに連携させる、構造化の仕組みが盛り込まれていた。(本文)
ダムカードプロジェクト 日本の標準機のような地位を占めたPC-9801でハイパーカードを見られるようにするソフトウエアを作ろうと考えた、祝田久の個人プロジェクト。ハイパーカードを乗り越えようとする試み。(本文)
ダムカード
家庭用の8ミリビデオ
アニメーションスタッフルーム 東京にある特殊効果専門のCM制作会社。(本文)
レーザーディスク株式会社 パイオニアの子会社。(本文)
北村礼明 ボイジャージャパン創立メンバーの一人。作家。(本文)
鎌田純子 ボイジャージャパン創立メンバーの一人。(本文)
魚岸勝治 うおぎし かつじ? 富田著、新版『パソコン創世記』第一稿を読んだ知人の一人。続編の執筆を条件に文庫版の再刊を申し入れた編集者。(本文)
『THE COMPLETE OZU』 東芝EMI。
『寺山修司/書を捨てよ、町に出よう』
「テレビの正しい見方シリーズ」 祝田、著。雑誌『ビデオプレイ』に連載。(本文)
『ビデオプレイ』 雑誌。
『ベートーヴェン交響曲第九番』 フロッピーディスクと音楽CDの組み合わせによる構成。(本文)
*年表
一九九三(平成五)七月 日本語版ブックが刊行されて間もなく、ボイジャージャパン、日本語版ツールキットを出荷。ハイパーカードを利用した英語版を日本語に対応させた製品。
一九七四(昭和四九) 祝田久、静岡大学教育学部の美術専攻。
一九七五(昭和五十) アメリカでパーソナルコンピューターの走りとなる組み立てキット、アルテアが売り出される。祝田久、愛知県立芸術大学、彫刻科へ入る。
一九七六(昭和五一) 日本のメーカーからもコンピューターの組み立てキットが売り出される。祝田、日立製のH68を入手。
一九八一(昭和五六)か 祝田、特殊効果専門のCM制作会社、アニメーションスタッフルームへ入る。
一九八三(昭和五八) 8ビットからスタートしたパーソナルコンピューターが、16ビットへの転換を果たそうとする。祝田、雑誌『ビデオプレイ』「テレビの正しい見方シリーズ」という企画を持ちかけて掲載。テレビ朝日の深夜番組にも出演。NHKでナムジュン・パイクと子ども向けの番組も収録。未放映。
一九八七年八月 ボストンでマックワールドエキスポ開催。ハイパーカードが発表。
一九八八 ボイジャー、ハイパーカードを使った新しい作品を発表。文字による解説や楽譜と、実際の演奏を緊密に連携させ、クラシック音楽を構造的に理解させようとする『ベートーヴェン交響曲第九番』。フロッピーディスクと音楽CDの組み合わせからなる。この年、アップルは初めてマック用のCD-ROMドライブを売り出す。
一九九二年一月 動画をマックで扱うクイックタイムが登場。レーザーディスクの存在意義がまたいちだんと薄れる。クイックタイムの登場と前後してボイジャーはエキスパンドブックの刊行を始める。
一九九二(平成四)一一月 ボイジャージャパン設立直後、発表資料に三つの活動の柱を掲げる。第一に、米ボイジャーの作品を英語版のまま売ること。第二に、米ボイジャーの作品を日本語化して売ること。そして第三に、ツールキットを日本語化し、普及をはかっていくこと。
一九九四(平成六)春 『THE COMPLETE OZU』の制作が一段おちつく。祝田、ハイパーカードによらない電子本デモ(のちのエキスパンドブック・ツールキット II)をボイジャー内部で披露。
一九九四(平成六)春 富田、このころ『パソコン創世記』の構想をあらためて一から書きなおした原稿を「終えよう」と意を固める。
一九九四(平成六)五月 富田、第一稿をまとめ終える。
一九九四(平成六) 富田、新しく書き起こした原稿を『ピーシーウェーヴ』誌の九月号から四回連続で連載。
一九九四(平成六)一二月 新版『パソコン創世記』、TBSブリタニカから書籍として刊行。
一九九五(平成七)二月 エキスパンドブック版『パソコン創世記』、マックエキスポで発表。
一九九五(平成七)五月末 ボイジャー、エキスパンドブック・ツールキット II の正式出荷が始まる。
◇参照:本文。
*むしとりホイホイ
PC―9801 → PC-9801 【-か】4か所。
CD―ROM → CD-ROM 【-か】12か所。
筺体 → 筐体 【筐か】「筺」は「筐」の異体字。
以上3件。底本は未確認。
*スリーパーズ日記*
2013年10月から、鎌田純子さんがボイジャー代表取締役。
林純一、開発部部長。
小林尚道、開発部。
エキスパンドブック、1993年発表。
T-Time、1998年発表。
ドットブック、1998年発表。
azur、
BinB、2011年発表。
Romancer、2014年発表。
萩野正昭、プロジェクト室。
小池利明、プロジェクト室、Romancer 開発の中心人物の一人。
祝田久、2013年現在、ボイジャー取締役。
以上、YouTube「電子出版の今と未来」(2014.7)、同「Romancer どうあなたは読者と手を組むか」(2014.7)、同「musicbook+ 電子書籍の新たな世界」(2013.7)他より。
祝田久さんはエキスパンドブックと T-Time、それから azur の開発にも関わっていたかと記憶する。本書『本の未来』でも祝田さんの紹介はかなりの分量があてられており、かつ、青空文庫で採用していたフォーマットの生みの親ということもあって、勝手に身内みたいな印象をいだいている。
が、たぶん、この人こそ日本と日本語の電子出版の記憶すべき最重要人物だと思う。アラン・ケイ、ボブ・スタイン、そしてジョン・ワーノックに匹敵するといったらいいすぎだろうか。たしかに、ジョン・ワーノックが PostScript を開発してそれ以後のアドビの大躍進があったのにくらべるとおとなしすぎるかもしれない。
それでも、だ。
2015.4.25 公開予定
2015.6.22 公開
しだひろし/PoorBook G3'99
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