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*M-Tea*4_10-土神と狐/フランドン農学校の豚 宮沢賢治
*2011.10.1 第四巻 第一〇号
土神と狐/フランドン農学校の豚
宮沢賢治
&image(http://www.dlmarket.jp/images/uploader/620/4_10-1.png,http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/163958)
[[【週刊ミルクティー*第四巻 第一〇号】>http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/163958]]
(http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/163958)
※ クリックするとダウンロードサイトへジャンプします。
(516KB)
&color(red){定価:200円} p.168 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(9項目)p.52
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。
※ オリジナル版に加えて、ミルクティー*現代表記版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
※ この作品は青空文庫にて公開中です。転載・印刷・翻訳は自由です。
(c) Copyright this work is public domain.
*週刊かばティー*ときどき、ぶたぶた。
一本木の野原の北のはずれに、少し小高く盛りあがった所がありました。イノコログサがいっぱいに生(は)え、そのまん中には一本のきれいな女の樺(かば)の木がありました。
それはそんなに大きくはありませんでしたが、幹(みき)はテカテカ黒く光り、枝は美しく伸びて、五月には白き雲をつけ、秋は黄金(きん)や紅(べに)やいろいろの葉を降(ふ)らせました。
ですから、渡り鳥のカッコウやモズも、また小さなミソサザイやメジロもみんな、この木に停(と)まりました。ただ、もしも若い鷹(たか)などが来ているときは、小さな鳥は遠くからそれを見つけて決して近くへ寄(よ)りませんでした。
この木に二人の友だちがありました。一人はちょうど五百歩ばかり離れたグチャグチャの谷地(やち)の中に住んでいる土神(つちがみ)で、一人はいつも野原の南の方からやってくる茶いろの狐(きつね)だったのです。
樺(かば)の木は、どちらかといえば狐の方がすきでした。なぜなら、土神(つちがみ)の方は神という名こそついてはいましたが、ごく乱暴で髪もボロボロの木綿糸(もめんいと)の束(たば)のよう、眼も赤く、きものだってまるでワカメに似(に)、いつもはだしで爪(つめ)も黒く長いのでした。ところが狐の方はたいへんに上品なふうで、めったに人を怒らせたり気にさわるようなことをしなかったのです。
ただもし、よくよくこの二人をくらべてみたら、土神(つちがみ)の方は正直で、狐はすこし不正直(ふしょうじき)だったかもしれません。 (「土神と狐」より)
#ref(4_10.rm)
(朗読:RealMedia 形式 364KB、2'56'')
[[milk_tea_4_10.html>http://www33.atwiki.jp/asterisk99?cmd=upload&act=open&pageid=307&file=milk_tea_4_10.html]]
(html ソーステキスト版 192KB)
宮沢賢治 みやざわ けんじ
1896-1933(明治29.8.27- 昭和8.9.21)
詩人・童話作家。岩手県花巻生れ。盛岡高農卒。早く法華経に帰依し、農業研究者・農村指導者として献身。詩「春と修羅」「雨ニモマケズ」、童話「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」など。
◇参照:Wikipedia &link_wikipedia(宮沢賢治){宮沢賢治}、『広辞苑 第六版』(岩波書店)。
土神と狐
底本:「新修宮沢賢治全集 第十巻」筑摩書房
1979(昭和54)年9月15日初版第1刷発行
1983(昭和58)年4月20日初版第5刷発行
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card4436.html
フランドン農学校の豚
底本:「新編 風の又三郎」新潮文庫、新潮社
1989(平成元)年2月25日発行
2001(平成13)年4月25日14刷
底本の親本:「新修宮沢賢治全集」筑摩書房
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card4601.html
NDC 分類:K913.8(日本文学/小説.物語)
http://yozora.kazumi386.org/9/1/ndck913.html
*難字、求めよ
阿麻仁 あまに → 亜麻仁か
スリッパ 「水やスリッパや藁をたべて……」
チッペラリー
飼(えさ) → 餌(えさ)?
*むしとりホイホイ
土神と狐
一ペん → 一ぺん 【ぺ】
伊大利 → 伊太利 【太?】
以上2件。底本未確認。
*スリーパーズ日記
鶴見俊輔『かくれ佛教』(ダイヤモンド社、2010.12)をたまたま見つけて拝借。個人史と現代史を重ねあわせながら、幾人かの宗教家を紹介。巻末近くに馬祖道一「迷人の方所を弁ぜざるが如く」。
鶴見さんと宮崎さん・高畑さんって、すでに対談したことあるんだろうか。三人の不良老人。ぶっとんだ話が聞けそうな。
「土神と狐」初めて読む。なんとも救いようのない……他人のデビルマン性を書いても仕方ないわけで、土神も狐も賢治自身のことと思っていいだろう。正直さに感心。おとことおんなとおとこのいるところ、常に悲劇あり。女、樺の木、植物……うむむ。
性が別れた時点で、まず同性同士のサバイバル競争があって、さらにそのあとでラスボスとの決戦(恋愛ゲームのかけひき)がある。コンフリクトは有性生物の運命、逃れられない宿業なのか。
それにしても、仮にじぶんに子どもがいたとして、「土神と狐」「フランドン農学校の豚」の読み語りは、できないだろうなあ。
10.1(土)くもり、映画の日。悩んだすえに『コクリコ坂』を見るため劇場へ。観賞後、しばし感慨にふける。外へ出ると冷たい風、キンモクセイの香る山形は、映画祭直前。
2011.10.2:公開 玲瓏迷人。
山形原発。「山形には原発が必要だ」。
目くそ鼻くそ。しだひろし/PoorBook G3'99
転載・印刷・翻訳は自由です。
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*M-Tea*4_10-土神と狐/フランドン農学校の豚 宮沢賢治
*2011.10.1 第四巻 第一〇号
土神と狐
フランドン農学校の豚
宮沢賢治
&image(http://www.dlmarket.jp/images/uploader/620/4_10-1.png,http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/163958)
[[【週刊ミルクティー*第四巻 第一〇号】>http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/163958]]
(http://www.dlmarket.jp/product_info.php/products_id/163958)
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(516KB)
&color(red){定価:200円} p.168 / *99 出版
付録:別冊ミルクティー*Wikipedia(9項目)p.52
※ DRM などというやぼったいものは使っておりません。
※ オリジナル版に加えて、ミルクティー*現代表記版を同時収録。
※ JIS X 0213・ttz 形式。
※ この作品は青空文庫にて公開中です。転載・印刷・翻訳は自由です。
(c) Copyright this work is public domain.
*週刊かばティー*ときどき、ぶたぶた。
一本木の野原の北のはずれに、少し小高く盛りあがった所がありました。イノコログサがいっぱいに生(は)え、そのまん中には一本のきれいな女の樺(かば)の木がありました。
それはそんなに大きくはありませんでしたが、幹(みき)はテカテカ黒く光り、枝は美しく伸びて、五月には白き雲をつけ、秋は黄金(きん)や紅(べに)やいろいろの葉を降(ふ)らせました。
ですから、渡り鳥のカッコウやモズも、また小さなミソサザイやメジロもみんな、この木に停(と)まりました。ただ、もしも若い鷹(たか)などが来ているときは、小さな鳥は遠くからそれを見つけて決して近くへ寄(よ)りませんでした。
この木に二人の友だちがありました。一人はちょうど五百歩ばかり離れたグチャグチャの谷地(やち)の中に住んでいる土神(つちがみ)で、一人はいつも野原の南の方からやってくる茶いろの狐(きつね)だったのです。
樺(かば)の木は、どちらかといえば狐の方がすきでした。なぜなら、土神(つちがみ)の方は神という名こそついてはいましたが、ごく乱暴で髪もボロボロの木綿糸(もめんいと)の束(たば)のよう、眼も赤く、きものだってまるでワカメに似(に)、いつもはだしで爪(つめ)も黒く長いのでした。ところが狐の方はたいへんに上品なふうで、めったに人を怒らせたり気にさわるようなことをしなかったのです。
ただもし、よくよくこの二人をくらべてみたら、土神(つちがみ)の方は正直で、狐はすこし不正直(ふしょうじき)だったかもしれません。 (「土神と狐」より)
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(朗読:RealMedia 形式 364KB、2'56'')
[[milk_tea_4_10.html>http://www33.atwiki.jp/asterisk99?cmd=upload&act=open&pageid=307&file=milk_tea_4_10.html]]
(html ソーステキスト版 192KB)
宮沢賢治 みやざわ けんじ
1896-1933(明治29.8.27- 昭和8.9.21)
詩人・童話作家。岩手県花巻生れ。盛岡高農卒。早く法華経に帰依し、農業研究者・農村指導者として献身。詩「春と修羅」「雨ニモマケズ」、童話「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」など。
◇参照:Wikipedia &link_wikipedia(宮沢賢治){宮沢賢治}、『広辞苑 第六版』(岩波書店)。
&bold(){土神と狐}
底本:「新修宮沢賢治全集 第十巻」筑摩書房
1979(昭和54)年9月15日初版第1刷発行
1983(昭和58)年4月20日初版第5刷発行
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card4436.html
&bold(){フランドン農学校の豚}
底本:「新編 風の又三郎」新潮文庫、新潮社
1989(平成元)年2月25日発行
2001(平成13)年4月25日14刷
底本の親本:「新修宮沢賢治全集」筑摩書房
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card4601.html
NDC 分類:K913.8(日本文学/小説.物語)
http://yozora.kazumi386.org/9/1/ndck913.html
*難字、求めよ
阿麻仁 あまに → 亜麻仁か
スリッパ 「水やスリッパや藁をたべて……」
チッペラリー
飼(えさ) → 餌(えさ)?
*むしとりホイホイ
&bold(){土神と狐}
一ペん → 一ぺん 【ぺ】
伊大利 → 伊太利 【太?】
以上2件。底本未確認。
*スリーパーズ日記
鶴見俊輔『かくれ佛教』(ダイヤモンド社、2010.12)をたまたま見つけて拝借。個人史と現代史を重ねあわせながら、幾人かの宗教家を紹介。巻末近くに馬祖道一「迷人の方所を弁ぜざるが如く」。
鶴見さんと宮崎さん・高畑さんって、すでに対談したことあるんだろうか。三人の不良老人。ぶっとんだ話が聞けそうな。
「土神と狐」初めて読む。なんとも救いようのない……他人のデビルマン性を書いても仕方ないわけで、土神も狐も賢治自身のことと思っていいだろう。正直さに感心。おとことおんなとおとこのいるところ、常に悲劇あり。女、樺の木、植物……うむむ。
性が別れた時点で、まず同性同士のサバイバル競争があって、さらにそのあとでラスボスとの決戦(恋愛ゲームのかけひき)がある。コンフリクトは有性生物の運命、逃れられない宿業なのか。
それにしても、仮にじぶんに子どもがいたとして、「土神と狐」「フランドン農学校の豚」の読み語りは、できないだろうなあ。
10.1(土)くもり、映画の日。悩んだすえに『コクリコ坂』を見るため劇場へ。観賞後、しばし感慨にふける。外へ出ると冷たい風、キンモクセイの香る山形は、映画祭直前。
2011.10.2:公開 玲瓏迷人。
山形原発。「山形には原発が必要だ」。
目くそ鼻くそ。しだひろし/PoorBook G3'99
転載・印刷・翻訳は自由です。
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