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牽引車まで戻ってくると、鉱石を満載したトロッコが連結されていた
「さあ、お乗り下さい。これより上に参ります」
「トロッコは一杯でどこに乗れと?」
「牽引車にどうぞ、狭くて座席はありませんが、外の景色は楽しめますよ、
他に広い所では…貯水タンクが空なのでその中でよければそちらでも」
「牽引車の方で頼む」
視察官を乗せて動き出す牽引車
「ところで、帰りは行きと同じ道を行くのか?」
「はっはっは、まさか。そんなことしたらトロッコの中身がこぼれますよ、帰りは別ルートがありますよ」
「それならいいのだが…」
「そんなに怖かったんですか」
「違う!昔のトラウマみたいなものだ」
「そう言う事にしましょう、ほら坑道の出口が見えてきましたよ」
坑道を抜け明るい場所に出た
「うっ、まぶしい」
「慣れないうちはそんなものですよ、目が慣れるまでゆっくり移動しますよ」
「いや、そこまで酷いものじゃない」
「いえいえ、折角ですから見てもらいたい物もありますので」
「……、もう大丈夫だ」
「では、こちらを見てください」
上を見上げる
「………、空が高いな」
露天掘りの名残の穴の底、階段状に広がっていく空が見えた
「徐々に広がっていく青。さらに穴の底がだらこそ、いつも以上に高く見える空か…、
これはこれでいいものなのかもな」
「あ、そろそろ来ますよ」
「何が?」
見上げた空から何か落ちてくる
風を切りながら落ちてくるそれは、トロッコ列車だった
入れ違いで別のトロッコ列車が坑道内へと消えて行った
「……、えーと見せたい物ってさっきの?」
「どうでした?、乗ると見るのではまた別の感じがあるでしょ」
「あ、…ああ、…(あんな所から落ちてきたんだな)」
「さて、それではスピードを上げますよ」
階段状に掘られた穴を徐々に上るがっていくトロッコ列車


「しかし、見せたいものがトロッコ列車の方だったとはな、もっと情緒とか風情があっても良くないか?」
「こんな空しか無い所みても、特に…ねぇ。毎日見てますから」
「ふーむ、感性の違いかな」
「風情かどうかはわかりませんけど、どうせ見るならあっちの方がいいですよ、見てください」
示された方を見るとなにやら沢山の人影があった
「あれは何をしてるんだ?」
「あれは大鉱山の移行に伴って使わなくなった場所に木や植物を植えているんですよ」
「緑化とか植樹だな」
「そうです、今はまだ小さいですけど時間が立つに連れて見れるようになっていくはずですよ」
「そうだな…一回見るだけならさっきの広がる空でもよかったが、毎日見るなら…か、ふっ」
笑う視察官


「何か面白いものでも見えましたか?」
「面白いかどうかは感性なんだろうな、きっと」
「…そんなものですか」
「そんなもんだ。ところで、植えている植物がバラバラに見えるのはなんでだ?」
「日当たりとか、成長の早さとか、木や植物の丈の長さとか、その他の要因が関係しているらしいですよ。
にゃんにゃんの方に出稼ぎに行ってる連中の中に森国人の国に行っている奴等がいるからその辺の関係で、
その手の人間に指導して貰えるらしいですよ」
「にゃんにゃんに出稼ぎに行く人々もいるのだから、その逆も然りと言う訳か」
「ですね、この大鉱山もになし国国民だけが働いている訳でもないですしね」


まばらな緑と植樹をする人々を見ながらトロッコ列車は進んでいく
「今日は案内をしてもらっている訳だが普段は何をしているんだ?」
「え〜と、普段は牽引車の運転が一番ですね。後は坑道内では日々広がっていく坑道に対応するべく
トロッコ列車がより奥に入れるようにしたり、坑道内の貯水タンクに給水したり送風機や照明が故障
してないか点検したりしています。
坑道外での仕事は牽引車の整備や坑道内で必要になった物をコンテナに積んで次に坑道内に行くまでに
準備したりしています
他には坑道内へ直通のエレベーターの操作とかもしています」
「直通のエレベーターがあるならなんでわざわざ遠回りを」
「エレベーターは横移動が出来ませんし、重量制限も列車よりキツイです、
なにより一回作ったら動かせませんからね。
それに坑道は日々広がっていますからベルトコンベアーを使ったラインにする事も出来ませんし、
ラインにしても常に鉱物が流れ続ける訳でもありませんから、今の形を取っているんです」
「それでは何故エレベーターが?」
「基本は坑道内の鉱夫達の帰りの足ですね、行きは坑道の奥まで行けるとトロッコ列車行ったほうが
早いですけど、帰りは今みたいに時間が掛かりますから。
中には『駆け上がった方が早い』とか言って駆け上がった馬鹿がいましたけど、
途中で力尽きた事があって以来は基本的に禁止行為になっています」
「そんな奴いるのか?」
「それがいたんですよね。エレベーターは一度に大人数運べるようにしてありますから、
その分普通のエレベーターよりゆっくり上っていきますからね」
「それ位は待てよ」
「慌て過ぎても貰いが少なくなりますからね。おっと、そろそろ列車の旅も終りですね。
これから列車は専用ルートで選鉱の方へ運ばれますので、
穴を上りきったら選鉱工場へは車で移動しますので降車の準備をしてください」
間も無くしてトロッコ列車は穴を上りきった

「それでは、こちらに車に乗り換えてください」
トロッコ列車からジープに乗り換えて選鉱工場を目指す
「しかし、同じ敷地内でも距離があるな」
「もしもの時に被害が分散するように距離を置いてあるんですよ、なにしろ次に行く選鉱工場は
スライムの排出率がダントツの一位ですから、モンスター化した事を考えてあるんですよ」
「副生成物のスライムだったな」
「はい、スライムが出来る過程は工場に入ってから説明しますので詳しくはそちらで」
「スライムか…、あれは昔…」
「昔?」
「いやなんでもないぞ、それよりもあにか見えたぞあれが選鉱工場ではないのか」
「はい、あれが選鉱工場ですこれより先は中に入って説明します」
鉱夫に連れられて選鉱工場に入るとそこでは坑道内と違って女性の働く姿も見て取れた


「へ〜、ここでは女性も働いているのか」
「細かい作業は女性の方が向いていますから、こちらの方が女性も多く働いています」
「まあ、坑道内で女性は働き難いだろうしな」
「坑道内でもまったく女性がいないわけでもないですよ」
「さっき見たときはいなかったように見えたが」
「あーまー、そう見えちゃいますよねやっぱり」
「いたのか?」
「はい、いるんですよ。混ざって作業してると見分けつかなくなるような人ですけど」
「ま、まあ中にはそう言う人もいるさ、ははは…」
「え、え〜と、では選鉱工場の説明をさてせいただきます
ここでは坑道で採掘した鉱石を、有用鉱物と不用鉱物とに分離、
または異なる複数種類の有用鉱物を互いに分離する作業をする所です

基本工程は

1.鉱石を粉砕する
2.粒度の分級をする
3.各種選鉱法を適用して有用鉱物を抽出する
4.脱水・乾燥する
5.製錬工場へ

となっており。簡単に要約しますと、鉱山で採掘した鉱石を一定の大きさになるように粉砕し、
粒度つまり粒の大きさごとに仕分けを行います

その後、鉱物の種類によって各種選鉱作業を行い脱水・乾燥の過程を経て製錬工場に運ばれます
選鉱はいくつかあり手選鉱、比重選鉱、静電選鉱、磁力選鉱、重液選鉱、放射能選鉱等がありますが、
今回見て頂くのは浮遊選鉱です」

「それはいいんだが、放射能って物騒な単語が聞こえたのだが」
「放射能選鉱の事ですね。あれは放射性鉱物が出たときだけ使用されますから直ぐに見る事はできません。
放射性鉱物といっても核に使うほどの高純度なものは今の所発掘されておりません、
発掘されたらそれこそ大事件です」

「人体に害はないと?」

「流石に長時間浴びていれば危険なものもあるでしょうが基本的に人体にさほど害もなく低濃度な物が多いです、
中には肩こりや血行不良に効果的なものもあります」

「どこかの売り文句のようだな」
「まあ、レントゲンも放射能使っていますし、放射能が何も人体に悪影響及ぼすだけではありませんよ、
いかに使うかの問題です」
「まったくだな」

「それでは浮遊選鉱をご覧下さい」

巨大な撹拌機が回っている
「これが浮遊選鉱のメインとなる撹拌機です、中にはスライム状になった鉱物が入っています
原理としては、普通の石や土は金属より先に水に溶ける(混ざりやすい)のでその差を利用した選鉱方法で、
スライム状になった鉱物の中に気泡剤を入れて撹拌すると泡の表面に金属を含む鉱石が集まって回収し易く
なります
作業としましては、鉱石と水をいれ撹拌機でスライム状になるまで撹拌し、気泡剤
ここでは廃水処理も考えて界面活性剤(洗剤の主成分)を入れ、鉱石が集まるのを待って回収します
回収の後、スライムは排水処理施設へ、鉱石は脱水・乾燥させ製錬工場へ運びます」
「確かにこの大きさなら、スライム排出率が一番なのも納得がいくな」
「尚、スライム状と言うのは水と石や土が混ざり泥状・粘液状のぬるぬるとした状態の事を指します」
「流石に、現物をみればモンスターとの違いはわかるさ」
「まあ、念の為に言っただけですから。それでは次は製錬工場へ参ります」

再びジープ乗り今度は製錬工場を目指す
「今回は特に何も無くすんなり行けそうだな」
「そうそう移動の度に何かある訳じゃありませんよ」
「いや、出だしから色々あったものでな、穴に落ちたり、穴から上がったり、長距離ドライブしたり」
「それほど長距離でもないですよ実際は」
「敷地内限定だと十分長距離だと思うが…」
「まあ、まあ、もうすぐ製錬工場ですよ」

程なくして製錬工場に到着した
「ここが製錬工場です。なお、製錬と名を打っていますが、ここでは精錬の方も行っています」
「音が同じでよく解らないんだが」
「音は同じですが意味が違います
製錬とは鉱石を還元する事によって金属を取り出す工程の事で
精錬とは製錬された金属から不純物を取り除き純度の高い金属を取り出す過程の事を指します」
「なるほど、製錬と精錬、工程の過程で名称が変わるのか」
「意味が解ってもらえればそれでも構いません実際、製錬した流れで精錬作業に移りますから」
「しかし、ここの工場は他の所に比べて人が少ないな」
「精錬はこの施設での最終工程になるので、他の部署よりも高い技術を要求されますから必然と
人が少なくなりますし、この工程は機械や装置の管理が主なので人手がいる部署ではないのです」
「少数精鋭と言った所か」
「製錬は乾式製錬、湿式製錬、溶融製錬、還元製錬、蒸留製錬、溶融塩電解などの方法があり
精錬は湿式精錬、乾式精錬、電解精錬などがあります」
「手法も似たような物があるのだな」
「ここでは余り見せられる所がありませんので、御了承下さい」
「なぜだ?」
「ここでは機械や装置が一度動き出すと状態を確認するのが計器の出すデータを元になっていますので…、
見せる所が無い事をみてもらったほうが早いですね」
そして工場を見て回った
「視察に当たって、事前に学習はしてきたつもりだったんだがな」
「外で得られる知識と現場の差ですよ、気になさらずに」
「確かに似たような機械と沢山の計器があったな、
理屈は解っていても実際どれが何を指しているかまではいかないな」
「見ただけで解るようなら苦労は無いですよ、続きまして捨石集積場に参ります」