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大鉱山で働くみなさん


(文:下丁@になし藩国 絵:イタ@になし藩国)




「概要の報告書はこんな所だろう、次は現地に視察に行ってからか…」




「…っと言う訳で、今日一日、お前らの仕事っぷりを見てくれることになったお偉いさんだ、
いつも以上に気合入れてけ」

親方の掛け声と共に動き出す鉱夫達

「それじゃあ、早くトロッコ列車に乗ってください、もうすぐ出発しますから」
隣にも同じトロッコ列車が有り他の鉱夫達も次々と乗り込んでいく
「牽引車があるのになんでトロッコにのるんだ?」
「そりゃ、この人数乗れないからですよ。元々、この牽引車はトロッコの牽引が目的なんだから
人を乗せるようにもできてませんよ、牽引車なんて2,3人乗ればそれで一杯。
それに、折角来てもらったんならやっぱりトロッコ乗って貰わないとここの醍醐味が味わえませんよ」

醍醐味って何だろう?と思う視察官

「な〜に、直に解りますよ直に」

列車の先の信号が赤から青に変わる
「トロッコ列車1番、2番、よーいドン!」
掛け声と共に動き出す二台乗列車、向かう先は…
「なあ、この先の大穴で道が切れてる様に見えるんだが…」
「あっはははは、何に言ってるんですか道ならありますよ見えないだけで」
「え〜と…、この大鉱山は確か露天掘りから坑道掘りに切り替えた訳で、
しかも坑道は露天掘りの頃の最下層付近から始まる訳だから、この大穴は…」
「流石は視察に来るだけ合って勉強されてますね。そうです露天掘りの名残です、
坑道はこの下に有りますよ」

ガタン

効果音と共に傾くトロッコ列車
大穴、もとい坑道へ向けて滑り降りていく

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ、やっぱりぃぃぃぃぃぃ」

「イヤァッホォォォォォ」

悲鳴と奇声を残して消えていく列車
地下まで一気に滑り降り、真新しい坑道の入り口を駆け抜け、右へ左へ曲がりながら
奥へと突き進む。

そして
「ハーハー、ゼーゼー、とっ止まった」
「よし、突撃!隣の奴らに負けるな〜」
「うおぉぉぉ!!」
一斉にトロッコから飛び降りて採掘現場に走っていく鉱夫達、トロッコに残ったのは
視察官だけだった

「…なんであんなに躍起になっているんだか」
視察官のぼやきに牽引車に乗っていた鉱夫が答える

「ああ、あれですか?あれは昨日作業を終えた所にツルハシを立ててあるので
先に取った班の勝ちって言うレースですよ」
「仕事前から元気だな」
「いやいや、仕事帰りの一杯が掛かってますからね、必死ですよ」



「2班の勝ち〜〜〜」
坑道の奥からこえが響く

「よし、まずは一勝!あ、視察官さん立てますか?」
「いや、全然大丈夫!」
「にしては、悲鳴上げてましたけど〜」
ニヤニヤ顔で聞いてくる鉱夫

「大丈夫だ、横回転だろうが縦回転だろうが斜め回転だろうが90度落下だろうと問題無い。
だたちょっと、さっきみたいに中途半端に浮くような感覚が苦手なだけだ」
「へぇ〜〜」
「とっとにかく、視察を始めたいんだが」
「では、まずはこちらをご覧下さい」
振り返ってトロッコ列車へ向き直る鉱夫


「まずはトロッコ列車の紹介から…
トロッコ、鉱山で取れた資源を入れて運びます、行きのトロッコは空なので人を乗せて運ぶ事もできます
貯水コンテナ、文字通り水が入ってます、水は色々と使い道がありますから
作業用コンテナには主に作業で使う特殊な道具が入っています、
っと言っても使用頻度はそれほど高くありませんけど
主だった道具は各自で持てますから、ここの道具を使うのは何かあった時ですね
まあ、何かと言っても手持ちの道具で対応出来ない時に持ちに出す程度で大きな問題は今の所は起きてません
特殊な道具としてはバーナーや電気棒やウォータージェットなどがあります
以上、簡単ではありますがトロッコ列車の説明は終りです」


「道具というより武器に近いように思うぞ、火炎放射器にスタンスティックにウォータカッターか…
一体何と戦ってるんだ」
「この大地ですかね、母なる大地を漢のドリルで削っていくとか?」
「小洒落た事を言うね」
「実際日々大地との戦いですからね、モンスターが出たなんて話も聞きませんし」
少しつまらなそうに言う鉱夫

「それは結構、坑道掘りに切り替えてからダンジョンの様になったからな、モンスターが入り込む心配が
あったのだが」
「商店街のダンジョン程ではありませんが、化け物避けの結界がいくつも張り巡らされていますから
そうそうモンスターが出るなんて事はありませんから。
実際に出てきても文字通り岩をも砕く我々に掛かれば問題ありませんよ」
「頼もしい事だ」
「任せてください、もしスライム以外が出で来てもなんとかしてみせますよ」
「って、もうモンスターいるじゃないか!」
「すみません、言い方が悪かったようです。スライムは鉱物を採掘・選鉱・製錬の処理する際にできる
副生成物の一つの事です」
「なるほと、専門用語の一つだったのか」
「まあ、普通スライムと言うのモンスターの方になりますしね。ただ、化け物避けの結界があっても
結界の中でスライム作ってれば結界の意味はあまり無いと思いますよ」
「つまり、いつ出てきてもおかしくはないと…、それで先ほどの道具という訳か」
「納得してる所悪いんですが、全然違います」
盛大にすべる視察官

「坑道掘りにしたので派手にダイナマイトが使えなくなったので、通常の削岩作業で詰まったときに
状況に合わせて使い分けれるんです」
「加熱、加電、加圧か、これなら大抵の場合はどうにかでき、生き埋めの危険も無いと」
「では、次は坑道の奥へ案内します」

案内されていると、大型送風機と貯水コンテナが設置してある場所に出た
「ここでは主に空調の管理をするスペースになっていますが、日々坑道は広がっていますので
採掘現場との距離で位置を決めています。移動式で、一定間隔毎に設置してあります
計器で空気の濃度や湿度を計って規定以下になると自動的に作動します、もちろん手動でも操作可能です
工業用の送風機ですので、作動中は近づくと飛ばされはしませんが危険な場合がありますのでご注意下さい
実際に動かして見ますので、その位置より近づくのは止めてください」
鉱夫は送風機の所まで行って操作を開始した
大きな音と共に動き出す送風機

離れた位置にいた視察官にも強風が届く
「あ〜こ〜れ〜は〜きょ〜りょ〜く〜だ〜、こ〜れ〜は〜」
視察官は風の当たる場所から退いた
「喋り難い」
鉱夫が笑っている
「どうでした?」
「風が強くて喋り難い」
「そうですか?扇風機の前で『あ〜』みたいな事もできますよ」
「ワレワレハウチュウジンダ、か?」
「いえいえ、折角の地下なのですし。ワレワレハチテイジンダ、で」
「…まったく、そんな状態でまともに会話が出来るのか?」
「現場では基本的にボディーサインですよ、ドリル等の削岩機は音も大きいので
 耳栓などの騒音対策をして作業してますから」
いくつかのボディーサインをしてみせた
「大体こんな感じですよ」
「なんとなくはわかった」
「それはよかった、では次は採掘現場です」

坑道の奥では鉱夫達が一生懸命仕事をしていた
案内役の鉱夫の後について視察官がその様子を見て回る
「‐ー-−−−−−−〜」
ドドドッドドドガガガガガ
機械の騒音で音が消される
案内役の鉱夫が他の鉱夫とボディーサインで会話しているようだった
仕事の様子を見ながら会話が出来る位の距離まで移動した
「よく働いているのは見て取れたが、こうも五月蝿いものだったのか」
「まあ、今のは一番音が出る機械を使っていましたし、先ほど見てもらったのは我々1班の方でしたから」
「1班は特に音の出る所の担当なのか?」
「それもありますけど、同じ内容で仕事してる2班と仕事前のツルハシレースと一日の採掘量で勝負してますから、先に2敗方が勝った方に仕事帰りの一杯を奢るんですよ、1勝1敗ならワリカンで。
1班はツルハシレースで既に負けでますから、採掘量でも負けたら奢らされるから、
かなり本気で仕事してますよ」
「そんな事で事故の心配は無いのか?」
「事故を起こしたら、起こしたほうの奢りになりますから大丈夫ですよきっと」
「ある意味凄い説得力だな」
「もし、生き埋めになってもある程度なら酸素は持つ作りになっていますし、
ここに来るまでにいくつか見たと思いますが、貯水タンクには備え付けの電極棒が有って水を電気分解
すれば酸素が出ますから、よほどな事がない限り窒息前には救助は可能です」
「もしもの時も考えてあるのだな」
「もちろんです。以上で坑道内は大体見てもらったと思います、先ほどトロッコがもう直ぐ一杯に
なると言われたので牽引車まで戻り、その後で上の施設の方も案内させていただきます」