/23/王城に設置されたI=D格納庫は、元々非常時の防衛用I=Dを置いておくためだけの物であり、小規模な物だった。それが通勤にI=Dを使う馬鹿が一人現れた途端、楽をしたがる人間が続出。国の共有財産であるところのI=D、申請をすればわりかしすんなり貸与届は通るのが裏目に出た。通勤に使われたI=Dを野晒しで置いておくわけにもいかず格納庫を増設してしまったのが更なる過ちであった。結果新型が増える度に馬鹿も増え、その度に格納庫が増設。おかげで上から見るとかなりいびつな形状をしている。まさしくはてない国人の場当たり的思考を体現したかのような場所だ。
特に目的があって来た訳ではないが念のため見回りでもしておこう。もしかしたら不審者とかがいるかもしれない。いてくれたら楽でいいな。などと取り留めもなく考えながら一通り内部を歩き回ったが何も見つからなかった。流石にそう上手くはいかないようだ。──これ以上ここに居ても何も得る物は有るまい。どこか別の場所に行くとしよう。
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