天夜奇想譚

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魔力、霊力について

魔力・霊力とは"世界"と呼ばれるモノから湧き出し、世界に充満する力の総称。
その霊力・魔力を汲み取り行使することが出来る人間を"術者(Magus)"と定義する。
この際行われるプロセスは、

1."世界"から魔力を引き上げ、自らに溜め込む
2.自らに溜め込んだ魔力を使用して、魔術を引き起こす。

なお、2の魔術を引き起こすプロセスについては、次項、魔術について、で説明することにする。
1のプロセスにおいて、世界から汲み上げた魔力を貯めることの出来る量には限りがある。
この限界量はそれぞれ各術者によってことなり、これを貯蔵容量(セーブ・キャパシティ)と定義する。
2のプロセスにおいて、魔術一発に使用できる魔力量にも限りがある。
この限界量も各術者によってことなり、これを出力容量(アウトプット・キャパシティ)と定義する。
貯蔵容量と出力容量が高ければ高いほど、より強力な術者と呼ばれるであろう。
また、魔力は異形も好む。
それについては下記の『異形』についての項目参照。

魔術について

“魔力”を汲み上げ、“式”に通すことで現象を起こす技術、またはその現象。
例えば炎を放つためには魔力に炎の意味を持たせる式、例えば“火”を表す概念(紋章や呪文)が必要になる。
しかしその単一の概念ではただ炎が噴出すだけであり、炎の矢を放つ、となると概念を複数掛け合わせる必要がある。
例えば炎の矢を放つ場合には、炎(属性)・矢(形状)・飛行(指向性)など。
このように概念を組み合わせたものを“式”と呼び、次の項目で説明する。
この魔術を形作る際、強化、または阻害する存在となる『才覚』と呼ばれるものも存在するが、それは才覚の項目にて説明する
治癒、または時間に関連する魔術は未だ開発されていない。
ただし伝承上には人の傷を一瞬で治す、時間を止めるなどの現象が見られる。
そのためこれらの魔術はアーティファクトと呼ばれる術具ならば存在する可能性があるとされている。
しかしながら、それでも時間に関する魔術は未だ開発も発見もされていない。

式とは

式とは魔力を術に変換するいわば変換機のような存在であり、その手法は大きく下記の三種類に分類する事が出来る。

①【紋章式】 ―絵・文字などを利用―

 紋章式は前もって用意が可能。既に完成されているため、発動しないと言うトラブルが基本的に起こりえない。
 サイズに比例して威力が上昇するため、巨大な紋章であれば複雑で強力な術も行使することができる。
 サイズに比例するのは威力だけではなく、必要魔力も同乗である。
 紋章は一定以上のサイズ以下では正常に作動しないため、小型化はできない。
 これは『特定の回路を形成する』という基本性質のためであり、極小文字等で圧縮をかけても魔力の通りが悪くなる事に起因する。
 この性質は、布のように形が歪みやすいものは威力の低減を招きやすい。
 紋章が破損した場合は術の行使はできず、形状が歪んだ場合は威力低減・動作不良を引き起こす。
 また基本的に単一の術しか行使することはきず、一つの媒体には一つの紋章しか刻むことはできない。
 そして原因は不明であるが、二つ以上の紋章を掛け合わせて強化などはできない。
 古くから用いられる式であり、現代になっても技術者による新たな紋章式の開発は進められている。

②【呪文式】 ―発声・歌などを利用―

 呪文式はその場で組む事ができ、場面に応じた術を行使できる。
 しかし発動には時間が掛かり、音が止まる、物理的妨害を受けるなど、容易に中断される。
 対応する術式を組むためには少なくとも紋章式を作成できるほど概念の知識が必要になり、使用できる人間は限られる。
 また、強く複雑な術を行使するためには詠唱による発動の遅延が否めない。
 紋章のように技術者はあまりおらず、一子相伝であったり、我流がほとんどである。
 そのため、定まった呪文となると簡単なものになる。

③【複合式】 ―発声・歌/絵・文字をどちらも利用―

 複合式は紋章式と呪文式を掛け合わせたものである。
 紋章と呪文を利用するため、既に定まっている紋章に呪文を掛け合わすことで種類の幅を広げることができる。
 紋章の大きさは呪文の補助によって紋章式に比べて比較的小型化しても安定した運用が可能である。
 しかし通常のサイズの場合は紋章式に比べると安定性は落ち、呪文式に比べて対応力がない。
 呪文を唱え損じたり、妨害されれば行使できず、紋章が破壊されれば行使できなくなる。
 紋章・呪文、どちらの要素もあるため日々研究が続けられている。

これらに含まれない技術体系も世界中に存在するが、一般的とは言い難い事もあり使い手の数は極僅かである。
もっともどれか一つの式のみを使う者は少なく、主流は紋章式をメインに据えて補助としての呪文を併用するスタイルだろう。
しかし現場とは逆に技術者の中では複合式の研究が広まりつつあり、技術革新によって主流が塗り替えられる可能性は十分に考えられる。

才覚とは

“才覚”とは、特定の退魔士が保有している能力を指す。
これは式の中に含まれる『概念』(単一の紋章や呪文)に等しい。
この才覚は生まれもって持つ能力であり、訓練をつんだところで習得はできない。
才覚“炎”ならば、概念“炎”となる。
才覚を持つ人間は呪文式を使うことによって、自身の才覚と組み合わせ、紋章式を刻んだ術具を必要とせず複合式を扱うこともできる。
また、才覚“炎”は通常の概念“炎”の上位交換であり、通常の式以上の効果が期待できる。
しかしここで注意することは、才覚“炎”はあらゆる術式に強制的に付与されると言うことである。
これは紋章・呪文・複合式、何らかの術具を使うとき全てに言えることだ。
そしてそれにより、特定の術以外は発動できないという縛りがある程度発生することとなる。
(例えば炎の才覚者が開錠の式を使おうとした場合、属性の付与が行えないため術が形成されない)
場合によっては暴発などの恐れもあるため、才覚を持つ退魔士は、自身の才覚まで考慮に入れて式を作成、用意する必要がある。
才覚は異形の能力に近いものとされており、研究者による研究が進められている。
しかし近年、これら才覚の影響を修練によってある程度抑える術者も存在し、本来は行えない術式を可能とするものもあらわれている。しかし、それには高い実力と魔力が必要とし、また、本来備わっている才覚を抑制するためにも魔力を使っていることから、ある程度の能力の低下も見られている。
だが、才覚がなんなのかは異形の存在同様、詳しくは分かっていない。

通常の式発動

魔力+術具or式(魔法陣・呪歌・呪文詠唱・脳内構成など)=現象

才覚持ちの式発動

魔力+術具or式(魔法陣・呪歌・呪文詠唱・脳内構成など)+才覚による付与効果)=現象


術具・アーティファクトとは

術具とは、術式を行使できる道具、または退魔士の身体能力を強化する道具を指し、運用には必ず魔力を要する。
基本的に紋章が刻まれ、魔力を通すことで術式を行使することができる。
魔力が必ず必要なため、魔力の扱えない一般人に使用することはできない。
術具と同じような性能を持つものでアーティファクトと呼ばれるものが存在し、これと術具は厳密に区別される。

アーティファクトとは人では再現できない技術で作成され、術具と同等、またはそれ以上の性能の術式を行使できる道具である。
このアーティファクトには術具のような紋章は刻まれておらず、発動過程も不明。
たまに発掘現場などで同じアーティファクトが複数個発見される場合もあるが、基本的に一点物で代えはきかない。
上述したとおり発動過程は不明のため、術具と違い、破損した場合の修復はほぼ不可能と考えて良い。
当然のことながら複製、修理を行うことが出来ず、そのためアーティファクトの価値は値段をつけられるものではない。
品物によっては魔力の扱えない一般人にも使うことができる。

装弾機構《チャンバーシステム》

“装填機構―チャンバーシステム―”は、魔力を汲み上げる能力の低い退魔士のために作られた武器構造の一種であり、
またはそれを搭載した武器そのものを指す。
これは魔術自体が内包された“カートリッジ”を武器に挿入し、引き金を引くなどのキーにより、その式を運用するといったもので、
既に完成された魔術を扱うため、術者自身の魔力を殆ど必要としないのが利点となっている。
ただし、一般人の誤用を避けるため、運用に僅かながら魔力を必要とする。
イメージとしては銃弾の変わりに魔術を打ち出す銃となっており、
またその形式上、一般的には銃器の形状をとることが多い(ただし最近は剣や槍などのタイプも存在する)
カートリッジは消耗品で、加えてあまり長期間使用しない場合は劣化する可能性もある。
しかし、カートリッジに封入できる式はそのサイズの都合上、基本的には下級と呼ばれるものに留まる。
また、システム自体が高価であり、最低でも百万はくだらない。
それでもその汎用性の高さや、才覚者でも難なく扱える性質を好む術者も多く、
ベテランの中にもこのシステムを好んで扱う者が少なくない(メインの武装として扱うものは少ないが)
さらに、近年設計面での向上の反作用というべきか、ほかの術具などと比較して、才覚の影響が少ないことが判明している。これは、術式をカートリッジに封入していることが第一の原因と考えられており、術者本人とは離れた機械という存在との距離の遠さからきていると考えられている。そのため、才覚をフルに活用する戦い方が、この装備では困難となっている。
また、組織が退魔士の育成のために配布するケースも多い。

STAFF (Spell Tree Automatism and Form Function)

スタッフ・杖と呼ばれるシステム及びそれを搭載した兵器の呼称。
事前に登録した術式を、音声などの指示により検索、描画し、その場で完成させ、 接続された魔力タンクの魔力を用い術を発現する。
従来のように式具を複数持ち歩かなくとも臨機応変な対応が出来、かつ運用の簡易さから注目され始めている。
ただし難点として、性能の充実の弊害としてシステムを搭載する器具自体が大型になりやすく、
最小サイズのものでも乗用車ほどの大きさと重量があり、隠蔽や小回りが必要とされる状況に不向き。
またこのシステムを搭載した兵器は中々に高価で、安いものでも一台で家一軒買えてしまう上、維持費も馬鹿にならない。
そして運用にはチャンバー同様に多少ながら魔力が必要であることを忘れてはならない。
チャンバーシステムと比較した場合、火力・融通性では上回るが隠蔽性・手軽さ・価格などでは劣ることになる。
このためヴァンパイアなど特定の弱点以外に耐性のある異形に対し、登録さえされていればオールラウンドに対処できる点は高く評価され、
中規模以上の組織ではこれを採用しているケースも少なくない。
また、搭載する術式、外装ともに術者のオリジナリティやスタイルを絡めやすいと言う点での人気は高く、
大組織ではこれを持ち、いかに金と手間をかけ個性的にデザインするかが一種のステータスとなる傾向もある。

駆動鎧―ADAM(Anti Demon Artificial Messiah)

 ゴーレムに機械技術を取り入れるという発想を持った魔術師が起源となり、第一次世界大戦の最中に産まれた10M級人型機械の総称。
 当初は装甲や銃器を取り付け外部の命令で動く自動兵器としての運用が主だったが、欠点として単純な命令しか与えられず
 臨機応変な対応が出来ない欠陥を抱える通常ゴーレムの強化型に過ぎなかった。
 しかし電子部品の小型化を初めとする技術革新が進むと、予てよりプランのみは存在した計画が実現可能な時代が訪れる。
 軽量かつ強固な金属を基礎フレームに採用し、素体としてのゴーレムのみを魔術構築。
 素体に電子兵装や、補強を行う人工筋肉・各種シリンダーを装備することで基礎性能を向上させると共に
 命令による単純な指示しか出来なかった欠点を、コクピットの搭載による直接操縦に切り替える事でクリアしたのである。
 これに堅牢な装甲と大型火器を加え、人と同じ動きを可能とする駆動鎧は兵器としての完成を見せたのであった。

 -特徴-

 ①科学のみで生み出された機械とは違い、あくまでもゴーレム作成術により生み出された一個の個体の為
  強弱は様々だが意思のような物を持っている。
  これにより従来の人型ロボットが抱える姿勢制御の問題を”機械そのものが本能レベルで制御”する事となり
  乗り手の負担を大幅に削減する効果を生んでいる。

 ②動力は主機関としての魔導炉と、補助機関である大型コンデンサーを併用して搭載。
  魔導炉には外部より魔力を充填されることで動くタイプと、自ら魔力を生み出す自己完結型の二種類が存在するが
  後者はブラックボックスとして僅かに発掘される物であり、今の技術では生み出すことが出来ない。
  もっとも発掘品はあくまでも調査結果によって”こうすればこう動く”レベルでしか使い方が判っていな事もあり
  扱いの難しさと相まって研究素材としての色合いが濃いと言うのが一般論だろう。
  機能を絞り活動時間に制約を持たせてでも、安定したSTAFFの亜流である外部充填方式が世界の主流である。

 ③一機の価格は最低レベルの汎用機で数百億。
  量産を視野に入れず、採算度外視のカスタム型に至っては桁が一つ違う場合もあるだろう。
  その上人型の特徴である自由な稼働領域を確保する為に構成部品数が膨大で、運用・維持コストとして必要な資金は莫大となる。
  しかしそれら数多くのデメリットを抱える駆動鎧だが、人に準拠した構造が産む運動性能と地形を選ばない汎用性に加え
  魔力作用による”一般人には見え難い”効果による高いステルス性を兼ね備ており、地上の王者たる戦車を凌ぐ性能を誇っている。
  もっとも装甲自体の強度は魔力抵抗を持つだけで、一般的な兵器と変わらないのはご愛敬。 

 ④駆動鎧は陸戦兵器であり、基本的に飛行を念頭におかない作りとなっている。
  これは人型の宿命だが、流線型とはほど遠い最悪の空気抵抗を持つ重い四肢を飛ばす推力が足りない為である。
  中には軽量紋章を付与した上で可変機構を組み込み戦闘機並の性能を持つ機体も存在するが
  装甲が薄く、駆動鎧に期待されているタフさを失うと言う本末転倒な結末へと繋がっている。

 これは一部の技術者間で疑念と共に囁かれていることだが、基礎を飛ばして突然出来上がった技術体系だとされている。
 技術の流布が戦中であり、何処かの軍の秘密研究が漏洩したと言われて一応の決着とはなっていても真実は闇の中。
 一説には異星人が失った体を作らせるた為に人類を競わせている、発掘された未知のアーティファクトの劣化コピーである
 等、トンデモな話が数多く語られているが、もはや駆動鎧そのものが流通している以上何を正解するとするかは人それぞれだろう。

統括組織《とうかつそしき》

対異形統括組織、略して統括組織。
またその傘下にある天夜内の退魔組織を含める場合もその名で呼ばれる。
天夜市を中心に、関東圏一帯に及ぶ力を持つ大組織である。
組織には格付けが存在し、甲乙丙、各ランクの中に上中下が存在する。
甲の上が統括組織のランクでは最上。
丙の下は加入したばかりの組織。
また個人単位でもこれと同じく格付けが行われている。
"裁定者"といわれる、統括組織の取りまとめにも等しい12人(または13人)。
ただ、それだけが、甲の上として認められている。

教会《きょうかい》

キリスト教を中枢とする外国の大型退魔組織連合。
多数の宗派、信仰、理念に基づいた組織の集まりである為、ただ『教会』と呼ばれている。
本拠地はコンスタンティノポリ総主教庁とバチカン。宗派の違いによって、多数拠点が存在する。
内部での抗争などが非常に激しく、また、組織間での連携もあまり捗ってはいない。
が、同じ宗派内での協力体制は堅く、また個々人の力もそこそこ強い為、他組織に比べて目覚しい成長を遂げた。
日本国内にも数十の拠点(教会)が設立されている。
極東支部長は、月ヶ谷神父。
近頃、彼の周りで何ぞ怪しい企みが動いているようだが……

聖別

組織の浄化と対になる教会の技術。
特殊な式具を使用することにより、『一時的に対象の身体能力、もしくは異形特性を弱体化』ことができる。
これにより、専用の式や式具を用いずとも、アンデッドや悪魔にダメージを与えることが容易となる。
式具を媒介にした術式により、対象に傷をつけることが基本的な使用条件である。
その他にも、聖水などの形にして『ぶっかける』、魔法陣のような形にして『陣内に入れる』など。




傭兵《マーセナリー》

《統括組織》や《協会》などの組織から、《異形》や《感染者》の討伐や汚染した存在の拘束・保護を命じられ、それらを金銭や等価交換で請け負う者たちの総称。
主に、実力のない末端組織や個人が傭兵を雇うのが基本だが、実力と知名度を持つ傭兵は甲ランク組織や中枢部に抱えられ、非常時組織要員《イリーガル》として扱われているものも存在する。
傭兵は正式な統括組織の人間ではないため、統括組織から派遣されたパートナーと二人一組をとるのが基本である。
また、その高い任務達成率と危険な仕事でも請け負う有用性から、末端組織には手が出せない高額指定傭兵《ハイコスト・エージェント》と呼ばれる庸兵もいる。

※傭兵の条件
 傭兵としての条件というものは、厳密には存在しない。従来の傭兵と異なる要素といえば、『魔術が扱える(もしくは異形という存在に対抗できる手段をもつ)』 『異形という存在と統括組織および教会を認知している』 『実力を持つ』という3項目をクリアしていて、己がその生き方を望んだ場合により、知名度によって傭兵と認められる、というたいへん曖昧なものである。
 傭兵としての試験や試練があるわけではなく、いづれかの組織に認められればそのあり方を認められるといったものでしかない。

※傭兵の生活
 基本的には、『統括組織および教会からの依頼を受けて依頼をこなす』ことで報酬を得て生活をしている。しかし、秘匿を常とする魔術師たちが、そういった制約に縛られていない存在である彼らに依頼をする事は稀である。それは、各組織に戦闘要員が存在することもあるが、公で秘匿するはずの魔術を扱うことや異形との戦闘をする者たちを扱うことを過剰に嫌っているためである。そのため、異形絡みの依頼がない間は、傭兵たちは副業としてさまざまな職についている。つまり、普段はただの一般人というわけである。

※非常時組織要員《イリーガル》
 上記された姿が傭兵の一般的な姿であるならば、この《イリーガル》という存在はかなり異なってくる。まず、所属する組織に定期的な給与、もしくは最低限もしくはそれ以上の生活の保障が約束されているからである。彼らはその類稀な能力もしくは知識によって組織に多大な益を生むことから、組織によって生活を保障されているのだ。ただし、肩書き上は組織の一員という訳ではなく、依頼を与えられない限りは他の傭兵共々組織の社会からは離れることになる。其処に組織員との差が生まれるものの、その縛りのない立ち位置を好んで自ら傭兵となる者も少なくない。だが、一度依頼を下されればその依頼を忠実にこなす規則が存在する。そのため、依頼の拒否もしくは失敗には厳しい罰金、もしくは組織の情報を知ることから解雇という形ではなく処罰という形式をとらされることもある。いずれにせよ、一般の傭兵よりも各退魔組織との繋がりを強くし、結果傭兵としてのフリースタイルを失ってしまう。

※高額指定傭兵《ハイコスト・エージェント》
 《イリーガル》の存在よりもさらに上を行く存在が、この高額指定傭兵である。依頼に対する高い任務達成率、危険度の高い依頼への受諾率が高い者を指し、その優秀さから重宝される存在である。彼らの手を借りようとする組織はたいへん多く、自分の依頼を請け負ってもらおうと報酬を吊り上げるため、自然とその報酬は一般の傭兵よりも高額なものとなるため、こうした名称があてがわれたのである。だが、その地位にあったとしてもその傭兵達がその高額な報酬だけで依頼を受諾する訳ではない。総じて優秀な彼らほど美学と目的をもっており、自身のスタイルや目的に沿わない依頼にはたとえどんなに高額だったとしても請け負う事はないと言われている。もちろん、金のために傭兵となり、無差別に依頼を受けるものも存在するが、それらの数は何故か多いわけではない。

※傭兵という存在と魔術の秘匿性
 傭兵の条件の一つに、『魔術が扱える(もしくは異形という存在に対抗できる手段をもつ)』という条件が存在する。もちろん、魔術は世界中で秘匿されるものという法則よって縛られている。魔術や異形を知らない一般人にはもちろん口外してはならないし見せてもいけない。それを破れば魔術師同様いかなる例外もなく処罰される。ただし、組織要員とはことなり各退魔組織の監視が行き届かないのがこの傭兵と呼ばれる存在だ。もちろん野良の魔術師も存在するが、魔術を生活の糧もしくは戦闘の武器として扱う彼ら傭兵による魔術の露呈の危険性はきわめて高い。そのため、魔術師たちにはこの傭兵という存在を疑問視もしくは危険視する者も少なくない。そのため、昔から傭兵と魔術師の仲は良くないというのが世間一般の常識であり、お互いに蔑視的な偏見を持つものも少なくない。好んで己の魔術を公にし、魔術師を刺激したり一般人を傷つける傭兵は少ないが、決してゼロではないというのも現実であることが、この相互の関係を微妙な位置においている原因でもある。   


異形

異形とは基本的に神話や民話等の伝承に語られる姿に酷似した存在であり、鬼、雪女、吸血鬼、狼男等、数限りない種を内包した化け物の総称である。
これらの存在については退魔士の中でも長年物議を醸し、説としては生物の誕生起源から科学的に読み解こうとするものからオカルティックなものまであるが
その全てが決定打を欠き、真相は知れていない。
しかし実体としては”伝承以前から存在していた異形”が人の目に触れ”お伽噺として伝わった”パターンが殆どと言う調査結果が発表されており、
”伝承ありき”で発生する異形は、過去から現在までを含めても殆ど確認されたことはない。
異形は本能的に『魔力』を好む。
これには微弱ながらも魔力を備える『人間』と言う種も含まれており、一般人に比べ高い魔力を備える退魔士に至っては異形にとって垂涎の餌である。

異形の生態

異形は他生物と同じく生殖によって個体数を増やすが、一部の種は”感染”と呼ばれる手段を使って増殖を行う。
これは吸血鬼に代表される”自らの一部を植え付ける”種族の手口であり、人が最も恐れる危険な能力の一つである。
過去には二次感染したモノの存在に気づかなかったあまり、都市単位での感染が発生したケースも実際に存在しており
鼠算式に被害が増えるこの能力を軽視する退魔師は存在しないだろう。
しかし現在では様々な組織で感染を食い止める浄化技術が確立されており、完全な異形になる前であれば治癒も可能。
この為、技術確立以前に比べると驚異の度合いは減ったと言えよう。

異形核

異形が持っているといわれる、異形としての“核”であり、教会ではそう呼ばれている。
ただし、異形の種類や固体ごとに差があり、それを持たないものも少なくない。
教会はこれを摘出する“バプテスマ”と言う秘伝の術式を所持している。
摘出した異形核(様々な石・宝石の形をしている)を人に埋め込む技術も教会は所持していて、半異形部隊もある。
倫理的問題などから摘出の術式、及び半異形部隊の存在は教会内でも、一握りの人間にしか知らされていない。
なのでその部隊は存在しないものとして扱われ、要人暗殺などにあてられる。

 

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