747 :名無しさん@ビンキー:2008/04/24(木) 20:55:36 O長くなりそうだったので、前編と後編に分けました。・いつかの婚約SSの続きだけど別にそれ読まなくても読めると思う ・二期捏造アレティエ・甘々・前編はエロ無しだけど後編はエロあり(予定)・性別:ティエリア…と見せかけてごめん今回は♀ティエ意識\(^O^)/748 :四年後新婚アレティエ♀前編 :2008/04/24(木) 20:57:24 O「アレルヤ、今日は私が料理を作るぞ。」「え!?」指輪を渡しながらのプロポーズから約一ヶ月が経った頃。ティエリアは新婚生活初の料理に挑戦しようと徐に立ち上がった。「よし…」アレルヤと色違いで買ったシンプルな紫色のエプロンの紐を後ろでキュッと締めると、ティエリアは意気揚々と包丁を握り締めキッチンへと向かった。「ティ、ティエリア?お腹空いたの?だったら僕が作」「黙っていろ。人と話す気分じゃない。」ぴしゃりとアレルヤの言葉を真っ向から断ち切ったティエリアは、難しい顔をしながら、しかし何処か楽しそうに包丁を持ったまま冷蔵庫を覗き込む。(ああ、だからもう既に危ないって)包丁を握り締めたままキッチンをうろうろする愛しい人をはらはらした気持ちで見つめながら、アレルヤは狼狽える。何故、ティエリアがいきなり、料理なんか。アレルヤは疑問に思った。普段はアレルヤが料理を担当している。こういうのも何だが、趣味の延長線のようなものだった。得意か不得意かで言えば、かなり得意な方で。アレルヤとティエリアが夫婦になってからも(といっても勿論戸籍上では違う、そもそも2人とも正式な戸籍を持っていない)、夫で在るアレルヤは妻で在るティエリアに美味しい料理を作り続けてきた。 ティエリアも満足そうにその料理を食べてきた。それが何故、突然、今になって―――「…ティエリア、何を作るの?」「カレーだ。」カレー。そういえばもうずっと昔、四年くらい前に、ソレスタルビーイングが所有する無人島で2人でカレーを作ったことが在った。刹那はロックオンに髪を切ってもらってたんだっけ。懐かしい感慨に耽りながらも、アレルヤはハッと或ることを思い出した。「ティエリアって……料理出来るの?」ごろごろと大量に持ち出した野菜と必死に睨めっこするティエリアに聞こえないように、アレルヤは新たな疑問を口にした。確か、四年前に一度カレーを作った際には料理本に書いて在った通りの調味料の量をきっちりとビーカーで計っていた。アレルヤはそんな完璧主義のティエリアに苦笑しつつも、カレーの元となる野菜などを全て適当な大きさに切り、ティエリアが調味料を計り終えるのを待っていた覚えが在る。 つまり四年前から、料理をしていたのはアレルヤの方だったといっても過言じゃない。「ヴァーチェ、目標を破砕する」ごろごろと不安定なジャガイモを洗いもせず、皮を剥きもせず、ティエリアは勢いよく手に握り締めていた包丁を振り下ろした。(ヴァーチェ!?ティエリア、今はミッション中じゃないよ!ていうかそれってまるで君自身がヴァーチェみたいな言い方じゃないか!まさか君も「俺がガンダムだ」とか言い出すのかい!?) アレルヤがふと脳裏に某クルジス出身のガンダム馬鹿の姿を思い浮かべたのも束の間、ずがんっ!!という鈍い音が響き、続いて「うっ」というティエリアの小さな呻き声が聞こえた。 「ティエリア!?」まさか、と思いバッとまな板に向かうティエリアを後ろから覗き込むと、そこには血まみれになった真っ二つのジャガイモが無惨にも転がっていた。しかし何よりまずアレルヤの瞳に映ったのは、ティエリアの真っ白で細長い指から溢れる真っ赤な血だった。「ちょ、切れてるじゃないか!!大丈夫!?」「…この程度問題ない。ミッションを続行する」「問題大アリだよ!!!」慌ててティエリアの手から包丁を奪い取ろうとするアレルヤだったが、それに気付いたティエリアが力の限りの抵抗を開始した。「ええい離せ!危ないだろう!」「君の方が危ないよ!ていうか血止まってないじゃないか!」「こんなの放っとけばいずれ止まる!というか君は早くキッチンから出て行け!男子厨房に入らず、だ!!」そんな、いつも料理を作ってるのは僕なのに。理知的に見えて実は自分勝手なティエリアに涙を流しそうになるも、アレルヤは負けるもんかと自分自身に鞭打った。「出て行かないよ。」アレルヤは確固とした意志でそう呟くと、超兵仕様の馬鹿力を発揮しあっさりとティエリアの手から包丁を奪い取った。「な………」瞳を丸くしその光景を見つめていたティエリアは、次のアレルヤの行動に追いつけなかった。「捕まえた。」アレルヤの屈強な体が、ティエリアの華奢な体を背中から覆い被さるように抱き込んだ。一瞬何が起こったのか分からなかったティエリアは、しかし、状況を把握すると同時にがばっとアレルヤの方へ振り返り、その真っ赤な瞳で鋭くアレルヤを睨み上げた。 「何の真似だ!!!」「血を。止めようと思って」殺気立つティエリアに物怖じもせずに、アレルヤは自然な手つきでティエリアの手を取ると血が滴り続けるその細長い指に、舌を這わせた。鈍い鉄の味がアレルヤの口内にじんわりと広がる。「………」唐突なその光景に、ティエリアは思わずぽかんと口を開いたまま固まってしまった。その間にもペロペロと指を行き来するアレルヤの舌の感触に、ぞくりとティエリアの背筋が震えた。「やめ、っ」「止めない。」何とかアレルヤの腕の中から逃れようともがくも、ぴくりとも体が動かない。そのうちにアレルヤの舌は切り傷の痕からゆっくりと移動し、五本の指と指の間をねっとりと舐め上げ始めた。「っ、アレルヤ…!」何処を舐めているんだ、と反論しようと思いアレルヤの顔を見やると、上目使いにティエリアを見つめる灰色の瞳と目が合った。その灰色の瞳が、まるで獲物を狙う狼のように僅かな熱に浮かされていて。「っ………」ティエリアの体が微かに震えた。「ティエリア…」やがてアレルヤの舌が名残惜しそうにティエリアの指から離れると、力の抜けかけたティエリアの体をいとも簡単そうにひょいっと抱え上げた。「なっ、降ろせ!」「ちょっと待っててよ、すぐに降ろしてあげるから」ぎゃーぎゃーと暴れるティエリアに苦笑しつつも、アレルヤは所謂お姫様抱っこをしながら惨状と化したキッチンを後にし、リビングへと戻った。「はい、到着」そして大きなソファーまで歩み寄ると、そこに優しくティエリアを寝そべらせた。「何をする!俺は料理を作らなければならないのに!!」「…ティエリア、顔真っ赤…」ぎっ、と微かな音が響き、アレルヤはティエリアの体に覆い被さるように自らもソファーに乗り上がった。「アレルヤ………?」「…こんなに美味しそうな料理が目の前に在るのにお預けだなんて、僕はもう我慢出来ないよ」そのまま無防備なティエリアの唇にアレルヤの唇が荒々しく重なった。
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