562 もぐもぐアレティエ [sage] Date:2008/07/05(土) 17:36:54 0 ID: Be:ご飯を食べるアレルヤともやしなティエリア。彼、という表記をしているけど、どっちでもいいんじゃないかと。エロはないけど、お色気要素はあります。563 もぐもぐアレティエ [sage] Date:2008/07/05(土) 17:37:29 0 ID: Be:ここは経済特区日本。久々に地上での待機を命じられた二人は、アレルヤの提案で共に食事をする事になった。久々の二人きり。アレルヤとしては本当の所、少し落ちついた洒落たレストランでムード良く食事をしたいと思っていたのだが、如何せんティエリアが相手ではそうもいかない。 何より彼は人のいる場所を好まないし、そんな場所での食事風景など考えもしない事だろう。そして何より彼は偏食家だ。しかし何食わぬ顔で「お前の家で食事をするほうが落ち着く」と言われてしまっては、男として家に誘わないわけが無いではないか。(まあ、どちらにせよ僕みたいな男には敷居が高かったかな。キャラじゃないしね。)予約しようと思った少し値の張るレストラン。外観もカフェの様な小洒落た雰囲気があり、これならティエリアも気に入ると思っていた。多少の欲目を感じつつも、仕方がないと買い物袋をぶら下げた男はレストラン通りの路地を横切って行った。地上の待機場所兼自宅へと戻ったアレルヤを出迎えたのは、無言のティエリアだった。普通はここでおかえりの一言も言うものだが、人を出迎えるという環境に慣れていないのだろう。扉を開けたまま、何か言いたげな顔で家人を見ている。どうやら何を言ったらいいのか分からないらしい。 「ただいまティエリア」「あ、ああ。」仕方が無いので、アレルヤ自ら帰宅を告げた。たとえ「おかえり」という言葉を理解していなくても、こうして出迎えられるのは気分がいい。早速食事の用意をするべくエプロンを身につけキッチンへと向かうと、興味津々な様子でティエリアが覗き込んでいた。「何を作るんだ」「とりあえず中華かな」中華、と胡乱な顔でティエリアが呟く。「大丈夫、あっさりしたものにするし、ちゃんと食べられるもの作るから」アレルヤが苦笑してそう告げると、まあいいだろうと無言で発したティエリアはリビングへと戻って行った。ソファでくつろいで食事を待つ気らしい。次第に部屋中に広がる香ばしい匂い。その匂いに誘われるように、ティエリアはキッチンに立つアレルヤへと視線を戻した。太く逞しい腕がフライパンを軽々と振り続ける。 (器用な男だ)背中越しのその姿に胸が高鳴るのを感じていた。しかしそれがどういった類のものであるのか、彼は結局よく理解していない。思えば今まで同じ時を過ごす事が多かった。共に食事へ行く事も多々あれば、その帰りがけにホテルに誘われることもしばしばあった。意を決したように誘いをかけるその姿に、先ほどと同じように胸が高鳴ったのを覚えている。だが、結局次第にその回数は減っていった。どういうわけか分からないが、食事もセックスもアレルヤのテリトリーの中でするのが一番好ましく思えたのだ。そして今日も結局外での食事を断った。 自分にとってアレルヤはどういった存在なのだろう。きっとそれが分からないから、極力彼を知ろうと、その範囲内で過ごしているのだ。そんな的外れな事を思いながら、ティエリアはアレルヤの背中から目を離せないでいた。「おまちどうさま」コトリと目の前に炒め物が運ばれる。ついアレルヤの事ばかり考えていたせいで思わず虚を突かれる形になってしまった。「どうかした?」「な、なんでもない。いいから早く席に着け!」いささか乱暴に促すと、アレルヤはエプロンの紐を解きながら席へと着いた。アレルヤが運んできたのは中華ハムのスープとチャーハン、そしてもやしの炒め物だった。確かに彼の言ったとおり、こってりした料理ではないようだ。口へ運ぶと、控えめに塩を利かせているのがよく分かる。確かにこれなら――。「おいしい?」何故かその一言に図星を疲れた気分になった。「まずくはない」「その様子だと口にあったみたいだね。あ、おかわりあるから」――おかわり。そういえば、と目の前の男の食事量が半端じゃない事をティエリアは思い出す。テーブルにはそれなりの量が盛られているが、キッチンにはまだ余分に置いてあるに違いない。そうこう考えているうちにアレルヤの皿に盛られた分は、既に半分以上減っている。アレルヤは決して早食いというわけではない、一度に口に含む量が多いのだ。その性格から、どちらかというとゆっくり、よく咀嚼して食べる姿を過去に想像していたティエリアは、男らしく食事を頬張るその口元に釘付けになった。こうして食事をしている姿はちらりと犬歯が覗き、独特の精悍な顔つきもあってか少し野性味を帯びている。まるでベッドで自分をかき抱く時のようだと思った。 「それにしてもよく食べるな、お前は…」既に新しく盛られた皿を見て、ティエリアは怪訝な顔をした。「まあこんな体してるしね。なんかどうにもいくらでも食べちゃうって言うか、食べた分だけこの体になるって感じかな。」アレルヤは改造された肉体を嘲るように笑って見せる。「僕は仕方がないとして、逆にティエリアは食が細すぎると思うよ。栄養があるものが好きだという割には偏食ばかりするじゃない。抱きしめるたびに折れちゃうんじゃないかって少し心配だな」 アレルヤは目を細めて箸で摘んだもやしを見つめながら、慈しむように呟く。何故だかそのしぐさに無性に腹が立つ。以前刹那・F・セイエイにもやしと言われた事を思い出した。「そういうお前はよくその食事量で体型が保てるな」「トレーニングならしてるよ」「それを差し引いてもよく食べると言いたいんだ。なんにせよタフで強靭な肉体作りには食事が基本だという事は分かった。だが体力が有り余るのも問題だ。晩になると疲れ知らずで困…」 そこまで言いかけてティエリアははっとして口をつぐんでしまう。心なしか頬が赤い。「すまない、食事中にする話題じゃなかったな」「いや、男冥利に尽きるというか、なんというか…」アレルヤも二の句がでないまま、そのままもごもごと黙り込んでしまう。妙に気恥ずかしい沈黙が続く。お互い顔を伏せたまま、ただ探るように黙り込む。コチコチと時計の針の音やけに大きく響いた。唇をきゅっと引き結び、アレルヤが続きを切り出すのを待っていた。 ふいにアレルヤは箸を揃えてカタンとテーブルに置いた。その瞬間はっとして顔を上げると、急に真剣な眼差しで見つめるアレルヤと目が合う。「あ、あのさ…こうして会話をしながら食事をするのっていいと思わない?」「は…?なんだ急に」「いや、僕には家族もなにもいないから、こうして大切な人と食事ができるってすごく幸せな事なんだよ。さっきもそう、家に帰れば君が出迎えてくれる。そしてこうして食事ができる。ささやかだけどすごく幸せだ」 「だが俺は何もできない。食事も作れないし、まともに出迎える事だってできないじゃないか。それでも幸せだと?」その問いに答えはない。ただアレルヤは柔らかく微笑んだままティエリアを見つめるだけだった。これが答えだとでも言うのだろうか、わからない。ただ見つめているだけなのに。そうだ、見つめている…だけ?心の中で反芻し、先ほどの自分の行動を思い出す。ただただアレルヤを見つめていた自分。また胸がどきりと高鳴った気がした。気付いてはいけない答えに気付いてしまった気がする。「ティエリアはさ、僕の事どう思ってるのかな」それだけは聞かれたくないと思った。でも何故。「こうして食事して最近では何気ない会話もするようになったよね、僕たち。たまにセックスする事だってある。僕としては正直期待しちゃうんだけどな」「そ、それは」出ない答えに息が詰まった。どう思っているか?そんなもの自分が分からないのに、答えを求められたところでどうしようもない。そもそもアレルヤがどういった答えを欲しがっているのか、まったく検討がつかない。ただ分かるのはおそらくアレルヤを嫌ってはいないという事。それこそ体を許せるくらいには。 ティエリアが勢いあまりそれを告げようと口を開くと「やっぱりやめた」とアレルヤの暢気な声が返ってきた。「今はいいや、楽しい食事中だしね。」どうせ僕の一人勝ちだよ、とわけの分からない事を言って、再びアレルヤは食事に集中し始めた。まったくもって分からない男だ。それでもアレルヤの求める答えと、自らが導きかけた答えは同じもののような気がしていた。感情に名前をつけるのは苦手だ。その途端に確かなものへと変わってしまう。アレルヤへの気持ちは今でこそ良く分からないけれど。ティエリアは楽しそうに食事をするアレルヤを見た。彼の食事は非常に口にあう。食が細いといわれたティエリアもいつも以上に食べる事ができたが、やはり彼より食べる量が少ないので先に食事を終えた。目の前の男が食事を終える間での間は、再びその手元や口元に意識が集中していた。 「そうだティエリア、今晩泊まっていきなよ」「別に構わないが…?」「エッチなことがしたいです」「…っ、食事中だぞ!」おわりアレルヤは人革出身でチャイニーズだから、中華料理得意そうだと思った。もやしはこのあと乱れたぜ(笑)
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