647 名無しさん@ビンキー [sage] Date:2008/07/06(日) 14:41:42 O ID: Be:夏祭りの残りをgdgd執筆中にちょっと前に話題に出てた雨とか雷とか関連のラッキースケベなアレルヤと可憐なもやしティエリアにセンチメンタリズムを感じたので投下。・いつかの18歳大学生アレルヤ×14歳中学生ティエリア♀の続き。 ・ずっとアレルヤのラッキースケベのターン!・エロは無し・現代パロ・今回ちょっと長いかもしれん ごめんNGワードは「♀」、もしくはスクロール推奨。おk!な方はどうぞ!648 18歳大学生アレ×14歳中学生ティエ♀ [sage] Date:2008/07/06(日) 14:44:54 O ID: Be:―――――僕がティエリアに万死されてから、3日後。アレルヤは溜め息を吐きながら、とぼとぼとロックオン宅のマンションに向かっていた。「はぁ……」ごつごつとしたアレルヤの手には、それと真逆の雰囲気を醸し出す可愛らしいピンクのリボンで端をキュッと結ばれたパステル調の黄色い紙包みが乗せられていた。やがてマンションのドアの前に辿り着くと、アレルヤは意を決してピンポーンとインターホンを鳴らした。今の時刻は午前10時。学生ならとっくに学校に行ってる時間。それを狙い、アレルヤはロックオン宅を訪ねたのだった。「はいはいはーい、っとな」ガチャリ、とドアが開かれ、中から出て来た人物が自分の予想通りでほっとする。「あぁ、アレルヤ。こないだは悪かったな。ちょっと野暮用でな…」「いえ、大丈夫ですよ。こっちこそ、何の連絡も無しに来ちゃって…」「気になさんな。お互い様ってな。…ところで、どうした?今日は?」ロックオンはアレルヤを家の中に招き入れようとするが、アレルヤはやんわりと手でそれを制し、僅かに俯きながら、手に持っていた可愛らしい紙包みをロックオンへと差し出した。 「…へ?」「えっと、あの、これ……ティエリアに渡して下さい。この前のお詫びです、って」「あ…あぁ…別に良いけど。何だ、お前ら喧嘩でもしたのか?」「いや、喧嘩というか…僕が一方的にティエリアに失礼なことしちゃった、っていうか……。」どんどんどんどん俯いてゆくアレルヤを横目に、ロックオンは何かを思い出すように顎に手を添えて考え始めた。「あぁ、だからここ数日あいつの様子が変だったんだ」「…へ?」今度は逆に、アレルヤが不意を突かれたような表情を浮かべる。「いや、何かずっとうなだれたままっていうか…何かずっと考えたっきりっていうか…。そうかと思ったら、いきなり赤面しだすし、溜め息ばっか吐いてるし……熱は無いみたいなんだけどなあ。」 それを聞いて、アレルヤの顔がさっと青ざめた。(ああああ、やっぱりまだ怒ってるんだ…。当たり前だよね…)さらにずーんと暗いオーラを纏ってしまったアレルヤを慰めるように、ロックオンは慌ててアレルヤの肩をばしばしと叩いた。「まーまー、気にすんなって!あいつも難しい年頃なんだし!何が在ったか知らないが、どうせすぐまたいつも通りに戻るって!」な?と言い聞かせるように、ロックオンが力強い笑みを浮かべた。(…君の大切な妹の胸を、わざとでは無いけど揉みしだいてしまいました、すごく…柔らかかったです……なんて、口が裂けても言えないよなあ…。言ったら即狙い撃たれそうだ。ごめんなさい、ロックオン。) ロックオンの優しすぎる気遣いが、ぐさぐさとアレルヤの良心に突き刺さった。× × ×―――――午後5時頃。「………」ティエリアは無言でドアを開けて、学校から帰宅した。「おぉ、お帰りティエリア」「…ただいま」いつもの挨拶を交わし、ティエリアはぱたぱたとセーラー服を翻しながら、自分の部屋へと一直線に向かってゆく。「…あ、そういえば。」すると、ロックオンの声でそれを途中で制止させられる。何事かと思いロックオンの方を見ると、ん、と可愛らしい紙包みが差し出された。思わず目をぱちぱちと瞬かせてしまう。 「…あなたからの変な方向に気を遣ったプレゼントですか?」「ちげーよ!!…アレルヤからのプレゼントだよ、アレルヤ。なんか、『この前のお詫びです』だとよ。…ま、何が在ったか知らねーが、さっさと仲直りしろよー」アレルヤ、その単語を聞いた瞬間に、カッ!と体の奥が熱くなって、たまらず言い終わるか終わらないかのうちにロックオンの手の上の紙包みを引ったくると、一目散に部屋へと走り去ってしまった。 バタンッ!!と部屋のドアが閉められると、ロックオンは唖然とした顔で今し方の光景を見つめ、やがてぽつりと呟いた。「何だ……あいつ………。」× × ×バタンッ!!と部屋のドアを勢いよく閉め、鍵を掛ける。アレルヤ、その名前を聞いただけで、心臓がばくばくと高鳴り、頬が真っ赤に染まってゆく。とにかく気持ちを落ち着けようと、ティエリアは椅子に座り、目の前の学習机にそっとロックオンから奪い取った可愛らしい紙包みを置いた。「……」しばらくそれを眺めた後、意を決したように、ティエリアは可愛らしいピンク色のリボンをしゅるりと解いた。「……!」すると、ふわりと甘い甘い香りが辺りを漂った。「クッ…キー……?」そこには、一口サイズの香ばしそうなクッキーが、紙包みいっぱいに詰まっていた。さらに、マルチーズが描かれた小さなメッセージカードがさり気なく添えられていた。『ティエリアへこの前は本当にごめんね。お詫びにクッキーを作ったから、よかったら食べて下さい。アレルヤより』目でそれに書かれた文字を追ってゆくと、自然とティエリアの頭にアレルヤの優しい笑顔が浮かんでは消えてゆく。不意にずきんと胸が痛んだ。(まただ…また、何でこんなに苦しい……)(アレルヤのことを思い出すと、胸が締め付けられるみたいに痛くなる…)(私はそんなにアレルヤのことが嫌いなんだろうか……あんなことされたし…)どんどんどんどんうなだれてゆく気持ちに踏ん切りをつけようと、ティエリアは勢いよく首を左右に振り、何となく目の前のクッキーを1つ、口に放り込んだ。かりっ、とした音が響き、口の中にじんわりとした甘い味が広がる。「美味しい………」無意識にそう呟いて、もう1つクッキーを手に取り口の中に放り込む。あの時、ものすごく間近に在ったアレルヤの顔を思い出す。いつも見えている銀色の瞳と、少し乱れた前髪から覗いた見慣れない金色の瞳が、すごく綺麗だったのを覚えている。 (…いや、そもそもあれはただの事故だった。アレルヤはただ私を助けようとしてくれただけだし…アレルヤが助けてくれなかったら、私は大怪我していたかもしれない…) ぐるぐると頭の中に浮かぶ自問自答と共に、だんだんとアレルヤを殴ってしまったことと、こうやってわざわざアレルヤにお詫びをさせてしまったことに対しての後悔の念が押し寄せて来る。 (………そうだ!アレルヤ・ハプティズムは悪くない!むしろ悪いのはそんなアレルヤを問答無用で殴ってしまったティエリア・アーデの方だ!)頭の中で出された結論を理解すると同時に、ティエリアは勢いよく立ち上がり、クローゼットを開け放った。× × ×「ロックオン」ごそごそと忙しなく何かを準備していたロックオンの手が、ティエリアに名前を呼ばれた声でぴたりと止まる。振り向くと、そこには制服からラフな白いTシャツとデニム生地の七分丈のズボンに着替えたティエリアが佇んでいた。「お、どうした?どっか出掛けるのか?」「…アレルヤ・ハプティズムの家の住所を教えて下さい。」ロックオンはその言葉に、不意を突かれたように僅かに目を見開いた。アレルヤの家の住所?一体何故?「…アレルヤに、謝りに行って来ます。悪いのは、私の方だったのに…アレルヤにあんなお詫びまでさせてしまって…」どんどん俯いてしまうティエリアとは逆に、ロックオンは心に何か暖かいものが込み上げて来るのを感じた。「だから………」「…ティエリア、良い子だ!なんて良い子なんだお前は!!」「わ、ちょ!!」たまらず、ガシッとティエリアの体を抱き締めた。ぐりぐりとその紫色の髪に頬を押し付けると、ティエリアは離せ!と手足を使い最大限の抵抗を開始する。「自分の非を認めて素直に相手に謝る……そんな良い子に育ってくれて、兄ちゃんは感激した!!すごく感激したぞ!!」「いいからいい加減離れて下さい!!」名残惜しげに愛しい妹君の体から離れると、ロックオンは机の上のメモを一枚切り離し、さらさらと地図と住所を描き始めた。「ほらよ、ここがアレルヤのマンションだ。あいつも1人暮らしなんだ」ロックオンはそれをティエリアに渡しつつ、ちらりと時計を見上げた。「やべっ……もうこんな時間…!!」時刻は午後6時半頃を示していた。ロックオンは慌てて先ほど大きな鞄に準備していた荷物を手に持つと、ばたばたと玄関へと走って行った。「ティエリア!俺、提出期限間近のレポートが在るから、今日は大学に籠もるから!アレルヤの家から帰って来たら、しっかり戸締まりして寝ろよ!お腹空いたら、外に食べに行くか自由に出前取っていいから!金はそこの机の上な!」 そう一気に告げると、ロックオンはバタンとドアを閉め、走り去って行った。「…大学四年生っていうのも、なかなか忙しいものだな…」ぽつり、とティエリアは呟いた。最近のロックオンは就職活動やら大学のレポートやら何やらで、なかなか家に居られない日が続く。もしかしたら、ほんの少し、寂しいのかもしれない。そんな気持ちを心の奥で抱きつつ、ティエリアは先程決意したことを実行するため、簡単に財布やら鍵やらを小さな鞄に詰め、家のドアを開け放った。× × ×「うわ、降りそうだなーとは思ってたけど……こんないきなり降り出すとは…」アレルヤは誰に言うでも無く、ベランダから空を見上げ呟いた。外はまるでバケツをひっくり返したかのような大雨で。先程の曇り空から、雨は降るかもしれないとは予測していたが、まさかこんなに降るとは思ってなかった。「よかった、早めに家に着いて」僅かに優越感を噛みしめながら、アレルヤはリビングへと戻り、ソファーに腰掛けた。さてこれから何をしよう。そう思った時、ピンポーン、とインターホンが鳴り響いた。 「…誰だろ」時刻は午後7時頃。人が訪ねて来るには少々微妙な時間だ。僅かに不思議に思いながら、アレルヤはドアに付いている覗き穴から向こう側を覗き、あまりの驚きに目を見開き、それと同時に勢い良くドアを開け放った。「ティエリア!?」「…こんばんは、アレルヤ・ハプティズム」「ちょ、そんな悠長こと言ってる場合じゃないって…!!早くおいで!!」そこに佇んでいたのは、今の激しい雨によって全身ずぶ濡れになってしまったティエリアだった。そんなティエリアの細い腕を、とっさに掴み、アレルヤは自らの家へ強制的に招き入れた。 「………!」ずきん、とティエリアの胸が痛む。アレルヤが触れている箇所から、じわじわと熱が込み上げて来た。(まただ…また、何なんだ……?これは…)リビングまでティエリアを招き入れたアレルヤは、ちょっと待ってて、と言うと、ばたばたとバスルームまで走り、大きなバスタオルを持って再び戻って来た。「ほら、しっかり拭かないと、風邪引いちゃう」そしてそのままガシガシと、ティエリアの水が滴り続ける紫色の髪を拭き始めた。ティエリアは大人しくそれに身を任せながら、何故かドキドキと高鳴る胸の鼓動の謎に戸惑っていた。 「…どうしたの?こんな時間に…」或る程度髪を拭き終わると、アレルヤはふとずぶ濡れのティエリアをよく見つめてから、どきっ!と胸を高鳴らせた。全身から水が滴るティエリアに、何て言えばいいのだろう、『艶』めいたものを本能的に感じてしまった。それに、濡れた白いTシャツからはっきりと透けてしまっているピンクの可愛らしい下着に、目が釘付けになってしまった。 「…あの…実、は」「……あ、や、やっぱ、シャワー浴びた方がいいよ!!シャワー!!」「は…?」「全身ずぶ濡れになっちゃってるし!このままじゃティエリアも気持ち悪いでしょ!?」訝しげにアレルヤを見つめるティエリアの背中を押し、強制的にバスルームへと向かわせる。頼むから、そんなに無防備な姿を晒さないで。ちょっとは恥じらいみたいなものを持って。頼むから。 「あ、着替えは僕のを貸すから…!ティエリアがシャワー浴びてる時に、持って来るよ!」「……ありがとう」そう言って、慌てて脱衣場から出て行ったアレルヤを見て、ティエリアはびちょびちょに濡れた服を脱ぎ始めた。(確かに、気持ち悪かった。でもそんなの気にならなかった…何だ、このドキドキした感じ…)このドキドキによって、ティエリアは自らを包み込む濡れた衣服の不快感さえ感じることが出来なかった。しかしいくら考えても、ティエリアがその問いの答えを出せる筈が無かった。× × ×ざーざー…とシャワーの音が聞こえるのを確認してから、アレルヤは脱衣場の扉を開けた。そして適当に見繕った自らのワイシャツと、部屋着用のラフなズボンをそっと置いて、シャワーを浴びてる最中のティエリアに声を掛けた。「着替え、置いといたから」ざーざーという音と共に、ティエリアの「分かった」という声が聞こえた。刷りガラス越しに、ぼんやりとティエリアの体のラインが浮かび上がり、慌てて視線を逸らした。(ば、馬鹿!何考えてるんだよ、僕は!!相手はまだ中学生だろ!!しかも、先輩の妹だし…!!)脱衣場から飛び出し、思わずソファーの上でうなだれた。「…はぁ、何なんだろう、この気持ち。僕はティエリアを妹みたいに思ってる筈なのに……」どうして?その問いは、静かな室内にぼんやり吸い込まれていった。× × ×香ばしい匂いが漂ってくる。シャワーを浴びたティエリアはしっかりと体の露を取り、用意された服を身に纏い、脱衣場の扉を開けた。するとキッチンに佇み何か料理を作っているアレルヤの背中が目に入った。「あ、ティエリア、ご飯どうする?まだ食べてない?」「…あぁ」「じゃあ、作ったから一緒に食べよう。体も暖ま―――」暖まるよ。そう言いかけて振り向いたアレルヤは、信じられない光景に言葉を失った。「ティ、ティ、ティ、ティエリアぁぁああ!!?」「…何か?」「えっ、ちょ、君…!!ズボンは!?置いといたでしょ!?」「あぁ…予想以上にぶかぶかだったので、ワイシャツだけ拝借させてもらった」ワンピースみたいだろう?そう言うティエリアに、頭の上に金ダライでも落とされたかのような衝撃を感じる。ティエリアはアレルヤのぶかぶかのワイシャツ一枚を身に纏っただけの姿だったのだから。× × ×「いただきます」「…いただきます」2人食卓に向かい合わせになって、手を合わせて食事の前の挨拶をする。食卓の上には見事な中華料理の数々が並んでいた。美味しそうなチャーハン、卵のスープ、もやしの野菜炒め、その他諸々の見事な中華料理に、ティエリアの真っ赤な瞳がきらきらと輝いた。 「…すごい、全部アレルヤが作ったのか?」「うん。好きなんだ、料理」箸でもやしの野菜炒めを取り口に運ぶと、しゃきっとした歯ごたえと共に僅かな塩味を口の中に感じた。「美味しい…」「そう?ありがと」アレルヤはにこりと優しい笑みを浮かべた。しかし内心、ばくばくと凄まじい音で心臓が高鳴っていた。(落ち着け、落ち着け、僕……何を動揺してるんだ、中学生相手に…。例えばこれが『ぼんきゅっぼん』なお姉さんならまだ分からなくもないよ?でも目の前にいるのは…) アレルヤはちらりと中華料理を口に運び続けるティエリアの胸付近を盗み見た。(『きゅっきゅっきゅっ』…なんだよなあ……まるでこのもやしみたいに)アレルヤは野菜炒めのもやしを箸で摘むと、はぁ、と溜め息を吐いた。それでも感じる胸の高鳴りを誤魔化すかのように、そのもやしを口の中に放り込んだ。× × ×「…雨、止まないね」食事も終わり、皿も全て洗い片付けた後、アレルヤは窓から外を見やり溜め息を吐いた。「それより、もう8時半過ぎたけど…ロックオンに連絡しなくて大丈夫?」「…ロックオンはレポートの提出期限が間近だとか言って、大学に行った。今日はもう家に帰って来ない」「そっか……」ソファーの上で足を抱えるように座り込んでいるティエリアから慌てて視線を逸らしつつ、アレルヤもティエリアの横に腰掛けた。ここなら、ぶかぶかのワイシャツから覗く真っ白な足や際どい位置が見えなくて済む。 「…ところでティエリア、今日は何で僕の家に来たの?」こんな土砂降りの雨の中、おそらくロックオンに教えて貰った道順通りに。そう問い掛けると、ティエリアはまっすぐに隣に座るアレルヤの瞳を見つめた。「ごめんなさい。」「え?」唐突にティエリアの口から紡ぎ出されたその言葉に、一瞬目が点になった。「この前のこと……あれは、ただの事故だった。なのに、動揺して、何も悪くない君を思いっきり殴ってしまった…本当に、悪かった。だから謝りに来た」すっ、とティエリアの手がアレルヤの左頬に触れ、慈しむように何度も何度も撫でられた。「…あ、の、…僕の方こそごめん。事故とはいえ、女の子の君にあんなこと…」喉が乾いて、上手く呂律が回らない。撫でられている左頬から、何故かじわじわと熱が込み上げて来る。何なんだ、これは…。「…いい、別に気にしてない。…君が持って来てくれたクッキー、…美味しかった。ありがとう…」ふわりと、ティエリアが微笑んだ。初めて見た、ティエリアの笑った顔。それを見て、アレルヤの中で何かがふつりと切れた。「ティエリア、」がしっ、とアレルヤの大きな手が、ティエリアの華奢な両肩を掴んだ。ティエリアは突然のその行動に、不思議そうにアレルヤを見上げた。「アレルヤ………?」純粋無垢なその瞳に、アレルヤは、はっ、とした。「……あー、あの、その、…今夜は泊まっていきなよ。外はまだたくさん雨が降ってて危ないし、ね?」「アレルヤさえ良ければ…」「うん、大丈夫だよ!…じゃあ、ちょっと、ティエリアの着てきた洋服、乾燥機に入れて来るよ!乾かなきゃ、明日帰れないからね!」捲くし立てるようにそう言うと、アレルヤはぱっとティエリアの肩から手を離し、ばたばたと脱衣場へと向かった。そんなアレルヤの背中を、?マークを浮かべながらティエリアが見つめていた。× × ×(あぁもう!!だから何をやってるんだよ僕は!!)脱衣場の籠の中に入っているティエリアの服を鷲掴みにして、乾燥機の中に放り込む。すると、ぱさりと床にピンク色の何かが落ちた。「ん?何、これ…」何気なくそれを手にした瞬間、アレルヤの顔が一気にぼっと真っ赤に染まった。「え、ちょ、これ、っ!!」慌ててそれを乾燥機に放り投げてバタンッ!と蓋を閉めてスタートのボタンを押した。ガタガタと乾燥機が稼働し始める。そのままずるずるとその場に座り込んでしまったアレルヤは、必死に思考を巡らせた。(待て待て待て、…そっか、あんな雨だから下着も全部濡れちゃったのか…だから上の下着も下の下着も此処に在る、と…。つまり、今ティエリアは……)アレルヤの頭に、先程のワイシャツ一枚を身に纏っただけのティエリアの姿が鮮明に思い浮かんだ。(まさか本当にワイシャツだけだったなんてーーー!!!)「うぁぁあっ!!!」アレルヤが心の中で絶叫したのと同時に、リビングからティエリアの悲鳴が聞こえた。一瞬呆けた後、アレルヤはすぐさま立ち上がり、リビングへと走って行った。「何!?どうしたの!?」リビングへ向かうと、ソファーの上で頭を抱えうずくまり震えているティエリアが視界に入った。アレルヤは慌ててティエリアの元へ駆け寄り、ティエリアの隣に腰掛けると、ティエリアはがばっと顔を上げ、言いようの無い瞳でアレルヤを見つめた。 「ぁ…あ……」次の瞬間、真っ暗な筈の窓の外が一瞬ぴかっ!と光り、ゴロゴロゴロゴロ!!といった凄まじい轟音が響いた。「ひっ!!!」「っ!?」その瞬間、ティエリアが勢いよく目の前のアレルヤに抱きついた。ふにっ、と柔らかい感触を薄いワイシャツ一枚隔てて直に感じ、アレルヤの思考がフリーズした。次の瞬間、ぱっ、と部屋の電気が消えた。「…停電?」ゴロゴロ…と鈍い音が外で響くたび、自らの体に抱きついたままのティエリアの体が、びくりと跳ねる。(……怖い…のかな?雷が?)ふるふると震えたままの小さな体に、どうしようもないくらいの庇護欲を感じ、たまらずアレルヤは真っ暗闇の中でティエリアの体をしっかりと抱き締めた。ドキドキと、お互いの胸の鼓動が高鳴り合う。 「…あ」やがて数分後、ぱっ、と電気が点き、部屋の中は先程と同じく明るくなった。「………」「………」しかし、2人の間には沈黙が走ったままで。明かりが点いてみて、改めて今の自分たちの状況を確認すると、なんだかとんでもない状態になっている。…気がする。「……ティ、ティエ、」「…アレルヤ」「はいっ!?」体を密着させたまま、ゆっくりとティエリアが顔を上げる。真っ赤な瞳は僅かに涙で揺らいでいた。「今夜は、その……一緒に、寝てくれないか……?」突然の爆弾発言にアレルヤの目の前が真っ白に染まった。× × ×「…じゃあ、おやすみ、ティエリア…」「ん………」今。アレルヤとティエリアは1つのベッドに寝そべっている。今。アレルヤとティエリアは1つの布団の中に居る。ゴロゴロという音が、微かに外から聞こえてくる。今、ティエリアはアレルヤの逞しい腕に抱かれながら、ふるふると震えていた。密着する体に、2人の鼓動が高鳴る。しかしじんわりと生み出される暖かさに、心底ほっとする。 「…大丈夫、僕はここにいるよ…」優しく、低い声でそう雷に怯えるティエリアに言い聞かせる。落ち着かせるように、とん、とん、と一定のリズムで優しく背中を叩いてやると、それに安心したのか、しばらくするとティエリアからすーすーと安らかな寝息が聞こえ始めた。 「…ティエリア、寝ちゃったの…?」腕の中の少女を見つめながら、アレルヤは切ない溜め息を吐いた。「僕は……寝れるわけないよ……。」無防備に眠る少女の額に、そっと口付けた。僕はもう理解してしまったんだ、このドキドキの意味を。「僕は………ティエリアのことが、好きなんだ…………。」ぎゅっ、と、アレルヤがさらにティエリアの体を抱き締める。薄いワイシャツ越しの小さくて柔らかい体に、どうしようもないくらいの熱を感じる。(好き…ティエリア、好き…君を、こんなにも愛してしまったんだ………。)無防備で幼い少女へ抱いた気持ちをゆっくりと自覚しつつ、アレルヤは理性と本能のジレンマに耐え続けた。これが僕の片想いのスタートだった。終わり。
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