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 とかくミュウという連中は、おかしな能力を使う。キースは何時もそう思う。
とりわけ連中の長、ジョミー・マーキス・シンに至っては・・・・んむ~~~~~・・
まあ、付き合ってみれば判ることだ。

 地球での日常・・・

 その日、午前の執務が終わってジョミーを昼食に誘った。
薄肌色の生地に金糸の刺繍を織り込み、或いは、蝦茶色のシルクサテン様といった
シンプルではあるが豪奢な耐熱・耐衝撃スーツや靴、ケープを纏う黄金色の髪と碧玉色の眼差しをした美貌の少年が、
実はキースと同じ31歳という年齢だと知れば、大方の人間は首を傾げる。
そして、必ずそろって口にした。
「あり得ない」
けれども紛れもない事実なのだと説明すると、驚きと羨望の入り混じった眼差しを、この若いソルジャーに向けるのが
常である。
ミュウは長命なのだ。
そんな人々の反応をジョミー自身はどう捉えているのか、キースの目からは窺い知ることはできない。
しかし、そんな人類の中を、彼は飄々と生きている。
食えない男だ・・・

 昼下がりのラウンジ。
 窓際のテーブルにジョミーと向き合う形で腰掛け、フォークでシュニッツェルの切れ端を口に運びながら、キースは辺りを見回して小さく溜息をつく。
ゆったりとくつろげるスペースに、テーブルと椅子が点在しているが、その間をせわしなく行きかう大勢の人間やミュウでごった返している。
一体、『昼食は一斉に取らねばならない』と決めたんだ!何時、だれが!
「落ち着かない?込み合ってるのって」
そんなキースをフォークに刺したペンネの欠片を口に運びながら、ジョミーが見上げる。
「いや・・・」
添えられたカップ入りのスープを口にしながら短く答えたが、正直、当たらず遠からず、というところだ。
「そういうお前はどうなんだ?」
「シャングリラのキッチンなんて、毎日こんな調子だよ」
すっかり慣れっこさ・・とジョミーは笑った。

野菜サラダに取り掛かろうとして、キースは、ふと、ドレッシングが無いことに気づいた。
「あー・・・ドレッシング・・」
見渡してもテーブルの上にはそれらしいものが無い。
まあ、いいか、そのままで食おう。
そう、思ったとき・・・

 ふと気付くと、奥の厨房付近から天井近くを、何か黒い重量のある物体がこちらに向かってふわふわと漂ってきた。
それは真っ直ぐ自分たちのテーブルに向って飛んでくるのが解った。
キースは思わずそれに瞳が釘づけになった。
何かの瓶だ。
固唾をのんで見つめるキースの前で、小さな瓶はキースとジョミーの座るテーブルの、はるか頭上でぴたりと静止した。
そして、そのまますーっと静かに降下してくると、二人の間にコトンと着地した。
青じそドレッシング。表面のラベルにそう書いてあった。
「・・・・・・・・」
唖然としてドレッシングの瓶を見つめるキースに、ジョミーがにっこりほほ笑みかけた。
「どうぞ?ドレッシング」
「あ・・・ああ・・」