朝倉×キョン(鬱もの)

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「あなたにどうしても会いたかったの」  燃える部室、倒れている団員。  窓際に追いやられたキョンはパニックに陥りながらも団長机の上にあるパソコンをのぞき見る。 「長門さんはもういないわ」  はっと眼球が出るのではないかというくらいに目を開き、朝倉を視界にとらえる。  血の付いたサバイバルナイフが、炎の光に反射してギラギラと輝いている。  今日来なかった長門と朝倉の台詞を結びつける。キョンの中から沸々と怒りがこみ上げてくる。 「……どうしたんだ……長門になにをしたぁあああぁぁ!」  朝倉の台詞に対する怒りと、視界の隅で横たわり、焼かれていく肉体に対する恐怖を、すべて言霊として朝倉にぶつける。 「なぜ学校を焼いた……どうしてみんなを……みんなを殺したんだぁああッ!」 「だって、長門さんは私の再構築に賛成してくれなかったんだもん。だから、消してきちゃった」 「そんなっ……ばか、な……」  涼しい顔で微笑みながら、炎の中を歩いてくる。ナイフをギラつかせながら……。 「くるな……」 「学校の人たち、私が校舎に入ったらね、『おかえり』『カナダはどうだった?』『帰り早かったね』って、よってきて身動きがとれなかったの」 「くるなよ……っ」 「早く大好きなあなたに会いたかったかのに通してくれないの。だからね、私、」 「来るな……っ!」 「みんな──」 「殺して来ちゃった」  ずっ……と、微笑みのマスクがキョンの眼前で剥がれ落ちた。  「あぁああああぁあああ──」  そしてキョンの意識は闇に突き落とされていった。  事件の翌日、このことは大々的に報じられた。 『昨夜未明、××県立──北高等学校で、大量殺人事件並びに放火事件が発生しました。死亡者は教諭・生徒あわせて約400名。生存者が一人となっております。犯人は複数と考えられ、犯行後に放火したと考えられています。この学校関係者に恨みのあったものたちが集い、計画犯罪を立てたものと、県警は発表しており──』   『生存者の男子生徒は、ひどく衰弱しており、病院に搬送されましたが、まもなく死亡しました。男子生徒のいた部屋には、一本のナイフがあり、そのナイフが犯行に使われたものとして警察側が──』  キョンの死後、事件の当事者はいなくなった。  現場の状況、ナイフに付着していた指紋から、彼は白であると言うことにはなったが……。  そして、この事件が迷宮入りしたのは、言うまでもないだろう。 ──真犯人は、消失したのだから……。  おわり

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