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JA(農業協同組合)のISO9001認証取得

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JA(農業協同組合)のISO9001認証取得

農業分野におけるISO9001ヘの取組み事例

農業分野において ISO9001に取り組んでいる事例がある。当社でコンサルティングさせていただいたJAの
取組み事例には、長野県のJA北信州みゆき、兵庫県のJAハリマ、JAあわじ島などがございます。


① JA北信州みゆきは、「やまびこしめじ」「アスパラガス」「ズッキーニ」の生産量は日本一です。
「水稲」栽培も盛んでその食味の良さは多くの人に認められています。
きのこ栽培を中心とした農産物の営農指導でのマネジメントシステムを構築・運用しています。


② JAハリマは、「丹波黒大豆」づくりは県下屈指の特産地となっています。
また、中国山系上流域の水資源を利用した「コシヒカリ」栽培や冷涼野菜は、その食味の良さと新鮮さが評
価され多くの消費者から認められています。これらの農産物の営農指導と「丹波黒大豆」の食品加工工場での
マネジメントシステムを構築・運用しています。


③JAあわじ島は、たまねぎ、はくさい、レタス、サニーレタス、グリーンウェーブ、キャベツ、グリーン
ボール、ブロッコリーなどがの特産物があります。なかでもたまねぎは日本有数の産地として有名です。
これらの農産物の営農指導と農産物の受入・撰果・包装・保管・出荷業務でのマネジメントシステムを構築・
運用しています。


JAB(日本適合性認定協会 )に登録されているISO9001において農業協同組合を検索した結果、44件、検索されました。そのうち食品以外で取っているものは7件でした。以下、検索結果を整理し、区分して列挙してみます。

ISO9001認証取得 パールライス関係【14件】

● ホクレン農業協同組合連合会パールライス工場
● 全国農業協同組合連合会栃木県本部パールライス部
● 全国農業協同組合連合会 徳島県本部 パールライス課
● 愛知県経済農業協同組合連合会 米穀販売部 食糧販売課
● 全国農業協同組合連合会秋田県本部パールライス部
● 全国農業協同組合連合会 山形県本部 米穀部庄内パールライス課
● 全国農業協同組合連合会 新潟県本部 米穀部 米穀販売課
● 全国農業協同組合連合会福岡県本部直販部パールライス課
● 全国農業協同組合連合会青森県本部 米穀部 パールライス販売課

ISO9001認証取得 米類加工場関係

● 愛知県経済農業協同組合連合会 炊飯加工センター
● 香川県農業協同組合 営農経済部門 経済部 生活課 パールライス精米センター
● えちご上越農業協同組合 餅加工事業
● 全国農業協同組合連合会 岐阜県本部 米穀部 製造課
● 伊賀北部農業協同組合 籾の荷受から出庫までの作業。認証範囲は「玄米、精米の製造及び購入米の販売」

ISO9001認証取得 営農指導+食品工場など【4件】

● 伊達みらい農業協同組合 営農生活部指導販売課(指導係) ★営農指導
福島県保原町のJA伊達みらいでは、「安全・安心」青果物生産宣言のスローガンのもと、同規格
を2002年6月に取得し、それを活かした農薬適正指導および監査-業務の設計・提供に係る取組み
策を推進している。
● 北信州みゆき農業協同組合 営農部(営農センター) ★営農指導
● あわじ島農業協同組合 ★たまねぎ 営農指導+集荷選果場
● ハリマ農業協同組合 ★営農指導+丹波黒大豆煮豆工場(非JAB登録)

ISO9001認証取得 お茶関係【4件】

● ハイナン農業協同組合 茶業部
● 大井川農業協同組合 茶業部
● 静岡市農業協同組合 茶業センター
● 都城農業協同組合 農産部 茶振興課

ISO9001認証取得 畜産関係【4件】

● 宮崎県経済農業協同組合連合会
● 愛知県経済農業協同組合連合会 畜産部 渥美畜産実験農場
● 飛騨ミート農業協同組合連合会
● 全国酪農業協同組合連合会 鹿島飼料工場

ISO9001認証取得 食品加工場関係【11件】

● ホクレン農業協同組合連合会 てん菜事業本部
● 児湯養鶏農業協同組合 鶏卵GPセンター
● 淡路島酪農農業協同組合 牛乳工場
● めぐみの農業協同組合 郡上加工事業所
● 佐賀県農業協同組合 農畜産加工部
● 愛知県経済農業協同組合連合会 食肉部
● 松任市農業協同組合 食品加工部
● 榛名酪農業協同組合連合会 製造本部
● 熊本県果実農業協同組合連合会 加工事業本部対象部門:熊本工場、資材部、営業部営業一課・営業二課、研究室
● みなべいなみ農業協同組合 梅加工センター
● 愛知東農業協同組合 営農部 蒟蒻工場

ISO9001認証取得 分野不明【1件】

● ふらの農業協同組合

和歌山県田辺市の JA紀南では梅干し等の加工事業に、静岡県静岡市のJA静岡経済連では特産物の
品質管理に、それぞれ同規格を活用している。

 さらに、新潟県上越市の JAえちご上越では、農協における福祉事業のサービスの質の向上を志し、同規
格を導入している。なお、同JAでは、 ISO9001に加えて、営農部門(カントリーエレベーター2箇所)にお
いて ISO14001の認証も取得している。

 食品関連企業においては、ISO9001と HACCP(危害分析・重要管理点方式: Hazard Analysis Critical
Control Points)の統合への取組み動向も見られている。 HACCPを軸にした新たな ISO規格(食品
安全マネジメントシステム:ISO22000)も発行され大手食品製造業を中心に普及しだしている。

ISO9001 のサービス業への適用

 ISO9001が普及する当初は製造業の品質管理システムとして発展してきた。しかし、現在の業種別の登録件数をみるとサービス業が最も多い。 我々が日常的に使う「サービス」という言葉は、「ただ」や「おまけ」という意味を連想するかもしれない。ここで「サービス」の定義は、『ヒト、モノ、システムなどの要素を組み合わせ、顧客に価値を提供する活動』とする。

 サービスは、ヒト、モノ、システムなど、複数の要素を複合的に組み合わせ、顧客に価値のあるサービスとして提供する活動である。サービスというと、全てヒトの労力のみで構成されると考えられがちだが、実際にはヒトの労力だけでなく様々なモノやシステムを複合的に組み合わせて、価値のあるサービスを形成している。 サービスは「ただ」や「おまけ」ではなく、顧客に提供した価値に見合った対価を伴う商品として、取り引きされるものである。 サービスをもっとよく理解する上では、提供しているサービスの特徴を正しくとらえることが不可欠である。サービスが異なればその特徴も様々だが、ここではおよそ全てのサービスに共通する代表的な4つの特徴がある。それは、「無形性(形がなく、触ることや試すことができない)」「生産と消費の同時性(サービスの提供と消費が同時進行する)」「不均質性(サービス提供の都度、サービスの品質がバラツキやすい)」「消滅性(作りおき、在庫ができない」である。

同じサービスでも異なる顧客の満足度

 常に同じサービスを同じ品質で提供したとても、サービスに抱く顧客の期待価値が異なれば、満足度も異なる。例えば、2人のサラリーマンが出張で同じホテルの同じグレードの客室にそれぞれ宿泊しても、そのホテルに対する彼らの期待が異なれば、宿泊後の満足度も大きく異なる。ある人は、フロントやベルボーイの親身な対応を、ある人は広い客室や最上階の夜景の綺麗なレストランを期待しているかもしれない。 同じサービスを提供したとしても顧客の満足度が異なるのは、顧客が事前に抱くこのような期待価値の違いに起因している。

サービスを可視化し顧客の期待価値を作り込む

 サービスに対するクレームは、顧客が抱いていた期待価値と実際に得られた価値とのギャップに起因して発生する。こうしたギャップを発生させないために、サービス提供者はサービスの内容や品質を顧客から見えるようにし、過小または過剰な期待をもたれないよう、サービスに対する顧客の適切な期待価値を積極的に作り込んでいくことが求められる。

サービスの品質は、サービス提供者のスキルや経験に大きく依存

 サービスの品質は、たまたまその時に応対したサービス提供者のスキルや経験で、大きく変化する。特に、人が介在する比率が高いサービスほど、その特徴は顕著に現れる。過去のサービス経験をもとに期待して同じお店に行ったにも関わらず、その日は違う担当者が応対し、期待していたものとは違うサービスを受けてガッカリした経験をした人もいることだろう。

ISO9001でプロセスの標準化・マニュアル化を通じたサービス品質の底上げ

 プロセスの標準化・マニュアル化は、非正社員・短期労働者などを多用するファーストフードなどで、米国を中心に発展した方法である。熟達者の頭の中にある暗黙的なやり方を標準化・マニュアル化し、非熟達者に教育・訓練することで、非熟達者であっても、一定水準のサービス品質を保証することができる。

サービス価値の追求へ

 サービス価値を追求するというのは、なにもサービス業だけに限った話ではない。製品であっても、顧客は製品を使うことにより得られる価値を求めている。どんなに機能性や品質の高い製品を製造したとしても、顧客が製品を正しく使いこなし、期待した価値を得られなければ、結果的には顧客は満足しない。 単に高度な機能性や品質だけを追求するのではなく、製品を通じて顧客が確実に利用価値を得られるように、製品のライフサイクルに渡って、顧客をサポートしていくことが、他社との差別化要素として求められるようになってきている。製造業であっても、顧客に提供している商品を売り切りの製品ととらえるのではなく、顧客に価値をもたらすサービスとしてとらえ直し、サービスの視点から商品の利用価値を最大にしていくことが求められている。

ISO規格は、経営管理レベルでの本質的な要求事項

ISO14001やISO9001を認証取得するために、ここではその全体像を眺めておきましょう。  ISOの構築で柱となるのは、①リスクマネジメント、②コンプライアンス、③継続的改善、④情報開示の4点である。
①「リスクマネジメント」とは、環境マネジメントシステム(EMS)では、汚染の予防であり、企業の潜在的危機への対応が求められているのである。企業はこれらのリスクに対して、いかなるセキュリティシステムを想定し、実際にそれを構築していくかが問われてくる。また、品質マネジメントシステム(QMS) では、農産物の安全責任を果たすため、残留農薬のリスクなどをマネジメントしていくことと捉えることができる。

②「コンプライアンス」とは、法規制を順守することである。環境マネジメントシステム(EMS)の構築に際し、まず各組織を取り囲む法規制を把握し、それを順守していく必要がある。それは、企業が社会的責任を果たしていくための第一歩となる。また、品質マネジメントシステム(QMS)においても、顧客満足のため、関連する法規制の順守や顧客と協定した契約内容の履行を推進していくことが求められている。

③ 環境マネジメントシステム(EMS)、品質マネジメントシステム(QMS)の「継続的改善」への取組みもその構築・運用・改善の重要な柱である。言及してきたように、EMS、QMSの不断な改善である。改善を繰り返していくことにより、常にその時代状況にマッチしたマネジメントシステムを保つことができる。またそれは、結果的に企業のコスト削減にも繋がっていくことが期待されうる。

④最後に、「情報開示」があげられる。企業の環境施策等に関するアカウンタビリティ(説明責任)を果たしていく必要がある。この情報公開については、直接、ISO14001規格において要求されているわけではないが、環境経営の観点、あるいはEMSの継続的改善のためには「情報開示」を重点的に行うべきとされている。また、品質マネジメントシステム(QMS)においても、農産物の安全性に関する情報開示はますます重要になってきている。

認証取得のメリット

ISO14001、ISO9001認証を取得することが、各JAにとってどのようなメリットがあるのだろうか。  昨今、持続的社会の実現に向けて、企業の環境保全活動の必要性が盛んに謳われている。しかしながら、企業が環境保全活動のみに偏重し本業を疎かにすることは本末転倒である。あくまでも、企業とは利益を追求する組織であることから、環境に考慮しながら持続的発展を指向する経営を行うことが求められる。そして、その持続的発展のためには、「環境」保全と「経済」性追求の両側面への対応が必要とされている。  しかしながら、経営意思決定のあらゆる場面で環境問題を意識することは、容易なことではない。そのためには、既存のマネジメントと環境情報の統合が必要となってくるし、それを支える新たなマネジメントの構築が必要となってくる。

 農業協同組合(JA)にとって環境問題への対応は「脅威(リスク)」でもあり、「事業機会(ビジネスチャンス)」でもある。そして、その事業機会へのアプローチは、従来の「成長」や「利益獲得」のみに偏重した経営戦略ではありえず、あくまでも持続的社会の構築を前提にしたものでなければならない。そこで、環境マネジメントシステムの構築への取組みが求められるのである。

 その具体的な一般的メリットを整理しておくと、次のようになる。

【直接的メリット】 ① 経営基盤の強化、② 環境(品質)コストの削減、③ 組織の活性化、④ 情報公開の推進

 直接的メリットのうち、① 経営基盤の強化としては、業務管理の適正化、コミュニケーションの円滑化、事業の積極的推進等があげられる。② 環境コストの削減として、廃棄物処理コストの抑制、資源の有効活用等がある。③ 組織の活性化は、組織体制の適正化、責任権限の明確化、専門性の付与等である。④ 情報公開の推進は、データベースの確立が容易となる事などがあげられる。

【間接的メリット】 ① 社会的信用の向上、② 新規事業開発機会の創出、③ 環境汚染リスク

 間接的メリットとしては、① 社会的信用の向上として、例えば、環境格付の向上、エコファンドの推進等があげられる。② 新規事業開発の機会は、環境ビジネスの創出があげられる。また、③ 環境汚染リスクの回避としては、汚染の予防、将来のリサイクルコストの最小化が期待できることがあげられる。

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