ここでは、ISOを新規認証取得しようと検討されている方に、「ISOシステム構築への取組み」その1 を解説したいと思います。

社員が一丸となってゴールをめざす

 ISOシステム構築への取組みは、社員が一丸となって当面の目標であるゴールを目指すことが肝要となります。良い取り組みのスタートを切るためには、1 人ひとりが実現へ向けてモチベーションを高めていくこと、それを維持することが大切です。中小企業の社員にとってISOは、まだなじみが薄いので腰が引けている人がいます。皆さんのベクトルを同じ方向に向けなければなりません。  初めての取組みにあたり社員は、得体の知れないISOが突然降ってわいたように思うものです。「どうせまた上の方で決めてくれるだろう」くらいにしか考えないかもしれません。  トップや管理職の人が外部研修などで理解が深まりましたら、あまり間をおかずに社員へのポイント学習を実施するとよいでしょう。ISOへの認識をできるだけ早く共有することが大事です。”当たり前のことをやるだけ”という意識を早く持ってもらうことです。  そのためには、品質マネジメントシステムへの取り組み指針と、今後の活動の概要を整理しておくことをお奨め致します。例えば、5W2Hの形式でまとめるのでしたら、次のように整理してみるとよいでしょう。
(1) ISO品質マネジメントシステムとは何か、その狙いは何か?(What)
(2) わが社はなぜそれを取得するのか?(Why)
(3) 誰がやるのか、どのような人材が必要となるのか?(Who)
(4) どのような推進体制で取り組むのか、どう認証取得活動を進めるのか?(How to)
(5) 仕組みをどのような形で表し、どの場面で必要になるのか?(Where)
(6) いつから取り組み、いつ取得をするか?(When)
(7) 取組みにどれくらいの工数がかかるか、その費用はどのくらいか?(How much)

スタートよければ半ばよし

 「段取り7分、仕事3分」と現場の作業ではいわれます。準備や計画の大切さは、日常の仕事で常に経験することですが、プロジェクトを成功させるにはなおさらです。ISOの取組みには、セレモニーと、明確なプランと体制づくりが欠かせません。
 初心を忘れないためにもオーブニングセレモニーは実施した方がよいでしょう。社長の固い取得決意表明は社員を奮い立たせる効果が期待できます。
 その次に、構築作業の全体スケジュールを立てます。プロジェクト管理の第一歩は、”まず計画ありき”の考えは、最終目標達成までの進捗管理は欠かせません。大日程を立て、推進体制の役割と責任を明確にします。
 プロジェクト組織化のポイントは、① 推進事務局を設置(人材的に可能ならば専任の事務局員を置く)して、②関係部門から最低1名メンバーを選任(現業と兼務でよい)して実行チームをつくり、 ③実行チームのメンバーが自部門の小集団活動のリーダーとなりWGを組織して現場の末端まで参画させて、④経営層の合議体で定期的な報告や審議をして、全社的取組みとしてオーソライズさせるのがよいでしょう。
 ISO認証を取得するということは、現在の品質マネジメントシステム度合いの分析が必要になります。ISOで要求している品質マネジメントシステム事項に対して、強い部分(すでに仕組みができあがっている分野)や弱い部分(仕組みがほとんど明確になっていない分野)などを知ることから始まります。現状をチェックシートなどでチェックして、取組み体制や所要期間などへのマンパワーの投入量・費用を検討するとよいでしょう。

推進体制づくりからシステム構築、運用~受審までの流れ例(従業員30~50人程度の場合)

1.認証取得の決意

   ・経営トップがISO9001の意義を十分認識する。(取得の理由と効果、決意)
   ・研修やコンサルタントなどから情報を収集する
   ・適用範囲、認証サイト、コンサルタントなどを決める

2.管理責任者と事務局の任命

   ・QMS責任者…社長または工場長/事業部長
   ・推進責任者…品質保証部長
   ・事務局…1~2名(品質保証部)

3.プロジェクトチームの編成

   ・プロジェクトメンバーを選出
   ・キックオフ・ミーティング開催
   ・社内PR、社員への周知
   ・推進計画の策定

4.システム構築

   ・業務分析と見直し
   ・品質方針の策定
   ・品質マニュアル、規定、手順書などの作成

5.システム運用

   ・社員教育の実施
   ・マニュアル、規定、手順書にそった作業の実施と記録

6.内部監査の実施

   ・計画書、チェックリスト、監査実施、結果報告書の作成
   ・是正処置、予防処置の実施

7.マネジメントレビューの実施

   ・マネジメントレビューの実施

8.第三者審査の受審

   ・予備審査の受審
   ・本審査の受審

品質マネジメントシステム文書の構成

 品質マネジメントシステムとは、品質管理を推進するための組織の構造、責任、手順、工程、および経営資源などのしくみのことです。自社の品質マネジメントシステムと品質方針を明文化し、品質マネジメントシステム要求事項を実行するために用いる主要文書の典型的な形式が品質マニュアルです。
 品質マニュアル作成の目的は、品質マネジメントシステムに関する適切な事項を記述し関係者に提供することです。 また、品質システムと文書類の位置付けとしては、まず品質システムを構成する文書類の最上位に品質マニュアルがあります。次に品質マニュアルを具体的な内容で表した規定・規格・標準がきます。その下位文書に、規定・規格・標準を実施するための手順書・指示書類が位置付けられます。
 最後に、これら規定・規格・標準および手順書・指示書類に基づき実際に行なわれたことの証明としての伝票類を含む品質記録があります。記録は文書の一部とされています。

品質マネジメントシステム文書作成のポイント

 品質マニュアルをはじめ、二次文書以下の品質システム文書作成にあたっては、「網羅性・簡便性・整合性」の3つを留意してすすめましょう。まず、 ISO9001で要求している"規格要求事項"が最低限満たされていることが必要です。そして、規定要求事項(顧客との契約事項、自社内部で規定する事項、法的・社会的要求に基づく事項など)が"分かりやすく""必要な事項は漏れなく""文書間の関連性が取られている"ことが必要です。
 この3つの要素を満たし、迅速かつ合理的に作成するためには、品質システム構築技法などを適宜工夫して、次の6項目に気を配りながら作成するとよいでしょう。

① ISO9000品質システムと既存の社内規定・標準の関係を認識する
② 自社の現状の標準化レベルを的確に把握する
③ 最低限要求事項を満たし、しかも自社でも実行できる範囲で、社内の規定を要約する
④ 品質マニュアルでは,簡潔かつ具体的に記述する。また下位文件の社内規格、手順書、指示書を引用する。また、図解、フローチャートで表現すると分かり易くなります。
⑤ 品質マネジメントシステム要求事項と品質マニュアルの網羅性を確認する
⑥ 品質マニュアルと個々の社内規格・手順書・指示書との整合性を確認する

品質マネジメントシステム文書の社内体系(例)

  • 経営管理
       ・社内規定総則、経営基本政策規定、組織規定、職務権限規定など
       組織図、委員会運営要領、経営方針策定要領、委員会議事録など
    
  • 人事管理
       ・人事管理規定、教育訓練規定など
       教育計画作成要領、資格認定要領、研修報告書など
    
  • 総務/庶務管理
       ・就業規則、文書管理規定など
       社内文書作成要領、文書配布要領、文書改訂通知書など
    
  • 営業管理
       ・受注管理規定、保守サービス規定、顧客満足度調査規定など
       受注契約実施要領、見積書作成要領、契約内容打合せ覚書など
    
  • 生産管理
       ・生産管理総則規定、工程管理規定、作業管理規定など
       生産計画作成要領、組立作業標準、作業日報、完了報告など
    
  • 資材管理
       ・資材管理総則規定、購買管理規定、外注管理規定、倉庫管理規定など
       購買文書作成要領、取引先評価要領、ミルシート、納品書など
    
  • 品質管理
       ・品質保証規定、検査管理規定、苦情処理規定、品質監査規定など
       受入検査/検収標準、自主管理標準、受入検査報告書、出荷検査報告書など
    
  • 設備管理
       ・設備管理規定、治工具管理規定、計測器管理規定など
       治工具取扱い要領、計測器取扱い規準、日常点検表、設備管理台帳など
    
  • 技術管理
       ・技術管理総則規定、設計管理規定、図面管理規定、設計標準、製図標準など
       製品規格、部品規格、材料規格、設計変更通知書、設計審査チェックシートなど
    

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