シルバーサーファー(Silver Surfer) / ノリン・ラッド(Norrin Radd)


初出:Fantastic Four#48(1966年3月)
種族:ゼン・ラ星人(ギャラクタスの力で超人化)

概要

マーベルのヒーローの中でも屈指の力と高潔な魂を持つ存在。アメコミ界で数々のヒーローを生み出した重鎮スタン・リー氏も最も好きなヒーローに挙げている。
その名の通り銀色に輝く肉体とボードで宇宙を駆ける。

オリジン

ノリン・ラッドは高度な文明持つデネブ星系の惑星ゼン・ラの住人だった。
ゼン・ラは犯罪、戦争、飢え、病気を克服し、政府は念じるだけであらゆる物質や機械を造り出す装置すら所有していた。
ノリン・ラッドは恋人シェラ・バルと幸福に暮らしながらも、太古のゼン・ラ人が挑戦していたような宇宙の大冒険を夢見続け、そういった冒険の機会が失われてしまった現代に生まれたことを嘆き、また安易な幸福を享受する人々を憂いていた。
そんなある日、惑星の捕食者ギャラクタスが襲来。
ゼン・ラ人は長く平和を享受し過ぎていたせいで戦いの方法を忘れており、太古の最終兵器を使用するも惑星の環境に被害をもたらしただけで、ギャラクタスを撃退することはできなかった。
ノリン・ラッドは宇宙船で単身ギャラクタスの元を訪れ、ゼン・ラ星人を救うように交渉する。しかし、ギャラクタスにとってゼン・ラ人とは足下のアリに過ぎない存在であり、さして救うに値しないものだった。
だがギャラクタスの言葉から、飢えを満たすため他の惑星を探す「ヘラルド」がいればゼン・ラを見過ごしても良いと思っていることを知ると、ノリン・ラッドは自らヘラルドとして志願する。
かくして「シルバー・サーファー」として生まれ変わったノリンは、ヘラルドとしてギャラクタスと共に大宇宙を渡る存在となったのだった。
("Silver Surfer"#1",1968年8月)

初登場とその後の経歴

初登場時は惑星のエネルギーを吸収しながら宇宙を旅する存在ギャラクタスの「ヘラルド」(先触れ、尖兵)として地球に来訪した。
ヘラルドはギャラクタスに仕えて大宇宙を旅し、餌となる惑星を探す役目を負っている。
だがファンタスティック・フォーとの戦闘の後、偶然にザ・シングの思い人、アリシアに出会う。
盲目の女性アリシアと会話する中で地球人の優しさに触れ、地球人を救うため、ヘラルドとなって初めてギャラクタスに逆らった。
シルバーサーファーがギャラクタスと戦っている間にヒューマン・トーチは宇宙の旅から帰還し、遥か宇宙の彼方に停泊していたギャラクタスの母船から「アルティメット・ヌリファイアー(究極破壊装置)」を持ち帰った。
アルティメット・ヌリファイアーを突きつけられたギャラクタスは装置を返すことを条件に地球から撤退した。しかしシルバーサーファーの反逆は許せず、ヘラルドとして役割を剥奪しバリアを張って地球から脱出できないようにした。(つまり、地球上のヒーローとしての活躍が始まる)
(Fantastic Four #48-50 ,1965年)

地球での活動

地球での生活を余儀なくされたシルバーサーファーだったが、その強大な力と異質な風貌の異星人という性質はことで地球人たちに受けいられられず、行き場を失ってしまう。
彼はその高潔な精神により地球人を異星や異次元の敵から守るのだが、誰もそんな彼の活躍を顧みることなく恐れ、蔑み、理解しようとしない。一方でゼン・ラの進んだ文明の中で暮らしていたシルバーサーファーにとって地球人は倫理観や道徳観が未発達で互いに争ってばかりの理解し難い存在だった。
シルバーサーファーはそんな地球人に絶望したり激怒したり或いは擁護したりしながら苦悩し、さらには遥か遠く故郷の星に残してきた恋人シャラ・バルを想い地球を脱出して再開することを切望して過ごすのだった。
この時期の敵にはバドゥーンメフィストストレンジャーなど人類を超越した存在も多かった。
メフィストとの再三にわたる戦いでは策略に陥りS.H.I.E.L.D.との戦いを余儀なくされるがなんとかこれを打破したところでインヒューマンズの戦争に巻き込まれてしまい、地球人だけでなくより進んだ倫理観を持つインヒューマンズでさえ戦争に明け暮れていることに絶望、激怒し人類への復讐を誓う。
(Silver SurferVol.1, 1968年-1969年)

人類への復讐を中止

この怒りに付け込んだサイコマンにより感情を操られ、実際に人類への復讐を決行。ニューヨークの街を攻撃し始めるがスパイダーマンが阻止。最終的にはサイコマンの陰謀を破り、スパイダーマンの精神性に希望を見出したシルバーサーファーは人類への復讐を取りやめることにした。(このエピソードは上記"Silver Surfer" Vol.1から30年後のシリーズ"Webspinners: Tales of Spider-Man"で描かれた後付けエピソードだった。実際には1970年の”Sub-MarinerVol.1"に再登場したシルバーサーファーは特に理由なく「人類への復讐はやめることにした」と発言するのみだった)。

能力

ギャラクタスに与えられたパワー・コズミック。
物質操作、制御。大宇宙のあらゆる物質を再構成し、変質させ、おおよそ何でも意志の力で操作できる。
これにより、様々なことが可能。
惑星を破壊できるレベルのエネルギービームを両手から放出。
フォースフィールドを張ってバリアにする。
固形物を通り抜ける。
惑星レベルで生物の進化を促進させる。
過去を見たり、時間や次元を移動することも可能。
幻影を造り出す。
人間の感情や精神に影響を与えたり、心を読むことができる。
他者に限定的なパワー・コズミックを与えることも可能。
瀕死の状態の生物を回復させることができる。ただし、死者の復活はできない。

腕力:神族レベル
不死身の肉体:銀色の皮膚は物理的な攻撃ではほぼ傷つかない。素肌で宇宙空間を飛行し、大気圏に突入可能。熱や冷気にも耐性がある。
超新星爆発やブラックホールの圧力にも耐えられる。
コズミックセンス:宇宙空間で1光年以上離れた人物を見分けることが可能。また原子レベルの小さな物質を見ることも可能。

また皮膚から直接コズミックエネルギーを吸収するため、飲食の必要がない。

サーフボード

ギャラクタスによって与えられた銀色に輝くサーフボード。シルバーサーファー自身は飛行能力を持たないが、このボードに乗ることで大気圏内であろうと宇宙空間であろうと自在に飛行できる。
超光速飛行:ボードの力により光速を超えて移動することも可能。タイムトラベルすらやってのける。
呼べば即座にシルバーサーファーのもとに飛んでくる。

恋人

シャラ・バル:故郷ゼン・ラ星ノリン・ラッドがシルバーサーファーとなる前からの恋人。互いに深い愛で結ばれていた。


実写映画のシルバーサーファー

2007年の実写映画「ファンタスティック・フォー:銀河の危機」に登場。演じたのはダグ・ジョーンズ。
概ねコミックの設定通りのキャラクター。CGを駆使して銀色のボディが表現された。

没になった日本版アニメ

1970年代、シルバーサーファーがギャラクタス軍団と、ミズ・マーベル(スズカ・マユミ)とシング(トラック運転手のイシハラが変身)とともに戦う、というアニメが東映との共作で企画されたことがある。
この「銀のボディーのヒーロー」が「宇宙刑事ギャバン」につながった可能性が少しはあることも、指摘されている。



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最終更新:2024年02月20日 01:19