グウェン・ステイシー (Gwen Stacy)

(グエン・ステーシーという表記もあり)

初出:The Amazing Spider-Man #31 (1965年12月)
種族:人間、一般人
本名:グウェンドリン・ステイシー (Gwendolyn Stacy)

The Amazing Spider-Man#121,1973年6月)


概要

グウェン・ステイシーはスパイダーマンことピーター・パーカーの三人目の恋人であり、本気で愛した最初の女性。
1973年の"The Amazing Spider-Man #121-#122"で死亡した。
死んだキャラクターが生き返ることも珍しくないアメコミだが、彼女は生き返っていない。ただし、死後も回想シーンやクローンなどで度々登場し、現在は別世界のグウェンがスパイダーウーマンとして活躍中。主人公となるほどの人気を拍している。(いわゆるスパイダー・グウェン、後述)

2007年の映画「スパイダーマン3」ではブライス・ダラス・ハワードが演じた。
また2012年公開の映画「アメイジング・スパイダーマン」ではエマ・ストーンが演じる。

初登場

初登場はピーター・パーカーが大学生となり、初登校した日。「高校時代にビューティークイーンに選ばれた」という設定の美人。
この時期、ピーターはヒーローとしての活動に加え、メイおばさんが病に倒れるなど、とても忙しかった。そのため学業は上の空、更に授業の後はメイおばさんの見舞いに駆けつけるため、友人やグウェンに話しかけられてもほとんど相手をしなかった。
これまで男からそんな扱いを受けたことが無かったグウェンは、自分に一切なびかないピーターのことが逆に気になっていく。

初登場時のグウェン。右はフラッシュ・トンプソン
(The Amazing Spider-Man #31,1965年)

学生とスパイダーマンの二重生活に悩むピーターと何度もすれ違いを繰り返しながら、互いに愛情を深めていくのだが……

父の死

父のジョージ・ステイシードクター・オクトパスとスパイダーマンの戦いに巻き込まれて死亡。デイリー・ビューグルの報道や世間の悪評のせいでグウェンは父を殺害したのはスパイダーマンだと思いこんでしまう。
グウェンを愛するが故に、ピーターは自分がスパイダーマンであることを明かせなくなってしまった。
父の死後、落ち込んでいたグウェンは叔父の誘いを受け英国に行く。

グウェンの死

1973年の"The Amazing Spider-Man #121-#122"では、グリーンゴブリンに誘拐され、スパイダーマンが救出しようとするがグウェンは死亡。

その死についてはファンの間を物議を醸したが、アメコミの歴史の中で重要な出来事であり、シルバーエイジの終焉であると看做されることもある。
また、原作者のスタン・リーは彼女とピーター・パーカーを結婚させる予定だったが、休暇中に脚本の代役を頼んだゲリー・コンウェイがそうとは知らずに殺してしまい、スタンもファンと同じぐらい衝撃を受けたという。

またアルティメット・スパイダーマンではこのストーリーのオマージュと思われるストーリーが展開する。
ただし襲われたのはグウェンではなくアルティメットでこの時期ピーターが付き合っていたメリー・ジェーン・ワトソンで、結末もまた違ったものになっている。

クローン

その後、何度もグウェンのクローンが登場している。

隠し子問題

2004年の"Amazing Spider-Man: Sins Past"によって、実はピーター・パーカーも知らない隠し子がいることが明らかになった。死後30年もたってから明らかにされたグウェンの隠し子問題は、彼女が無垢で清純な女性として描かれていたこともあって、ファンに衝撃と困惑を与えた。
しかも隠し子の父はスパイダーマンの宿敵、グリーンゴブリンことノーマン・オズボーン。
この隠し子は男女の双子で、サラガブリエルと名付けられた。二人は、母グウェンの死がスパイダーマンのせいであると教え込まれ、スパイダーマンを憎むように教育された。
さらに、前述のグウェンの死も、この隠し子問題がこじれた結果であったという設定に(もちろん後づけで)なった。

編集者の述懐では、「当初、スパイダーマンの子供にするというアイデアだったが、ヒーローとしての活動に支障が出るという意見があり、スタッフ総出で考えついたのがノーマン・オズボーンの子供にすること」だったらしい。

ただ、あまりにも酷すぎる後付けだったのか、後になって全てハリー・オズボーンが企んだ陰謀と言う事になり、強引に無かった事にされた。
現行の設定では、双子はグウェンとノーマンの遺体から採取したDNAで誕生させた事になり、目撃者に対してはミステリオが催眠術を行ったことになっている。

死後の世界のグウェン

2006年のミニシリーズ、X-Statix Presents: Dead Girlでは死後の世界にいるグウェンの姿が描かれた。
ここではモイラ・マクタガートモッキンバードと「デッドシスターズ・ブッククラブ」と名付けた読書サークルを作っていた。

Dead No More: The Clone Conspiracy

2016年〜2017年のクロスオーバーシリーズ"Dead No More: The Clone Conspiracy"ではまたもクローンによってグウェンが復活させられる。
ただしこのストーリーの中では"死ぬ瞬間までの記憶を保ったまま復活する”という新技術を使ったクローンであるため、このグウェンはグリーンゴブリンによって殺される寸前までの記憶を残していた。
このシリーズのおまけコミックではグウェンの死のストーリーを現実時間で43年の時を経てグウェン視点で描いている。
これにより、グウェンはグリーンゴブリンの言葉から死の直前にスパイダーマンの正体がピーターであること、つまり父の死の原因であることを知って死んでいったことになった。
さらに全てのグウェンの記憶を持って復活したクローンはグウェンそのものであり、ピーターと当時の本当の思いを語り合いキスまで交わしたが、このバージョンのクローンの特性として細胞が崩壊し塵となった。それでも身を挺して最期までピーターをサポートした。

他の世界のグウェン

本来の歴史では前述の通り1973年に死んでいるが、世界が別の歴史を辿った時は死なずに生きていることがある。
エイジ・オブ・アポカリプス」では多くのヒーローやヴィランが能力を持つ機会を失ったため、(さらにアポカリプスの支配する北米でなく、フランスにいたため)グウェンは殺されていない。人類最高会議の派遣医師団の一員として活動する女戦士となり、ソーにならなかった医師ドナルド・ブレイクと行動を共にする。逆にピーター・パーカーは既に死亡していたため彼と結ばれることはなかった。

ハウス・オブ・M」の世界ではピーター・パーカーと結婚し、息子がいた。

また、マーベルの「もしもの世界」を描く"What If?"シリーズでは、もしスパイダーマンがグウェンを救出していたらどうなっていたか、が描かれた。

アルティメット・スパイダーマン

アルティメットシリーズでのグウェンはピーターと同じ高校に通う女子高生として登場。ただし性格はかなり変わり、パンクファッションに身を包んだ気の強い少女となっている。
このストーリーでもヴィランに警察官の父を殺されてしまい、母親とも折り合いが悪かったグウェンは行き場を失い、メイおばさんとピーターの家に同居することになる。
(Ultimate Spider-Man #14,2001)

カーネイジによって殺されてしまうが、こちらの世界ではグウェンのDNAを取り込んでいたカーネイジの細胞から復活を遂げ、ピーターの恋人になった。

スパイダー・グウェン

初登場:Edge of Spider-Verse #2 (2014年11月)

クロスオーバー"Spider-Verse"では、ピーターではなくグウェンがクモに噛まれた世界(Earth-65)が登場。
読者からの要望が多かったため、イベント終了後に独自のシリーズ"Spider-Gwen"がスタートした。
ただし、スパイダー・グウェンはあくまで作品のタイトルであり、作中では”スパイダーウーマン”と呼ばれる。
白を基調にしたコスチュームで、フード付き(時期によって変わるが、フードの裏にクモの巣模様が描かれている)。
普段は大学に通いながらバンド「メリージェーンズ」(ボーカルがMJである)のドラマーとして活動。

経歴

グウェンがクモに噛まれることで能力を得る一方でピーターは能力を得る機会がなかった。
ピーターはいじめられっ子に反撃できずグウェンが彼を守っていたのだが、ピーターはいじめっ子への復讐のため独自の薬品を開発。自らの体で人体実験を行いリザードになってしまう。
そうとは知らないグウェンはスパイダーウーマンとしてプロムに侵入したリザード戦い、ピーターを殺してしまう。ピーターは「ただ特別になりたかったんだ……君のように」と告げながらグウェンの胸で息絶えた。
ピーター・パーカー殺害の容疑者となってしまったスパイダーウーマンは自らの潔白を証明するため、またピーターの死を無駄にしないためヒーローとして生きることを決意するのだが、グウェンの父ジョージ・ステイシーが刑事であったために父に追われる身となってしまった。

その後、アレクセイという男が(この世界のライノにあたる)キングピンからジョージ・ステイシー暗殺の依頼を受け、メリージェーンズのライブに侵入。娘のライブを見に来ていたジョージを襲撃するが、スパイダーウーマンに阻まれる。
このときジョージはスパイダーウーマンに銃を向け逮捕しとうとするが、グウェンがマスクを脱いで正体を見せ本心を語るとジョージは「私の気が変わらない内に行くんだ」と告げ、グウェンを解放するのだった。
そんな様子を見ていたスパイダーUKにスカウトされ"Spider-Verse"での戦いに身を投じていくこととなる。

"Spider-Verse Team-Up"ではEarth-21205に赴きスパイダー軍団にピーター・パーカーをスカウトしようとするが、この世界のピーターはグウェンとノーマン・オズボーンが死んだ絶望感から自分を責め、ゴブリンとなっていた。
インヘリターズヴェルナが現れ、ピーターは自分の身を犠牲にしてグウェンを救い、息絶える。

"Spider-Verse"事件終結後は自分の世界に帰り、父やバンド仲間との軋轢に悩みながらクライムファイターとしてヴァルチャーやキングピンと戦い続けていく。


能力

能力は正史世界のスパイダーマンとほぼ同じ。

またアニメ「マーベル・ライジング」では、異世界からearth-616にやってくる主人公として登場(このアニメは、グウェンとカマラ・カーンたちの両方を主人公としている。なお、邦訳のあるコミックスでは、カマラ・カーンたちのチームのみ描いている)。また名前も「ゴースト・スパイダー」に変えている。MJのバンドでドラムを叩いており、アニメではドラム合戦をしたらしい。

ヴァリアント・カバーのグウェン

Spider-Gwenの人気を受けてか、さまざまな「グウェン」が(お遊びで)ヴァリアント・カバーに登場。アヴェンジャーズ全員「グウェン」が変身したものや、巨大怪獣「グウェン」などが出てきた。
その中でもっとも成功したのが、"Deadpool's Secret Secret Wars, vol 2"のヴァリアント・カバーに登場したグウェンプール(Gwenpool、デッドプール×グウェン)。コスプレのネタとして拡散し、早々にオンゴーイング誌を獲得、人気キャラクターになっている。なお、グウェンプールの設定では、グウェン・ステーシーやデッドプールとは一切関係ないことになっている。

映画作品でのグウェン・ステイシー

映画「スパイダーマン3」に登場。劇中でピーターとは大学の同級生。クレーンの暴走からスパイダーマンに救出され、恋人のメリー・ジェーン・ワトソンが見ている前でピーターとキスをする。ピーターとグウェンはデートするようになるが、メリー・ジェーンへの嫌がらせの為だと知り、身を引くことになる。
また、DVDの音声解説では、最後に誘拐されるのはグウェンの予定だったが、脚本の変更にともなってメリー・ジェーンへと差し替えられたと語っている。

また映画三部作の第一作「スパイダーマン」の中には、M・J・ワトソンがグリーンゴブリンに捉えられ、橋から落下したところをスパイダーマンが救出するシーンがある。これはコミックでグウェン・ステイシーが死んだシーンとほとんど同じシーン。ただし、違うところは映画では救出に成功すること。前述の"What If"シリーズにおいて、スパイダーマンがグウェンを救出したシーンとそっくりである。


映画「アメイジング・スパイダーマン」にも登場し、メインヒロインとなった。
演じたのはエマ・ストーン。主人公のスパイダーマンことピーター・パーカーを演じたアンドリュー・ガーフィールドと現実でも交際していることが明らかになった。
続編、アメイジング・スパイダーマン2にも引き続き登場する。

またアニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』にスパイダーウーマンになったグウェンが登場。
主人公のマイルズ・モラレスと共闘する。


トリビア

  • ニューヨークのマンハッタンは島であるため、いくつも橋がかかっている。従って、グウェンが落とされたシーンの橋はどこか?という話がある。
    • Amazing Spider-Man #121(オリジナル版)では、ライターのゲリー・コンウェーのテキストによれば、「ジョージ・ワシントン橋」(ハドソン川にかかる北マンハッタン~ニュージャージーを結ぶ橋)。
    • しかしこの作品のアーチスト、ジル・ケーンが描いたのは「ブルックリン橋」(イースト川にかかる下マンハッタン~ブルックリンを結ぶ橋)。つまりマンハッタンの対岸。
    • Marvels #4で、アレックス・ロスが同じ話を描いたときは「ブルックリン橋」にしている。
    • 2002年の映画Spider-Manでは、グリーンゴブリンがMJを落とすと同時に電車を暴走させて、スパイダーマンにどちらを救うか選ばせるとしたが、グリーンゴブリンがいたのが「ルーズベルト島」で、そこから電車の通る場所を考えると橋は「クィーンズボロ橋(59番街橋)」だろうとされている。


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最終更新:2023年06月28日 00:41