ベータ・レイ・ビル (Beta Ray Bill)/元 ビル(Bill):法的に改名


初出:Thor #337 (1983年11月)
種族:コルビナイト(Korbinite)という星の人間の遺伝子を集め作成に、さらにサイボーグ化を施した「コルビナイト人」、男性

概要

ベータ・レイ・ビルは、主にソーと関わるヒーロー。
外見は馬のような顔をした怪物のようだが、ムジョルニアを持って本気で戦うソーを打ち負かす圧巻の戦闘力を誇る。その上高潔な人物であり、アスガルドの関係者以外ではじめてソーのムジョルニアを持ち上げることができた。

元は故郷の星が(ソーの敵としても知られる悪魔サーターの)炎によって住むことができなくなり、宇宙を放浪するコルビナイト人の船を守るため生体兵器だった。

初登場:バラード・オブ・ベータ・レイ・ビル

コルビナイトという星は「燃える銀河」にあったが、炎の巨人(後にアスガルドの敵、炎の巨人サーター(日本ではスルトとしても知られている)の仕業とわかる)によって滅ぼされ、星の住人は宇宙船で放浪を始めた。このとき巨人が繰り出してくる追っ手から船を守るため、生体兵器のベータ・レイ・ビルを乗せていた。

ベータ・レイ・ビルは、コルビナイト人の遺伝子と、彼らの星の肉食獣で馬に似た生物の遺伝子を合わせた強化人間を、サイボーグ化した戦士であった。

コルビナイトの船が太陽系に近づいてきたのを察知したS.H.I.E.L.D.の当時の長官ニック・フューリーSr.は、ソーに宇宙船の探査を依頼する。ソーが宇宙船に近づくと、船のシステムがベータ・レイ・ビルを起こし、出撃。ソーと戦闘になる。戦闘のとき、ソーがムジョルニアから手を離してしまい、人間のドナルド・ブレイクになってしまう(ソーは60秒ムジョルニアから離れるとドナルド・ブレイクになってしまう)。ベータ・レイ・ビルはドナルド・ブレイクを倒して、ムジョルニアを持ち上げると、なんと持ち上げることができソーのパワーを獲得した。その瞬間、宇宙船が地球に着陸。一部始終を見ていたオーディンは二人をアスガルドにテレポートさせる。

オーディンは二人に闘技場で命をかけて戦うことを命ずる。闘技場は溶岩が湧き出ており、ベータ・レイ・ビル(熱に強い体だった)が弱っていたソーを打ち負かす。しかしソーが優れた戦士であることを認め、命をとることを拒む。そして、自分の種族を守るために自分は強くなくてはならない、そのためにハンマーが必要だと訴えた。オーディンソーにムジョルニアを返し、ベータ・レイ・ビルには、ウルという魔法の金属からストームブレーカーという新しいハンマーをつくり渡した。この時、ムジョルニアから魔力を少し使ったため、以後ソーはドナルド・ブレイクに変身できなくなった。さらにソーとベータ・レイ・ビルは義兄弟の契りを結ぶ。

このストーリーは、日本でも1990年代に翻訳され、アメコミ雑誌に掲載されており、人気の高いエピソードである。

なお、当初、マーベルユニバースの再編構想の一環で、ビルが新たなソーとなることも考えられていた。ビルがハンマーで旧いソーのタイトルを壊す表紙なども描かれていた。

本作は、当時「絵描きの中の絵描き(絵は上手いがストーリーは...)」と言われていたウォルター・サイモンセンが、「ソー」誌のライター兼ペンシラーに就任して、最初に手がけた作品で、いろいろ思い入れがあるそうである。

宇宙とアスガルドを駆ける

コルビナイトの船は地球から離れていったが、ベータ・レイ・ビルは自分の種族と同時に、アスガルドを守るようになった。ラグナロックのときには、サーターとの戦いでアスガルドの皆と喜んで死ぬ覚悟をしていた。しかしソーが彼を彼の種族の元に帰し「アスガルドの栄光を伝えて欲しい」と頼んだ。

一方、コルビナイトは新しい故郷を見つけることができたが、ベータ・レイ・ビルがアスガルドのことにかまけており、自分たちの守護者としてふさわしくないという声が上がる。ベータ・レイ・ビルは古くからのライバル、アルファ・レイと戦うことになる。
など、宇宙とアスガルドを中心に冒険している。

ラグナロック

ラグナロックの時、ビルは一緒にアスガルドへ参戦しようとしたが、ソーがビルをテレポートさせて逃がす。ソーはビルがラグナロックで死ぬ運命にないと感じたからであるが、「(死んでゆくアスガルドの)英雄たちのことを伝えてくれ」と言っている。


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最終更新:2020年05月15日 21:33