人形が無目的に動き回る。それは少女の退屈、あるいは焦燥を表現するものだ。今回はどうも後者であるようだ。少女、アリスは両手をやや大げさに使ってポン、と本を閉じた。
「……遅い」
彼女が飼っている謎の生命体が帰って来ない。人形の頭部の材料が抽出できるために、珍しく彼女が関心を寄せている生物である。最近は髪に微弱ではあるが魔力が宿っていることもわかったので、そう易々と手放したいものではない。
「道に迷ったのかしら。……頭弱そうだし」
アリスは椅子からゆっくりと起き上がりスカートの皺を整える。棚から数体の人形を手に取り、彼女は久しぶりに外出した。最近久し振りでない気がするが、気のせいだ。
「魔力も微弱だから探知できないのよね。まあそんなに遠くに行ってないでしょうから、呼べば出てくるでしょ」
「……遅い」
彼女が飼っている謎の生命体が帰って来ない。人形の頭部の材料が抽出できるために、珍しく彼女が関心を寄せている生物である。最近は髪に微弱ではあるが魔力が宿っていることもわかったので、そう易々と手放したいものではない。
「道に迷ったのかしら。……頭弱そうだし」
アリスは椅子からゆっくりと起き上がりスカートの皺を整える。棚から数体の人形を手に取り、彼女は久しぶりに外出した。最近久し振りでない気がするが、気のせいだ。
「魔力も微弱だから探知できないのよね。まあそんなに遠くに行ってないでしょうから、呼べば出てくるでしょ」
――魔理沙は二度と地面には降りられなかった
白と黒の中間の魔法使いとなり永遠に幻想郷を彷徨うのだ
そして、誰かに会いたいと思っても食われそうになるので――
その内魔理沙は考えるのをやめた。
「んなわけねえだろ!」
突っ込みが虚空に響いたのち、魔理沙は虚しく地面に降りた。流石に人間の身では長い間の対空は疲れる。
「はあ……哀しいぜ」
あれから様々な妖怪や人間たちの元に向かった。しかしそこで魔理沙を待ちうけていたものは、例の菓子とそれを手に不気味に嗤う妖々、人々であった。某スキマ妖怪など、所在不明で見つけられない者もいたが。
「私は食ってもうまくないぜ……」
一体なぜこんなことに。アリスが仕組んだのか? いや、アリスにはそんな行動力も、その程度の能力もない。そこまで恨まれてもいない。……はず。だとしたら何か他の……異変? だとすればずいぶんピンポイントに迷惑な異変である。
「ああ、わかんないぜ。こうなったらアリスに弾幕ごっこを仕掛けて……」
白と黒の中間の魔法使いとなり永遠に幻想郷を彷徨うのだ
そして、誰かに会いたいと思っても食われそうになるので――
その内魔理沙は考えるのをやめた。
「んなわけねえだろ!」
突っ込みが虚空に響いたのち、魔理沙は虚しく地面に降りた。流石に人間の身では長い間の対空は疲れる。
「はあ……哀しいぜ」
あれから様々な妖怪や人間たちの元に向かった。しかしそこで魔理沙を待ちうけていたものは、例の菓子とそれを手に不気味に嗤う妖々、人々であった。某スキマ妖怪など、所在不明で見つけられない者もいたが。
「私は食ってもうまくないぜ……」
一体なぜこんなことに。アリスが仕組んだのか? いや、アリスにはそんな行動力も、その程度の能力もない。そこまで恨まれてもいない。……はず。だとしたら何か他の……異変? だとすればずいぶんピンポイントに迷惑な異変である。
「ああ、わかんないぜ。こうなったらアリスに弾幕ごっこを仕掛けて……」
「まりさー、どこにいるのー」
「ひ」
魔理沙は叫びかけた口を即座に塞いだ。アリスだ。
(な、なんでここにいるのが……?)
(まったくもう……こんなに遠くまで来ちゃった。どこ放っつき歩いてるのかしら)
「まーりーさー、隠れても無駄よー」
(ひぃっ! こっちに近づいてきやがった! ……く、くそ、そっちがその気ならやってやるぜ!)
魔理沙は近くの木陰に隠れ、ミニ八卦炉を構える。
「ま、り、さー」
(……!)
気配を悟られてはいけない。アリスはこちらの存在には気付いているが、位置を把握できてないのだろう。
(無防備に声を上げているのは作戦か……?)
この目でアリスを捕えるまで無駄撃ちはできない。魔理沙はアリスの気配を探ることのみに全力を傾けた。
……そのため、超近接したもう一つの存在には気付かなかった。
「ひ」
魔理沙は叫びかけた口を即座に塞いだ。アリスだ。
(な、なんでここにいるのが……?)
(まったくもう……こんなに遠くまで来ちゃった。どこ放っつき歩いてるのかしら)
「まーりーさー、隠れても無駄よー」
(ひぃっ! こっちに近づいてきやがった! ……く、くそ、そっちがその気ならやってやるぜ!)
魔理沙は近くの木陰に隠れ、ミニ八卦炉を構える。
「ま、り、さー」
(……!)
気配を悟られてはいけない。アリスはこちらの存在には気付いているが、位置を把握できてないのだろう。
(無防備に声を上げているのは作戦か……?)
この目でアリスを捕えるまで無駄撃ちはできない。魔理沙はアリスの気配を探ることのみに全力を傾けた。
……そのため、超近接したもう一つの存在には気付かなかった。
「ゅー、ゅー……」
ゆっくりまりさが木に寄りかかり、暖かな日を浴びて眠っている。飼われた時間が本能を鈍らせたのか、同じ木の裏側にいる魔法使いの存在もお構いなしだ。
今日は特に天気が良かったので、ついつい木の下でゆっくりしていたらうとうとしてしまったのだ。
ゆっくりまりさが木に寄りかかり、暖かな日を浴びて眠っている。飼われた時間が本能を鈍らせたのか、同じ木の裏側にいる魔法使いの存在もお構いなしだ。
今日は特に天気が良かったので、ついつい木の下でゆっくりしていたらうとうとしてしまったのだ。
木陰の魔法使い、その反対側にいるゆっくり、そして彼女らの近くにいる少女。その絶妙なフォーメーションは、少女が崩すことになる。
「まりさ、見つけた! こんなところにいたのね」
アリスはまりさの元に駆け出した。
(馬鹿な! 気配は完璧に消していたはず……)
魔理沙が木陰からちらと顔を出すと、彼女の目にはこちらに猛スピードで向かってくる少女が、鬼、いや大妖怪の形相で
「まりさ、見つけた! こんなところにいたのね」
アリスはまりさの元に駆け出した。
(馬鹿な! 気配は完璧に消していたはず……)
魔理沙が木陰からちらと顔を出すと、彼女の目にはこちらに猛スピードで向かってくる少女が、鬼、いや大妖怪の形相で
『喰らってやる!!!』
「食われてたまるかーーーっ!!!!!」
「え……」
魔理沙の突然の出現を驚くアリスの目に輝くミニ八卦炉の射出口が見えた。倒れる彼女の耳にスペルが響いた。
「え……」
魔理沙の突然の出現を驚くアリスの目に輝くミニ八卦炉の射出口が見えた。倒れる彼女の耳にスペルが響いた。
「ふっふっふ」
アリスが動かないのを確認し、魔理沙の口元に笑みがこぼれる。
「はっはっは! どんな手を使ってくると思ったら! 甘いぜ、アリス!」
「ゆぎぎっあqwせdrftgyふじこl」
「うぉっ!」
木の元からいきなり何かが倒れているアリスの方に飛び出した。
「おねえさん! ゆっくり目をさましてね!!!」
「こ、こいつ……」
魔理沙が見なれた帽子を被った物体がこちらに振り向く。
「おねえさんになんてことするの! ゆっくりしね!!!」
「な、なにい? 元はと言えばお前がうまいからいけないんだろ!」
魔理沙は自分でも少々理不尽な意見だと思った。
アリスが動かないのを確認し、魔理沙の口元に笑みがこぼれる。
「はっはっは! どんな手を使ってくると思ったら! 甘いぜ、アリス!」
「ゆぎぎっあqwせdrftgyふじこl」
「うぉっ!」
木の元からいきなり何かが倒れているアリスの方に飛び出した。
「おねえさん! ゆっくり目をさましてね!!!」
「こ、こいつ……」
魔理沙が見なれた帽子を被った物体がこちらに振り向く。
「おねえさんになんてことするの! ゆっくりしね!!!」
「な、なにい? 元はと言えばお前がうまいからいけないんだろ!」
魔理沙は自分でも少々理不尽な意見だと思った。
にょん。
突如、裂けた空間から出てきた手がゆっくりまりさを掴んだ。
「ゆうっ!?」
魔理沙が見つけられなかった妖怪。
「ゆ、紫……」
「やっと見つけた~これが例のお菓子の元になった妖怪ね。可愛いわ~」
スキマから上半身だけを晒した紫がまりさを撫でた。顎、頬、額などいろいろ。
「お、おねえさん誰??」
「……あら、言葉遣いも正確ね~」
そいつは女なら誰でもおねえさんと呼ぶんじゃないのか、と思ったが面倒を増やしたくないので魔理沙は黙っていた。
なぜかミニ八卦炉片手に身構えてる魔理沙をよそに、紫は周囲を一瞥した。見なれた人形遣いが一体煙を吹いて倒れている。彼女が動かないのを確認して、紫は魔理沙の方を向きなおした。
「おねえさん、このおねえさんが、アリスおねえさんにゆっくりしねしたの! おお、怖い怖い」
「……痴情のもつれ?」
「何の話だ!」
「冗談よ。まだそこまで進展してないみたいだし。で、何があったの?」
「こいつ、私を喰おうとしてたんだよ」
紫はまあ、と小さく呟き、大げさに手を口元に当てて驚きを示した。
「……奥手だと思ってたのにやるわね。それもこんな場所で……心の準備がまだだったの、魔理沙?」
「食われる心構えなんてできないぜ」
「おねえさん、話がかみ合ってない気がするよ!」
紫は窘めるかのようにまりさを軽く撫でた。
「肉を喰らうってこと? この子が、ねえ」
「ほんとだぜ! だって……」
魔理沙がアリスに目をやると、脇に例の菓子が転がっていた。殆どは原型をとどめてなかったが、奇跡的に無事なものが一袋確認できたのでそれとわかった。魔理沙がそれを拾い上げる。
「ほら、これを見ろ! 私を模った菓子だぜ! 中身は紫が抱いてるそいつの体液だ!」
「……」
「あほ!」
あっけにとられた紫の代わりにまりさが答えた。
「あ、あほだあ? その顔で抜かすか!」
「……魔理沙、貴女は勘違いしてると思う」
紫はスキマの中を探り、あるものを取り出した。
「貴女が持ってるのはこれでしょ?」
"銘菓 ゆっくり大福"
「げ、紫までアリスの毒牙に……」
「違うわよ! これは最近人間の里で流行ってるお菓子! 原料も人間の里のものよ!」
「え、あ?」
魔理沙は呆気にとられた顔をする。
「『乗るしかないでしょうこのゆっくりムーブメントに』っていうキャッチフレーズで人里では大流行らしいわよ。んで、私たちのところにもその波が押し寄せてきたってこと」
「そんな、嘘だ」
紫は下を向き大きく溜息をついて、あからさまな呆れ具合を表現した。
「貴女のことだから、行く先々で何度も見かけたんでしょうけど、この子一体からこのお菓子がそんなにたくさん作れるはずないじゃないの」
「やっぱあほだよこいつ!」
絶妙なタイミングでまりさは相槌をついた。
「そ、それじゃあ
「魔理沙ぁあ~」
魔理沙が下を見ると、黒焦げの人形遣いがそれこそ大妖怪の形相で魔理沙の足首を掴んでいた。
突如、裂けた空間から出てきた手がゆっくりまりさを掴んだ。
「ゆうっ!?」
魔理沙が見つけられなかった妖怪。
「ゆ、紫……」
「やっと見つけた~これが例のお菓子の元になった妖怪ね。可愛いわ~」
スキマから上半身だけを晒した紫がまりさを撫でた。顎、頬、額などいろいろ。
「お、おねえさん誰??」
「……あら、言葉遣いも正確ね~」
そいつは女なら誰でもおねえさんと呼ぶんじゃないのか、と思ったが面倒を増やしたくないので魔理沙は黙っていた。
なぜかミニ八卦炉片手に身構えてる魔理沙をよそに、紫は周囲を一瞥した。見なれた人形遣いが一体煙を吹いて倒れている。彼女が動かないのを確認して、紫は魔理沙の方を向きなおした。
「おねえさん、このおねえさんが、アリスおねえさんにゆっくりしねしたの! おお、怖い怖い」
「……痴情のもつれ?」
「何の話だ!」
「冗談よ。まだそこまで進展してないみたいだし。で、何があったの?」
「こいつ、私を喰おうとしてたんだよ」
紫はまあ、と小さく呟き、大げさに手を口元に当てて驚きを示した。
「……奥手だと思ってたのにやるわね。それもこんな場所で……心の準備がまだだったの、魔理沙?」
「食われる心構えなんてできないぜ」
「おねえさん、話がかみ合ってない気がするよ!」
紫は窘めるかのようにまりさを軽く撫でた。
「肉を喰らうってこと? この子が、ねえ」
「ほんとだぜ! だって……」
魔理沙がアリスに目をやると、脇に例の菓子が転がっていた。殆どは原型をとどめてなかったが、奇跡的に無事なものが一袋確認できたのでそれとわかった。魔理沙がそれを拾い上げる。
「ほら、これを見ろ! 私を模った菓子だぜ! 中身は紫が抱いてるそいつの体液だ!」
「……」
「あほ!」
あっけにとられた紫の代わりにまりさが答えた。
「あ、あほだあ? その顔で抜かすか!」
「……魔理沙、貴女は勘違いしてると思う」
紫はスキマの中を探り、あるものを取り出した。
「貴女が持ってるのはこれでしょ?」
"銘菓 ゆっくり大福"
「げ、紫までアリスの毒牙に……」
「違うわよ! これは最近人間の里で流行ってるお菓子! 原料も人間の里のものよ!」
「え、あ?」
魔理沙は呆気にとられた顔をする。
「『乗るしかないでしょうこのゆっくりムーブメントに』っていうキャッチフレーズで人里では大流行らしいわよ。んで、私たちのところにもその波が押し寄せてきたってこと」
「そんな、嘘だ」
紫は下を向き大きく溜息をついて、あからさまな呆れ具合を表現した。
「貴女のことだから、行く先々で何度も見かけたんでしょうけど、この子一体からこのお菓子がそんなにたくさん作れるはずないじゃないの」
「やっぱあほだよこいつ!」
絶妙なタイミングでまりさは相槌をついた。
「そ、それじゃあ
「魔理沙ぁあ~」
魔理沙が下を見ると、黒焦げの人形遣いがそれこそ大妖怪の形相で魔理沙の足首を掴んでいた。
博麗神社が一番近かったので、治療のためにアリスを運ぶことにした。手伝ってくれてもいいのに、紫はアリスを背負って運ぶ魔理沙を後ろからニヤニヤ眺めるだけだった。
「あほ! あほ! あほ!」
紫の胸元で饅頭が騒いでいる。言葉の響きが気に入ったのか、ずっと連呼している。殴ってやろうかと思ったが、アリスの呻き声が聞こえたのでやめた。
「あほ! あほ! あほ!」
紫の胸元で饅頭が騒いでいる。言葉の響きが気に入ったのか、ずっと連呼している。殴ってやろうかと思ったが、アリスの呻き声が聞こえたのでやめた。
博麗の巫女は魔理沙たちを見た瞬間心底だるそうな顔をしていた。近くで大きな音がしたので面倒なことが起こるとの予想はついていたっぽいが。治療だけで済んだのは彼女にとっては不幸中の幸いだ。
「面倒増やさないでよ……はい、終わり」
「せめて痛みを知らずに安らかに死んでいってね!」
紫が抱えている二体の饅頭のうち、霊夢の顔をした方が相槌を打った。
「アリスは滅びん! 何度でも蘇るさ!」
もう一体の饅頭がさらに相槌を打った。……相槌なんだろうか、これ。
「どっちの子も可愛いわあ」
「うぜえ」
紫と魔理沙の意見は真っ二つに分かれた。
「面倒増やさないでよ……はい、終わり」
「せめて痛みを知らずに安らかに死んでいってね!」
紫が抱えている二体の饅頭のうち、霊夢の顔をした方が相槌を打った。
「アリスは滅びん! 何度でも蘇るさ!」
もう一体の饅頭がさらに相槌を打った。……相槌なんだろうか、これ。
「どっちの子も可愛いわあ」
「うぜえ」
紫と魔理沙の意見は真っ二つに分かれた。
神社の縁側に二人の魔法使いが座っている。一人は外に向けて脚をだし、もう一人は床の上に胡坐をかいてそっぽを向いている。
「アリスが先にふざけたのが悪い。お前の演技は迫真すぎるんだよ」
「魔理沙の新しい二つ名考えてあげたわ。幻想郷の通り魔」
「手抜き女。根暗。ヤンデレ」
「単細胞。泥棒。あほ」
「アリスが先にふざけたのが悪い。お前の演技は迫真すぎるんだよ」
「魔理沙の新しい二つ名考えてあげたわ。幻想郷の通り魔」
「手抜き女。根暗。ヤンデレ」
「単細胞。泥棒。あほ」
「殺伐としてるわね」
「ふふ、初々しいわね~」
「立った! フラグが立った!」
「ゆっくり攻略してね!!!」
そんな二人を余所に、部屋の中で霊夢と紫、以下二体はお茶を飲んでいる。もちろんお茶菓子は"銘菓 ゆっくり大福"。なぜなら彼女たちもまた、お菓子好きな女の子だからです。
「ふふ、初々しいわね~」
「立った! フラグが立った!」
「ゆっくり攻略してね!!!」
そんな二人を余所に、部屋の中で霊夢と紫、以下二体はお茶を飲んでいる。もちろんお茶菓子は"銘菓 ゆっくり大福"。なぜなら彼女たちもまた、お菓子好きな女の子だからです。
おまけもあるよ
- なんだか色々混ざってるのは気のせいですね’笑 -- ine (2008-09-23 18:53:34)
- 気にしたら負けです。 -- Jiyu (2008-10-05 23:43:36)
- ヴェルタースオリジナルwww -- 名無しさん (2008-11-30 00:34:05)
- ヴェルオリ自重www -- 名無しさん (2008-12-06 23:31:36)
- ふひひ・・・ -- 名無しさん (2010-11-27 17:35:21)
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