12月31日 何処かの山奥にて
「ああくそ!何でこんな所でエンコ何か起こすんだこの車は!」
白い煙を噴出している車のエンジンを見てガタイのでかい男が頭を抱えていた。
一応修理キットなんか持ち出しては見たものの、元々機械に詳しいわけではない彼は
蓋を開けた時点で完全にお手上げ状態だったりする。
一応修理キットなんか持ち出しては見たものの、元々機械に詳しいわけではない彼は
蓋を開けた時点で完全にお手上げ状態だったりする。
「…大月先生、だから言ったんですよ、安いレンタカーを借りるのはやめた方が良いって。」
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) キヽ-、... ......
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そういいながら車の助手席から出てきたのは白い水兵帽がトレードマークのゆっくりむらさであった。
「切り詰めるところは切り詰めておかないと、会社から出た予算なんてすぐ無くなってしまうぞ。」
大月と呼ばれたガタイの良い男はむらさに向かってそう反論する。
「切り詰めた結果がこの立ち往生だよ!どうするんですか!
まさか夜明けまでこのままじゃあないんでしょうねぇ?」
まさか夜明けまでこのままじゃあないんでしょうねぇ?」
そんな大月に対してむらさは呆れ顔でそう返答する。
「ちょっと待ってろ!多分この線とこの線をつなげばまたエンジンが…。」
大月はそう言ってエンジンから飛び出たコードとコードをつないでみた。
ガバチョ!
…何か、スパークというにはあまりにも異質すぎる音が響き渡った。
むらさと大月はお互いの顔を見合わせ、すぐさま車から離れる。
ドガアアアアアアアアアン!
レンタカーはまるでハリウッド映画のような大爆発を起こした。
「あんな大爆発を起こすなんて一体何をやったんですか、先生!」
「あんな大爆発を起こすなんて一体何をやったんですか、先生!」
「しるか、私だって車のことは詳しくないんだ!
と、言うかこれ、レンタカーショップにいくら弁償すれば良いんだ!?」
と、言うかこれ、レンタカーショップにいくら弁償すれば良いんだ!?」
大月はそう言って頭を抱え込む。
そしてそれはむらさも同じだった。
そしてそれはむらさも同じだった。
「…本当にどうするんですか、これから向かうホテルはこの山奥にあるんでしょ?
ここから歩きなんてしんどいですよ。」
ここから歩きなんてしんどいですよ。」
「むらさ、山奥というのはちょっと違うぞ。」
「…は?」
大月の言葉にむらさは首をかしげる。
「これから取材に向かうホテルは実に不思議なホテルでな、
ホテルがある場所はひとつなのだがそのホテルに向かう道は何通りもあるのだ。
こんな山奥に通じる道の先にホテルがあったと言う話もあれば
静かな湖畔の森の影に立っていたと言う話もある。
何故、世界中のあちこちにホテルに通じる道があるのか…その理由は不明だ、
確かなことは一つだけ、そのホテルはゆっくりと人間のホテルだと言うこと。
そしてそのホテルはとてもゆっくりしていると言うことだけだ。」
ホテルがある場所はひとつなのだがそのホテルに向かう道は何通りもあるのだ。
こんな山奥に通じる道の先にホテルがあったと言う話もあれば
静かな湖畔の森の影に立っていたと言う話もある。
何故、世界中のあちこちにホテルに通じる道があるのか…その理由は不明だ、
確かなことは一つだけ、そのホテルはゆっくりと人間のホテルだと言うこと。
そしてそのホテルはとてもゆっくりしていると言うことだけだ。」
「…世界中のあちこちにホテルに向かうルートが現れる…それなら別のルートもあったんじゃあ…。」
「どうやらホテル側が指定したルートか全くの偶然じゃないとホテルに行くことは出来ないらしい。
私も、招待状が届いて、それに同封された地図をたどってここまで来たんだからな。」
私も、招待状が届いて、それに同封された地図をたどってここまで来たんだからな。」
それが今ここで一人の人間と一人のゆっくりが立ち往生している理由。
この二人はゆっくりの愛を伝える雑誌『月刊ゆっくりラブ』専属のカメラマン。
この二人の下に、ある日突然届いてきた一通の手紙。
手紙の内容は『君の雑誌でウチのレストランを紹介して欲しいからホテルに来て欲しい』と言うものだった。
世にも珍しいホテルから直々の依頼と来れば断る理由もなし、
編集長の許可も下りて意気揚々と取材に向かったのだが…。
この二人はゆっくりの愛を伝える雑誌『月刊ゆっくりラブ』専属のカメラマン。
この二人の下に、ある日突然届いてきた一通の手紙。
手紙の内容は『君の雑誌でウチのレストランを紹介して欲しいからホテルに来て欲しい』と言うものだった。
世にも珍しいホテルから直々の依頼と来れば断る理由もなし、
編集長の許可も下りて意気揚々と取材に向かったのだが…。
その結果がこの現状、世の中って厳しいね。
「…ハァ、本当にどうしたもんでしょうか…。」
むらさは深いため息をつく。
それとは逆に大月は妙に冷静な雰囲気だ。
それとは逆に大月は妙に冷静な雰囲気だ。
「そうため息ばかりついては益々ネガティブになってしまうぞ、むらさ。
ここはホジティブに行くべきなのだ!とりあえずヒッチハイクだ!ヒッチハイク!」
ここはホジティブに行くべきなのだ!とりあえずヒッチハイクだ!ヒッチハイク!」
大月はそう言うと、車道に出て親指を立てる。
念のために言っておきますが、大月達は車道の側で車の修理をしてました。
念のために言っておきますが、大月達は車道の側で車の修理をしてました。
「…こんな山奥に車なんてそもそもやって…。」
むらさが大月にツッコミを入れようとしたその時だった。
ジャジャジャ~ン!ジャジャジャジャ~ン!
…何処からか、やたらと壮大な音楽が聞こえてくる。
「…先生、何か、何処かで聴いたようなテーマソングが聞こえてきました。」
「…気のせいじゃないか?こんな所で聞こえるはずがない。」
「そうですよね、きっと遭難寸前の不安による幻聴ですよ、ハハハ。」
むらさが乾いた笑いをあげたその時だった。
車道の向こうから、蹄の様な音を上げて何かが走ってくる
最初は遠く過ぎて、一体何がやって来るのか良く解らなかったが、
蹄の音が大きくなるにつれて、その姿がはっきり浮かび上がってくる。
暴れん坊将軍のテーマに乗って、颯爽と駆け抜けてきたそいつは。
最初は遠く過ぎて、一体何がやって来るのか良く解らなかったが、
蹄の音が大きくなるにつれて、その姿がはっきり浮かび上がってくる。
暴れん坊将軍のテーマに乗って、颯爽と駆け抜けてきたそいつは。
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ソーr' ! ヽ _ン r'´二.ヽ ',
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何か犬のような何かに乗った、ゆっくりの中でもっとも囚われない事で有名なゆっくりさなえであった。
「…………。」
むらさも大月も、声が出なかった。
驚きもしなかったのではない、
「…………。」
むらさも大月も、声が出なかった。
驚きもしなかったのではない、
驚きすぎてどうリアクションしたら良いかわからないのだ。
犬?に乗ったゆっくりサナエは呆然としている大月とむらさの目の前を通り過ぎ…。
「ハイヨー!ドゥドゥ!」
キキィイイイイイイイイイ!
…ると見せかけてわざわざUターンして二人の前でストップするのであった。
「…むしろ通り過ぎて欲しかったです。」
むらさ、率直な感想ありがとう。
とにかく、二人の前で止まったゆっくりさなえは犬?から降りて二人の元へとやってくる。
「すみません、何か派手な爆音が聞こえたので慌てて駆けつけたのですが…。
何があったのですか?」
そして、むらさと大月にそんな質問を投げつけてきたのだ。
とにかく、二人の前で止まったゆっくりさなえは犬?から降りて二人の元へとやってくる。
「すみません、何か派手な爆音が聞こえたので慌てて駆けつけたのですが…。
何があったのですか?」
そして、むらさと大月にそんな質問を投げつけてきたのだ。
「え?えと、実はホテルに向かう途中にチョット事故っちゃいまして…。」
むらさはチョット脅えながらもさなえに事情を説明する。
「そうですか…それで立ち往生して困っている、と。」
さなえは納得した顔でうんうんと、頷いた。
そして、スグにむらさと大月に向かってこう言った。
「そうですか…それで立ち往生して困っている、と。」
さなえは納得した顔でうんうんと、頷いた。
そして、スグにむらさと大月に向かってこう言った。
「所で、これから向かうホテルって「ゆっくりホテル」って名前じゃないですか?」
「え?何で解ったんだ?」
さなえに目的地を言い当てられて驚く大月。
「ヤッパリそうでしたか、実は私、あそこで清掃員として働いてるんですよ。」
「え?」
「チョット寝坊してしまってこうして急いでいたのですが、目的地が同じなら丁度良い!
私の横綱犬八坂号に乗っていきませんか?」
私の横綱犬八坂号に乗っていきませんか?」
「えぇ!?」
さなえの申し出に戸惑うむらさと大月。
確かにその申し出はありがたい、自分達だけではこの山奥で立ち往生していたのは確実だからだ。
しかし、むらさも大月もそのさなえの申し出には困惑の色を示していた。
確かにその申し出はありがたい、自分達だけではこの山奥で立ち往生していたのは確実だからだ。
しかし、むらさも大月もそのさなえの申し出には困惑の色を示していた。
「…どうなされたんですか?別に私にとっては貴方達の送り迎え位苦ではありませんけど…。」
「いや、私たちとしても貴方の申し出はありがたい、ありがたいんだが…。」
大月はそう言って、さなえの後ろを指差した。
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::/rrrn ノ :: / / ::: LLL,,,ノ:: 【横綱犬 八坂号】
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さなえが後ろを振り向くと、さなえが乗っていた犬?が顔を真っ青にして、全身を震わせていた。
「さ、三人…一人でもつらいのに…。」
震える口調でそんな事を呟いている。
そんな様子の自分の相棒を見て、さなえはずかずかと犬の方に駆け寄る。
「さ、三人…一人でもつらいのに…。」
震える口調でそんな事を呟いている。
そんな様子の自分の相棒を見て、さなえはずかずかと犬の方に駆け寄る。
「…かなこ様?何でそんなに震えるんですか、彼らが不安がっていますよ?」
「い、いやだってさなえ一人でもヘトヘトなのに、この上三人乗りをする事になったら…。」
「何ですか、仮にも貴方ほどのものが重量が二人増えたくらいで根を上げるというんですか?」
「いや、いくら何でも三人乗りは道交法ゴニョゴニョ…。」
「…良いから貴方は黙っていなさい、良いですね?」
「…ハイ。」
犬?がシュンとした表情でそう頷くと、さなえは二人の元に戻ってきた。
「話はつきました、遠慮なくかなこ様の後ろに乗ってください。」
実に涼しい表情でそう言い放つさなえ。
大月とむらさは困惑の表情でお互いの顔を見合わせた。
「話はつきました、遠慮なくかなこ様の後ろに乗ってください。」
実に涼しい表情でそう言い放つさなえ。
大月とむらさは困惑の表情でお互いの顔を見合わせた。
「ど、どうします先生?何かあっちは殆ど一方的に話がついたみたいですけど…。」
「…しょうがない、とりあえずあのゆっくりの提案には乗ろう。」
「…そうですね、これで断ったら何かあの犬もっと酷い目に合いそうですもんね。」
「そういう事だ。」
意見をまとめた二人は、お互いにコクリと頷いて、さなえの方へと振り向いた。
「…私たちをホテルにまで連れて行ってくれないか?」
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「ええ、喜んで!」
大月の申し出にさなえは笑顔でそう答えるのであった。
~☆~
「さあ、皆さん!つきましたよ~!」
犬?をとめてさなえは後ろに座る大月とむらさにそう呼びかけた。
辺りはいつの間にか赤い霧に包まれ、周りの様子を見渡すことが出来ない。
しかし、そんな状況でも、はっきりと目の前に巨大な赤い建物が建っていることが一目でわかる。
これこそが、大月とむらさが向かう目的地『ゆっくりホテル』である。
辺りはいつの間にか赤い霧に包まれ、周りの様子を見渡すことが出来ない。
しかし、そんな状況でも、はっきりと目の前に巨大な赤い建物が建っていることが一目でわかる。
これこそが、大月とむらさが向かう目的地『ゆっくりホテル』である。
「…?どうしたんですか?ホテルに着きましたよ!二人とも!」
一度呼びかけたさなえは返事が返ってこないのが気になってもう一度呼びかける。
しかし、返事は返ってこない。
それはそうだろう。
大月は両手を使って、むらさは帽子を深く被って、
何故か両耳を塞いでいたんだから。
しかし、返事は返ってこない。
それはそうだろう。
大月は両手を使って、むらさは帽子を深く被って、
何故か両耳を塞いでいたんだから。
「…何してるんですか、二人とも。」
さなえはそう言ってむらさの帽子を取り上げた。
お陰で早苗の声がむらさの耳に入ってくるようになる。
お陰で早苗の声がむらさの耳に入ってくるようになる。
「…!?あ、目的地に着いたんですか…大月さん!着いたみたいですよ!」
目的地に着いたことを理解したむらさは慌てて大月に体当たりを繰り返す。
「ハッ!もう終わったのか?」
大月も正気に戻ったのか辺りをキョロキョロ見回している。
「ハッ!もう終わったのか?」
大月も正気に戻ったのか辺りをキョロキョロ見回している。
「一体どうしたんです?まさか八坂号に乗っている間ずっと耳を塞いでいたんですか?」
取り上げた帽子をむらさにかぶせ直しながらさなえは二人にそう言ってくる。
「え?だって?」
「なぁ…。」
二人は複雑な表情でお互いの顔を見合わせた。
…二人が耳を塞いでいた理由、それは走行中のさなえと八坂号のやり取りに会った。
…二人が耳を塞いでいた理由、それは走行中のさなえと八坂号のやり取りに会った。
「な、なあさなえ!ちょっと休ませてもらえないかい!?あたしゃもう限界…。」
「何を言ってるんです、遅刻は厳禁ですよ?全力で走ってください。」
「で、でも3人も乗せて走るなんて無茶が出来るわけ…。」
ピシイッ!
「ヒッ!」
「…やさか様、私は黙って目的地に迎え、と言ってるんです。
これ以上口答えするなら、私も考えがありますよ?」
これ以上口答えするなら、私も考えがありますよ?」
「わ、解った、解ったからムチはやめて!ムチは!」
こんなやり取りが延々繰り返されたのだ。
正直耳を塞いでいなければやってられない。
正直耳を塞いでいなければやってられない。
「…とにかく降りましょうか、大月さん。」
「そうだな、むらさ。」
二人は犬の上から地面に降りたった。
「それじゃあ私はやさか様を駐車場へ止めてきます、
後はご自由になさってください。」
後はご自由になさってください。」
そう言うと、さなえは犬に乗って駐車場に向かおうとする。
「…チョット待ってください。」
と、そこへむらさが呼び止める。
「…チョット待ってください。」
と、そこへむらさが呼び止める。
「どうなさったんですか?」
「いえ、一つ質問があるんですが…。」
「何でしょうか?」
「駐車場で犬をとめた後、犬はどうなるんですか?」
「…?そんなの決まってますよ、帰る時までそのままです。」
「そ、そう、そのまま なんだ…。」
なんだか犬?がかわいそうに見えてきたむらさと大月であった。
その気持ちを察してか、犬はむらさたちに向かってこう言った。
その気持ちを察してか、犬はむらさたちに向かってこう言った。
「…大丈夫だよ、慣れてるからこういうの。」
…そう言われると余計やるせなくなるんですが。
こうして、ちょっとダウナー気分のまま、さなえと犬を見送る羽目になった二人なのでした。
こうして、ちょっとダウナー気分のまま、さなえと犬を見送る羽目になった二人なのでした。
「…さて、落ち込んでる場合じゃないぞ、むらさ。」
「…そ、そうですね、先生。」
さて、何時までも落ち込んでいる場合ではない。
二人がここに来たのは、ホテルでゆっくりするためではない。
仕事のために、二人はここに来たんだから。
二人がここに来たのは、ホテルでゆっくりするためではない。
仕事のために、二人はここに来たんだから。
~☆~
ゆっくりホテルには宿泊客がゆっくりするための施設が沢山ある。
温泉は勿論、エステサロンやトレーニングジムまでホテルの中に設置されている。
そして、食の分野でもまた然り、
和食、洋風、スイーツ、何でもござれな店構えなのだ。
温泉は勿論、エステサロンやトレーニングジムまでホテルの中に設置されている。
そして、食の分野でもまた然り、
和食、洋風、スイーツ、何でもござれな店構えなのだ。
「…取材して欲しいという依頼があったのはこの店でしたよね、先生。」
「ああ、間違いない。」
そして大月とむらさはある店の前に立っていた。
『中華料理店、ホンジャマカ』
看板にはそう刻まれていた。
『中華料理店、ホンジャマカ』
看板にはそう刻まれていた。
「それにしても、よく考えたら店の方から取材の依頼なんて珍しい話ですね。」
むらさの言うとおりだった。
普通店の取材というのは、その店の評判を聞きつけて、取材する側から店に依頼するものだ。
取材と言うものがどういうものか作者は知らんがきっとそうだと思ってる。
普通店の取材というのは、その店の評判を聞きつけて、取材する側から店に依頼するものだ。
取材と言うものがどういうものか作者は知らんがきっとそうだと思ってる。
「それほど、店の味に自身があると言うことだろ?その自身が本物かどうか、見極めるのが我々の仕事だ。
気を引き締めていけよ、むらさ。」
気を引き締めていけよ、むらさ。」
「…ハイ。」
大月の呼びかけに、力強く答えるむらさ。
それを確認すると、大月は店の扉に手をかけた。
それを確認すると、大月は店の扉に手をかけた。
「いらっしゃいませ~。」
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/ ヽ,--- 、.--< ヽ
( i ):.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\ )
ヽ _ _ ノノ:.:.:.:人.:.:.:i.:.:.:.:.:.ヽノ
ノ>,.- ':.:.:/ ヽ:.:ヽ:.:.:.:.:.:く
/ ノ.:.:./:.:.:/.( __,. \:ゞ、__ゝ:ゝ
ノ:.::.:(.:.:.:.( (ヒ_] ヒ_ン レスヽ
/.:.:人:.:.ヽ:ゝ" ,___, " b.:ヽ.:\
(:/ヽ:( ヽ.:.:.:> ヽ _ン 人ヽ:.)ヽ:) 片腕有角の仙人
)レ人>,、 _____, .イ )ノ 茨華仙(茨木華扇)
扉を開けて出迎えたのは最近何気に認知度が高い片腕有角のゆっくりかせんだった。
「…まぁ、中華っぽいし妥当なチョイスだな。」
「そうですね、先生。」
大月とむらさは彼女を見てそんな感想を漏らすのだった。
「…あ、そのカメラ…もしかして貴方が大月さんですか?」
その時、かせんが大月を見てそんな質問を投げかけてくる。
「ああ、そうだが。」
大月はそう返事する。
「ああ、そうだが。」
大月はそう返事する。
「…思いのほかイケメンじゃね~や。ってか、ただのおっさん?」
かせんはがっかりした顔になってそんな事を呟いた。
「ぐはっ!」
言われた大月は酷いショックを受ける。
「ぐはっ!」
言われた大月は酷いショックを受ける。
「ちょ!先生はちょっとした事で傷つくナイーブな心を持っているんです!
うかつなことは言わないでくれませんか!?」
うかつなことは言わないでくれませんか!?」
むらさはかせんに向かってそう言ってくる。
「あらそうなんですか、それは気づかなかったわ。
あんな外見でも中身がそうだとは限らないものね。」
かせんは何気に酷い言葉を返す。
「あらそうなんですか、それは気づかなかったわ。
あんな外見でも中身がそうだとは限らないものね。」
かせんは何気に酷い言葉を返す。
「…と、とりあえず我々はこの店の取材に来たんだが…
早速、席に案内してくれないかな?」
早速、席に案内してくれないかな?」
ちょっと凹みながらも大月はかせんにそうお願いする。
流石ベテランカメラマン、ちょっと位の精神ショックくらいじゃあへこたれない。
流石ベテランカメラマン、ちょっと位の精神ショックくらいじゃあへこたれない。
「ああ、そうでしたわね、それじゃあこっちに。」
かせんはそう言って二人の案内を始めた。
大月とむらさは案内されている間に店の様子を一瞥する。
大月とむらさは案内されている間に店の様子を一瞥する。
店内は赤を貴重とした典型的な中華料理店だ。
目に付くところと言えば席についているのが必ずゆっくりと人間と言う組み合わせであるくらいか。
しかし、席の数に対してまだ人数は少なく、時間帯的にもちょっとガラガラしすぎている所はある。
目に付くところと言えば席についているのが必ずゆっくりと人間と言う組み合わせであるくらいか。
しかし、席の数に対してまだ人数は少なく、時間帯的にもちょっとガラガラしすぎている所はある。
「この店は『ゆっくりと人間の絆を深める中華料理店』というコンセプトで一月前にオープンしたの。
もう、固定客が来るくらいには評判になってるけど、まだまだ老舗の「椛飯店」には及ばなくてね。
それで、貴方達にこの店を紹介してもらって店の知名度を一気に上げようってのが店長の魂胆なのよ。」
もう、固定客が来るくらいには評判になってるけど、まだまだ老舗の「椛飯店」には及ばなくてね。
それで、貴方達にこの店を紹介してもらって店の知名度を一気に上げようってのが店長の魂胆なのよ。」
かせんはそんな説明をしながら大月とむらさを席にご案内した。
大月とむらさが着いた席は何処にでもある中華テーブル。
あの丸くなっている部分をクルクル回すことが出来る奴だ。
大月とむらさが着いた席は何処にでもある中華テーブル。
あの丸くなっている部分をクルクル回すことが出来る奴だ。
「ハイ、これがメニュー、どれも腕によりをかけた一級品ですよ。」
かせんがそう言っていつの間にか頭に載せていたメニューを大月とむらさに差し出した。
メニューに書かれていたのは餃子、炒飯、シュウマイと言ったおなじみの中華メニュー。
「………?」
しかし、大月はそのメニューを見て首を傾げていた。
メニューに書かれていたのは餃子、炒飯、シュウマイと言ったおなじみの中華メニュー。
「………?」
しかし、大月はそのメニューを見て首を傾げていた。
「そんな顔をして、どうかしたの?」
大月の顔を見て、かせんがそんな質問を投げかける。
「…なぁ、このメニュ~、何だか普通過ぎないか?」
「普通すぎる?」
「この店は『ゆっくりと人間の絆を深める中華料理店』がコンセプトなのだろう?
その割にはメニューになんのひねりも無いなと思ってな。」
その割にはメニューになんのひねりも無いなと思ってな。」
大月がそう言ったとたん、かせんは口元をニヤリとさせる。
「…流石は一流記者もうその事に気づかれましたか。」
不敵な笑みと共にそう言ってくるかせんに対して、大月とむらさは背筋にゾクリとしたものを覚えた。
「…流石は一流記者もうその事に気づかれましたか。」
不敵な笑みと共にそう言ってくるかせんに対して、大月とむらさは背筋にゾクリとしたものを覚えた。
「あの、その態度は普通じゃないメニューもあるってことですか?」
何か聞くのも怖いが聞かなきゃ話は進まない。
恐る恐るむらさはかせんに質問を投げかける。
「えぇ、メニューの裏を見て下さい。」
かせんに言われたとおり、大月とむらさはメニューを裏側にしてみる。
恐る恐るむらさはかせんに質問を投げかける。
「えぇ、メニューの裏を見て下さい。」
かせんに言われたとおり、大月とむらさはメニューを裏側にしてみる。
『餡かけ』
裏側にはこう書かれていた。
しかもメニューの裏面全部使うくらいの勢いで。
しかもメニューの裏面全部使うくらいの勢いで。
「…え?あの、何ですか、この餡かけって?」
当然の質問がむらさの口から出た。
「これこそがわが店最大の見せ場であります。
ささ、遠慮なくご注文くを!」
かせんは大月達に思いっきり注文を進める。
当然の質問がむらさの口から出た。
「これこそがわが店最大の見せ場であります。
ささ、遠慮なくご注文くを!」
かせんは大月達に思いっきり注文を進める。
「えぇ~…。」
むらさは本気で注文するべきかどうか迷ってしまった。
何せメニューの裏には餡かけとしか書かれていないのだ。
値段さえ書かれていない、注文したらいくら取られるか解らない。
それが何より一番怖い。
何せメニューの裏には餡かけとしか書かれていないのだ。
値段さえ書かれていない、注文したらいくら取られるか解らない。
それが何より一番怖い。
「…よし、私が注文しよう!」
しかし、迷うむらさを尻目に大月が大声でそう宣言した。
「せ、先生!?こんな得体の知れないものを注文しちゃうんですか!?」
むらさが驚いた顔で大月にそう問いかける。
それに対し、大月はふふんと笑ってこう言った。
それに対し、大月はふふんと笑ってこう言った。
「むらさ…記者と言うものは、時には大胆な決断をしなくてはいけないものだ、
そういう時は迷ってはいけない!チャンスは二度とめぐっては来ないのだからな!」
そういう時は迷ってはいけない!チャンスは二度とめぐっては来ないのだからな!」
大月のその言葉にむらさはからだの奥がジンと来るのを感じる。
「…え?あんたが注文しちゃうの?」
一方、かせんは注文を聞いてちょっと呆然としていた。
「どうした?お勧めしたのはお前だろ?」
「いや、確かにそうだけど…まさかあんたがが注文しちゃうとは…。」
かせんはどうしたものかしばし考えている様子だったが…。
「…まぁ注文しちゃったのは仕方がないわね、ちょっと待っててね。」
かせんはそう言うと、机の上に置いてあるベルを咥えてチリンチリンと鳴らす。
「店長!8番テーブル人間男から『餡かけ』入りましたー!」
そして大声でカウンターの方へ向けてそう叫ぶ。
それと同時に、カウンターの奥から誰かが出てくる。
それと同時に、カウンターの奥から誰かが出てくる。
_rrf≦三ミ=z、_
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ヽ-‐ ' ,:' :;ソ ヽ / |
〈_ _,.-'´ ,. ' ハ 丶 / |
、´ / / ヽ ` |
`亡´__, ' ヽ
出てきたのはパンツ一丁の大男。
どう見てもアメリカ生まれにしか見えないその外見からは中華料理店の店長と言う風貌には見えない。
そしてその手には熱々の餡が入った片手鍋が握られている。
男は足音も立てずに大月の後ろに歩み寄り――
どう見てもアメリカ生まれにしか見えないその外見からは中華料理店の店長と言う風貌には見えない。
そしてその手には熱々の餡が入った片手鍋が握られている。
男は足音も立てずに大月の後ろに歩み寄り――
ドバアッ!
片手鍋の中の餡を大月の頭から思いっきりぶっ掛けた!
「ギャアアアアアアアアアアアアア!」
「せ、先生~!?」
大月とむらさの叫びが同時に店内に響き渡った。
「おぉ、流石店長、ゆっくりどころか人間相手でも容赦ない餡かけっぷり。」
かせんは実に冷静な目で頭から餡をかけられてのた打ち回る大月を観察している。
「おぉ、流石店長、ゆっくりどころか人間相手でも容赦ない餡かけっぷり。」
かせんは実に冷静な目で頭から餡をかけられてのた打ち回る大月を観察している。
「ウェイトレスさん!?これは一体なんなんですか!?」
むらさはかせんに向かって凄い剣幕で問いかける。
「これこそ中華料理店ホンジャマカ最大の名物、餡かけサービスでございま~す。」
「これの何処がサービス!?熱々の餡なんか掛けられたら唯じゃあ済みませんって!」
「いや、本当はこれゆっくり専門のサービスなんですよ、本当ならあんなふうに。」
かせんはそう言って他のテーブルに視線を向ける。
むらさもかせんの視線を追ってみると、その席に座っていたのはれみりゃと人間の女性であった。
みると、先ほどの男がれみりゃの方に向かって歩いてきている。
勿論、その手には餡が入った片手鍋を持って。
むらさもかせんの視線を追ってみると、その席に座っていたのはれみりゃと人間の女性であった。
みると、先ほどの男がれみりゃの方に向かって歩いてきている。
勿論、その手には餡が入った片手鍋を持って。
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(;´⌒. 川||||||||
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く::::::::::`i / ゝ-'‐' ̄ ̄`ヽ、_ト-、__rイ、 }^ヽ、
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/ヽ/ r'´ ィ"レ´ ⌒ ,___, ⌒ `! i ハ / }! i ヽ > うー! うー! <
/ / ハ ハ/ ! /// ヽ_ ノ /// i ハ 〈〈{_ ノ } _」  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
⌒Y⌒Y´ノ /l ハノ i ヽ⌒Y⌒Y´
〈,.ヘ ヽ、 〈 i ハ i 〉
ノ レ^ゝi>.、.,_____,,...ィ´//レ'ヽハヘノ
そして、その熱々の餡はれみりゃの頭上からどばあっとぶっ掛けられた。
「うわ!?」
むらさは一見したらいじめにしか見えない光景に思わず目を瞑ってしまう。
しかし、れみりゃは寧ろ嬉々とした表情で餡まみれになっている。
「うわ!?」
むらさは一見したらいじめにしか見えない光景に思わず目を瞑ってしまう。
しかし、れみりゃは寧ろ嬉々とした表情で餡まみれになっている。
「う~お姉さん、立派な餡がかかったど~。」
餡まみれになったれみりゃは向かいに据わったいる女性の前へと飛び跳ねていく。
「うわ~おいしそう、いっただきま~す。」
女性は目の前に居るれみりゃを抱き上げるように持ち上げる。
そしてそのまま徐に、れみりゃを餡毎舐め始めた。
そしてそのまま徐に、れみりゃを餡毎舐め始めた。
「ぺろぺろ、ぺろぺろ…アア肉まんの風味に餡が混ざってたまらないわ…。」
「うっう~れみりゃもおね~さんもあまあまで幸せだど~。」
こうやって二人だけの世界を生み出す女性を餡かけれみりゃ。
・・・ムラサの内には言いたい事がムクムクと沸いてくる。
・・・ムラサの内には言いたい事がムクムクと沸いてくる。
まずれみりゃの方はあんな熱々の餡を掛けられて平気なのか、ウチの先生がのた打ち回るほどの熱さなのに。
そして女性の方もあんな熱々の餡を掛けられたれみりゃに触ったり舐めたりして平気なのか?
何よりあの餡を持っている筋肉男は何者なのか?店長か?かせんが店長を呼んで来た以上店長なのか?
「…あれ?お二人さん取材に来たんでしょう?何か質問はないの?」
しかし、今むらさはかせんの言葉にも答えられないくらい頭が混乱していた。
もう一方の大月の方は…。
しかし、今むらさはかせんの言葉にも答えられないくらい頭が混乱していた。
もう一方の大月の方は…。
「あああああああああああああ!」
それ所じゃなかった。
まぁ、頭から熱々の餡を掛けられたのだ、回復まで時間は掛かるだろう。
まぁ、頭から熱々の餡を掛けられたのだ、回復まで時間は掛かるだろう。
とりあえず、この店の取材でむらさが学んだことは一つ。
『重大な決断はノリで決めずに良く考えてから決断を下せ。』
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