ゆっくりしていってね!!! 創作発表Wiki

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 気がつくと、ゆっくりなるものが庭先に鎮座(?)していた。
 (*1 れいむ種。)
 幻想郷の実在人妖をぶきっちょにしたようなこいつは、近年発生した新種の妖怪の類との事。
 お菓子をあげると、すんなりと懐いてきた。
 ちょうど生態が知りたいと思っていた所なので、部屋に上げて1日の観察記録をつけることとする。
 
 「ゆっくりしていってね!」
 
 
 
 
 
 
 『ゆっくり観察記』
 
 
 第123季 葉月の一六
 
 ・子の刻
 ゆっくりは寝ている。まぁ時間的に言って当然の話。
 私もそろそろ寝ることとする。
 (*2 夜更かしは体に悪い。)
 
 
 
 ・丑の刻
 寝ている。
 (*3 多分。)
 
 
 
 ・寅の刻
 寝ている。
 (*4 多分。)
 
 
 
 ・卯の刻
 起床する。私がである。
 ゆっくりはまだ寝ている。
 (*5 朝は遅いのだろうか。)
 
 
 
 ・辰の刻
 起こされる。私がである。
 どうやら二度寝してしまったらしい。
 まだ眠いが、布団を取られてしまったので渋々起き上がる事とする。
 (*6 春眠暁を覚えずというが、どの季節も眠いものは眠い。)
 
 朝餉を戴いて部屋に戻るが、ゆっくりはまだ寝ていた。
 私を起こす際、母が結構騒がしくしたはずなのだが。
 とりあえず放置。
 残っている仕事をちこまかと片付ける。
 
 
 
 ・巳の刻
 ゆっくりはまだ寝ている。
 少しゆっくりしすぎではないだろうか。
 (*7 これでは、殆ど私自身の日記も同然である。)
 もう少し近寄って観察する。
 
 「ゅ~、ゅ~」
 よく見ると、少し涎が垂れている。
 もしかしたら寝床にした座布団がふかふかで気持ち良いのかもしれない。
 野生にはこれ程ふかふかしたものは無いだろう。
 
 ほっぺたをつっついてみるが、目を覚ます様子は無い。
 これはあまりに無防備ではないだろうか……。
 ちなみにほっぺたはかなりもちもちしていた。
 これは結構病み付きになりそうである。
 (*8 自制。)
 
 試しに座布団をどかしてみたが、相変わらず間抜け面で寝ていた。
 
 
 
 ・午の刻
 「……ゆ? ゆっくりしていってね!」
 ようやく起床する。
 (*9 ゆっくりがである。)
 (*10 しかし、第一声がそれか。)
 私はその時、ほっぺたをつっつくのにも飽きたので自分の仕事に戻っていたのだが、
 こいつが近寄ってきて
 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」
 と、しきりに叫んでうるさい。
 しぶしぶ自分がゆっくりしている事を伝えてやると、やっと大人しくなった。
 他人がゆっくりできないと落ち着かない性分なのだろうか。
 てっきり、自分がゆっくりできれば満足するのかと思っていたが、
 そういうものでも無いのかも知れない。
 (*11 しかし、そんなに私がゆっくりしていないように見えたのだろうか。)
 
 昼餉を頂いてから戻ると、座布団の上に鎮座していた。
 (*12 やはり座布団が気に入ったのだろうか。)
 
 
 
 ・未の刻
 原っぱに散歩に出かける。
 ゆっくりの食生活を知るためである。
 (*13 家にいてもゆっくりしっぱなしだったため。)
 (  もしかしたら、ご飯抜きでも数日くらいは大丈夫なのかもしれない。)
 
 すると早速ゆっくりは、餌となるバッタへとゆっくり近づいていく。
 「そろーり、そろーり、」
 しかしその擬音は口にする必要があるのだろうか。何とも間抜けな光景である。
 そう思っていたが、バッタはあっさりと食べられてしまっていた。
 (*14 何とも間抜けなバッタである。)
 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」
 何だかこう、ムズムズする食餌の取り方である。
 よくもまぁ、バッタひとつでこうまで幸せそうな顔ができるものだ。
 
 いやまてよ。
 もしかしたらああやれば、バッタなんて結構簡単に取れるのかもしれない。
 そう思って
 「そろーり、そろーり、」
 私もそこらにいたバッタを捕まえようと試みるが、一匹も捕まえることはできなかった。
 ゆっくりにできて私にできなかったので、少しへこんだ。
 この屈辱を忘れることは無いだろう。
 (*15 能力なので。)
 まぁ、ゆっくりは何かしらの能力を使っているのかもしれない。
 そう思うことにしておく。
 
 ゆっくりは虫以外には草花も食べるようだ。
 適当に草をむしって渡したら、またむーしゃむーしゃし始めた。
 適当に枝をひろって渡したら、それもまたむーしゃむーしゃし始めた。
 適当に石をひろって渡したら、それもまたむーしゃむーしゃし始めるのだろうか。
 興味はあるが、歯が欠けてもかわいそうなのでやめた。
 (*16 逆にむーしゃむーしゃされても怖い。)
 
 
 半刻ほど経つ頃、べつのゆっくりが飛び出してきた。
 (*17 まりさ種。)
 うちのゆっくりとは違うふてぶてしさの顔だ。
 2匹は
 「ゆっくり!」
 「ゆっくり!」
 と仲よさそうに言い合っている。
 (*19 ゆっくり語はわからないので、そう見えているに過ぎないが。)
 
 しばらく観察していると、2匹は微妙な間隔をあけて並び始めた。
 (*19 漫才コンビの如きベストポジション。2匹はもともと相方なのかも知れない。)
 そして、やおらこちらに向き直ると、せーので同時に飛び跳ねた。
 「「ゆっくりしていってね!!!」」
 白黒っぽい方のゆっくりは満足そうに去っていった。
 何がしたかったのだろうか。
 なぜ紅白っぽいゆっくりも、どこかやり遂げた顔になっているのだろうか。
 謎だ。
 (*20 確かに1匹の時より迫力はあったが。)
 
 
 
 ・申の刻
 家に帰る。
 ゆっくりは相変わらず座布団の上でゆっくりしている。
 試しに畳の上に置いてみるが、変わらずゆっくりしている。
 ちょっと意地悪して文鎮をゆっくりの下に置いてみるが、相変わらずゆっくりしている。
 しかし、これが母に見つかり、筆記用具を床に置くな、生き物(?)の下に敷くなとしかられた。
 (*21 理不尽。)
 
 説教から戻ってみると、相変わらず座布団の上でゆっくりしていた。
 
 
 特記事項。
 部屋にあげる前に足(?)を拭こうとひっくり返したが、ゆっくりは汚れていなかった。
 さんざん草の上を這いずり回っていた筈だが。
 汚れがつかない体質か?
 もしかして、微妙に浮いているのか?
 見た限りではそんな様子は無いが。
 興味は尽きない。
 
 
 
 ・酉の刻
 夕餉を戴く。
 ゆっくりも連れて行く。
 人間の食事を食べさせるとどうなるか知るためである。
 
 案の定、人の食べ物なら何でも食べた。
 芋。ご飯。佃煮。お豆腐。味噌汁も飲む。
 どこまで食べるのかは知りたい所であるが、
 もともと小食な私に用意されるご飯は少ない。
 今度、家人に言ってゆっくりの分を作らせようか。
 (*22 ちなみに、わさびの葉っぱも食べた。)
 (  こころなしか「しあわせー」の時の涙の量が多かった気もするが。)
 
 
 
 部屋に戻ると、ゆっくりはうつらうつらし始めた。
 そろそろ寝る時間なのか。
 まぁ、昼行性なのだろうから、それも然りなのかも知れない。
 (*23 それにしては、朝が遅い気はする。)
 すっかりゆっくりの居場所となった座布団の上に乗せてやる。
 さて、明日はどんな事をしようか……
 
 
 
 ジジジジジ――――
 
 
 
 蝉の声が聞こえる。
 夏も折り返す。
 
 私の一生は、余人に比べると蝉のように儚いものだ。
 そして、その間為すべき事は生まれる前から決まっている。
 自然と毎日が忙しなく過ぎていく。
 そのこと自体に、不満はない。
 ただ……
 
 
 
 「ゆっくりしていってね!」
 唐突にゆっくりが鳴いた。
 
 ゆっくりを見る。
 短い人生、偶にはこいつのように無為にゆっくりと過ごす日があっても、
 それはそれでいいのではないか。
 
 
 
 為すべき事があり、
 愛すべき世界があり、
 そして時にはゆっくりする。
 
 
 
 ああ、なんて素敵な人生――
 
 
 
 「……はい、私はとてもゆっくりしていますよ」
 そう、ゆっくりに話しかける。
 
 
 
 ゆっくりは、やはりどこか満足そうな顔をしていた。
 
 
 
 ・戌の刻
 漸くゆっくりが就寝する。
 寝るのはいいが、座布団に涎は垂らさないで欲しい。
 (*24 実はお気に入り。)
 そっと涎を拭いてやる。
 
 いつも舎人が進捗状況を聞きに来る時間だったが、
 今日は何故か入り口のところで帰っていったようだった。
 
 
 
 ・亥の刻
 就寝。
 私がである。
 「……ゅ~……ゆっくりしていってね……」
 そんな寝言を聞きながら、床につく。
 おやすみなさい、ゆっくり。
 
 
 
  ・ ・ ・
 
 
 
 以上が、ゆっくりを1日観察した記録である。
 読んでいただければ、非常にゆっくりとした生態であることが分かるだろう。
 “ゆっくりしていってね”
 この不思議な言葉を発する何者かは、ともすれば忙しなくなりがちな私たちに対する、世界からの警告なのかもしれない。
 
 とまれ、彼らは実に無害でお気楽な生き物(?)である。
 幸いにというか、ゆっくりは人に構われるのを好むため、いじり相手にぴったりである。
 (*25 つっついても楽しいし、枕代わりにも丁度良い。)
 私ももう少し、この新しい隣人を観察していく事にしよう。
 
 それでは貴方も、幻想郷で素敵なゆっくりライフを。
 
 
 
 
 
 
 ……なんてね。
 
 
 
 
 
 
 『癒作狸観察記』   九代目稗田阿礼乙女 稗田阿求 記ス
 
 #image(http://loda.jp/yukkurinonbiri/?id=3.png)
 
 ================================================================================================
 '08夏コミで購入したゆっくり合同が面白かったので、
 ゆっくりの生態がこんなでもありかな、と思ったifです。
 
 ちなみにあきゅん合同は買えませんでしたとさ。
 
                                 -- うりとぅん ばい "むの人"
 
 ----
 - こういう視点で見るのもいいなぁ。野生ゆっくりの生活も観察してみたひ。ゆっくり合同も何とか買えたです。  -- 名無しさん  (2008-08-22 00:42:14)
 - 最近は、こういう、「ゆっくり!」しか言わないゆっくりになぜか惹かれる……。  -- YT  (2008-10-21 17:42:50)
 - そろーり、そろーりに萌えたw  -- 名無しさん  (2009-08-17 03:16:33)
 - 改めて見るとやっぱり完成度高いわぁ &br()阿求可愛いしゆっくりも可愛いしで、完璧です。  -- 名無しさん  (2009-08-18 01:15:25)
 - 可愛くて最高。観察記っぽさがたまらない。  -- 名無しさん  (2010-05-03 11:42:22)
 - 画像貼り付けテスト。(むのひと)  -- 名無しさん  (2011-06-04 22:24:52)
 - うおお、挿絵すげー!あっきゅんに仄かなエロスw  -- 名無しさん  (2011-06-05 01:09:18)
 - 可愛い! 可愛いよコレ!  -- 名無しさん  (2011-06-05 01:26:40)
 - あっきゅんアヘ顔に見えるんだがww  -- 名無しさん  (2012-02-28 00:05:48)
+- 魔理沙と霊夢はお決まりのパターンだわ、うん!  -- 名無しさん  (2012-04-23 22:28:34)
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