空の境界にすっかりハマってしまった愚人

幽かな風に包まれた、しずかな林。

幽かな林に包まれた、しずかな広場。

処は、まんなかに一本だけ、すら、と科の木が伸びる小さな間。

黒緋の髪が揺れ、笛の音色に満たされた、小さな間。

時季は初夏。六の月に入ったばかりで、各地は梅の雨に潤う。
この地もそれは例外ではないようで、今こそ雨は降っていないが、周りの葉々には、ひとつ、ふたつ、としずくが滴っている。
それらしずくは暖かな木漏れ日を受け、きら、と輝き……。

「やぁや、こんにちは!」

もうひとつ、はじけるように輝く笑みがひとつ。


― 或る女剣客の噺 ―
三の幕「狭霧」


「紫の赤みがかった髪の」
「黒緋の髪に金眼!?お客様、<猫>に逢われたのですか!?」
「……猫?」

先ほど林で出会った不思議な少女――狭霧カヤの笛の演奏をすこし聴いた後、近くに村はないか?と鈴音は尋ねた。
途端、狭霧カヤは鈴音よりは大きめのその体躯を見る見る縮こませ、ただ一言、
「ある」
とだけ答えた。

■                             ■

羽橋鈴音、歳は十七。
自身の剣の師である白然緋儚とはもう一年も前に分かれ、その儚師のはからいで、今は武者修行の旅をしている。
この辺り一帯は山のみで、鈴音はふもとにある港町よりこちらへやってきた。
本来ならば、この地へ寄るつもりなど鈴音にはなかったのだが、馬車にて峠を超える際、ふ、と林の脇より笛の音色が聞こえたのである。
なぜか興味が湧き、そちらの方へ足を向けたところ……。

「大丈夫でしたか?首はお絞めになってませんか!?」

などと、立ち寄った村の、宿屋の女将がいきなり色々とわけの分からないことを言うのである。


この村、名を四ツ山と言う。
四方を山に囲まれている所からその名が来たこの村は、住人の数は二百にも満たない小さな村だ。

全体的に藁作りで統一されている家屋は、集会所のような大きなところが一軒に、その他一回りそれより小さめのものがちらほら。
商店などは数えるほどしかない。

それもそのはずで、ここの住人は大概が山にて山菜を摘むか、獣を狩るかで、基本的には自給自足が成立してしまっているからである。
その他必要な食料や生活用品などについては、折を見て一部の者達が遠出をして買いだしに行っている。

今鈴音がいるこの宿屋も、普段宿屋を営んでいるわけではなく――こんな山間の村では訪れる旅人などそういないだろうから繁盛しないだろう、常は料理にて重宝する酒や調味料などを扱う商店を開いている一軒だ。

手持ちはいくらかあったため、それをここの主人の妻であるその人に渡したら、すんなりと泊めてもらえることになった。
ちなみに、こうやって先ずお金を差し出す、というのは自身の剣の師であり、ある意味では育ての親でもある白然緋儚直伝の世渡り術であったりもする。

そして、鈴音がここの女将に狭霧カヤについて尋ねてみたのは、丁度準備してもらった夕餉を食べていた時のこと。

「えっと……彼女をご存知で?」

たっぷりの山菜と麦ご飯、それに少々の汁とでお腹を満たし、今は女将と一緒に白湯なんかを飲んでいる最中、鈴音は尋ねた。
女将の旦那――この店の主人は、現在は居らずどこかしらへと仕入れにいっているそうなので、この母屋へは鈴音と女将の二人のみがいる。
顔に刻まれた皺を見るに、この女将、年の功は四十程であろうか。

「えぇ、知らないのですか?」

話によると……。


この四ツ山村には<鬼の飼い猫>に関する逸話があるのだそうな。


その昔、人ではなく鬼が覇権を握っていた時代。
当時、人々は鬼を退けようと色々と策を弄したそうだが、苦戦を強いることとなったのが、鬼達の使役する猫だった。

鬼達は、笛をつかい、猫を操っていたそうな……。
「笛の美しい調べに騙されると、痛い目を見る」
とは、この国の人々が時折使う言葉で、
「笛の音色のような美しい女でも、見た目に惑わされるな」
ような意味で使われている言葉であるが、それは、この辺りから来ているのであろう。

三尺と五寸ほどの体躯である猫は、禍々しい紫に少量の朱を加えた黒緋の体毛と、見るもの全てを吸い込むかのような、金に光る両の眼を持ち、喉から発せられる奇怪な嘶きで人々を操り、人同士で争わせたらしい。
だけでなく、猫自身の戦闘力もかなりのものであったから、人々は為す術も無く、ことごとく敗れていった。

それらに果敢にも一人で立ち向かったのが倭教の崇める武の神、大和天主神であり、其人が扱った武器が現在倭教に納められている御神刀であり――

かの胡散臭い宗教の名が出てきた辺りで、鈴音は話を聞くのを放棄してしまったため、この先のことは詳しくは分からなかった。

それからしばらくは、白湯で喉を潤しながら耳に入る言葉を華麗に聞き流していたのだが。


「あの猫の化身が、狭霧カヤなのです」


という女将の発言で、また耳を傾けることとなった。



「何もかも遅すぎた」というが、この世には「何もかも遅すぎた」出来事しかない。

※「黒緋」→「くろあけ」



ずん、と腹部に重い衝撃が走る。

それが男の足、と気付くと同時に、かは、とどこか気の抜けた息が私の喉から漏れる。

惨い。とっても、惨い。

地面に横たわる私は、その足を確認する度に、土埃を舞わせる。

土埃の中に、赤い小さな雫たちが混じる。

紅いその玉雫に、土埃たちとが絡み合い、そのまま両者は互いに互いを攻め立てながらも地へと溶けていく。

その様を、なぜか私は、とてもキレイだ、と思った。

セカイはこんなにもキレイなのに。

どうして私はこんなに――

目線の先を、見上げる。

黒緑に染まる樹の葉々が見えて、その先にはただの黒に染まる空が見える。

月が、見えた。

それはとってもキレイな、丸い円い、新月だった。

■                             ■

辺りは完全な闇色。
天井に取り付けられた窓の先には、鈴音のいる室内を満たす闇よりももっと濃い漆黒が広がっている。雲は無く、月は弓のように張っている。
先程の女将も寝付いてしまったのか、音は虫たちのさざめきのみだ。

夕餉を済ませ、なんと湯浴みまでさせてもらい、すっかり満足げの鈴音はこれまたこのような村にあるにしては質の良い(といっては失礼だが)布団の中へとぬくぬくと沈まっている。
部屋の隅には、刀と麻の肩掛け鞄と、眠りに付く前までは鈴音を包んでいたスリップドレスが綺麗に畳まれて置いてある。
今は、女将から貸してもらった簡素な浴衣を身に着けているためスリップは不要だ。

「あの猫の化身が、狭霧カヤなのです」

女将がそのように言った後、このように続けた。


そもそも狭霧カヤは、この四ツ山の村の出身ではない。
今から十四年ほども前(鈴音はまだ三つだ)、ふらりと両親と共にこの村へと流れてきた。
しかし、両親の方は狭霧カヤを残し、またそのままどこかへと流れてしまった。
当時の村の様子を知る者によると、
「お二人とも尋常でないような顔で・・・」
だったそうである。

兎にも角にもとして、残された狭霧カヤはある村人の下へと預けられるのだが・・・。

黒緋の髪。金の瞳。
ただでさえの異形であり、外界からの人間である。

村、というのはそれだけで一つの社会が出来上がっており、故に外界の人間をとかく拒む習性にある。
村意識は、村人の間では強固な団結力として形を成すが、それ以外の人間に関しては容赦なんてものはないわけだ。

そのような出で立ちであるからにして、いくら子供であるからとはいえ、当然まともな扱いは受ける筈もなく。

「まぁそりゃあ、酷い扱いでしたよあの娘は」

あまり詳しくは覚えてませんけどね、と続けた。狭霧カヤは、とかく生傷の絶えない日々であったそうである。

形は違えども、鈴音も同じように過去苦しい日々を味わってきた者なのて、少々の同情を覚えた。
鈴音は親に捨てられ、狭霧カヤもやはり似たような・・・。
だがしかし、この倭教の混乱が始まり始めた時代、このようなことはそう珍しいことではない。

(なんてどうにもならない世の中・・・)
鈴音は思ったものだ。



これから博多に行ってくるとです。
あそこの駅にとらのあなでも出来てくれたらいいんだがねぇ。
目星のモノが本屋くらいしかないっすよ旦那。

※「惨い」→「いたい」
※今までの謎なあとがきには飽きたので、ノーマルに戻したお



狭霧カヤがこの村へ流れてきて、数年の刻が経った後。
今から丁度三年前の事になるか……。

狭霧カヤは十六回目の誕生日を迎えていて、その年の夏の暮れに新たに村へと流れてきた者がいた。
なんでも、夫妻らしき若い男女だったそうな。
勿論、彼らも狭霧カヤ同様まるで歓迎などはされなかったのだが……。

「ひ、ひ…鬼の……飼い猫!?」

村にいた狭霧カヤを見て、若い男がいきなりそう口にしたのだ。
この男、火呂九柳斎(ころのくりゅうさい)と言い、腰には大小の刀をぶら下げていた。
引き締まった体躯を見るに、武芸も少々は嗜んでいるらしい。

<鬼の飼い猫>。
いきなり何を言うのか、と狭霧カヤも含め村の者は思ったが、
「あまりにも凄い形相」
だったので、耳を傾けざるを得なかった。

そして、その逸話こそが、先に女将が話した<鬼の飼い猫>に関する説である。

一目見て、火呂はその狭霧カヤの姿を猫の化身と思ってしまい、
「首を絞める羽目になるぞ!皆逃げろ!!」
などと、叫んだようだ。
…首を絞める、というのは比喩ではなく、
「喉から発せられる奇怪な嘶きで人々を操り、」
という辺りから出てきた表現なのだろう。文字通り自分で自分の首を絞めさせられる、ということか。

――そもそも、村、と言うのは確固たる社会が形成されている代わりに、とかく情報量が少ない。
いくら外界の人間を信用できないとはいえ、多大な情報を持つのもまた、外界の人間なのだ。
更に、この当時は外界との遮断、という考えを改める方向へと村の方針が進み始めていた(狭霧カヤの扱いについては何も変わらなかったが・・・)。

故に、情報の信憑性についての優先度は限りなく低くなる。
故に、狭霧カヤは、より迫害されるようになるわけだ。


――事の発端は、狭霧カヤが十六回目の誕生日を迎えた後、その年の夏の暮れのことであった。


■                             ■


以上が、女将によるところの話だ。
現在も火呂九柳斎ら、三人の者は村に住んでいるらしい。
むしろ、有益な情報を与えた者として、狭霧カヤとは違い大いに優遇されているそうな。

――なんともまぁ、出来すぎた話だ。

濃闇の中、鈴音はそう思わざるを得ない。
<鬼の飼い猫>の説は実際にあるかもしれないが、仮にあったとしても火呂が語ったのはそこから適当にでっち上げただけの話だろう。
黒緋の髪、金の瞳、そして、笛を扱う。
ここまであまりにそのまんまだというのに、村の者たちは気が付かなかったのだろうか。恐るべき村社会。

しかし、この場合ひとつの大きな問題が残る。
火呂が語った話はでっち上げというのは確定事項として、なぜそのようなことを語る必要があったのか。
単純に考えれば私怨の類、が一番近そうではあるが……。

いずれにしても……。
――鈴音の中の「悪」に対する「斬」の心が、おくびを出してきたようだ。



今日はカラオケに行ってきた。
魔理沙は大変な(ryを一般人の前で歌ってきてやったZE。



羽橋鈴音がこの四ツ山の地へ訪れ、最初に狭霧カヤと出会い、感じたものは。
「―――猫みたい」
であった。

肩にかかる紫の濃い緋色の髪、好奇心に満ち溢れていそうな金の眼。
羽織っているのは、もう夏に入るというのに腕を隠す長い袖の黒いパーカーに、下はおよそ夏らしい、臙脂のタータンチェックのミニスカートである。
僅かに見える黒塗りのスパッツが、すこし、白い膝小僧を隠している。

「ねぇねぇ、あなたのお名前は?」
馬車を降り、半刻ほど歩き、この少女の下へと到着した。
空の雲はなだらかで、陰のある晴れ間がぼうとした青い空に覗く。

「初めて出会った相手に、先に名乗る趣味は無いけど」

――どこか、冷めている鈴音である。
普段ならば初対面の相手、かつ年上そうな敬語を使うだろうに、今に至ってはまるで使う気が起こらないようである。
ぱっとした雰囲気では年下に見受けられるが、体つきや女性らしい膨らみを視るに、いささか、羽橋鈴音よりは年上であろう。
片手には、竹管の横笛を下げている。

「や、そっか。わたしは狭霧カヤ!」

少女――狭霧カヤは、鈴音の態度など気にした風もなく、ぴょこん、と飛び跳ねるかのように言った。

「……羽橋鈴音」
「こんなところに何しに来たのかや?あ、刀もってる。むしゃしゅぎょーの剣客さん?」
「うん」

羽橋鈴音のスリップドレスの腰には、黒鞘に包まれた六影宗一二尺四寸二分がある。
背格好は、旅人にしては軽装で、簡素な麻の肩掛け鞄のみである。足はちゃんと、動きやすい革の靴を履いている。

「あ、」
「なに」
「――笛、聴いていかない?」

唐突に、言って。
狭霧カヤは、ちゃ、と笛を横に構えた。
天に伸びる科の木から、ぽたん、と雨滴の名残が落ちた。



翌朝。
「寝床が無いならうちにまた来ても構わないよ!」
昨夜は敬語だったのに、いつの間にか砕けた言葉遣いに変わった女将の言葉を背に受けながら、鈴音は宿屋、もとい商店を後にした。
背格好は昨日と同じ、スリップドレスに腰にぶら下げた刀だけだ。鞄は女将の所に預けている。

まだまだこの村には長居することになりそうなので、鈴音にしてもその好意は大変有難いことだ。
女将にしても、齢十七の鈴音を一晩のうちに娘のように思ってしまったらしい。
刀を取れば、齢十七にして一流の剣客である鈴音だが、常では齢十七にしてどこぞの清楚なお人形のようにしか見えない鈴音であるから、致し方のないことであろう。
とは言えども、ちゃんと金を取るつもりなのはやはり商人としての性なのか。

村を歩く際、やはり朝起きていた村人たちからは鈴音には不審な目が向けられた。
いくら外の者への意識を変える方向へと村が動いているとしてもそう安々と、人々の底に根付いた意識、というものは簡単に消えるものではない。
鈴音としてもそれは分かっているので、ただ軽く一瞥するだけに留めておいた。


空は、昨日の快晴とはうって変わって、薄らと灰白に染まる雲たちがもくもくとかかっている。
そのせいであろう、林の中もじめじめと湿っぽい空気が充満している。


鈴音は、先ずは火呂九柳斎ではなく、狭霧カヤから話を聞こうと考え、このように林の方へと足を向けたわけである。
どうせ話を聞くならば、単純に面識がある相手の方が良い、と思ったからだ。
主な居場所が分かるわけではないので、とりあえず昨日出会った広場を目指す。

峠から林へ入ってくる道のりは、とても「道」といえるようなものではなかったが、この一帯は村の者も使用できるようにある程度の道が敷かれている。
せいぜい、道らしくするために木々を切り倒して作った、という程度だが、何も無いよりは遥かに歩きやすい。
鬱蒼と生い茂る草木たちの絡んでくる蔦、ひょいひょいと飛び出た枝、というのは林を歩く者にとって邪魔なことこの上ない。


件の広場へ鈴音が着いたのは、丁度一刻ほどの時がたった頃だろうか・・・。
流石に、林道はここまでは延びていない為、途中で道を外れることとなった。昨日、村へ行くために使った道のりと同じだ。

果たして狭霧カヤはいるのか・・・。
「あ、りんね!また来てくれたかや!」
と、考えるまでも無く、黒緋の髪が鈴音の視界にご参上した。

もうそろそろ夏だというのに、長い袖の黒いパーカー。色はしっかりくすんでいる。
こちらはそれなりに夏らしい、タータンチェックのミニスカート。
やはり昨日と同じ格好だ。

この林の陰鬱な空気を吹き飛ばすかの如く、爛々と輝く狭霧カヤの表情だが、これから鈴音が聞こうとする内容は、その爛々と輝く表情を吹き飛ばすかの如く、陰鬱な内容となるだろう。

「火呂九柳斎という男について」
事実、鈴音が言葉を最後まで言い切る前に、一瞬で表情が固まってしまった。
「どう考えてる?」
唐突な質問、というせいもあってか、表情が固まった後、そしてすぐさま暗い昏い表情となった。

■                             ■

「や・・・あぅ・・・なんで」

狭霧カヤは一向に答える気配もない。
それもそうだ、昨日知り合ったばかりの羽橋鈴音に、赤の他人に自分の心的外傷(トラウマ)をほじくられようとしているわけなのだから。

「悪を斬るのが私の信念だから」

どういう経緯でそれを知ることになったか、そういったことは一切伏せて、ただそれだけ鈴音は言った。

湿気のこもる、人々の気分すらも淀ませる空気の溜まった林。
それはこの広場も例外ではなく、いくら空が見えるとはいえ、じっとりとした大気が蔓延していた。
周囲に広がるは鉄色と錆色の樹木や土たち、上方に広がるは鉛色の雲。

ただ一言、一寸の嘘偽りも無く、鈴音はただ言い放った。
凛、と涼やかな鈍色の瞳。濁り、というものは微塵も感じられない。

「え・・・う・・・」

意味も無く、ただ狭霧カヤは喘ぎを洩らす。
しかし、その中には少々の戸惑いも感じられる。
今まで、彼女にそういった、「救いの手」を差し伸べたものは、誰一人としていなかったからだ。

鈴音としては、特に「救いの手」が云々と意識しているわけではなく、ただ己の信念に遵っているのみではあるが・・・。
――もちろん意識していない筈は無く、無意識下のうちに、自身の理不尽な過去と狭霧カヤの理不尽な過去とを重ねている風もあるわけである。
この羽橋鈴音も、なんだかんだでお人好しなわけだ。

だがしかし。
「うぅ・・・知らない!知らない知らない!!何も知らない!!」

敵に怯え、必死で威嚇をする猫のように、いたずらごとを隠す童のように、駄々をこねた。
仕方の無いことだ。
自分を助けてくれるかもしれない存在といえど、今までの経験則が狭霧カヤの中にはある為、そう簡単に受け入れられることではない。

「あの人は何も悪くないかや!帰って!すぐ帰って!!」

体いっぱいで精一杯に、喚いた。
こうなってしまってはどうしようもない。

「…また明日来る」

そう言い、鈴音は身を翻しこの場を去っていった。鈍色の長い髪がふわ、と揺らめいた。


――基本的には鈴音の予想したとおりの応対だ。
見ず知らずの他人なのだからこれが当たり前だろう。

ただ・・・。

「あの人は何も悪くない」

そのくだりが少々気になった。
単なるかばい立てなのか、狭霧カヤ自身に大きな非があるのか・・・。

気になったことといえば、もう一つ。

狭霧カヤと話をする際、いや、それよりももう少しほど前からのことだが・・・。
こちらを凝、と見つめる視線を、鈴音は感じていた。



今更ではあるが、このページより前、すなわち2ページ目以前の内容と今の内容とでは矛盾が発生しとるかもしれませぬ。
もちろん、ちゃんと後々修正する予定ですので、あしからず。

2ページ目以前が「彼女刀」ベースで、現在が「或る女剣客」ベース。
基本は同じといえども、少々の違いがある。


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