新生古アルカ(sadsidarka)とは2004年11月19日のアシェットの新年会議において、リーザ(当時35歳)とリディア(当時20歳)が神話『幻想話集アティーリ』の世界の中で話されていた古アルカを作ることを第四代第四期ルシーラ・エ・アルシェのセレン=アルバザード(当時23歳)に依頼して、創作された言語である。創作された時代は既に中期制アルカ(2003年6月頃~2005年12月19日)の時代であり、文法面では制アルカの影響も強い。
神話上の古アルカは、原初の男神エルトと原初の女神サールが意思疎通したときに出来た神々の言語であり、この言語は神話上のアシェットが制アルカを作るまでの約6500万年間変化することなく神々と人間たちに使われたという設定になっている。しかし、実際の古アルカは時代によって絶え間なく文字・音声・語彙・文法が変遷したものであり、自然言語に影響された語を持つものであり、神話の設定に使うには矛盾がある。そのため、神話で利用できるように整備された古アルカの作成が求められたのである。
この新生古アルカの作成が決まり、リーザは2003年7月20日以降公私を問わず使用が禁止されていた古アルカを解禁した。既にこの頃には使徒たちがある程度制アルカを習得しているため、混乱は起こらないと判断したためである。
ちなみに新生古アルカという名称は、現実世界での名称であり、前期アルカ中期アルカ後期アルカのような各種古アルカのヴァージョンの一つと位置づけられるが、神話上では単に古アルカと呼ばれ、ヴァリエーションの変遷はなかったとされる。


音声

メル・アルカの音韻体系をモデルにした24子音5母音の音韻体系。制アルカと比べ、/歯茎はじき音/ /無声歯舌摩擦音/ /有声歯舌摩擦音/ /無声軟口蓋摩擦音/が多い。

/p//b//t//d//k//g//m//n//r//歯茎はじき音//f//v//無声歯舌摩擦音//有声歯舌摩擦音//s//z//無声後部歯茎摩擦音//有声後部歯茎摩擦音//h//歯茎接近音//j//l//w//x/
/a//i//o//e//u/

制アルカでは、/歯茎はじき音/は/d/か/l/、/無声歯舌摩擦音/は/s/、/有声歯舌摩擦音/は/z/、/無声軟口蓋摩擦音/は/h/か/k/になっている。

実際の古アルカの音声は最大時で子音は39、母音は15だったが、それらの音で発音された語も、新生古アルカの24子音5母音の音韻体系を適応するため、実際の発音と異なる点がある。

アクセント

高低アクセント。非拘束アクセント。糸と紡ぐはどちらもmeliだがどちらが高いかで区別される。そうでないものが有標なので、アクセント記号をつける。
といってもアクセントがいるのは音素や音声を表記したときだけで、この場合、母音の上にアクセント記号をつける。アクサンテギュと同じマークである。
表意幻字にはアクセント記号は付けないので注意。

文字

表音文字

新生古アルカの音声を表記するため、新たに4つの表音文字が作られた。
神話上の設定では、制アルカを作る際に古アルカの音声を表す表音文字が作られ、音声表の子音の一番下の段にこれらの文字があったが、後に音声統合により一番下の段が削除されて、現在の幻字表の形になったという設定である。無論、現実には後世の創作である。

この記事では便宜上、/無声歯舌摩擦音/を"th"、 /有声歯舌摩擦音/を"dh"、 /無声軟口蓋摩擦音/を"kh"、/歯茎はじき音/を"rh"を表記する。

文字名 古アルカ字形 制アルカ音声 意味
thec theere seere 静か
dhot dhot zot 登る
khan khanoi hanoi
rhik rhiks liks

表意文字

音声が自然言語由来のものであっても、文字自体は残し、同一の意味で使われるようである。rhai(火)はライターから取られたが、文字はfaiと読まれて残る。
アルカ・エ・ソーンの幻字は、辞書『暫定語彙帳』の字形欄が墨で塗りつぶされて判読不能であるため、ほとんど使用されない。しかし、メル・アルカの幻字統合で流入したものや、抗争時に入手した情報で判明した字形、リディアの依頼によってクミールに思い出してもらった字形は採用されるようだ。

表意幻字の数は『制定語彙』と『高水準制定語彙』を足した1498字に若干のソーンの字とメル13年の調査時には定着しなかったメル・アルカの新字を合わせた約1500文字である。

語彙

自然言語由来語彙は削除され、セレンによって別の語で表すか、新たに音象徴で語彙をつくるなどされた。
語彙数は、『制定語彙』と『高水準制定語彙』6103語のなかから、幻字の定まっていないものと自然言語由来の語彙を除いた5443語に若干の語彙を付け加えたものである。
ただし、この中からejan(サランラップ)のように、科学水準が17世紀のヨーロッパと同程度の神話時代に存在しないものは排除される。この語彙は、設定では後世、制アルカの時代になって作られたと言うことになる。


文法

統語

メル・アルカ制アルカと同じSVO語順。後置修飾ただし例外あり。前置詞使用。
メル・アルカには7文型あったが、新生古アルカは英語と同じく第一文型SV、第二文型SVC、第三文型SVO、第四文型SVOO、第五文型SVOCの5文型を持つ。なお、制アルカにはSVOしかない。
動詞は自動詞と他動詞があるが文脈判断である。

品詞

名詞、動詞、時相詞、指示詞や助動詞相当物などを含む形副詞、純詞、格詞、接続詞、天秤詞、感動詞、雑詞の計十個である制アルカと違って関係詞がない分、天秤詞が代わりにある。
雑詞は@や^のようなもので、取り立てて一つの品詞とするまでもないものである。

名詞

名詞は制アルカと同じく数・性・格などによる変化はない

代名詞

1人称 2人称 3人称 4人称
an 男→ lusso sou oni
del 女→ dyussou
non 男→ tis luu
女→ tit
無生 lu

※男性一人称は基本的にdelであるが、メル・アルカ以降はanである。
※古アルカでは本来4人称はなく、それがあるのは中期制アルカの影響である。

tu これ、rhu あれ、latu ここ、larhu あそこ。

制アルカではfin lu(この男)のように有生三人称を使うが、古アルカでは無生を使う。
viku tu この男
fai tu この火

疑問詞

nee 誰
al 何
komo なぜだか。komo an kekkod なぜか私は来た
io なぜ。io tis kekko? なぜ君は来たの?
ala 一体なぜ(非難)。ala tis kekko?? 一体なんでお前は来たんだよ!
mun どうやって、どのように
rhat どれ


動詞

動詞媒介の「-」は必要ない。制アルカと同じように名詞と同じ字形と語形でそのまま動詞になる
自動詞か他動詞かは文脈判断である。

時相詞

制アルカと同じく時相詞をつけて動詞の時制と相を表わす。制アルカと違うところは二つ。時相詞の部分は強く読まないこと。そして時相詞はつけなくても良いこと。付けないと無時制かつ無相になり、時制と相が不明になる。
時相詞は制アルカと同じく時制が過去現在未来で、相が同じ五種類。時相詞の字は動詞の右下に付ける。これがあるから動詞媒介が要らない。時相詞がそのまま動詞媒介も表わしているというわけである。
時相詞の音価は時制+相である。制アルカと同じ順番である。時制を読んでそれに相を繋げる。ただ、制アルカと違って時制の音価は母音でなく子音なので注意がいる。

過去 t 前が有声音なら同化してdと読む
現在 r 前がl, t, d, nなら同化してlに、cならcになる
未来 s 前がzならzに前がxならxに、前がjならjになる
前が有声音なら同化してzでも同化しないでsでもよい
通時 ra 古アルカでは現在形だった
無時制 なし 相も付かない。相を使うときは現在形を使用

将前相 yun baog/d/yun 殴りそうだった
開始相 ki ketta/r/ki 行き始める
継続相 tan lufa/t/tan 飛んでいた
完了相 so fai/s/so 燃やし終えているだろう
影響相 an

時相詞は専門の文字で示す。"|"のような縦棒が通時であり、"┴"のように縦棒の下に横棒が付くと過去、"+"のように真ん中に横棒だと現在、"T"のように上に縦棒だと未来を表す。
相は横棒の変わりに記号をつけて表す。上が丸で下が横棒なら将前相、上下が丸なら開始相、上下が横棒なら継続相、丸一つなら完了相、上が横棒で下が丸なら影響相である。

敬意表現

mi~reで表す。

kekko re 来い
mi kekko re 来てください。

否定

denを使用。制アルカosに相当する。
kekko den 来ない

受動態

juを使用。
baog ju 殴られる

繋辞

deを使用。「~でない」はde denでなく、denのみ。もともとdenはde jan「~でない」から派生した語彙であるため繋辞情報を含むため。ただし、これは無時制のdeのときのみで、過去形その他ではded den(~でなかった)のようにdenをつける。

an de viku「私は男だ」
an den viku「わたしは男ではない。」

形副詞

leで導く。省略可能。能動形副詞か受動形副詞かは文脈判断である。

viku (le) kai 大きい男
baog (le) vivi 強く殴る

モダリティー等を表すエクスプローダーだったものも副詞に吸収されているため、leで導くことが出来るが、大抵エクスプローダーだったものはleを省略する。

i lan 見たい

比較

noid >の意味。
noid den =の意味。

an noid tis de kai 私のほうがあなたより大きい。
an noid den tis de kai 私とあなたは同じぐらい大きい。

純詞

制アルカと同じく文頭文末に来る。ツンクを入れることもあるが、大抵は随意である。

格詞

古アルカでは前置詞といっていたが、格詞と同じものなので、分かりやすくするために格詞と呼ぶ。要するに制アルカの格詞と同じである。
制アルカの格詞と違う点は二つ。il(~から), ilen(~からの), ilat(il格関係詞。) はそれぞれ制アルカでは区別できるが、古でも新生古アルカでもできない。つまり、接続詞を作るen と関係詞を作るat がないという二点である。
かといってil 格で関係詞節が作れないわけではない。英語と同じく、格詞を最後に残すことによって表わせる。英語と違って格詞を関係詞の前に持ってきてon which などとすることはない。
格詞の例を挙げる。

poto:中、内
kal:~で、~に。場所
keima:~に。時間、時点を表わす
hyuhyu:上に
momo:下に
tanta:外に
konko:中に。中専門
sese:~の間、~までに(期間)
mulé:~から
ker:~へ、~に
keker:~について
i:右に
e:左に
fiina:~のために
muto:~の状態で
kon:~を使って。道具格
kokko:~と一緒に。具格
ruk:~を越えて。rukke(越える)から来ている
rukko:~のこちら側に
parh:前に。時間も空間も。過去か未来で論争が起きたが、制アルカと同じく過去が前
nut:後ろに、後で。nutxi から来ている
var:~の間中、~を通って。本来は~を通ってという意味はなかったが、比喩的に経路を
表わすことがあった。新生古アルカでは正式な用法にする

強調冠詞

caを使用。冠詞のような用法もある。前置で使用。
ridia ca hacma 使徒リディア

接続詞

enがないため、sa「前に」とsaen「前の」の区別はない。従って文脈判断。

連言 pas. "/"で表記可能。viku pas min 男と女
選言 pos. viku pos min 男か女

「~の」はメル・アルカ制アルカと同じようにekenoがある。ただし、kenoはnoにアクセントがある。

non keno hacma 私の勇者
hacma e non 私の勇者。

修飾節

ke~tuuで表す。()で表すということである。

non lo lu de kai 私はそれは大きいと思う。
non lo ke lu de kai tuu 私はそれは大きいと思う。

viku ke non id tuu 私が見た男
viku ke id non tuu 私を見た男

主格や対格以外にも先行詞に出せるが、格詞は括弧内に残される。
viku ke non futod mulé tuu 私が金を取った男。


天秤詞

いわゆる(笑)と(泣)に近いもの。メル・アルカでは前置されるようになったが、後置のほうが実際に使われた歴史が長いので新生古アルカでも後置する。"!"などもこれに入る。

感動詞

制アルカと同じ

雑詞

言う括弧や思う括弧のようなもので取り立てて何かの品詞とはいえない。

同格・挿入・強調

同格と挿入は同じ手続きで行う。追加したい部分を文中に割り込ませ、その前後にツンクを置く。こうすることで同格と挿入は行える。
古アルカでも新生古アルカでも同じ手続きである。
強調は強調冠詞のca を付けるほか、語順を入れ替えることでも可能。対格だけでなく与格なども前に出すことができる。前に出したら主格との境目にはツンクを置く。ツンクがあることで次の語が主格だと分かるからである。

引用・話法・台詞

メル・アルカの引用・話法をそのまま継承する。話法は直接と間接がある。直接の場合、言葉なら手紙括弧で括る。或いは制アルカと同じように「'」で括る。
小説の台詞などは制アルカと同じく喋り括弧が思う括弧を使って表わす・

外部リンク

古アルカ辞典@Wiki http://www32.atwiki.jp/kakis2/
※新生古アルカ時代の資料を扱ったページ

参考文献

セレン=アルバザード "「新生古アルカ」"
アルカの部屋 > 新生古アルカ 15|ruj|din 2004/11/20


セレン=アルバザード "sidarka1.lzh"
アルカの部屋 > 新生古アルカ系幻字

セレン=アルバザード "sidarka2.lzh"
アルカの部屋 > 新生古アルカ系幻字

セレン=アルバザード "sidarka3.lzh"
アルカの部屋 > 新生古アルカ系幻字

セレン=アルバザード "sidarka4.lzh"
アルカの部屋 > 新生古アルカ系幻字

セレン=アルバザード "sidarka5.lzh"
アルカの部屋 > 新生古アルカ系幻字

最終更新:2008年12月04日 21:59
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