古アルカとは、1991年7月19日(
メル暦2年
ザナの月
メルの日)から、2001年7月19日までのアルカのことである。さらに言えば、2005年11月20日、神話の地名や古い時代の言語を記すために整備された
新生古アルカも含まれる。古アルカは
アルシェという団体の言語として作られたが、1998年5月30日、
クミールが離脱し第四期第四代
ソーンを結成してからソーンでも使われた。
前期アルカ(1991年7月19日~1994年末頃)の時代は、
初代アルカと
先代アルカのほかに日本語やフィンランド語や英語を参照に語彙が作られていたアポステリオリ言語であったが、
中期アルカ(1994年末頃~1998年2月26日)の時代には自然言語由来の語が排他されアプリオリ言語になり、語順がSVからSOV、SVOに変わり、音声も新規メンバーが加入するたびに変化したため一貫性のない言語である。文化的設定も最初は各メンバーの文化が尊重されたが、次第に独自の文化を形成し、無宗教的であったものが、次第に独自宗教を開発する等、大きく様変わりしている。共通点は表意文字の幻字を使うところ、膠着語であることなどである。
古アルカの分類
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前期アルカ 1991年7月19日~1994年末頃
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前第一改定アルカ 1991年7月19日~1993年末頃
○○○
後第一改定アルカ 1993年末ごろ~1994年末頃
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中期アルカ 1994年末頃~1998年2月26日
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前クミール・アルカ 1994年末頃~ 1996年頃
○○○
後クミール・アルカ 1996年頃~1998年2月26日
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後期アルカ 1998年2月26日~2001年7月19日
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前ソーン・アルカ 1998年2月26日~1998年5月30日
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後ソーン・アルカ 1998年5月30日~2000年5月9日
○○○
アルカ・エ・ソーン 1998年5月30日~2000年5月9日 ソーンという分裂団体が発生したため、その団体内の言語はアルシェとは異なった進化を遂げた。
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メル・アルカ 2000年5月9日~2001年7月19日 再統合により統合された言語
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新生古アルカ 2004年11月19日~ 後世にアティーリにおける神話世界で使われる言語として再編成された古アルカ。
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神聖古アルカ 2008年12月4日~ 新生アルカ時代にアティーリにおける神話世界で使われる言語として再編成された古アルカ。
名称
この言語の元々の名称はアルカであり、古アルカという名称は
制アルカが作られてから、便宜的に名付けられたものである。また、アルカという名称がはじめて登場したのもここからである。
アルカという名は
リディアの使用するある言語で「つなぐ」を意味する言葉からきている。
リーザが1991年7月中旬(
メル2年ザナ月)ごろにリディアにアルカの着想を語ったことがきっかけでその名が生まれた。しかしすぐにアルカという名がその人工言語に適応されたわけでなく、はじめは無名の言語だった。それでは不便だということでリディアが慣用としてアルカと言い出したものが定着していき、やがてその人工言語はアルカという名が付いたのである。
尚、アルカという名が
アルシェで正式に認定されたという過去はないが、文献を見るに、この名はアルカを表わす幻字と共に1993年(メル4年)ごろには定着していたと考えられる。
概要
誕生
1991年7月中旬頃
リーザ(当時21歳)が、
先代アルカとフィンランド語の語彙からなる使徒用言語案を作成し、7月19日にリーザの娘
リディア(当時7歳)が
セレン(当時10歳)にその言語で話しかけ、セレンが応じたことから、この1991年7月19日を以ってアルカのコミュニケーションとしての機能を認めると同時に、アルカの誕生日とした。この
前期アルカの時代は、絵文字とジェスチャーを使った、日本語とフィンランド語と英語などを参照したピジン言語というのが実体である。文法も幼児的二語文であった。語彙も具体的名詞のみで、動詞も形容詞もそれぞれ数えるほどしかなかったようだ。
発達
最初はジェスチャーを含めた日本語とフィンランド語による原始的コミュニケーションだったが、次第に新規メンバーの加入により参照言語が増加し、音声や語彙が増大した。1993年末に第一次改定(
後第一改定アルカ)で文字が固定化し、語順もSOV語順に整備され、、1994年末の第二改定(
前クミール・アルカ)で音象徴が誕生して、独自の語彙が作られるようになり、形容詞が発達し、主語部分と目的語部分が長くなりSO境界が曖昧になったため、文法的がSVO言語として整備される等、次第に言語として成熟に向かった。特に第二改定の音象徴の誕生は、自然言語からの決別という意味で古アルカの第二の誕生といえる。そして、1994年頃から自然言語由来の語彙が排他され初め、多言語参照アポステリオリ言語からアプリオリ言語に転換した。
1996年ごろには
リーザを中心に
アルシェ全員で作り上げた古アルカ幻字辞典『
制定語彙』の誕生(
後クミール・アルカ)があり、アルカの語彙・表現能力が大幅に向上し、『
幻想話集アティーリ』などの独自の著作物が作られるようになった。
また、もともと各々のメンバーの文化を尊重し無宗教な団体であったが、1998年1月8日にはリーザ(当時28歳)がその娘リディア(当時13歳)が幼少期より作っていたキャラクターを神格化した多神教を公認するなど、次第に文化的独自性を見せ始めた。
アルテ信仰の公認を受けて、
フルミネアが創作占い
カーデの作成を決意。彼女が当時語形や意味に揺れが生じていた幻字の整備を
セレンに依頼、1998年1月11日より幻字帳『
赤アンクノット』の作成が開始された。2月26日ごろ、その完成を記念して第三改定(
前ソーン・アルカ)を開始。幻字の正しい書き方・書き順の制定し、幻字の意味の揺れを整備、母音を9個に決定、関係節の作り方の制定などを行なった。1998年3月8日からは、
セレンによって、
中期アルカと
後期アルカの形態論と統語論が記された文法資料『
青アンクノット』の作成も開始された。
分裂
1998年5月30日、
クミール=メテ(当時17歳)が
アルシェを離脱し、第四期第四代
ソーンを創設。以後、アルシェとソーンのアルカは、2000年5月9日両団体が
アシェットとして統合するまでそれぞれで独自の進化をとげることになった。特に
アルカ・エ・ソーンの変化速度は早く、統合する頃にはほとんど言葉が通じない状態になったという。
この時期アルシェでは第二の幻字辞典『
高水準制定語彙』が作成され、ソーンでは『
暫定語彙帳』が作られた。
統合と終焉
2000年5月9日両団体が
アシェットとして統合し、両団体の言語を折衷した
メル・アルカが誕生した。しかし、基本語は互いの言語のものを使って良いという強制力に乏しい規定であったことや、互いの思想の関係上使う語彙が異なること、ソーン側が覚えなければならないアルシェの語彙の数が多いことから成功しなかった。また、音声のばらつきや表意文字の語形の複雑化などの古アルカに内在する問題点も顕在化した。そのため、同年、リーザはセレンに新言語の作成を要請し、2000年11月1日のセレン・クミール会談でセレンによる新言語作成が合意された。
秘匿と公開
『アルカ』(2003年10月13日)によると、2003年7月20日以降アシェットでは独り言を含め、あらゆる場面での古アルカの使用停止という規則が出来ている。しかし、2003年10月13日版『アルカ』は、参照言語の古アルカの研究なしに制アルカの解説は不可能ということで特例として認められたという。
『新生古アルカ』(2004年11月20日)によると、2004年11月19日の会議で神話内の地名等に用いる
新生古アルカの作成のため、リーザが古アルカを解禁したという。その理由はこの頃には多くの使徒が制アルカを習得していたため、混乱は起こらないだろうと判断したためである。そして2006年夏、『新生人工言語論』が復活した際、制アルカに変わって秘密の資料を記すとき使用されるようになった。2007年以降、古アルカの資料がネット上で多く公開されるようになった。
後世の創作
アシェット内で実際に使用されることが絶えた後でも、神話上のアルテ時代からアルディアの時代に話される言語ということで、各々の時代において創作言語としてリメイクされ続けることになった。
中期制アルカが使用された2004年11月19日には、
新生古アルカが作られた。この新生古アルカは五相体系など制アルカの影響を色濃く受けている。
新生アルカ時代の2008年12月4日には、新生アルカを使用している当時の状況にあわせ細部を変化させた
神聖古アルカが作られた。
影響
古アルカは、
プロトタイプ制アルカ、
制アルカ、
新生アルカなどのちのアルカ語族の語彙の参照先の中核を占め、神名・個人名・道具名・地名・雅語などで使用されつづけている。また、新たに作られる語彙も古アルカの語形を参考にすることが多い。特に新生アルカでは、n対語が廃止されたため、大量に古アルカ由来の基本語彙の復古が起こった。
外部リンク
参考文献
セレン=アルバザード "
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人工言語アルカ >
神無アルカ 2008/10/01 0:20 GMT
※井上和子ほか『生成言語学入門』にある古アルカの小書き。2000年6月22日
最終更新:2009年02月28日 23:49