後第一改定アルカは1993年末ごろ~1994年末頃に使用された古アルカである。使徒の増加によって、彼らの語彙や文法が流入し、アルカ使用者が混乱したため、第一改定によって文字の形と読みの固定や文法のSOV化がおこなわれてた。

音声

各々の使徒の母語の音声が流入。音韻論は確立していない

文字

多数の変種が存在する表意幻字の字形の固定と読みの固定が行なわれた。火を表す幻字は[ɾai]が正しい読みとされた。ただし、音韻体系が確立していなかったため、リディアは[dai]だと思ってしまうなど齟齬が生じ、読みの制定は失敗した。更に言えばこのとき幻字が当てられた文字は少なく、多くは幻字が当てられずにいた。
直線と曲線の組み合わせからなる図形としての幻字の進化はこの前期アルカの段階で完了した。

神無アルカの表音幻字

語彙の増加に表意幻字の作成が追いつかなかった。
それを補うため、セレン(当時12歳)が神無アルカのために独自に作った表音幻字を参入した。しかし、この表音幻字はあまりに日本語と英語に傾倒したものだったため好まれず、ほとんど使用されなかった。しかし、この表音幻字で書かれた文書によって、中期アルカでIPAが導入される以前の表意幻字の音声を知ることができるため、後世の古アルカ研究の役に立った。

語彙

多言語参照アポステリオリ言語。フィンランド語(方言)・日本語・英語・その他の使徒の母国語と初代アルカ先代アルカなど。英語の割合が多い。英語からの語彙の流入が増えたのはこのころ機能語の流入に際して英語がメタ言語として使われていたためである。
英語をメタ言語に説明したことによって、先代アルカ由来の繋辞の[de]や否定の[jan]などが流入した。

推定語彙数

176語。
内、単純語124語。単純語のうち幻字が定まっているものは62語。他は複合語でこのうち32語は幻字による複合語である。
また176語の内、自然語由来のものは42語で、残りは初代アルカ先代アルカ由来のもの。
メル11年メルの月(2000年5月17日~6月13日)、リーザセレンリディアが1996年ごろに作られた『制定語彙』の中から、後第一改定アルカで使われたと推測される語彙の数を測定したもの。よって制定語彙作成以前に滅びた語彙、つまり自然言語由来の語彙の数はほとんど拾われていないので、もっと多かったと思われる。なおリーザの手帳は1998年末に焼却されたため使用できなかったようだ。

文法

統語

第一改定により、SOV語順という日本語に近い語順になった。動詞は時制が付くため分かりやすいが、主語を表す後置詞や目的語を表す後置詞がなかったため、長文になるとSとOの境界が分かりにくかったようだ。
繋辞が導入されたためSVC「S de C」のような語順も成立した。
修飾法は確立しておらず、「私は小さい女だ」という文章は前第一改定アルカと同じく「私は女だ」と「私は小さい」に分解した。ただし、繋辞が登場したため、[del de min]と[del de li:z]というように言われた。ただし、2番目の主語は大抵省略され「del de min de li:z」といわれるのが一般的だった。形容詞や副詞が繋辞のdeで導かれるのはこのことが原因である。
前期アルカの終わりごろは、リーザが修飾語と非修飾語の順番を意図的に変えるという逆転現象が生じた。
これによって[min de li:z](小さい女)は[li:z de min]になり、形容詞や副詞の類は前置されるようになった。
また、このころは、孤立語的性質が強かった上に格を表示する語がなかったため、倒置はほとんど行なわれなかった。又、同格や挿入なども避けられ、基本語順SOVは余計な粉飾なしにこのままの形で使われることが多かった。

動詞

繋辞はde。
否定はjan。
先代アルカから借用された接尾辞-dで過去をあらわす。

形容詞・副詞

[de li:z](小さい)のように「繋辞 + 語彙」の形で表された。[li:z]単体では形容詞にならない。
前期アルカの終わりごろには、SOV語順に適応させて、[li:z de]のように「語彙 + 繋辞」で表すという逆転現象が生じた。

接続詞

[tail] (逆接、しかし)と[pin](原因、なぜならば)のみ。順接はまだ存在しなかった。

感動詞

存在したが、幻字になったものはない。

格標識

前置詞も後置詞もこの頃はなく、「私は学校で泣いた」は「私は泣いた」と「場所は学校である」という2文で表していた。即ち[del ena]と[kal de nalu:ta]である。

例文

[del jan de matalo] (私 否定 繋辞 死) 私は死んでいない。

文献

リーザによる原始的幻字が記された手帳と1991年9月9日作成開始の幻字が記されたノートのみ。語の音や意味、或いは統語について記述がなされていたらしい。
ただし、1998年5月30日に分離独立したソーンとの抗争が原因で共に1998年11月ごろまでに焼却処分された。
そのほかは各々の記憶に頼る以外ないようだ。

神無アルカのプロトタイプとしてセレン(当時12歳)が記した手帳の記録が現存している。だが、これそのものはアルカに無関係で、意味がない。また、セレンのノートの端々に当時のアルカが記載されていたが、これは紛失してしまっている

参考文献

セレン=アルバザード"『アルカ』"
アルカの部屋 > アルカ 14|fav|zan
初代アルカ(1980)~2003/10/15当時の中期制アルカまでの歴史

最終更新:2008年04月19日 15:22