後クミール・アルカは、1996年頃~1998年2月26日に使われた
古アルカである。
前クミール・アルカから改定はないが、『
制定語彙』の作成と完成によってアルカの語彙量が簡単な日常会話レベルにまで到達し、独自の著作が作られるようになった。
音声
文字
制定語彙によって、幻字が増加。リディアは幻字が当てられていない神名を表すため、[arte](神)と[din](木の実)の文字を組み合わせて鈴蘭の神
アーディンを表すというように万葉仮名のような使い方をしたようだ。
語彙
前クミール・アルカに引き続き、
音象徴によって独自語彙が作られる。
制定語彙によって、同じものを意味する複数の語が乱立するという混乱の収拾をはかり、また生活語彙が整備されて、語彙の量は増加した。簡単な日常レベルの会話を自然言語を使わず可能にする程度に語彙が増加したため、この時期からアルカで記される文献が増加してくる。
この時期にも自然言語由来語は多く存在したはずだが、制定語彙が作られた1996~1997年ごろには自然言語由来語が排斥される傾向になっていたため、同資料にはほとんど収録されていない。
推定語彙数
1347語。
うち、単純語729語でこのうち幻字が定まっているものは611語。他は複合語でこのうち607語は幻字による複合語である。
1347語のうち自然言語由来の語は72語で、残りは
音象徴由来と初代アルカ・先代アルカ由来のものである。
メル11年メルの月(2000年5月17日~6月13日)、
リーザと
セレンと
リディアが1996年ごろに作られた『
制定語彙』の中から、後クミール・アルカで使われたと推測される語彙の数を測定したもの。よって
制定語彙作成以前に滅びた語彙、つまり自然言語由来の語彙の数はほとんど拾われていないので、もっと多かったと思われる。
文法
統語
SVO語順。前置詞使用。形容詞副詞は前置後置併用。
前クミール・アルカまでは修飾句は前置されたが、『
制定語彙』の登場によって長い修飾語句や修飾節が発達すると、それらは後置されるようになった。
また、同格・挿入・倒置の表現が登場した。
倒置は文語上では「O, S V」のようにツンクが挟まれ、口語上では休止が挟まれた。
動詞
符
制定語彙の登場により文語の頻度が増え、大過去radoや完了doraの頻度が増えた。
リーザは
後クミール・アルカで更に客観未来のse、推量未来のne、警告のsuを流入した。
大過去 |
過去 |
現在 |
客観未来 |
意思未来 |
推量未来 |
rado |
d |
ra |
se |
s |
ne |
命令は敬意を表す接頭語miと組み合わせて使うことがあった。
[keko re] 来い
[keko m] 来て
[mi keko re] 来てください
[mi keko m] 来てちょうだい(小さい子供などに甘やかし口調で言うときぐらいしか使わない。)
関係詞
文語上では無音の関係詞をおいて、その後に節を置いた。口語上ではまだ発音されなかった。
天秤詞
天秤詞とは、日本語の(笑)や(汗)や(驚)や(涙)に近い対人モダリティーを表す文末記号である。
文語による伝言が増えたため、冗談で言っているのか真剣に言っているのか話者の気持ちが伝わりにくいという問題があった。
そのため、リディアが
前クミール・アルカで作られた
テンペラや
クーノステイラのかわりに「楽しい」や「笑う」や「怒り」を表す幻字を使うことを思いつき、それが普及した。「男」の文字をおいて「男っぽく喋る」の意味を出したり、「強い」の文字をおいて「語調が荒い」の意味を表したりした。
天秤詞は本来、「かっこわらい」のように発音することはないが、
オヴィや
クリスは発音すると思ったため、彼らの作った天秤詞は発音され、「男口調」のgaや「女口調」のnが生まれた。
リディアは彼らをまねて「子供口調」のa:nを作った。これらの天秤詞はあとから幻字が当てられた。
例文
文化
メル8年ごろメルとクミールがチェスに似たゲーム
シェルトを作る。
リーザにより、使徒の結束を高めるため、アルテ信仰が推奨される。
アルテとはリディアが幼少期に空想した超自然的力を持つキャラクター群を神格化したものである。
それを受け、
フルミネアが
カーデの作成を開始した。
著作物
このころになると『
制定語彙』が作成され、それによって文章が今まで以上に多く生まれるようになっていった。使徒による論文も盛んになった。また、独自の文章も書かれ、翻訳もされた。更に散文詩も作られるようになった。だが、これらは全て
ルティア家が保管していて閲覧できない。
古アルカで書かれた使徒個人の日記などが存在するが、これらは
中期に全て焼却するように命じられた。これを受けて
セレンは前期や中期に関する記述が書かれたノート等を廃棄した。
『
制定語彙』は、メル7~8年(1996~1997年)にかけて
アルシェが作成した古アルカの幻字辞典である。基本的な幻字が記されていて、古アルカの表現力向上に貢献した。また、古アルカの著作物の中では権威の高い文献であり、その制定語彙で使われた
黒緑色が公文書を記す際の正式な色とされるようになったほどである。原本は事故により損壊。現存資料は復元された写本。
メル6年(1995年)ごろから『
幻想話集アティーリ』の原形が出来上がってきた。しかし、神名表意幻字が整備され、原形を保つようになったのは、『制定語彙』が出来た後のメル7~8年(1996~1997年)ごろである。この文献以後、神々の物語が徐々にアルカに現れたり記されたりするようになった。
文化
『
制定語彙』の登場以後、独自の著作や文書が出来るなど、次第に独特の文化が形成されていった。使徒を表す幻字が制定された影響で、リディアによるアルテを表す幻字が作られ、合わせてIPAの読みもつけて記録されるようになった。作られては忘れられる不安定な状況でなくなったため、各々のキャラクターに詳細な設定が作られるようになった。制定語彙の中の神の数は136人。内、幻字が当てられたものは21人、既存の幻字の組み合わせで書かれたものは75人、音と説明だけ書かれたものが40人である。
神々の増加によって、それぞれの社会性や秩序が創造され、
エルト(天神族)、
サール(地神族)、テームス(悪魔)などのグループができ、神の間の王政秩序や上下関係も作られた。そして、神と悪魔の戦いを描いた
ヴァステやエルトとサールの戦いを描いた
ラヴァスなどの物語が生まれた。
さらにこれら神々の物語の後に『
カコ』という物語をつなげようという考えが生まれ、幻想話集アティーリの原形が作られた。
多くの使徒は、アルテ信仰は馬鹿げている上に宗教禁止という使徒規則に反していると考えたが、1998年1月8日、リーザはアルテ信仰がアルシェの団結力を高めると考え公認した。
参考文献
最終更新:2008年04月20日 13:07