前第一改定アルカは1991年7月19日~1993年末頃使用された古アルカである。リーザ(当時21歳)が案を示し、リディア(当時7歳)とセレン(当時10歳)等の幼い使徒たちが使った絵文字やジェスチャーを含めたピジン言語というのが実体と思われる。

音声

文字

前第一改定アルカの幻字は身近で具体的な名詞とわずか数語の動詞と形容詞を表わしたものしかなく、機能語や代名詞の類はリーザ先代アルカから意図的に流入させた。したがってこのころは幻字の数は少なかった。また、このころの幻字は直線と曲線の区別もされていなかった。
更に、音形を持って語としてきちんと存在していても、それに対応する幻字が生み出されないということが非常に多かった。そのためリーザはその幻字のない音だけの語をIPAで書き留めて意味を併記していた。
メル4年(1993年ごろ)になると次第に文字のない語に幻字が当てはめられていったが、それも変種に富んでおり、線の直線と曲線、融合と分離の弁別性はなかった。
しかし、必要な幻字の種類が増えるにつれ図形案が尽きてきたため、線の直線と曲線で弁別するようになったようだ。

語彙

多言語参照アポステリオリ型。
1991年7月中旬、リーザリディアに言語案を話したときは、初代アルカ先代アルカ、リディアの母語である標準語でないフィンランド語の語彙からなり、1991年7月19日にセレンが加わってからは、日本語や英語が加わった。ほとんどの語彙は日本語とフィンランド語由来である。
このころの語彙の種類は非常に原始的である。名詞は身体語彙や身近な物の名前に限られ、抽象的な概念はないか或いは具体的なものをそのまま転用していた。たとえば[ɾai]は具体的には「火」という意味だが、これを抽象的に用いて「熱い」「暑い」の意味で用いていたのである。動詞は行くや来るといった基本動詞が数語で、形容詞は大きいや小さいを表わすものなど、ほんの数語だった。しかもこれらは形容詞という区別はなされず、ただ名詞のように扱われた。
一方、機能語や代名詞はリーザが流入したものが全てで、前第一改定アルカの語彙であると確認できるのは例が少ない。例を挙げると[del]「私」、[de]「繋辞」などである。ところが[de]はリーザによるとセレンがこの意味を理解しなかったため、廃止されたという。また、リーザは否定を表わす[jan]も流入しようとしたがこれはリディアもセレンも理解しなかったため、これも廃止された。結局、このころ否定や疑問はイントネーションや語調などで表わされていたのである
ところが禁止を表わす[na]は理解され、これは普及した。古アルカで城は[nalu:ta]というが、これは「入るな(=入ってはいけないところ)」が原義である。因みに[nalu:ta]はもとは城ではなく学校を表わしていた。

内容語

[del] 私。先代アルカより借用
[ɾai] 火。セレンが日本語の「ライター」より借用。
[gii] 金属か? オトマトペより由来。赤アンクノットには、ギギ(gigi)またはギーラ(giila)と記されている。
[nalu:ta] 学校。「na lu:ta 入るな」より。
[lu:ta] 入る

機能語

[na] 禁止

推定語彙数

107語。うち初代アルカ先代アルカ由来語彙が37語、自然言語由来のものが70語。
メル11年メルの月(2000年5月17日~6月13日)、リーザセレンリディアが1996年ごろに作られた『制定語彙』の中から、前第一改定アルカで使われたと推測される語彙の数を測定したもの。よって制定語彙作成以前に滅びた語彙、つまり自然言語由来の語彙の数はほとんど拾われていないので、もっと多かったと思われる。なおリーザの手帳は1998年末に焼却されたため使用できなかったようだ。

文法

幼児の二語文に近い。基本語順は主語と述語を並べたSP構造で、修飾も行なわれなかったない。形容詞に相当する[kai](大きい)や[li:z](小さい)は、形容詞としてでなく、述語として扱われた。例えば、「私は小さい女だ」は[del min](私は女だ)と[del li:z](私は小さい)の二文に分解した。
繋辞は存在せず。リーザは先代アルカの繋辞deを教えたが、当時のリディアとセレンには理解できなかったため、流入しなかった。
数語しか存在しない形容詞は述語として使えた。
動詞も数語しか存在しない。否定を表す手段は語調と表情と身振りであり、険しい表情で首を横に振りながら強く言えば否定を表した。疑問はイントネーションで表した。


例文


文献

リーザによる原始的幻字が記された手帳と1991年9月9日作成開始の幻字が記されたノートのみ。語の音や意味、或いは統語について記述がなされていたらしい。
ただし、1998年5月30日に分離独立したソーンとの抗争が原因で共に1998年11月ごろまでに焼却処分された。
そのほかは各々の記憶に頼る以外ないようだ。

文化事項

メル2年過ぎ(1991年12月以後)、セレンはリディアが古アルカ以前から創作した空想人物群の存在を知るがとくに注目せず。
「アルカ」という名称は、メル4年(1993年)ごろには、「アルカ」を表す幻字と共に定着したようだ。

参考文献

セレン=アルバザード"『アルカ』"
アルカの部屋 > アルカ 14|fav|zan
初代アルカ(1980)~2003/10/15当時の中期制アルカまでの歴史

最終更新:2008年04月19日 15:22