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2024-03-26T21:58:17+09:00
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Imitation-Love 第四話
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――かがみ……ごめん……ね――
「―――っ!!」
がばっ!!
思わず私はベッドから飛び起きた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
荒い息、べっとりとした嫌な汗、額に貼りつく前髪……
たまらなく不快だが、その感覚こそが今いる世界が夢ではなく現実である事を伝えていた。
「はぁ……はぁ………はぁ~」
ようやく息が整ってきたところで私は、私が今までいた世界が夢であったことを悟り、強烈な安堵感におそわれた。
夢で良かった……
現実でなくて良かった……
そんなホッとしたような、不思議な安堵感……
本当に酷い夢だった。
「……こなた」
夢にまで出てきた愛しき人の名前を思わず呟いた。
夢の中で、私とこなたは手をつないで、どことも言えない不思議な場所にいた。
一言も言葉を交わさなかったけど、私達は想いが通じ合った恋人同士のような雰囲気だった。
ところが、どこからともなく突然真っ黒な“ナニカ”が湧き出てきて私からこなたを奪ってしまうのだ。
私はこなたを助けようと必死で追いすがるが、どうやっても追いつく事はできなかった。
やがて私は疲れ果てて倒れてしまい、身動きすらできなくなり……
そんな私の目の前で、その真っ黒な“ナニカ”は触手のような不気味な物体に変わり、こなたを強姦してしまった。
『いや!やめて!助けて!』
『こなた……こなた……』
助けを求めて泣き叫ぶこなたを目の前にして、私はなにもできなかった……
やがてこなたは強制的に絶頂へと昇らされてしまい、最後に残った理性を振り絞って私にこう言うのだ。
『かがみ……ごめん……ね』
そしてこなたは、まるでガラスの彫像を床に叩きつけたように粉々になって……
「っ!!」
私は思いっきり首を振って悪夢の陰を振り払った。
あれはただの夢!現実になんて起こりえない!
私は自分に必死にそう言い聞かせたが再び眠りに身を任せる事はどうしてもできず、まだ外は真っ暗で、人によっては早朝ではなく深夜と言っても差し支えないような時間に起き出す羽目になってしまった。
☆
☆
☆
ジリリリリリリリン
朝食の最中、我が家の名物となった黒電話が鳴り響いた。
「はい、柊です。あっ、ゆたかちゃん?おはよう。どうしたの?」
『かがみ先輩?おはようございます。こなたお姉ちゃんなんですけど、昨日の夜、急に体調を崩してしまって……』
「えっ……そうなの……風邪?」
『ええ、そうです。今日は学校をお休みしますので……』
「そっか……わかった。つかさとみゆきにも言っとくね。
ゲームとかしないでちゃんと養生しなさいよ。って、言っといてくれる?」
『はい、お姉ちゃんに伝えます』
「よろしくね」
『はい。失礼します』
朝早くにかかってきた電話はゆたかちゃんからのものだった。
こなたは昨夜急に体調を崩してしまい、学校を休むとのことだった。
「お姉ちゃん、電話…誰からだった?」
つかさが眠そうな顔で食パンを頬張りながら訊いてきた。
「食べるかしゃべるかどっちかにしなさいよ……ゆたかちゃんからよ。こなた、体調不良で今日学校休むって」
「え?そうなんだ。風邪でもひいたのかな」
「どうだかね~案外徹夜でゲームして起きられないとかだったりして」
無邪気にこなたを心配するつかさをみて冗談を言ってみるが、なんとなく私の心はモヤモヤしたままだった。
二日ほど前……お母さんがこなたの家に泊まるようになってから、私はこなたに会っていない。
あのとき、ちょっとこなたと気まずい雰囲気になってしまい、なんとなく休みの間は顔をあわせなかった。
どうせ学校に行けば嫌でも顔を見ることになるんだし、時間をおいたほうが変に意識しなくて済むかもしれないと思い、メールも電話もしなかったのだが、今朝の夢のこともあり私は少しでも早くこなたの笑顔を見て安心したかった。
(学校が終わったら、つかさやみゆきと一緒にお見舞いに行こうかしら……でも、なんとなく気まずいし、症状が重かったら治ってからのほうが……)
そんなことを考えながら、なんとなく落ち着かない気分で朝の時間は過ぎていった。
こなたのいない学校はとても味気なかった。
いつもはつかさとみゆきを交えた四人で他愛もない会話に花を咲かせるのに、こなた一人いないだけでどんな会話も酷く空虚なものになってしまった。
つかさもみゆきもなんとなく物足りなさを感じているようではあったが、私の感じているそれは辛さをはらむほどで、結局この日つかさのクラスには朝一度行っただけで、あとは自分のクラスで過ごしてしまった。
「柊~ちびっこ休みなんだってな」
「……そうね」
日下部や峰岸とのやり取りも煩わしく、放課後と同時に私は教室を出た。
「はぁ……」
何をやっているのだろう。私は……
私のくだらない意地でこなたとの関係をギクシャクさせて、気になるのならお見舞いに行けばいいのにそれすらやろうとしない。
わかっている。
こうして意地を張り続けてもいいことは何もないのに。
少し前に読んだ本にこんな事が書いてあった。
『大切だと思っている人に甘えていませんか?
自分の気持ちに素直にならずに、不満ばかりぶつけてはいませんか?
そばにいてくれることが当たり前だと思ってはいませんか?
その人が突然いなくなったとき、あなたは何倍も辛い思いをするのですよ。
あのとき素直になっておけばよかったと後悔しても遅いのです』
こなたは私のことを事あるごとにツンデレって言うけど、素直になれない部分に関しては当たっていると思う。
私だって、素直になりたい。
こなたにストレートに想いを伝いたいって、思ってるよ。
でもそれができない。
いつもちっぽけなプライドが邪魔をする。
たった一言、『大好き』と言ってしまえば、結果の良し悪しに関わらず楽になれるのに……
勇気が欲しい。
好きな人に好きだと言える、その程度の勇気が欲しい。
このまま大学に行って、こなたと離れ離れになってしまえば、本の言葉通り、私は寂しい思いをするだろうし後悔もするだろう。
なのに、たった一言を言う勇気がどうしても持てない。
「かがみ先輩」
「え……?ゆたかちゃん?」
そんな考え事をしながら歩いている私に声をかけたのは私服姿のゆたかちゃんだった。
☆
☆
☆
「うそ…………」
「本当の話です」
「エイプリルフールは…まだ先よ」
「私が嘘を言ってるように見えますか?」
ゆたかちゃんの表情は真剣そのもので、嘘や冗談を言ってるようには見えない。
「そんな……お母さんが、こなたを……」
“お話したい事があります”
そう言って、私を体育館裏へ誘ったゆたかちゃんからもたらされた事実は、私を驚愕させた。
“お母さんがこなたを強姦した”
そのせいでこなたは自我を失い、廃人同然になって寝込んでいるというのだ。
「……ゆたかちゃん、もう一度だけ訊いておくわね」
「どうぞ」
「これは、冗談かなにかなんでしょう?」
「残念ですが、真実です」
「……………」
(あの夢が、正夢だったなんて……)
今朝みた夢を思い出し、私は絶望に身体を震わせた。
「かがみ先輩、こなたお姉ちゃんを助けてください!」
「ゆたかちゃん?」
「私達がいくら話しかけても、こなたお姉ちゃんは反応すらしてくれません。ご飯も食べてくれません。
このままだとこなたお姉ちゃん……本当に死んでしまいます!」
ゆたかちゃんは何を言っているのだろう……
他にも頼める人間は大勢いるのに、どうして私にだけわざわざこんなふうに話すのだろう……
「……私に、何ができるの?」
「先輩?」
「つかさやみゆきには話したの?」
「い、いえ……」
「だったら!どうして私だけに話すの?!私になにを期待してるの!」
「こなたお姉ちゃんが、かがみ先輩のことを好きだからです!」
「え?」
「私は、一番こなたお姉ちゃんのそばにいたからよく知っています。
かがみ先輩とお話するときのこなたお姉ちゃんは、他の誰といるときより優しい目をしています。
私と学校の事を話すときも、お姉ちゃんはかがみ先輩の事を一番嬉しそうに話しています」
一気にまくし立てるゆたかちゃんの言葉に、私は戸惑いながらも嬉しさを感じていた。
「こなたが……私を……?」
「そうです!こなたお姉ちゃんはかがみ先輩のことが好きなんです!
先輩はどうですか?先輩にとって、こなたお姉ちゃんはただの友達ですか?!
それとも、大切な人ですか?!」
「こなた……私は……」
“好き”
その一言が出てこない……
こなた本人が聴いてるわけじゃないのに、この期に及んで私はまだ素直になれないでいた。
「先輩!!」
「っ!」
「先輩がツンデレって言われるくらい、心をさらけ出すのが苦手な人だってことはよく知っています。
でも、先輩が素直になってくれないから……こなたお姉ちゃんは…………
みきさんは、かがみ先輩のふりをしてこなたお姉ちゃんの心を篭絡したんです!」
「な……」
「先輩……お願いですから素直になってください……
こなたお姉ちゃんはずっと、先輩だけを見ていました。
先輩の気持ちが知りたいって、ずっと悩んでいました!
そんなこなたお姉ちゃんをずっと見てきて……私は……」
「ゆたかちゃん、ごめんね……」
「先輩……」
「私は、こなたが好き。大好きよ」
「…もっと、言ってください」
「こなたが好き…大好き。愛してる!」
「その言葉を!どうか本人のまえで言ってあげてください!」
「こなたは、聴いてくれるかしら……」
「はい、必ず。そしてきっと、同じ事を言ってくれます」
(こなた……ごめんね。私が素直になれないばかりにこんなことになって……)
「かがみ先輩……一つだけ、お願いがあります。……みきさんのこと、あまり恨まないであげてください」
「?!どうして?」
「みきさんはお姉ちゃんを襲ったとき、キスしなかったんです。
昔、春を鬻ぐ女性は、身体は許してもキスはしなかったといいます。
それは身体は売っても心は売りたくないという心情のあらわれだったと解釈できます。
みきさんも、分かっていたんだと思います。こなたお姉ちゃんの、心までは自分のものにはできないってことを……」
今お母さんは、こなたの心を壊した憎むべき相手。許す事などできない。
しかし、お母さんも叶うことのない恋に悩んでの行いだとしたら、それはとても悲しい事だと思う……
「………考えて、おくわ」
「先輩……ありが」
ピリリリリリリリリリリリリリリリ
そのとき、携帯電話の着信音が鳴り響いた。
「すみません…」
ゆたかちゃんは謝りながらポケットから携帯を取り出した。
「はい……おじさん?」
電話の相手はそうじろうおじさんのようだった。
「はい………え?」
ゆたかちゃんの様子が急に何かを恐れるような不安なものに変わった。
「そんな………」
「ゆたかちゃん?どうしたの?!」
「先輩……お姉ちゃんが………」
「ちょっと貸して!もしもし?おじさん?こなたの友達の柊かがみです!」
『かがみちゃん?!』
「こなたのことはゆたかちゃんから聞きました。なにかあったんですか?」
『……こなたの様態が悪化した』
「!!!」
『目を覚まさなくなったと思ったら、急に呼吸が止まって……今、病院にいるんだが……夜を越せるか分からないと……』
「どこの病院ですか?!」
『陵桜大学付属病院だ』
私は病院名を聞いてゆたかちゃんに携帯を返した。
「先輩……こなたお姉ちゃんを、お願いします」
「ええ任せておいて。絶対にこなたを助けてみせる!」
私はその場を走り出した。
病院はここからそれほど離れていない。
タクシーを捕まえるより走ったほうが速い。
必ずこなたを助け出す。
私を置いていくなんて、絶対に許さないんだから!
待ってて、こなた!!
★
★
★
かがみ先輩が走り去るのを、私は見届けることしかできなかった。
こんな事になるなんて、想像できなかった。
命に関わるような状態になるにしてもそれはずっと先のことで、今かがみ先輩を動かせば十分間に合うと思っていた。
だから見逃した。
これでもしこなたお姉ちゃんが命を落とすようなことがあったら……私は……
「先輩……こなたお姉ちゃんを助けてください……
こなたお姉ちゃんを救えるのは…先輩だけなんです……」
「ふぅん……偽善者ってのはこういう人のことを言うのかな」
「っ!」
背後からかけられた声に、私は驚いて後ろを振り返った。
そこにいたのはつかさ先輩だった。
だが、どことなく雰囲気が違う。
うまくは言えないけど、なんというか、別人が乗り移ってるような、そんな感じだった。
「……つかさ、先輩。いつからそこにいらしていたんですか?」
「さぁて、いつからだったかな。
電話がかかってきたときかな?それとも素直になれないお姉ちゃんに文句言ってたとき?もしくはお姉ちゃんを呼び止めたときかな?」
「………つまり最初からずっと聞き耳をたてていたというわけですか」
「親友のこなちゃんが大変な事になってるのに、私だけ仲間はずれってのは、酷いんじゃないかな?」
そう言ってはいるが、つかさ先輩の口調にはこなたお姉ちゃんを心配する様子も、事実を知らされなかった怒りも感じない。
だがそれよりも私が気になったのは、先ほどの先輩が言った“偽善者”という言葉だ。
「先輩、偽善者って、どういうことですか?」
「ん?偽善者っていうのは、上辺だけいい人ぶってる人のことだよ。そんなことも知らないの?」
「そんな解説、求めてません!どうして私がその偽善者だっていうんですか?!」
「自分の胸に訊いてみればいいじゃない」
ざわっ
私は心臓を鷲づかみにされたような嫌な気分になる。
だって、知ってるはずがない。
その場にいたわけでもないつかさ先輩が、知っているはずがない。
知られてるはずが……
「自分の胸って……なんのことですか……」
「やだな~誰にもばれてないとか、思ってたの?」
くすくすと、最上級にいやらしい笑みをうかべながらつかさ先輩は言った。
「ネェ、ドウシテオカアサントコナチャンガキスシテナイッテ、シッテルノ?」
「っ!!!!」
胸をナイフで抉られたような痛みが私の身体を苛んだ。
「そんなこと、その場に居合わせた人でもなければわからないよね」
「……っ……ぁ……」
目から熱い液体がこぼれ、視界を歪ませていく。
「ねぇゆたかちゃん。本当はお母さんがこなちゃんを強姦するとこ、見てたんじゃないの?」
「っ!!!」
私はがっくりと膝をつき、両手で自分を抱きしめながら、心の痛みを必死に押さえ込んだ。
「ゆたかちゃんはお母さんがこなちゃんを強姦した場面に立ち会っている。
だけどそれを止めなかった。
ただ黙って事の成り行きを見ているだけだった!
こなちゃんが今死にそうになっているのも、見方を変えればゆたかちゃんのせいといっても過言じゃないよね!
なのにお姉ちゃんには『こなたお姉ちゃんを助けて』なんてきれいな言葉をいけしゃあしゃあと……」
「やめてください!!」
私はたまらなくなって大声をあげた。
「それ以上……言わないで……」
「…………」
「そうです……こなたお姉ちゃんが壊されていくところを、私はずっと見てました……
薬がはいった料理を、私は食べませんでした……だからみきさんがしたことを、私は最初から最後まで全部見ていました……」
「しかも止めなかった。どうして?怖かったから?違うよね」
「……ぅ………ぁ………」
「お母さんとこなちゃんがくっつけば、かがみお姉ちゃんに振り向いてもらえると思ったから」
「く……っ!」
「馬鹿だよね~仮にこなちゃんがいなくなったって、お姉ちゃんがゆたかちゃんになびくわけなんてないのに」
「どうして……私の気持ちを……」
「お姉ちゃんとお話するときのゆたかちゃんの態度を見てればわかるよ。
そうやって自分の為にこなちゃんを見殺しにして、行き過ぎたからお姉ちゃんに助けを求めて悲劇のヒロインぶるなんて、これを偽善者と言わずしてなんていうんだろうね!」
「いやあっ!言わないで!!お願いですからっ!!」
「それとも、お姉ちゃんの姿をしたお母さんに抱いてもらって満足しちゃったのかな?」
「っ!!どうして……そんなことまで……」
つかさ先輩はくすっと嗤って、文字通りに嬉しそうに私を見下したあと、上機嫌で言った。
「いいじゃない、そんなことどうでも。
それよりこなちゃんだけどね、多分助からないよ。
もうこなちゃんは自分が誰かもよくわかっていない。
こっちの世界の住人になりかかってる。
お姉ちゃんでも助けるのは無理だと思うな」
「そ…そんな……」
「まぁ仮に助かったとしても……」
つかさ先輩は楽しいことでも思い出したかのようにくすくすと笑うと、既に私など眼中にないかのようにその場を立ち去った。
あとに残された私はただただ絶望に打ちのめされて、傷ついた心の痛みに耐えながら涙を流すことしかできなかった。
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- 終わりかー!! -- 名無しさん (2024-03-26 21:58:17)
- 終わりですか?つかさが &br()ラスボス? -- チャムチロ (2012-11-19 10:34:33)
- ずっと待ってますよ -- 名無しさん (2011-01-20 19:52:18)
- うわーーーー -- 名無しさん (2010-06-13 12:39:56)
- 続きが気になります -- 七誌さん (2010-06-10 22:52:49)
- 続きマダー? -- コメント職人U (2010-04-01 00:13:34)
- つかさ・・・真っ黒だ!! -- kk (2010-02-02 20:28:36)
- つ、つかさが……(汗) -- 名無しさん (2009-11-20 22:17:27)
- 件の描写が抜けていました。 &br()ご指摘ありがとうございます。 -- 作者 (2009-11-07 00:06:36)
- ゆーちゃんは、みきさんがこなたを襲った時、薬で眠らされていなかった? &br() -- 名無しさん (2009-11-04 23:34:23)
- 待ってました! &br()GJっす!! &br()黒つかさってどうして &br()しっくりくるんでしょうねぇ・・・ &br() -- 名無しさん (2009-11-04 20:10:55)
2024-03-26T21:58:17+09:00
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1710834084
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カーテンコール
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[[想いの一方通行]]の続き
「ただいまー」
玄関にはかがみの挨拶だけが響く。家には誰もいない。まだ夕方にもなっておらず、誰も帰っていない。
リビングで簡単に着替えを済ませ、すぐに自分の部屋へ。さっき買った新刊を読むためだ。
部屋に入ると扉を閉め、そのままベッドにダイブする。鞄から本を取り出し、早速読み始める。
普通の女子高生たちが普通に送る、何の変哲も無い学校生活。
かがみは懐かしさからこの本を気に入ったが、正直、今時こういうのは売れないんじゃないかと思っていた。
表紙や挿し絵にいわゆる【萌えキャラ】を使い、ヒロインと最終的にくっつくという王道ストーリーが今は受けるのではないかとも。
要するに、かがみが少しだけ古いタイプの人間という訳だった。
(話の構成は具体的でしっかりしてるし、内容も分かりやすいから人気もあるのかもね)
母が帰宅し、夕食の支度ができる頃にはかがみは既に読み終わっており、買った時についてきたチラシや広告に目を通していた。
眺めてはページをめくり、また眺める。何度かそれを繰り返しながら、かがみはある宣伝に目を留めた。
「うそ、この本アニメ化するのっ!?」
「ただいまー」
かがみが素っ頓狂な声を上げたと同時に、つかさが帰ってきた。すぐに階段を上ってくる足音。まずい、聞かれた・・。
「お姉ちゃん、ただいま。大きな声が聞こえたけどどうかしたの?」
「あ、お帰りつかさ。ううん、別に何でもないよ。」
「ふうん。あ、そうだ。お姉ちゃん宛に、こんなものが届いてたよ」
差し出されたのは、一通の封筒。おそらくダイレクトメールかと思われる。
「またダイレクトメール? つかさ、それ捨てといて」
「中身も見ずに早いよ~! 見てから捨てたってバチは当たらないと思うけどなあ」
と言いながら、つかさは勝手に封を開け始めていた。
チラシに目を戻して、かがみがページをめくろうとした時、今度はつかさが声を張り上げた。
「すごーい! お姉ちゃん、試写会の招待状だって!」
「んーはいはい、試写会は捨てとい・・ちょっと待って!」
かがみは立ち上がり、つかさの後ろから覗き込む。
そこには、かがみの名前と日程、試写会に招待する旨の文章が書かれていた。・・こんなのが当たる懸賞か何かに、応募したっけ?
「いいなあ、試写会ー。私、まだそういうの行った事無いんだよ・・一緒に行きたかったなー」
「何言ってんの、一緒に行きましょうよ。試写会の招待状って、普通はペア招待なんだから。 ・・あれ?」
書かれてあるのはかがみの名前だけ。ほかには誰の名前も書かれてない。つまり、これはかがみ個人への招待状という事になる。
「・・つかさ、残念だったわね。後で感想とか教えてあげるから我慢して、ね?」
「それは別にいいけど、やっぱりいいなー」
「くさらないの。で、肝心の内容はどんなのだろ・・?」
もう一度、柊家から甲高い声が聞こえてくる。あのライトノベルの、アニメ化記念試写会の招待状だった。
6月30日、日曜日。天候・・曇りのち晴れ。
少しばかり影が差した大通りを、かがみは歩いていた。先日届いた招待状に書かれていた、試写会が行われる日である。
(正直、届いた理由が分からないのよね・・アンケートに答えたわけでもないし、それらしい懸賞にも応募してないし)
怪しいといえば怪しい。社名も差出人も書かれていない、ダイレクトメール風の封筒に入れられただけの紙切れ。
本当は行こうかどうか迷ったのだが、せっかくもらったんだからとつかさに背中を押され、そのまま出てきてしまった。
(ま、いいか。つかさには感想聞かせるって言っちゃったし、話の種くらいにはなるわよね)
電車を乗り継いで数十分、そこから徒歩でまた数十分。
試写会の会場は、市民会館の様な普通の建物に見えた。その場所が町外れでなく、老朽化が進んでさえいなければ。
一瞬かがみは場所を間違えたのかと思ったが、入り口の自動ドアの脇の簡易掲示板を見て安心した。
【○○ 記念試写会 会場 柊 かがみ様】
小さな不ぞろいの文字でそれは書かれていて、その横には道案内の質素な地図もチョークで添えられていた。
かがみは一通り確認すると、建物の中に入っていった。
案内された場所はすぐに見つかった。映画館の雰囲気にも似た、スクリーンと照明。幕は端っこが少しめくれている。
100席ほどある中のひとつにかがみは腰を下ろし、周りを見渡した。 ―まだ誰も来てないのかな。ちょっと早すぎたかも。
上映時間まで、あと20分あまり。薄暗い中、かがみはあらすじを確認しておこうと思い、持ってきた本にざっと目を通す。
だが、時間が来ても、かがみ以外の人間はそこにはいなかった。幕がゆっくりと上がる。
何度も何度も繰り返し読み続けた、お気に入りの1冊。
長い連載を続け、本当に少しずつだが人気を獲得し、今では殆どの人がこの本を知っている。
普通の学校生活に、歳相応な会話、誰もが望む平凡な日常、そんな風景を描いた原作が、アニメ化される。
その前段階といった位置づけの試写会、それは思いのほか面白かった。
―うんうん、皆やったわよねこういう事。 え、嘘、どうしてそんな事言えるかなあ?
どこにでもいるいる、こんな考え方する人。 あはは、やっぱり怒られたー。
私も、昔はこうだったのかな―
ブザーが鳴り、幕が静かに下りる。ほんのりと明るくなった照明の下で、かがみは拍手を送っていた。
久しぶりに喜怒哀楽を表に出し、全てを素直に感じられた。そんな生き生きとした表情だった。
「なかなか面白かったわよ! 初期からのファンの私が言うんだから間違いは無いわよ!」
―つい声が出てしまう。これはいいアニメになりそうだ。他の皆にも見せたかったな。
つかさは感情移入しすぎて手がつけられなくなりそうね・・みゆきとは原作と両方からしっかり感想語り合いたいな。
こなたは・・・・あいつは割と何でも言うから、批判もしそうね。ラノベとは世界観が違うんだよ! とか言っちゃって。
で、そこで私がすぐ反対するのよね―
そんな事を考えながら、かがみはしばらくぼうっと座っていた。この余韻に、もっと浸っていたかった。
・・うん、そろそろ帰ろう。つかさにも教えてあげなきゃいけないし。
そう思って立ち上がろうとした時、通路につながるドアが開いた。ここの人間か、もしくはこの試写会の関係者か。
受付には誰もおらず、電気も点いていなかった。担当の人がいなかったか、貸切なのだろう。おそらくこの人は、関係者だ。
まずはお礼を言って、ついでに私しか呼ばれてない訳も聞いてみようと、かがみは向き直りながら口を開いた。
「本日は、記念試写会にご招待いただき、真にありが――」
振り向いた姿勢のまま、かがみは目を見開いて硬直していた。
およそ適齢には見えない身長。足元まで伸びた長く青い髪、頭の先から1本はねたアホ毛。吸い込まれそうなほど透き通った大きな目。
あの頃となんら変わる事なく、泉 こなたはそこに立っていた。
「本日はご来場いただき、真にありがとうございました。 って私のセリフじゃないね。久しぶり、かがみん」
「――あんた・・こなた? 本当に、こなた?」
「そうだよ、私だよ。いくら長い間顔を合わせてないからって忘れる事はないじゃん。私はこれでも―」
「・・一体、今まで、どこで何をしてたの? 勝手に家出ていなくなって・・心配したんだよ?」
かがみは、こなたの目を見つめながら、泣きそうな声で言った。かがみの目からは、すでに涙が溢れ出しそうになっている。
こなたに会えた嬉しさと、今まで我慢してきた寂しさが一気に膨れ上がってしまったようだ。
しかしこなたは、反省するというよりは、どこかバツが悪そうに頭をかく。まるで、悪戯がばれて叱られている子供みたいに。
「その事は、謝るよ。ごめん。」
「今更そんな風に言われても、私は・・。もうずっと、会えないんじゃないかって思ってた・・」
「そんな事ないよ、かがみ。今だって、こうしてちゃんと話をしてるじゃん。お互いの目を見て、ね。
それに、私はかがみにまた会えるって確信してたよ。約束、したしね」
「やく・・約束?」
「うん、卒業式の日にかがみに言った、アレだよ。私とかがみだけの約束」
かがみは、あの日の記憶を手繰り寄せる。目にたまっていた涙は、少し乾きはじめていた。
―やわらかい日差し、皆の会話、こなたの言葉、急に吹き込んだ風・・そうだ。あの時、こなたが何か言っていた様な気がする。あれが、そうなの?
「・・ごめん、こなた。あんたの言う約束ってやつ、私聞いてないかも知れない。風にかき消されてよく聞こえなかった・・」
「な、なんですとおおおっ!? ちょ、それはひょっとしてマジで言ってるんですか? ・・それが本当ならとんだ人生の空回りだよ・・
いや、忘れてたからかがみは心配したとか言って泣きそうになったのか・・確かに、覚えててくれたなら今頃デレ全開だったろうし・・」
こなたが、訳の分からない事を呟きながらネガティブモードに入っている。それも、かがみも見た事が無いほどのオーラをまといながら。
おそらくはこの【約束】が、こなたの今日までの行動の理由。それさえ聞かせてもらえれば・・
かがみは、こなたに対してもう怒ってはいなかった。少なくとも、その約束とやらを聞かせてもらう方が大切だと思った。
「ちょっと気が引けるんだけど、その時にこなたが言った約束、何だったのかもう一度教えてくれない?」
「き、聞きそびれておいてそれはないよかがみん・・」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。それに、教えてくれたなら、許してあげない事もない。かなり不本意だけどね」
「あのセリフをまた言わせる気ですか? こっちとしては顔から火が出そうだったんだからね? かなり本気入ってたのに」
何を言いたいのかが分からないが、こなたとしては珍しくまともな言葉を口に出したのだろう。ますます聞いてみたい。
かがみ 「いいじゃない、教えなさい! お願い、このとおり!」
こなた 「あーもう、分かったよ。言いますよ言えばいいんでしょ。笑わないでよ、絶対に笑わないでよ」
こなたは観念し、ゆっくりと深呼吸を始める。息を整えると、今度はこなたがかがみの目を見つめ、口を開いた。
――私ね、かがみと過ごした思い出を元に小説書くよ。かがみの好きなラノベでもいいや。
全部書きあがったら、読ませてあげる。 初版持って迎えに行くから、ずっと待ってて――
「・・・・何をするにも、どこに行くにもかがみはいつもついてきてくれたよね。無茶言っても、わがまま言っても。
私がからかうと、すぐムキになって怒ったりしたっけ。反対に、かがみにツッコまれると私は何も言えなかったりね。
料理苦手なのにお菓子とか作ってくれたり、文句言いながらも宿題見せてくれたり。
一緒にいて、よく分かった。かがみは、優しくて素直な女の子だなって。お世辞じゃないよ、本当だよ。
そんなかがみを毎日見てて、私は思ったんだ。かがみと、ずっと一緒に歩いていきたいって。
でも、かがみはもう将来の事を考え始めてて、そんな事言い出せなかった。言ったら、かがみはきっと悩むじゃん?
かがみがどう思ってくれてるかも分からなかったしね。だから、卒業するまで言わなかった。これがあの時の約束と、私の気持ち」
一気に言うと、こなたは息をついて上を向いた。息が苦しくて反射的にそうしたのか、恥ずかしさからそうしたのかは、分からない。
―そんなガラにもない事言うから、こなた、顔真っ赤だよ。 ・・なんだ、私の片想いなんかじゃ、なかったんだね。
それにしても、聞かれても無いのにペラペラと。聞いてるこっちが恥ずかしかったでしょ。そういう所は昔から変わってないんだから。
でも、私の事、そうやって考えててくれたんだ・・・・ありがとね―
「・・なるほどね。そういう事なら、許してあげるわ。最後にひとつだけいい? なら1巻を出した時に帰ってくればよかったんじゃないの?」
「かがみん、読んだなら分かると思うけど、まだあの本の中の登場人物は卒業してないよね? つまりは、そういう事。
ちゃんと私たちと同じ道進ませてはじめて、完結するんだよ。 ・・なぜかメディア展開するはめにもなっちゃったしね」
「アニメ化の話にはちゃっかり食いつくんだ。どうにもしまらない約束だこと・・さっきまでのカッコいいこなたはどこに行ったのかしら」
「んふふ、このアニメの結末はね、卒業してからの私たちの事をそのまま使う予定なんだ。誰もが幸せになれる未来とは、みたいな感じでね。
・・かがみ、いい加減に涙拭いたら? せっかくのツンデレが台無しだよ」
かがみの目からは、とめどなく涙が溢れていた。さっきまでの、感情が複雑に混じりあったものではない。
言わなくても、同じ想いをお互いに抱いていた。ただそれだけで、涙の止まらない理由には十分だった。
「別にいいの、私の勝手でしょ。 それより、その約束とあんたの言葉は、その・・そういう意味と受け取っていいの・・かな?」
「あんな事誰かに言えると思う? かがみだから、ほかでもないかがみだから、私ははっきりと言えるんだよ。 【好きだよ】ってね」
「ま、またそんな恥ずかしい事を・・・・でも、想っててくれたんだね。よかった」
かがみは、涙の痕を残した顔で、こなたに満面の笑顔を見せながら言った。こなたは、少し照れながら、それでもかがみに微笑みかけている。
―私とこなたは、ちゃんとつながってたんだね。姿は見えなくても、想い続ければそれだけで通じ合えている。
―こなた、この本面白かったわよ。全巻、しっかり初版だから感謝しなさい。あんたに言わせれば、これもひとつの愛って事なんだよね?
―帰ってきたのなら、何より先に言わなきゃいけない言葉がある。私がずっとずっと言いたくて言えなかった、たったひとつの―
『・・ただいま」「・・おかえり』
かがみの誕生日の、ちょうど1週間前。こなたからの、最高の誕生日プレゼントになった。
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- ええなぁ -- 名無しさん (2024-03-16 01:14:22)
- 良さみ -- 名無しさん (2019-12-23 15:15:45)
- 泣けるッ!。゚(゚´Д`゚)゜。 &br()っていうかこなたが書いた小説なら読みたいカモ(●;ω;●) -- 亜美 (2010-05-12 18:03:20)
- 全米が泣いた -- 名無しさん (2009-07-28 09:51:45)
- ほんま泣けるーーー!!なんか、すごい優しい気持ちになれました。 -- 名無しさん (2008-10-20 20:39:56)
- とても感動しました(T_T)すばらしい? -- 名無しさん (2008-09-24 02:29:22)
- ここで最初に読ませて貰った作品。これのおかげで沢山の良作に出会えました -- 名無しさん (2008-06-07 19:59:21)
- 話の構成が上手すぎる… -- 名無し (2008-06-07 19:27:10)
- ええ話や! &br()ほんまに泣けるで! &br()くううぅっ、 -- 名無し (2008-05-19 21:34:57)
- くううぅっ、泣けるでっ! &br() -- dAI (2008-04-20 16:11:25)
- やべえ、泣ける・・・ -- 名無しさん (2008-04-06 23:03:00)
- 眼から潮水がとまらnくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」 -- 名無しさん (2008-03-25 14:45:38)
- 泣いた。 -- 名無しさん (2007-11-14 13:41:52)
2024-03-16T01:14:22+09:00
1710519262
-
ネコミミシンユウ
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/752.html
ぴんぽーん。
気の抜けたチャイム音が鳴る。なんだか、こちらまで脱力してしまいそうな間抜けな音だ。
もうちょっとこう、気が引き締まる音が鳴らないものか。気が引き締まるチャイムってのがどんなのかはともかくとして。
かがみは、チャイムが鳴るたびに思ういつもの感想を抱いて、面倒そうに椅子から立ち上がって
来客を迎えに行く。誰なのよこんな時間にまったく、と意味もなくぼやいてみるが、
当然誰からも返事は無い。お風呂からあがった後なのでパジャマだが、その辺は仕方がないだろう。渋々ドアを開ける。
「はい、どちらさ……ま?」
……そして、かがみの時は凍りつく。
「にゃ~。にゃ~。いや、ちょっと違うかな?もうちょっとこう、可愛く……。みゃ~。みゃ~♪」
……猫?
いや猫ではない。猫にアホ毛はない。泣きぼくろもない。
そして、猫は「私を拾ってください!Pick Up Me!」と書いたダンボールを首から下げて
たりもしない。Pick Up Meが英語として正しいのかはこの際置いておく。
しかし、ネコミミはある。きちんと、可愛らしく頭頂部を二つの三角形が彩っている。
そして、口元は猫そっくりにニヨニヨしている。
全体的に、猫的な雰囲気は確かにある。雰囲気だけだが。
つまり、そこには。
捨て猫になりきったかがみの親友――こなたの姿があったワケで。
「ちょっ……こなたあぁあ!?あ、アンタ何してんのよそんなカッコでそんなトコロで!!」
「にゃ~。みゃ~。そこの可愛いお嬢さん、可哀想な私を拾ってだにゃ♪」
……やばい、可愛い。
って、今はそんな場合じゃなくっ!!
「だから何してんだっつーの!いいから入りなさい!」
「それは拾って貰えるという事かにゃ?」
「さっさと入れえぇぇぇぇぇっ!!!」
「ふみゃ~~~!?」
――そうして、私の部屋には現在。
捨て猫な親友が幸せそうな顔でチョココロネをはむはむしている訳です。
「……で、そろそろ説明しなさいよね。」
「……ふにゃ?」
「あんたがそんなモン(注:ネコミミ。着脱可能なものだけを指す)着けてウチに来た理由。」
「ふみゃ~。」
「返答次第では、ただじゃおかな……」
「いや~、しかしこのチョココロネは美味しいにゃあ。これはいつか私が家に遊びに来る
ときの為に買っておいてくれたのかにゃあ?普段はツンツンしておきながらもこういう所
でさりげない優しさを見せるかがみん萌え♪」
「は、話を逸らすんじゃないわよっ!!」
そしてその通りだなんて言えない!
賞味期限が切れるたびに買いなおしてたなんて口が裂けても言えない!!
かがみ、心の叫びである。
「そ、それに何で捨て猫設定なのよ。普通に来なさいっつーの。」
「ふみゅ~……。結構気に入ってたんだけどなコレ。似合ってないかな?」
そう言って、少し残念そうに首をかしげるこなた。
似合うも似合わないも、似合いすぎてるから問題なんでしょうがぁ!!
あんた、自分の異常なまでの可愛さ自覚してんのっ!!?
あぁもう可愛すぎんのよネコミミこなたあぁぁっ!!
かがみ、心の叫びリターンズである。
こなたはチョココロネを食べ終わったようで、満足気な顔で幸せそうにふぅ、と溜め息を
ついた。そんな小さな仕草一つでも、ネコミミパワーで破壊力は通常の五倍である。
「い、いや似合ってるけどさ……。むしろ似合いすぎなくらいに。」
「そう?なら良かったにゃ!」
今度は、嬉しそうに大輪の花がぱぁっと咲いたような笑顔を見せる。
くそ、可愛い。可愛すぎる。
「いやね?ちょっとおとーさんと喧嘩しちゃってさ。そんで居場所が無くなっちゃって……。」
「で、ウチに転がり込んで来たって訳?」
「そーゆーコト。今流行りのプチ家出ってやつ?」
……そうじろうおじさん、今頃本気でヘコんでるだろうなぁ。可哀想に。
「なるほどね。喧嘩は良くないけど、まぁそういう事なら放り出す訳にも行かないわね。」
「ありがとかがみ~!恩に着るよ~!」
「まぁそれは良いとして。で、そのネコミミとダンボールは何なのよ?」
「捨て猫セット!」
……それが何かを聞いているのですが。
「いや~、急いでたから尻尾までは調達出来なくて。不覚だヨ!」
「問題は間違いなくそこじゃない。」
もっとも、尻尾まで完全装備していたら私は完全KOだろうけど。心中でつぶやく。
家出するならコレっきゃないでしょ!などと言いながらネコミミの着いた頭を可愛らしく
ふりふりしているこなたの心理はイマイチ理解出来ないが、とりあえずかがみとしても
イイモノが見られたので文句はない。
それにしてもこのこなた、ノリノリである。親と喧嘩して飛び出してきた小娘とはとても思えない。
……というか、その捨て猫セットは喧嘩してから調達したのか……?
「ていうかアンタ、そのカッコでウチまで……?」
「ん?そだけど?」
私の親友はここまで常識のない奴だったか……?唖然とするかがみ。
ていうかよくそのカッコで襲われなかったな。最近の変質者は良心的なのかもしれない。
私の家に着いてからも、最初に出るのは私とは限らないのに。お父さんが出なくて本当に
良かったと天に感謝するしかない。
「それより良かったよ~。もしかしたら追い返されるかも、とかも思ってたからさ。」
「私が?あんたを?……何でよ。」
「だってさ、かがみってそういうトコ厳しいじゃん?だから、『甘えた事言ってないで
さっさとおじさんと仲直りして来なさい!!』とか言われるかと……。」
……確かに、普段通りのかがみならそうしたかもしれない。
しかし、ネコミミコナタの登場により混乱したかがみにそんな冷静な判断が出来るハズも
無い。よって、ある意味これはこなたの作戦勝ちと言えるかもしれない。
……なんか悔しい。しかしそのお陰でネコミミこなたがここにいてくれている訳で。
微妙に複雑な気分になるかがみである。
「……ま、誰だって喧嘩くらいするしね。それで家を飛び出すのはどうかと思うけど。」
「いや~、ホント助かるよ。ありがとにゃん♪いやぁ、宿を確保出来たから安心したよー!」
「……え?宿?」
「うん、当然じゃん!私はかがみに拾われたんだよ?だから、私はしばらくここにお世話
になるからヨロシク!」
「はぁ!?お世話になるって……え?つまり、私の部屋に泊まるの!?」
「もちだよかがみ。他に何処で泊まれと?まさか、こんなか弱い乙女を夜の街に放り出すの……?」
「いや、んな事しないけど……私の部屋狭いし、二人も寝るスペースは」
「あぁ、それは大丈夫だよ!私ちっちゃいから一緒のベッドで寝れるって!」
「…………あの、えっと」
「私結構寝相は良いし、かがみのベッドってそれなりの広さあるから楽勝だよ、うん。
いや、もちろん拾われた身だし床で寝ろって言われりゃ従うけど、猫は勝手にベッドに
潜り込んで来たりするから要注意だよかがみ♪」
……えっと、つまり。
私は、このまま行くと。
こ な た と 同 じ ベ ッ ド で 寝 ら れ る と 言 う 事 で し ょ う か ?
あぁ……神様。あなたは何てグッジョブなのでしょう。明日から一日三回神棚にお礼の祈りを捧げよう。
一緒のベッドに居るわけだから当然狭くて密着状態だし、抱きついたりしても不可抗力だ
よね。こなたが悪いんだもんね。あぁ、こなた柔らかいんだろうなぁ……。ほっぺとかふ
にふにしてるんだろうなぁ……。こなた抱き枕。なんて素晴らしいんだろう。
あぁでも自分を抑えられるか心配だなぁいや抑えなくてもいいのかだってこなたは私の飼
い猫だもんね私が拾ってあげたんだもんね大体こなたと二人きりで一つのベッドってそれ
抑えろってほうが無理なわけでああこなたの唇柔らかそう奪っちゃおうかなそうしようか
な別にいいよねうんいやいや唇だけで満足してちゃ駄目よねせっかくの機会なんだから舌
とかも入れてみたりとかいやもっと行く?行っちゃう?だったら最後までいただいちゃっ
て全然OKかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかな
「か、かがみ?どうしたのかがみーーー!!?」
そうして、柊かがみは意識を失いましたとさ。めでたしめでたし。
「……あれ?私、いつの間に寝たっけ?」
かがみは、自室のベッドで目を覚ました。感覚としては、結構時間が経っている気がする。
が、寝起きの感覚は当てにならないので実際は五分程度しか寝ていないのかもしれない。
「しっかし、うん、色々とアレな夢だったなぁ。こなたが私の飼い猫だなんて」
「お、かがみやっと起きた?急に倒れちゃうからビックリしたよ、もー。」
「ふぉおおああああぁああっ!!?」
面白いように飛び上がり、壁に張り付くかがみ。こなたでなくとも「そこまで驚かなくても」と
思うほどの驚きようだったが、寝起きに不意打ちをかけられては無理も無いだろう。
もちろん、こなたに不意打ちをかけたつもりなどないのだが。
「……こ、こなた……?」
「そだよ。目ぇ覚めた?」
大きく深呼吸。すぅ。はぁ。
一呼吸置いて少しは落ち着きを取り戻したかがみは、改めてこなたの姿を見直した。
さっきまでこなたが着ていた私服はいつの間にか妹のつかさのパジャマになっており、体中から
まだ少し湯気が立ち上っている。気付けば、部屋の中はお風呂上りの良い匂いで
いっぱいになっていた。髪はまだ完全には乾いていないようで、しっとりと水分を含んでいる。
そしてその頭は、意識を失う前にも着けていたネコミミが燦然と輝いていた。
「……あれ?お風呂入ったの?」
「うん。かがみが気を失ってる間にちょっとご家族のみなさんに挨拶してきてね。そした
ら何かえらく歓迎されてお湯を頂く事になったんだよ。つかさからはパジャマまで借りち
ゃった。う~ん、人情だねぇ。」
ウチの家族はちょっと寛容すぎじゃないだろうか……。いろいろ。うわ、パジャマぶかぶ
かじゃない。つかさのなのに。こなたの小ささを再確認し、同時に家族に何となく腑に
落ちないものを感じるかがみだった。
「てかあんた、ネコミミ着けっぱなしなの?お風呂入ったのに。」
「うん。流石に着けたままお風呂は入れなかったけど、基本的にお世話になってる間は
外さないよ?だって、これは私がかがみの飼い猫っていう証だからね!にゃん♪」
ぐふぅ!
かがみ の 精神 に 9999 の ダメージ!
こ、こいつは……狙ってるのか……?私を悶え殺そうという策略なのか……?
可愛い、可愛すぎる……。
悶えるかがみ。だがそれに気付いていないこなたは、ふぁ、と小さなあくびを漏らす。
ちなみに、今のかがみにはそんな小さな仕草でさえとんでもない萌えとなっている事は言うまでもない。
「うぅ~、いい加減眠くなってきたかも。最近はネトゲ自重して生活習慣改善してたからなぁ。
前はこんな時間でも楽勝だったんだけど……」
その言葉を聞いて、ようやくかがみは時計をチェックする。とっくに日付は変わった後だった。
――わりと長い間気絶していたらしい。寝起きの感覚は、今回は正常に働いていたようだ。
「そろそろ寝ない?あんまし夜更かしするとお肌に良くないよ~?」
お前が言うな。いつものかがみなら、こうツッコむ所だろう。
だが、今のこなたのセリフは、普段とは全く違う意味を持つ。
即ち、「一緒に寝よう、かぁがみん(はぁと」と言う夜の誘いの台詞となるのだ!
……かがみにとっては、だが。
「いいいいいわよ?じゃじゃじゃあ寝ようか。」
「かがみ、なんかエラくどもってるよ?……まぁいいか。じゃ、早く寝て?」
「……へ?」
「いやいや、かがみが先に布団に入らないと私入れないじゃん。猫は、飼い主の布団に
潜り込むんだよ?猫が先に布団で寝てちゃ駄目でしょ~。」
妙な所にこだわるなぁ、とかがみは思った。
しかしそれ以上に。
「何ソレ!私が寝てるところにこなたがもそもそと潜り込んでくるの!?それ良すぎ!最高!
あぁ私は今こそ理解した、これこそ『萌え』かっ!!」と、激しく思った。
もう何も言わない。かがみは頬を赤く染めて、布団に潜り込む。
やがて、少しの間をおいて柔らかい体がするりと布団に入ってきた。
凄く、いいにおいがする。
思わず、抱き締めた。
「ちょっ……かがみ?」
「……駄目?こなたは私の飼い猫なんでしょ?」
「……いや、駄目じゃ、ないよ。……気持ちいい。」
「そっか。嬉しい。……ネコミミ、外さないの?」
「ん、外した方がいいかな?」
「そうね。寝る時には、外そうか。」
「うん……。寝る時には、ね。」
「あの……さ。」
「ん?どうしたの、かがみ?」
「キス……しても、いいかな?」
「好きにしていいよ。――ご主人様。」
電気が、消えた。
そしてこれから、夜が始まる。
これは後日知った事だが、こなたは、おじさんと喧嘩なんてしてなかったらしい。
私の所に転がり込む口実が欲しかったから、一芝居打ったんだとか。道理で喧嘩したはずなのに
怒ったり落ち込んだりしてなかった訳だ。そんな事しなくたって、普通に泊まりにくれば良かったのに。
普通なら怒っていい所なんだろうけど、そこまでして私の所で泊まりたかったんだと考えると、
腹は全く立たなかった。そりゃ、少しは呆れたけどね。
あの日、朝になってこなたはすぐに帰って行った。
「やっぱ喧嘩したままじゃ寝覚め悪いし、仲直りしてくるヨ」とか適当な事を言って。
だけど、夜になるとまた帰ってきた。「だって、こっちの方が寝心地いいし」との事。
だから私は、親切にベッドを半分提供してあげた。可愛い飼い猫に。
猫は自由気ままだから、ある日突然ふらりと泊まりにやって来る。
私は、その時に備えてチョココロネをいつも常備しておかないといけない。
それと、あの時のネコミミは私の部屋に置いてある。そして、泊まりに来たこなたはまず、
それを頭に着けてこちらを向いて、照れながらこう言うのだ。
「ただいま、ご主人様」と。
ああ、お帰り。私の可愛い飼い猫。
ネコミミの、親友。
[[ヤキモチカイヌシ]]に続く
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- (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-11-13 02:22:48)
- ↓一芝居打ったと文中にあるよ -- 名無しさん (2009-02-06 22:54:19)
- うわなにこれすっげ。 &br()・・・ところで喧嘩の原因はわからないのか? -- 名無しさん (2009-02-06 22:30:06)
- もはや、親友じゃなくて、恋人だろこれはwwwひたすら甘くて楽しいSSを書いた作者様に盛大にグッジョブw -- 名無しさん (2008-08-22 15:15:16)
- 萌えた。かがみんが暴走してる話好きだー -- 名無しさん (2008-01-14 03:55:26)
2023-11-13T02:22:48+09:00
1699809768
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つかさとみゆき2
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/2036.html
☆第三幕☆
二人の間を流れる穏やかで静かな時間。
木製の洋風ちゃぶ台を挟んだ向こうではつかさが熱心に教科書に向かっている。
みゆきは彼女を見ていると、可愛い妹を愛でる幸せというものはきっとこのような幸せだろうなと思う。そう思うと少しかがみを羨ましく思ってしまう。
……でも、そろそろ休憩ですね。
彼女自身は気付いていないけれど、教科書の問題をそのまま書き写したりで進みが遅くなってきていた。
「つかささん……もうそろそろおやつにしませんか……?」
むっくりと顔を上げる。
「……はぅ?」
書き写し作業に熱中していたつかさは寝ぼけたような声が漏れた。
みゆきが落ち着いた微笑みでペースを合わせてくれるので、つかさも気持ち良く笑顔になれる。
「うん!」
「難しくないですか?」
「あはは……、やっぱりまだ慣れてないかな」
仕上げにやっている発展問題。基礎的な事はそれなりに自身があるけれど、混ざり込んで現実的なワンシーンになって現れると世の中を見せつけられたように風当たりが悪くなる。
ばっちり解いて見せたいのに……。
テスト期間中はお互いに家でやることに決めたので、今日で二人の勉強会はその目的を達せられる事になっている。
「大丈夫ですよ。本番は基礎が沢山出ますから」
基礎は完璧。
「わ、私基礎だったらもう心配無いって、実感してるよ!」
「そうですね、私もそう思います」
よ、良かったぁ……
「かがみさんや泉さんをびっくりさせちゃいましょうね!」
「うん!」
みゆきは茶道の作法にでも従っているように行儀良く立ち上がる。
「ケーキがありますのでとってきますね。紅茶も入れるので少し待っていて下さい。」
「うん、楽しみに待ってるね」
みゆきは楽しげに何かを口ずさみながら部屋を出た。
みゆきはティーポットの金網に茶葉を入れ、お湯を注ぎ入れる。
今日で終わりなんですね……
そう考えると何か物寂しい。
今日のつかさの出で立ちは、白を基調にしながらもピンク色チェック柄のワンピース、首もとにはシャーリングの入っていて、黒い薄手のキャミソールを下肢から覗かせている。どちらも新しいようだった。
照れながらも自分からその評価を訊いてはこなくて、「素敵ですね」とみゆきが言うと、顔を真っ赤にしてうつむいた。
彼女との勉強会は、みゆきにとっても楽しみな事だった。
充実してたなぁ……
と、天井を仰ぎ見る。
……みゆきが説明をする。
……へぇ~、そうなんだぁ!
小学生の頃、友達は素直に喜んでくれた。
みゆきに教えて欲しくてみんなが色んな事を訊いてきた。友達にとってみゆきとの話しはとても楽しいもののようだった。
みゆきは自分の楽しみを、調べる事を、みんなが共有してくれているんだと嬉しかった。
だからみゆきは学ぶ事が大好きになった。
でも、それは少し違っていたのだ。
なぜならみんなは訊くだけで調べたり学んだりに熱心ではなかったから。
やがておしゃれと成績がクラスの重要な話題となると、みゆきの肩書きは美人で成績優秀な秀才になった。
だからどうだという訳でもない。友達はいつだっていたし、自分は変わらずに学ぶ事が好きだったから。
………。
紅茶を白くて、控えめに花柄の入ったカップ2つに注ぎ入れる。テーブルには読みかけの本がある。
……つかささんが「一緒」って言ってくれた事、やっぱり嬉しいです。
「うぅん……」
つかさは悩んでいた。昨日自分が四人での勉強会を拒んでしまったことだ。
二人きりでの勉強を望んでしまった。
こんなのなんだか意地悪だ。
しかもその事で悩んでいたはずなのに、ここに来てみゆきに会って服を褒められた頃にはすっかり忘れていた。
私、お姉ちゃんやこなちゃんのことないがしろにしてる……
昨日までそれに気付かなかった自分がいた。
どうしよう……
ゆきちゃんだってこんな私のこと嫌いになるかも……
みゆきに嫌われる、それを思うと胸に刺さるような痛みを感じる。
ゆきちゃん、はやく来ないかな……
何度目かにそう願った直後、扉が開いてつかさは花が咲いたように嬉しくなったのだった。
勉強道具一式を下において机にはケーキと紅茶が並べられる。
つかさはお菓子の家にでも出会ったかのように笑顔がこぼれた。
「お疲れさまですね、じゃあいただきましょう!」
「うん!」
二人はゆったりとケーキを口に運んだ。
素材の香りと一緒に甘く柔らかなクリームがスポンジをほどいて上品に口を楽しませる。
「おいし~い!」
「そうですね!このお店のは今日初めて買ったんですけど、これはいいお店を見つけました」
「えぇ!そうなの!じゃあ大発見かも!」
「そうですね」
「あのね、私自分でこういう発見したりするとすっごく嬉しいんだぁ♪いっぱい通いつめちゃったりして」
「わかります。つかささんも喜んでくれてるので嬉しさは二倍ですね」
「そうなの!?それ凄いよぉ!じゃあ私はぁ、自分とゆきちゃんので三倍かな……?」
「うふふっ凄いですね」
つかさは二口目をパクりとして、ほわんと悦に浸る。会話が途切れたその沈黙に呟いた。
「こうやって二人で食べるのも最後かぁ……」
「そんな、いつでもいらして下さい」
つかさは「うんっ」と笑って紅茶を飲む。華やいだ香り。天井を眺めつつ言いたいことをまとめた。
「あのね、私も本が楽しい事とか、勉強が楽しい事とかゆきちゃんと一緒にいて大発見いっぱいあったよ。なんていうかぁ、今回は本当に色々と、ありがとうございます」
つかさはペコリとおじぎをした。それから少し照れたように微笑む。
「いえ、そんな、どういたしまして」
今度はみゆきも頭を下げる。ピンクの髪がふわりと揺れる。つかさにはそんな仕草も優雅に見えた。
勉強会はその全ての仕上げに入る。
サラサラコツコツとペンの走る音だけが静寂をまぎらわせるように、せわしなく部屋に響く。
つかさはパラパラと問題集をめくってみた。どのページの問題もなじみ深くなっていて簡単だ。大切な思い出に見える。
問題集越しにみゆきを覗く。
みゆきはしゃんとした姿勢でペンを走らせている。勉強会が始まってから何度も眺め、その度に魅せられて憧れた姿。
それを追いかける自分も好きだった。最後とばかりにじっくりとそれを眺める。
とくん……
みゆきが側にいてくれるのが嬉しい。
空気が好き……
と、つかさは思った。
二人だけの空間を包み込む特別な空気。
ゆきちゃんも……そうだったらいいな……
つかさがぼうっとそんなことを思っていると、みゆきは問題を1ページ解き終わる。一生懸命なつかさの調子を確認しようと優しい瞳をしながら顔を上げる。そこにはまじまじと自分を見つめるつかさがいた。
二人はぴったりと目があった。
みゆきはつかさの瞳に見入って何も言えずにいる。
部屋には少しの間、静寂が流れた。
「ゆき……ちゃん?」
室内を震わせた微かな響き
「……つかささん?」
みゆきはわずかに首をかしげる。
つかさの視線は声を聞いたとたんに恥ずかしそうにノートに落ちる。
「ゆきちゃんは……空気、好き?」
聞いていいのかわからない。少し鼓動が早いようだ。
「空気、ですか?」
つかさは喉をつまらせそうになりながら話す。
「あ、あのね。私とゆきちゃん、二人でいるときだけの空気。私は……好きなの」
血の巡りが早くて体が火照ってくる、平静を保つのがやっと。
「お姉ちゃんとか、こなちゃんがいるとね、違うの。……二人だけ、の空気」
みゆきは戸惑う。二人だけの、と言われてもそれに当てはまるものが見つからない。
でも、それを「好きです」って言いたい……
二人だけの時で違ったこと……。きっと暖かな何か。……雰囲気?
考えていると、つかさはわたわたと言葉をつないだ。
「ご、ごめん、空気なんてだめだよね、わかんないよね。私もっと本とか読んでいい言葉探してみるね。だから今の忘れて……?」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
「は、はいっ」
つかさのままの言葉が届いてくれない自分が悔しい。
でもみゆきはわかった事もあった。
「私は……」
ーーーそれはある日、自分から欠けてしまって、つかさがもう一度くれたもの。
「つかささんのために何か出来て、凄く嬉しいんです」
喜んでくれる誰かのために学ぶ幸せ、好きなことを共有してくれる人がいる幸せ。
「つかささんが私とお勉強してくれて……私、凄く楽しかったです」
みゆきは自然と高揚した笑顔になる。
胸が熱くなる。
私にとってつかささんは特別な友達なんですね。それを伝える言葉は難しいです。でも、これがきっと私の一番確かな気持ち。
「つかささんと二人だけの時間、私は……」
みゆきは暖かで柔らかい春のそよ風のような笑みを浮かべる、精一杯今の気持ちを伝えたい。
「大好きですよ」
「え……」
とくん……
とくん……とくん……
つかさは気付いた。
……そうだったんだ
私って……
ゆきちゃんのこと……
好き……なんだ……
……なんですとぉ~!?
身振り大きくつかさはまくしたてた。
「うわっ!えっと!ゆゆゆゆゆきちゃん??」
みゆきはぽぅっとしながらつかさに答える。
「はい……?」
「あ……えと…えと……、ありがとう、嬉しいな」
みゆきはほっとした顔になる。
「良かったです、ちゃんと答えになっていたのですね」
「あ……うん、なんのだっけ?」
みゆきは当たり前のように人差し指を立てて答える。
「空気です」
「う、うん!やっぱり凄いね、ゆきちゃん!」
つかさは頭を掻きながら、凄いな凄いなと褒め続けた。
こうしてつかさはみゆきへの気持ちを知ることになった。
それから二日後の午後の事だった。
あのね……口が滑りました。
お姉ちゃんとこなちゃんにあっさりばれちゃったんです。
☆第四幕☆
「あんた……えぇっ?!ちょっ……えぇ!?」
かがみは目を白黒させる。フルーリーの入れ物が締め付けられて辛そうにしている。蓋がとれそうだ。
「はわわわ……」
つかさはかがみに手を伸ばして落ち着くよう促そうとしているが、彼女の方も混乱して埴輪のような顔になっている。アップルパイは既に絞殺されて泡を吹いている。
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて落ち着いて……はぐわっ!」
かがみのチョークスリーパー。
「あんたが訳の分からん事を言うからだろぉが……!」
プルプルと蓋が射出されそうでこれが妙に怖い。
「う……つかさぁ、私……」
つかさはようやく正気に戻った。
「お姉ちゃん!こなちゃん辛そうにしてるよ!」
こなたは爽やかに微笑んだ。
「私、もうゴールしてもいいよね……」
それはつかさが今まで見たことが無いくらい澄み渡ったこなたの笑顔だった。
つかさが「いやぁああ!!」などと叫ぶ前に、フルーリーの蓋がこなたの顔面に直撃した。
「あいたぁ!」
「あ、ごめん大丈夫?こなた?」
「むぅ……かがみんのばぁか……」
つかさは恥ずかしそうに二人を覗いている。
「……ちょっと、さすがに驚くわよ」
「仕方ない、かがみ、私達もカミングアウトしようか……」
「ねぇよ」
っていうかあれよ
こなたはシェイクを一口ゴクリと飲んで、ふぅ、とため息か悦の吐息かを吐くと、ウィンクして親指を立てて言った。
「つかさ、私達は応援するよ!みゆきさんは攻略難度激高だけど、つかさが幸せになったら嬉しいし!ね?かがみ?」
つかさは嬉しそうにかがみを見る。
「う……まぁ……そう、ね。うん。みゆきとなら、私も安心。嬉しい……かな?」
かがみも少し眉を寄せ気味ながら笑顔を贈った。
「えへへ……ありがとう、お姉ちゃん。……ごめんね、変な妹で」
「な、何言ってんのよ!私そんなふうになんか思ってないわよ!」
「ホント……?」
今度はつかさが安心出来るだけの嘘の無い笑顔になれた。
「うん、素敵じゃない。女の子同士でもさ」
ただそれに続く言葉は浮かばなかった。
私もそうなんだよ、って言うのが一番なんだろうけどね……。
隣に当人がいてはそうもいかない。
「ねぇねぇ、時につかさ。みゆきさんの事、どれくらい好きなの?」
「ふぇ!?」
こなたはにんまりかつにやにやと次の言葉を待つ。
私の言葉には反応無しかよ……。
「あのね、知った日の夜はね、えと……おとといの夜、なんだけど、もうドキドキして眠れなくて……」
ははぁん、そういうことか。それで私のベッドに潜り込んだのね、納得だわ。ってあれ?
……それって
「ほうほう……それで?他には?」
「そのね、えと……その、とにかく……好き……だから」
……こなたを好きと知った頃の自分を見ているみたい。
「うわぁ~、まいった。おじさんお腹一杯だよ!!よし、みゆきさんを持っていきたまえ!!」
「ホントにおっさんだな」
「はうぅ……」
つかさは事切れて、ふにゃふにゃとテーブルに溶けた。
かがみは少し気になることがあった。
「それでつかさ、これからどうするつもりなの?」
「うん……、こういう事だし、とりあえず何もしないつもり。私は友達としてゆきちゃんの側にいられるだけでも幸せだから」
かがみは心の中で深いため息をついた。
私と全く同じだ。双子の妹とは言え、こうも同じものだろうか……
「でも良かったよぉ。テスト期間中も勉強会が続くんじゃなくて。心臓もたないもん」
「……ダメよそれじゃ」
かがみのその声は叱りつけるように低かった。
「「え?」」
「今まで友達だったんだからそんなふうにいつも通りなんてやってたら何にも変わらなくて時間だけ過ぎちゃうじゃない。せっかくだもの少しずつでも近づこうとしなきゃ!」
「はぅっ!そうなの?」
「そうよ。今まで通りに満足しちゃったらどんどんタイミング逃しちゃうわよ!」
「恋愛経験無しの姉が妹に贈る、これは涙無しでは語れない物語……」
「あんたは黙ってろ」
「でも、ゆきちゃんの気持ちもあるから……」
「そ、そうだけど……」
かがみはフルーリーを一口食べて飲み込み、言い放った。
「恋させちゃえばいいじゃない!!」
店内にある時計が4時を告げる。音楽はディズニーの三匹の子豚の『狼なんか怖くない』。三人は鳴り終わるまで、その安っぽく軽快なデジタル音を重鎮指揮者のクラシックコンサートのように鑑賞していた。
「……お姉ちゃん?」
「……かがみ大胆。」
つかさは立ち上がった。
「も、もう4時だよ?そろそろ帰って明日の勉強しなきゃ……」
そう言うとつかさはトイレへ小走りで向かった。
かがみは小さく縮こまってのぼせたようになっている。
「いやぁ……かがみもつかさの事となると暴走するねぇ……ん?」
すっとかがみの腕がこなたの膝元の手に伸びる。
その手を握った。
指を絡めた恋人繋ぎ。
「ぬゎ?」
こなたはその手を眺めて頬を染めた。
「えと……かがみ?」
「……こなたも他人ごとじゃ無いんだからね」
「かがみ……」
こなたは空いた手でその手を包もうとした。
「うわっ!?」
が、その前にかがみが自分のやっていることに気付いてとっさに手を離す。
しまった!?バレた!?
ヤバい、こんな変な告白ってないよ!!
こなたはテーブルに肘をつくと、つまらなそうに言った。
「私にはそんな浮いた話はありませんよ~、買いかぶりすぎだよ」
それからシェイクをちゅうちゅうと一気飲みし始めた。
「……お腹こわすわよ」
鈍感ねぇ……。
まあ危うく変な告白になるとこだったし、今はそれに感謝しなきゃ。
でも、つかさにあんな事言ってないで、私もいい加減気持ちを伝えなきゃいけないよね。
つかさはそれから戻って来た。
「私ちょっと頑張ることに決めたよ!」
と言って、二人に勉強会継続作戦を話した。
かくて物語は☆Intro☆に戻る。
☆幕間☆
この天地に一つの大駄作を演じている、休憩時間。
「かがみ?」
かがみはベンチでポカリを飲みながら足をブラブラさせている。
「なぁ~に?」
「そんなに私が好きかい?」
「う~ん、そうね、友達以上好き未満」
「好き未満!?ちょっ、友達としては好き、なんだよね!?」
「~♪」
(いったんおしまい)
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- (削除)
- 面白かったです。つか×みゆ・も &br()良いものですね! -- チャムチロ (2012-09-12 20:14:46)
- こっちまでドキドキするような内容で &br()とてもよかったです。 &br()ぜひ続編を>< -- 名無しさん (2009-05-22 03:30:44)
- また全裸で待つ作業が始まるお…。 &br()出来れば1ヶ月以内で頼む…。 -- 名無しさん (2008-05-13 01:25:47)
2023-11-07T19:48:41+09:00
1699354121
-
ぬくぬくにしてやんよ
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1806.html
「人肌恋しい季節だねぇ……」
かがみの部屋で、遊びに来ていたこなたが、不意にそんなことを呟いた。
「……寒いと言いたいのか?」
「いやいや。私は人肌恋しいと言っているのだよ」
「分かったから。エアコンつけるから。……手をワキワキさせて近寄るなぁ!」
聞く耳持たずにじり寄るこなた。腰を浮かせて牽制するかがみ。
「地球温暖化を阻止するためにも、ここはエアコンや石油ヒーターより、もっとクリーンかつ経済的な手段で暖を取るべきだよ」
「言ってることは立派だけど、やろうとしていることに賛同できん!」
「そういうわけで是非ともかがみと押しくらまんじゅうを希望する次第で……」
「押しくらまんじゅうって……子供じゃないんだから」
「童心に帰るのも大切だよ。かがみは人肌恋しいと思わない?」
「あんたは人肌というか、小動物みたいに体温高くて暑苦しいんだっつの」
「確かにサイズが小さいと体温は高めかもね。ゆーちゃんも体あったかいし」
「分かったら、大人しくエアコンで我慢しなさい」
エアコンのスイッチを入れようと、かがみが立ち上がりかけた瞬間、
「すき焼きっ!」
「それを言うなら隙あり――うわしまった!」
一瞬の油断。こなたはすかさずかがみの背後へ回り込み、背中から引っ付いた。
「んふふ~♪ かがみんあったか~い」
嬉しそうにかがみの肩へ頬ずりするこなた。
「ああもう、暑っ苦しい……」
お子様体温なこなたに引っ付かれながら、かがみはげんなりと肩を落とす。
「あー、生き返る……」
「適当に温もったら離れなさいよ」
「いやもうこのまま離れたくないよ。かがみと同化して新しい生命体になるよ」
「ふざけんなこのエイリアンが。もう離れろ暑苦しい」
「んぎー、横暴だー」
押し離そうとするかがみと、離れまいと踏ん張るこなた。
「こうなったら……うりゃ」
「ひぁっ……!?」
不意にこなたは手をかがみの胸に移し、二つの膨らみを鷲づかみする。
「な、何すんのよ!?」
「エロいことだ!」
「なっ……!?」
「エロいことだ!」
「二回言うな! ……って、何かこのやり取り前にもした気がするぞ!」
「使い勝手が良いネタだからねー。あとあの4コマ漫画かなり好きなんで」
「何の話だ!?」
「まあ細かいことは気にせずに」
こなたは遠慮会釈なくかがみの体をまさぐり、服の下まで手を入れてくる。
「ちょっ、やめ……やめなさいよ、もうっ」
「だが断る。この泉こなたが最も好きなことのひとつは、口ではやめろと言いつつ本気で拒もうとしないかがみにやらしいことをしまくることだ」
「変態かおのれは!」
「変態に失礼な。私のこれはいわゆる一つの発情期だよ」
「あんた前もそんなこと言ってただろ! 年に何回発情期があるんだよ!」
「かがみに会った数だけに決まってるでしょうが!!」
「純粋にキモイ!!」
アホな会話をしている間にも、こなたは忙しなく手を動かし、かがみの衣服を剥いでいく。
「ちょっと、やめてってば……脱いだら、その、寒いし……」
「すぐあったかくなるから」
「そういう問題じゃ――っ!?」
そろそろうるさいと思ったか、かがみの口をこなたの唇が塞いでいた。
「んっ……っ」
抵抗しようとしたかがみだが、たちまち四肢から力が抜け、顔を真っ赤にして目を閉じる。
こなたは最初、軽く触れるように、しかしすぐ舌まで潜り込ませる。暖かい口の中、かがみの縮こまった舌を、こなたの舌先が捕らえ、解きほぐすように絡ませ合う。
「ん……んっ、ちゅ……」
こなたは何度もかがみに口付け、じらすようにやわやわと淡く舌を絡ませる。決して強く求めようとせず、また奪おうともしない。
じれったく思うのはかがみの方だ。意識はだんだんと、こなたの愛撫を求める方に傾きはじめている。
とうとうかがみから舌を絡ませてきた。肌寒い気温の中、触れあう口と舌は火がついたように熱い。
「ぷはぁ……」
こなたが唇を離した。興奮のせいか、肌が火照ってきている。
「ふふ……かがみも良い具合に暖機できたみたいだね」
「ぁ……はぁ……はぁ」
たっぷり時間をかけてキスされたかがみは、こなたの何倍も赤くなっていた。呼吸を弾ませ、肌全体を桜色に上気させている。
引っかかる程度に残っていた下着をかがみから取り払うと、こなたは自分も素早く着衣を脱いで素裸になった。
抵抗の意志を失ったかのようなかがみを見つめ、こなたはにんまりと微笑む。
「火遊び、始めようか」
ベッドの上に、押し倒した。
年相応なかがみ、幼さを残すこなた。二つの肢体がぴたりと重ねられる。
こなたの体はかがみに比べて固さが残るが、野生獣を思わせるしなやかさに満ちていた。直に肌を合わせているだけで、ため息が出るほど心地よい。かがみは無意識に腕を回し、こなたの体を抱きしめていた。
こなたはかがみと頬を合わせると、耳元に息を吹きかけた。かがみはその感触に体を震わせる。間を置かず、こなたは耳たぶに優しく歯を立てた。
「ぁ……」
「ん……かがみのお耳、美味しいよ」
「ば、馬鹿なこと、言ってない、で……」
「早くもっとしてほしい?」
「――っ!」
かがみは赤くなった顔をますます紅潮させた。
「はしたないねぇ、かがみは。これじゃどっちが発情期か分からないよ」
「そ、そんなこと――」
「リクエストがあるなら言ってごらん? かがみのしてほしいことをしてあげるから。もっとキスしてほしい? それともおっぱいを弄って欲しい? かがみが私にしてくれてもいいんだよ」
「……」
唇が触れ合いそうなほど近くから、こなたが誘いの言葉をかける。かがみは目をそらし、口をつぐんだ。
「リクエスト無し……ってことは私の好き放題やってもいいってことだね? 答えは聞いてない」
「だ、誰がそんな……!」
何か言おうとしたかがみの口を、問答無用とこなたの唇が塞いだ。軽く口付けただけですぐに離した。
「覚悟しなよ。のぼせるまで熱くしてあげるから」
熱い吐息と共に、こなたは囁いた。そのまま吸血鬼よろしく首筋に口を押し当て、吸い付く。
「ん~……」
「あっ、んっ……こ、こなた……そんなにしたら、跡が……」
「別にいいじゃん。私との思い出の跡が、かがみの体にはっきり残るんだよ」
「……っ」
「簡単に消えたりしないよう、たっぷり馴染ませておかないとね」
悪戯っぽくそう言うと、こなたは首筋から始まって、肩、乳房、お腹、とかがみの上半身にキスの嵐を降らせていく。
「ひ、んっ……ふぁ、ぁ、ぁ……っ」
こなたの唇が触れると、そこの肌は切ない熱を帯びる。こなたが何度も何度も口付けるたび、かがみの肌は冷めない熱に覆われていく。
数え切れないほどキスマークを付けられた頃、かがみは全身を汗ばませ、燃えたように真っ赤だった。
「だいぶ参ってるねー」
「はぁ……はぁ……」
かがみは荒く呼吸しながら、眠ったように目を閉じている。こなたが唇を重ね舌を入れると、辿々しく舌を動かして応えた。
「ん……疲れた?」
「……少し」
「やめにしとく?」
「……」
微かに、だがはっきりと、かがみは首を横に振った。
こなたは目元に笑みを浮かべると、ためらいなくかがみの股間に指を伸ばした。
「うわ。すっごく濡れてるね」
「あ、っ……!」
敏感なところを触られ、かがみはビクリと体を震わせ声を漏らした。
「へえ……すっごく濡れてる」
薄めの陰毛に覆われた割れ目を軽くこすったこなたは、楽しそうに呟いて指を離した。仰向けになったかがみの下半身に、顔を近付ける。
「脚開いて」
「い、いや……」
「開くの」
強引に両膝を開かせると、こなたは存分に潤んだそこへ口付けた。
「やっ、んっ……こ、こなたぁ……そんな、とこ……汚い、から……」
「全然そんなことないよ。綺麗だし、かがみの味と匂いを一等感じられる」
「――っ!」
羞恥に目を背けるかがみに構わず、こなたは割れ目にもう一度キス。それから舌を伸ばして這わせ始めた。
「あっ、あっ、んっ、ふぁ、あ……」
こなたの舌先が、陰唇の内側からクリトリスまで丹念に舐め回す。僅かなくすぐったさと痺れるような快感に、かがみは声を上げる。
そのうちに、こなたの方も体が疼いてきた。
「ねえ……かがみも、して……」
こなたの言わんとするところを、かがみはぼやけてきた頭で何となく理解する。どちらともなく横向きになって、互いの下半身を目の前に引き寄せる。シックスナインだ。
かがみはためらいがちに、こなたのそこへ舌先を伸ばした。
性器を舐め合うことに、かがみの抵抗感が全くゼロということはない。しかしそれよりも、背徳感を伴う快感の方が遙かに大きかった。
かがみは蜜に潤んだこなたのそこへ舌先を潜らせる。同じことをこなたからも。
触れあう舌と肌が快感を生み、その快感が互いを熱くし、その熱がさらに快感を倍加していく。
「んっ、あ……か、がみぃ……んんっ」
「こなたぁ……あ、あっ、あっ……!」
クリトリスを舐め合いながら、二人は昂ぶっていく。やがて強い快感が全身を貫き、二人は互いを抱きしめながら、激しく体を痙攣させた。
「あったまったー。……と思ったんだけどねー」
エアコンをつけた部屋の中で、元通り服を着たこなたが頭をかく。首に汗ふき用のタオルをかけていた。
「たっぷり汗かいたらその分、後で冷えるんだよね」
「当たり前でしょうが……」
耳まで真っ赤にしたかがみは、こなたに背を向けて胡座をかいている。
「かがみ……怒った?」
「……」
かがみはだんまりを決め込む。表情だけ見れば怒っているようだが、実際にはああいうことの直後だと恥ずかしくて顔を合わせ辛いのだ。
「おーい、かがみーん」
「……」
「うりゃ」
「あぅっ……」
不意に背中から抱きつかれたかがみは、拒むタイミングを逃してしまう。
「エアコン効いてくるまでまだ寒いから、こうやってあったまらせてね」
耳元で無邪気に囁くこなたの言葉に、
「か……勝手にしなさい」
ぶっきらぼうに返すかがみだった。
おわり
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- GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-10-03 09:13:26)
- 前半のかがみのツッコミが大好きだ! -- 名無しさん (2009-04-06 06:27:29)
- フミュミュミュミュ‥♪♪ &br()か~わいッ♪♪♪ -- フウリ (2008-04-09 17:30:40)
- ……火星ロボ? -- 名無しさん (2008-04-07 02:01:33)
- ぼっこぼこにされてるよ(笑) -- 弱音ハク (2008-03-02 13:24:20)
2023-10-03T09:13:26+09:00
1696292006
-
放課後の過ごし方
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/2531.html
「こなた、つかさ、帰るわよ」
放課後、柊かがみが妹のつかさと泉こなたを呼んでいる。
笑顔でそれに応えるつかさ。その左手はこなたの右手をしっかりと握っていた。
こなたは先ほどまで一緒におしゃべりをしていた高良みゆきに手を振ってつかさと共にかがみの元へ歩み寄る。
つかさとこなた、二人の背中を笑顔で見送るみゆき。
一緒に過ごす時間が少ないのは都内に住んでいるせいだと思われる。しかしみゆきはそれを嘆くことはない。たぶん。
「お待たせかがみ」
そう言ったこなたの左手は即座にかがみに捕らえられる。
身長の差が結構ある双子とこなた。三人が並んで歩く様はまるで連行しているみたいだ。
訂正。本当に姉妹のようである。
「今日は火曜日だからいのりお姉ちゃんだっけ?」
つかさはあほ毛の向こうの同じ高さのかがみに尋ねる。
「違うわよ。先週はバイトで一日ずれたから今日はお母さんよ」
かがみもあほ毛を介してつかさに答える。
歩くのに合わせて揺れるあほ毛。かがみとつかさはそれを可愛いなと思いながら会話を続けた。
「ただいまー」
話は飛んで柊家。三人が声を揃えて帰宅した。
ほぼ毎日のように学校帰りは柊家に寄ることになっているこなた。もうお邪魔しますと言うことはなくなった。
「おかえりなさい。ささ、着替えておいで。こなたちゃんは着替えが済んだら台所に来てね」
三人を出迎えたのは母のみき。
この人も当然ながらこなたを娘のお友達として歓迎しているのではない。柊家の五女として接している。
はーい、とこなたを含め三人が返事をして家に上がった。
「こなた、今日は私の部屋で着替える?」
「そうだね。今日はお母さんだから」
かがみとこなたの会話。ここでかがみが尋ねているのは服装をどういうものにするかということ。
かがみとつかさ、それぞれの部屋に彼女たちが選んだ服が用意されている。
しかし二人ともこなたよりは確実に身だしなみに気を遣っているので、どちらを選んでも似合わないということはない。
今日は相手がかがみに似たみきということでかがみの部屋に決めたようだ。
「お母さん、今日は何を作るの?」
着替えを終えたこなたがみきに尋ねる。
疑惑のワード『お母さん』が再度登場しているが詳しい説明は省いておく。まぁ誰でも想像がつくだろう。
「今日は野菜炒めと唐揚げね。あとは冷凍食品で済ませましょう」
意外に手抜きそうな献立。料理ネタが苦手な作者の苦肉の策である。
ここで重要なのは唐揚げ。またも詳しい描写は省くが、柊家の味というのがミソである。
「七人分って大変だよね。家はいつも二人分までだったから」
「そうでもないわよ。やっぱりそれぞれ味の好みが違うから気をつけるのは量だけね。あとは自分たちで好きなように味付けして、って」
「えー、それでいいのかなぁ」
「いいのよ。でもお味噌汁とかは我が家特製よ。ちゃんと覚えてねこなたちゃん」
「はーい」
本日はみきによるお料理教室となっているようだ。
こなたが誰の嫁になるかはさておいて、柊こなたとしての修行ということである。
世間では嫁姑問題などよくある話であるが、この二人にはそのようなことはない。
母に甘えたことのないこなたと娘が親離れのためかそっけない態度をとるようになっているというみき。
手とり足とり腰とり、料理教室は順調に進んでいく。
もちろんこのあと柊一家勢揃いで夕食となり、食にうるさそうな人たちが批評を述べるのだが割愛させていただく。
ちなみになんだかんだ言って美味しそうに食べるのは三女かがみ。
その後こなたはお風呂をいただき、予習復習をかがみ、つかさと行い、迎えに来た父そうじろうの車で帰宅することになる。
これにて柊こなたな一日目終わり。
翌朝、こなたは待ち合わせに来なかった。どうやら寝坊らしい。
一時間目が終わるとかがみはすぐに隣のクラスへ急いだ。
おっす、と言って自然な動きでこなたたちの輪に加わるかがみ。
そして「また深夜アニメとかだろ」といつも夜更かしするこなたに呆れた声で言う。
しかしかがみがこなたをどう思っているかはその行動が物語っており、いくら素っ気ない言動であっても本心はバレバレであった。
放課後、前日と同じようにかがみが呼びに来ていた。
おしゃべりを止めこなただけみゆきに別れを告げる。つかさの心はすでにこなたでいっぱいだ。
見る者を確実に魅了してしまうような輝いた笑顔で三人を見送るみゆき。
その顔に羨ましいとか嫉妬などの色はない。たぶん。
さて前日と同じように連行され……いえ、お姉ちゃんたちにくっついていく妹こなた。
バスの中でも、電車の中でもその手は離れない。
パッと見高校生には見えない少女が真ん中で、同じ制服を着た女性二人が両サイドに座る。
サイズ的に学年が違うんだろう。そう思えばどう見ても仲の良い姉妹。
異論は認めない。
そのまま柊家へ直行する三人。
こなたは両手が塞がれているわけだが今まで一度も逃げようとしたことはない、はず。
「今日はいのり姉さんね」
道の途中でかがみが呟く。
それを聞いたこなたの顔が少し赤く染まって見えた。
さぁ、移動に余計な字数を割くのはやめにしよう。
「いのりお姉ちゃん、入るね」
なぜか緊張しながら長女いのりの部屋に赴くこなた。
それもそのはず、いのりの行動を一言で言ってしまえば『こなたを食す』だ。
このあまりに卑猥な柊こなたな一日については以下最低限の描写で済ませる。想像力をフルに生かしてほしい。
扉を開け足を一歩踏み入れたとたん、こなたは小さな悲鳴を上げ部屋の中に消えてしまった。
素早い動きでこなたをベッドへ押し倒すいのり。
さすがのこなたも心の準備ができてないらしい、怯えた目でいのりを見つめる。
「大丈夫よ、こなたちゃん」
そう囁いていのりはこなたの唇を奪った。
静かな部屋に響く水音。いのりはこなたの口内を思うがままに堪能している。
「ふふ、相変わらずね」
唇を離すと早くも息が上がっているこなたにいのりは笑顔を見せる。余裕の笑みであり、また支配感や次の行動を楽しむためのものでもあった。
こなたは何も言わない。すでにスイッチが入っており、羞恥心という名の理性が本能とせめぎあっている。
「脱がせていい?」
返事は聞かずにこなたの服を脱がせていくいのり。
いのりと過ごす場合ほぼ服装は関係ない。が、わずか数分のためだけに着ているその服はつかさが一生懸命選んでくれたものだった。
「今日も似合ってるわね。でも私は何も着ていないこなたちゃんのほうが好きよ」
セクハラまがいの台詞と一緒にいのりはちゃんと感想を伝える。
それに対して真っ赤な顔をしながら笑みを見せるこなた。もはやいのりの理性が崩壊するのも時間の問題だ。
「ぁん……ひゃぁ……あっ」
微かにいのりの部屋から聞こえる声。
隣接するまつりの部屋、居間はこのときばかりは静かだ。
こなたがいのりと過ごす日はおつかいや神社の掃除などを頼むには最適な一日となっている。
たまに好奇心か独占欲か何かから聞き耳をたてようとするツインテールの少女もいるがそれを中の二人が気にすることはない。
「お、お姉ちゃん……んあっ、私……もう……っ!」
いつか逆の立場に、と毎回思いながらも快感に流されるこなた。
「いいのよこなたちゃん、イっちゃって」
どこで身につけたかはわからないが慣れを感じさせない様々なテクでこなたを味わういのり。
愛し愛されやがてひときわ大きな声が響いた。
翌日、みゆきは一つの考えが浮かんだ。
放課後になるとこなたは双子に連れられ行ってしまう。
いつもならそれを見届けてから帰るのだが、今日は三人について行くことにした。
バスで駅まで行くのはみんな同じ。
そこでみゆきは車内ではこなたの椅子となることを選らんだのだ。
「ちょ、みゆきさんっ……んっ」
シートベルト代わりとしてこなたを支えるみゆきの手は固定という言葉を知らないらしい。
両手を姉妹にふさがれているこなたは制服にもぐりこんでくるみゆきの手を拒めない。
小さく漏れるこなたの声。
もちろん他の学生には聞かせないが、三人はそれを聞いて少し興奮している。
バスが駅にたどり着くとようやくこなたはみゆきから解放される。
大満足のみゆき。笑顔で三人に手を振って別れる。
しかし二人の柊はもちろん、両手を使えないこなたが手を振り返すことはなかった。
「今日は何にしようかしら」
話は飛んだが柊家、次女まつりの部屋。
「よしジャンケンにしょっか。シンプルだし」
おもむろに立ち上がるまつりとこなた。その顔は真剣そのものだった。
「最初はグー、ジャンケンポン!」
「うぅ、負けた」
「こなたぁ、わかってるわね?」
「はいはいわかりましたよ、脱げばいいんでしょ」
「うふふふふ」
こなたの一言でおわかりだろうが、二人は野球拳を行っているのだ。
まつりのターン、それはジャンル問わずの脱衣ゲームとなっている。
しぶしぶ上着を脱ぐこなた。すると可愛らしいブラが顔をのぞかせた。
「ふっふっふ。今日もすべて剥ぎ取ってやるわよ」
怪しげな笑みを浮かべるまつり。しかしこなたはこの程度ではひるまない。
「今日の私は一味違いますよ。ふふふ、次私はパー出しますね」
「そぉ?じゃあ私はチョキ出すわ」
「ふふふふふ」
「ひっひっひ。最初はグー、ジャンケンポン」
こなたとまつりは宣言通りの手を出した。
裏をかくということをしない二人では先に言ったほうが負けである。
ということでしょうがなくスカートを脱ぐこなた。
今日の服まつりと顔立ちが似ているつかさが選らんだやつである。
「つ、次は負けませんよ」
下着姿(+ニーソ)で虚勢を張るこなた。靴下を脱がないのは彼女の趣向の問題である。
「ふふ、こなたはいつも薄着よね」
見る分にはそう良いとも言えない未成熟な体を見つめてまつりが言う。
柊家の者は決してロリというわけではなく、こなたが大好きなだけである。
さて、いつもというのはこなたが見た目より機能性を重視することにもあるが、つかさがかがみほど重ね着を好まないというのもある。
基本4回負けると終わり、たまにワンピースで3回というときもあった。ちなみにオーバーオールはつかさ限定。
「ほらこなたぁルールでしょ?負けたんだから」
上はブラジャー、下はジーンズ姿でまつりが言う。
勝敗はまつりの4勝3敗であるが、上着を2枚着ていたまつりはそれと靴下だけで済んだ。
どうしても靴下を脱がないこなたは胸を隠しながら涙目でまつりを見つめる。
「お、お姉さま、どうかこれだけは」
半分ネタ、半分本気でこなたは懇願する。
「なに言ってんの。脱がないなら脱がすよ」
しかしもともとSっ気のあるまつりには逆効果であった。
「それじゃ、いただきます」
ゲーム結果により脱がされたほうはおいしくいただかれるという。
ゲームに強そうなこなたであったが、トランプなど、短期で運がものをいう勝負しかしない。さらに自らハンデを作るのは致命的である。
これがまつりとの一日。このあとのことは皆の想像にまかせる。
ちなみにこなたの勝率は2割。
さて次はかがみの番だ。
一番話が合うのも、一番こなたを好きなのもかがみ。本日はどう調理するのか。
舞台はすでにかがみの部屋へと移動している。
ここに来るまで拉致+セクハラがあったのは言うまでもない。
「かがみお姉ちゃん、今日はなにするの?」
無邪気な笑顔でかがみに問うこなた。もちろん策の一つである。
「だからお姉ちゃんはやめろっての」
即座にかがみの突っ込みが入る。その頬が少し緩んでいることに当人は気づいていない。
ここでニヤニヤするのはいつものことだが、すぐに表情を変えるこなた。
バイトで鍛えた精神を生かし妹を演じきってみせようという。
「こなたがいけない子だから、ダメなの?」
上目遣いで祈るように両手を組みかがみを見上げるこなた。自分のロリキャラを存分に生かしている。
「ちがっ、そうじゃなくて」
かがみの理性にひびが入る。
こなたはなおも追い討ちをかけた。
「お姉ちゃん」
天真爛漫な笑顔、萌えボイス付き。
「じゃあこなた、お姉ちゃんの言うことは絶対よ」
何かを目覚めさせてしまったらしい。
「うん!」
しかし笑顔で応えるこなたはむしろ楽しんでいるようだった。
「こなた、宿題しなさい」
予想外の命令。だがこなたに拒否権はない。
「自力でね。わからないところがあったら」
「あったら……?」
「一問につき一揉みね」
なんともえっちぃルールをつけるかがみだった。
「そういえばこなた、勉強の前に着替えないと」
まぁいつものことなんですがね、今日はちょっと違うらしい。
「これに着替えなさい」
こなたサイズの服ではなくかがみは自分の服を渡した。
「えっと、私じゃぶかぶかだよ?」
当然だ。こなたとかがみでは17cmの差がある。
でも有無を言わさないかがみにこなたはしぶしぶ従うのであった。
「ふおぉぉ、そそそれじゃ、べ、勉強しよっか」
かがみの服を着たこなたはどこぞのスーパーアイドルよろしく袖をぷらぷらさせていた。
もしかするとかがみはロリコンかもしれないと思うこなたであったが口には出さない。
かがみがどんな人間であれ大好きな親友の一人には変わりないのだから。
さて、かがみお姉ちゃんをいじりたいこなただが、勉強の分野になると手は出せない。
黙々と問題に取り組むこなたと黙々とラノベを読み進めるかがみ。
二人の間にはポッキーが用意されていたが、それに手を伸ばすのは当然かがみであった。
こなたの頭はそう悪くもないが、今まで努力をしてこなかったので当然行き詰まる。
数分の間むぅと唸り続けるこなたであったがやがて意を決して口を開いた。
「お姉ちゃん、ここ教えて?」
あくまで姉にすがる妹のようにではあるが、その顔は確かに赤く染まっていた。
「ここはね、等比数列で……」
いつものように真剣な表情で解説するかがみ。どうやらこなたの顔色に気づいてないらしい。
「……というわけ。わかった?」
「う、うん。ありがとうおねえちゃん」
「えっと、どうかした?」
「い、いや、ほら……」
ぎゅっとスカートを握りしめこなたは目をつむった。
なにがなんだかわからないといったかがみ。自分で言ったことをお忘れか。
「いいの?」
「い、いいよ……!」
不思議そうに尋ねるかがみに震えた声でこなたが答える。本当になにをやってるんだか。
ゆっくりとかがみはこなたの唇に自分のそれを重ねた。
「え、あ……かがみ、なにやってんの?」
「なにって、キス……」
「あのさ、お姉ちゃんは一揉みって言ったよね?」
「え、あっ、ああ!」
どうやら完全に忘れていたらしい。
「別にこっちのほうが嬉しいからいいけど」
そっけなく、でも赤い顔でこなたは言った。
ポカンとした表情でそれを見つめるかがみ。やがて……
「じゃあルール違反ってことで」
「な、なに言ってんの!?ルール違反はそっち、んむぅ」
「っはぁ。お姉ちゃんの言うことは絶対、よね?」
「そ、そうだけど……」
「だから罰として勉強は終わり」
「な、なにするの?」
「もちろん、これの続きよ。拒否権はないからね」
「う、うん……」
なにがあったかはご想像にお任せする。
火曜日から4日間あったので本日は土曜日。
土日祝日は紳士協定が結ばれていて、こなたはフリーとなる。
なのでこの二日間はたいしたことはないのでさっさと飛ばしてしまおう。
ちなみに泉家に遊びに来た三人と何があったかは秘密。
ということで月曜日、最後のつかさの番である。
父ただお?そうじろうと同じくいかんでしょう。ただしただおはそんな人間ではなくたまに巫女の手伝いがあるとだけ述べておく。
つかさはいたって純粋だ。
新しい妹ができたということで今までできなかったお姉ちゃんを楽しんでいる。
何かとこなたに「お姉ちゃん」と呼ばせて喜んだり、命令してみたり。
といってもつかさが姉らしくできるのはお菓子作りくらい。
この日もこなたと一緒にかがみを悩ませる、ということになる。
「こなた~、違うでしょ」
にこにこ笑顔でこなたの手をとるつかさ。
姉の威厳っぽいのを見せたいのはよくわかるが、こなたも料理は結構心得ているので間違えることはない。
ただこうして触れ合っていたいというだけ。なのでこなたも何も言わない。
「こなちゃん、あ~ん」
意識してないといつものつかさに戻ってしまう。ちなみにクッキーを作っていたのだ。
「あ~ん」
いつかかがみにもこれくらい積極的になってほしいな、と思いながらこなたはそれを口に含む。
手は噛まないようにそっと。味は言うまでもない。
「美味しいね。ほら、お姉ちゃんもあ~ん」
お返しにこなたが一つ掴んで差し出す。
それを笑顔で口に含むつかさ。もう仲が良すぎるとしか言いようがない。
互いに食べさせあっていると時間もかかる。
「これで最後だね」
名残惜しそうにつかさはそう言って最後の一つを口に入れた。
そしてこなたの肩を掴み、唇を押しつける。
口移し。美味しいクッキーを味わったあとはこなちゃんもね、とはつかさの弁。
ぴちゃぴちゃと水音がつかさの部屋に響く。
「んぅ……あふっ……」
いつの間にか床に倒されたこなたの口内に二人の唾液が落ちていく。
こくこくとそれを呑みこむこなただが、少し口の端からこぼれてしまった。
「ぷはぁ。もう、こなたはしょうがないなぁ」
少し上体を起こしつかさは言った。
非難などではなくこの先を楽しむための言葉。
「お姉ちゃん……」
「ダメかな?」
「ううん、そんなことないよ。私もお姉ちゃんが好きだから」
「ありがとうこなた。私もだよ」
いつになく大人びた雰囲気を見せ、つかさはこなたに覆い被さった。
泉こなたの放課後は柊家の女性たちに分け与えられている。
母みきに始まり四女つかさで一回り。年功序列、機会平等。
バイトがあれば延期となるが、基本的に週に一度こなたと過ごせる。
それぞれが好きな愛し方で、こなたはそれに応える。
誰の嫁というわけでもないけれど。養子になったというのも違うけど。
甘い甘い放課後。柊こなたな一週間であった。
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- GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-09-28 00:54:11)
- 逝ってよしd(´∀`*)グッ☆ http://www.e29.mobi/ -- age (2012-02-07 21:09:19)
2023-09-28T00:54:11+09:00
1695830051
-
ツンデレの定義
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/2304.html
―――ツンデレとは?
そう聞かれて、ツンデレの定義・概要・特徴を事細かに説明できる人間はどれほどいるのだろう。
いや、私は別にツンデレの概要を説明できる人を探したいわけじゃない。
私が知りたいのは『ツンデレの概要』の方だ。
「むふー、ホントかがみはツンデレなんだからー」
「ツンデレ攻略なら任せてよっ!!かがみで慣れてるし」
「あ、かがみ。今デレ期?ねぇ、デレ期?」
上記全て私の親友であり恋人のこなたの言動である。
何かにつけて人の事をツンデレ扱いするコイツだけど…
そもそもツンデレの意味を分かっているんだろうか。
この高校に入学して、こなたと出合って、友達になって、好きになって、最終的には付き合っているわけで。
出合ってからだから早2年、「ツンデレ、ツンデレ」いい続けられたら私だって気になる。
試しにインターネットで「ツンデレ」を検索してみた結果。
ツンデレ: 普段はツンと澄した態度を取るが、ある条件下では特定の人物に対してデレデレとイチャつく。
また、好意を持った人物に対しデレッとした態度をとらないように自らを律し、ツンとした態度で天邪鬼のように接する性格や人格のこと。
(※参照 ウィキペディア)
うん、確実に私はツンデレじゃない。
そりゃ好意をもった人物、こなたと二人きりになったら了承もなくベタベタくっつくけど、別にツンとした態度で自ら律しようとはしてないし、普段からこなたにツンとした態度をとってるわけじゃない。
というか、
と る わ け な い 。
あんな可愛い奴、なかなかいないわよ。
キスする時ガチガチに緊張して私の袖を震えながら掴んだり、キスした後に蕩けたような瞳を私に向けたり、学校じゃ見せない妖艶な表情で私を呼んだり…
ん?学校じゃ見せない?
紅潮した頬とか、キスをねだる声とか、全部私にしか見せないわけで。
そのくせ、学校じゃ人をツンデレツンデレとからかってくるこなた。
えっと………もしかして。
「こなたってツンデレ?」
「………このシチュで言う発言じゃないよね、絶対」
そう言って私の鎖骨辺りからジト目で私を見上げるこなた。
―――えっと、このシチュ…というと?
「どう見てもっ!!誰が見てもっ!!!かがみが私を押し倒してるようにしか見えないよっ!!」
プイッと叫びながら顔を背けるけど、その頬は少し赤くて。
そういえば、と思考を巡らす。
こなたの部屋で勉強しようってことになって、「じゃあ泊まって行けば?今日お父さんもゆーちゃんもいないし」って言われて、頭の中で何かがちぎれる音がして、目の前にいるこなたを抱き締めてベッドまで運んだ…ところまでは思い出した。
「いや、その結果がこれだよ」
こなたが私の言葉に呆れたように溜め息を吐く。
あぁ、そうか。脳内ではツンデレ云々の討論してたつもりが、本能の方ではこなたを押し倒していたらしい。弱いな、私の理性。
「っん…でさ、か、がみ…っ」
「んー?」
「っぁ!! まっ、ちょ…待っ、て」
本能の赴くまま行動しようと普段は隠れて見えないこなたのうなじに指を這わせていると、こなたから制止の声があがった。
「どうしたの?」
「いや、どうしたの?じゃなく……ひゃっ!! んっ、と、ともかく…指っ!!ゆびストップ!!!」
「……仕方ないわね。で、どうしたのよ?」
しぶしぶうなじから指を離すけど、手持ちぶさたになった左手をそのままこなたの髪へと移す。
ホント、手入れとかして無いくせにサラサラで羨ましい。
「い、いや…あのさ、一応まだ上にお父さんいるし、隣りにはゆーちゃんいるから……続きは夜にしない?」
まさかのお預け宣言。
急所&属性にヒットして攻撃力4倍のアタックが私にふりかかる。
少し汗ばんだ皮膚で、潤んだ瞳で見上げられて「待って」宣言をされる辛さがお分かりだろうか。いや、私は分かりたくもない。
「かがみとの事、知ってるとは言え……さすがに声聞かれるのは恥かしすぎるし」
モジモジと私の裾を握って手を動かす。…可愛い、いや可愛すぎるでしょ。
「声聞かれるの、恥かしい?」
「は、恥かしいにきまってるジャンっ!!!」
緊張してるのか最後に声が裏返った。……襲いたい。
それにしても、こなたがこんなに恥ずかしがるなんてなかなか見ない光景だ。
普段は猫口で余裕満々で人をからかうくせに……………
ん?待てよ。もしかして、これがツンデレ?
さっきまで討論されていた脳内に戻ってみると、議長と書かれた席に座った私が『真偽を確かめるべし』とかいうプラカードを持っていた。ナイス、議長の私。
「…こなた」
自重しないことで定評のある現実の私はこなたの名前を呼び、そのままその柔らかそうな唇に口付ける。
「んむっ…!!」
キスされると思ってなかったのか、それとも待ちわびていたのか一瞬開いた唇に舌を忍び込ませた。
「っん、んく…」
歯茎に沿ってうわ顎の方へ舌を動かすとピクッとこなたの肩が反応する。
うっすらと目を開けてみると、ギュッと瞳を閉じて何かに堪えるこなたが見えた。
それがすごい嬉しくて、そのまま欲望に素直に胸の方に指を下ろす。
「んんっ、か、…がみっ」
小さいながらも弾力性のある胸をもみほぐすように指に力を入れると、絡めていた舌が離れそのまま唇を離された。
「かがっ…ひゃぁ、も、ぉ…ヤバイ、っぁ…て」
私も色々ヤバイ。理性とか理性とかあと、理性とか。
なんとかこなたをその気にさせようと頭を駆使する。
あ、そうだ。この手があった。
100発100中でこなたをその気にさせる方法。
「こなた………嫌?」
我ながら名演技だと拍手喝采を送りたくなるような表情でそう問い掛けてやる。
こなたは私のこの表情に弱いらしい。
『困ったように笑いながらそんなこと聞くかがみは卑怯だよ、絶対卑怯だよ』
いつだか事後の後に言っていたこなたの言葉。
私がこなたに弱いと同じで、こなたも私に弱いと言ってくれて凄い嬉しかったのを覚えている。
以来、こなたがノリ気じゃない時は必ずと言ってもいいほどこの手を使う。
卑怯?要は勝てばいいのよ。
「うぅ~…」
恥ずかしそうな、でも困ったように視線を動かしていたこなただけど。
「いや、じゃない…よ」
と照れ隠しのつもりかそのまま軽くキスをしてくれた。
これで私を止めるものはない。
心の中で変な勝利宣言をして、先程から痛い程に主張しているこなたの胸の先端へと舌を伸ばす。
「っくぁ、はっ…ぁ」
グニグニと舌で押し込んだり吸い上げたりする度、ビクンと腰を浮かせるこなた。
上目遣いでその表情を見ていると、バチッとこなたと目が合って…一瞬にして逸らされる。
耳まで真っ赤になっているところを見ると恥ずかしがってるってことは分かるんだけど。
なんか面白くない。
なんとかコッチに目を向けさせようとグッと上体を持ち上げてキスをした。
さっきのキスでうっすら濡れている唇の表面が気持ち良くて、執拗に舌で舐めるとチョンと熱いものが舌先に触れた。
「…?」
口が塞がっているので少し首を動かして行動の理由を促すと、チョイチョイと数回舌で小突かれる。
あぁ、なるほど。唇じゃなくて舌を入れて欲しかったと。
その些細すぎるおねだりが可愛くて愛しくてそのまま乱暴なくらいにこなたの口内を犯す。
「っは…んぁ、かが…ふぁっ…」
重力に沿って私の唾液がこなたの口内へと移る。
もうどっちのものか分からないその唾液をコクコクと飲むこなた。
飲みきれなくて口の端から零しているソレを舌で舐めとりながら、熱くなったソコへ引き寄せられるように指を動かす。
クチュと布越しでも分かるほどに濡れている熱源を上下に動かすと、こなたが腰を浮かせてのけ反る。
「あっ…か、がみぃ、んひゃぁ…!!んっ、…ぁ」
役目を果たさなくなった下着をショートパンツと一緒に脱がし、ソコに指を入れようとした瞬間。
目の前を過ぎったのはプラカードを持った議長の私。
そうだ、そう言えばこなたがツンデレなのか確かめてなかったじゃないか。
興奮しているのに冷静な頭が理性と本能の間で揺らぐ。
でもどうやって確かめようか…
「こなた……どうして欲しい?」
あれ?なんか口が勝手に…
「ふぇっ!?…ん、ぁっ…」
驚いてるこなたを尻目にそのまま指を上下に動かす。
トロトロと溢れ出す蜜が私を求めるように指に絡まって、もっとこなたを乱れさせたいと言う気持ちと焦らしたいという気持ちが交差して。
「か、が…みぃ…んくっ、ぁぅ、んんっ…」
膨らんでいる隠核を親指でグニグニと押し潰しながらこなたの頬にキスを落とす。
「ね、どうして欲しいの?」
そのまま顔をずらして耳元で囁くように問い掛ける。
プクッと柔らかそうなこなたの耳たぶを舐めてやると今まで以上に身を強張らせる。
「くはっ、ひゃ…かが、み…も…っ!!」
何かを求めるように切なげに私の名前を呼ぶこなた。
「……っ」
負けるな私。もう少しでこなたからのおねだりというレアアイテムが待ってるんだ。こんなところで負けちゃ…いけな、い。
なんとかこなたからの切望を聞く為に、見せびらかす様にこなたの愛液がついた自分の指を舐める。
甘いような、独特なこなたの味が口内を広がって、それだけで意識が遠のきそうになった。
「…っ!!かが、みっ…分かったからっ、言うからぁ…」
自分のソレを舐められている行為を見るのが耐えられなかったのか、こなたが真っ赤になって私の指を掴む。
潤んだ瞳を私に向け、そのまま私の指を自分の唇に乗せて…
「かが、みぃ………いれ、て」
そう囁かれた瞬間、こなたの手を振り払うようにしてその指をこなたの濡れたそこに沈めた。
もう何も考えられない。
ただ目の前にはこなたがいて、私だけが見ることができる乱れたこなたが私の背中に爪を立てて、色のついた声をあげている。
「ひゃ…あ、ぁっ、かが…ん、あぅっ」
グチュグチュと卑猥な水音が脳まで溶かしていくようで。
私の名前を必死に呼ぶこなたに答えるようにその口を自分の唇で塞いだ瞬間。
「~~~~っは!!ぁぅ、はっ…」
のけ反っりながら体を震えるこなたを抱き締め続けた。
「…結局、分からなかったわね」
「なにが?」
独り言のつもりでついた言葉に機嫌が悪そうな声で聞き返された。
時刻は20時半、あれから3時間くらいしかたってないけど私達はまだ裸のままでベッドの中に身を沈めている。
「…………」
私に背を向けるようにして寝ているこなたを後ろから抱き締めてみても反応なし。
まぁ、確かに私が悪かったわよ。
おじさんもゆたかちゃんも今はいないけど、最中は家にいたし、多分こなたの声も聞こえてたと思う。
それを分かっていながら行為をしたことに拗ねているのだ、この小さな恋人は。
「……こなた」
「なに?」
「まだ、怒ってる?」
さっきの勢いはどこへやら、機嫌が悪い猫をなだめるように慎重に相手の反応を見極める。
「……怒ってないけど」
「けど?」
「さっきかがみが言ってた続き、言ってくれたら許す」
現金な奴め。
チラッと私の表情を伺うように私を一瞥するこなたを抱き締めながら、
「アンタが、ツンデレかどうか」
と囁くと、べ、別にツンデレなわけじゃないよっ!!!とかネタなのか本音なのか分からない叫びを残すこなたを見て、あぁやっぱりコイツはツンデレなのかもしれないと考えた私を誰か止めて下さい。
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- GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-09-28 00:43:06)
- 最高だっ! &br() -- 名無しさん (2010-08-13 21:27:12)
- 止 め ま せ ん wwww -- 名無しさん (2010-06-22 22:34:42)
- 受け身でツンデレのこなた可愛すぐるwwwもう最高です!! -- 名無し (2010-06-21 13:55:17)
- 受けこなgj &br()この一言に尽きる -- 名無しさん (2010-03-23 21:27:16)
- 萌え萌え~・・・・・キュン!!じゃない、ズッキュンだなこれはwww -- 名無しさん (2009-10-27 13:38:35)
- はぁ~受けこなた最高ぉ &br()この病気は絶対なおってほしくないやっ -- 白夜 (2009-10-27 07:07:11)
- 受けこなた最高!作者さんGJ! -- 名無しさん (2009-07-21 20:46:47)
- こりゃすごいっスね。「こなた………嫌?」 の後、耳まで真っ赤になっているところを見ると恥ずかしがってるってことは分かるんだけど。 &br()ってところ、キュン死しそうになりました(〃〃) -- 紅 (2009-02-12 19:18:31)
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2023-09-28T00:43:06+09:00
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お気に入り?
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/2175.html
梅雨のはずなのに、ここ何日かは晴れ続けている。
初夏を思わせる日差しが、体に熱を持たせ汗をかく。
肌を滑り落ちる汗の不快な感覚が全身に広がっている。
しかし、同じく太陽に照らされ熱を持ったアスファルトの上を歩く、私の足取りは軽やかだ。
もうすぐこなたに会える。
そのことだけで、暑さや不快感を克服できる程に、私はこなたのことを好きだ。
そして、今日は何をしようかと考えながら歩を進めれば、あっという間にこなたの家に着く。
途中で買ったアイスとお菓子の入った袋を提げて、呼び鈴を鳴らすと、すぐにこなたの声が聞こえた。
「はーい。いまでますよー」
家の中から、たったっと軽やかな足音が聞こえる。
待ちきれずに玄関を開けると、すぐ前にこなたが立っていた。
「ちょっ、な、なんて格好してるのよっ」
下着姿で……
「えー、だってすっごく暑かったしさ。今日うちに来る予定はかがみだけだったし」
「そうだとしても、配達の人とか近所の人とか――」
「ね、かがみ。玄関開けっ放しだと、さすがにすこし恥ずかしいんだけど」
こなたは恥ずかしそうなそぶりを一切見せずに、猫口でにまにまと私を見ながら、そう言った。
万が一でも、好きな人の下着姿を他の人の目に晒すのが嫌で、私は慌てて玄関を閉め鍵を掛ける。
今日、この家にはこなたしか居ないことを、前もって聞いていたからだ。
「大体さ、私のこと見て普通の人は欲情したりしないでしょ」
こなた、はさっきと変わらない表情で、楽しそうに私を見つめている。
普段は、ステータスだとか需要はあるとか言ってるくせに。
それに、明らかに私にけんかを売っている。
これは買わないといけないわね。
「それは私が変態だと言ってるのよね」
「やー、そん――」
私は一歩前に出て、こなたを引き寄せると、こなたの唇を塞ぐ。
もちろん私の唇で。
そして、舌を差し入れ口腔を蹂躙する。
静かな家の玄関に、唾液の絡み合う音と、お互いの吐息が響く。
どちらからともなく離れると、二人の混ざり合った唾液が、床に溜まっていた。
「もう、かがみってばいきなりなんだから」
顔を赤くして、瞳を潤ませるこなた。
私は荷物を置き、靴を脱ぎながらこなたに応えた。
「あんたが、そんな格好でいるのが悪いのよ」
「むー」
ぷくっと頬を膨らませて、横を向くこなた。
私が家に上がったのを見て、背を向け部屋へと歩き出すこなたを後ろから抱きしめた。
手をそのまま胸へと持っていき、下着の上から刺激する。
「ちょっと、かがみ。ここじゃなくて、あんっ……」
もう片方の手で、やはり下着の上から秘裂を刺激すると、こなたは甘い声を出して話すのをやめた。
耳を甘噛みし、首筋に舌を這わせる。
その間も両手は、下着の上からの刺激を続ける。
「も、ほんとに、ここじゃ……」
「もし、私じゃなくても、こういう風にされてたかもしれないのよ」
秘裂を刺激していた指を、下着の脇から中に差し込むと、そこはしっかりと濡れていた。
「ちょっと触っただけで、こんなにしちゃって、もしかして期待してた?」
「や、そ…… ぅん、そんなことっ、ぁぁ、ない、もん」
指先をわずかに差し込むと、とめどなく愛液があふれてくる。
指を動かすと、それがかき混ぜられる音がはっきりと聞こえる。
「ま、いいわ」
こなたの体を私のほうに向けて、そのまま覆いかぶさるようにして、廊下に寝かせる。
「かがみ。本当にここでするの?」
ちょっと怯えたような表情で、上目遣いで私を見つめるこなた。
この表情に弱い私は、こなたの言うとおりに場所を変えてあげようかと思ったが、何とかそれを押さえ込む。
二度とこんなことが無いように、お仕置きするんだから。
返事をする代わりに、私はこなたの下着を脱がせることで、この場で続きをすることを分からせる。
私も服を脱ぎ裸になると、こなたにキスをする。
唇を触れ合わせるだけのキス。
こなたが舌を伸ばしてきたが、それを拒否するように唇を離した。
どこか寂しげな表情を浮かべるこなたを、できるだけ見ないようにする。
でないと、どうしてもこなたの言うことを聞いてしまうから。
視線を外したまま、こなたに話しかける。
「ね、こなた。暑いわね」
「だったら、私の部屋に――」
「だから、アイス買ってきたのよ」
傍らに放置されていた袋に手を伸ばし、中からアイスを取り出すと既に溶け始めていた。
カップの蓋を開けアイスを指先ですくい取り、こなたの胸に塗りつける。
「きゃぅっ」
冷たさにこなたが嬌声を上げ、体が一瞬びくっと跳ねる。
「どう? 冷たくて気持ちいいでしょう」
「う、なんか、変な感じ。熱いのと冷たいのが混ざり合ってるみたい」
私は胸へと顔を持っていき、アイスを丁寧に舐め取る。
「か、かがみ。あっぅ、うんっ」
「こなたの汗と混ざり合って、しょっぱくて甘い。美味しいよ、こなた」
再びアイスをすくい取ると、今度は秘裂の方へと落とす。
既に、ぷっくりと膨らんでいる陰核を刺激しながら、溶けていくアイスと、愛液を舌ですくい取る。
舌の動きに合わせてこなたの腰が踊る。
十分に舌を這わせてから、今度はこなたの口にアイスを含ませる。
唇を合わせると、こなたが口を開いた。
そこに、口に含んでいたこなたの愛液を流し込む。
アイスと愛液を舌でかき混ぜ、吸い上げて飲み込む。
そのまま、体への刺激を一切なくす。
ほんの少しの時間この空間が、お互いの呼吸音だけに支配される。
「かがみ」
せつなそうな声で、私の名前を呼ぶこなた。
理由は分かってるけど、あえてこなたに聞き返す。
「どうしたの、こなた」
太ももをもじもじとすり合わせながら、潤んだ瞳で見上げてくる。
「あの、その……」
こういうときのこなたは、本当に女の子らしい仕草を見せる。
それを見たくて、つい焦らしてしまう。
「一緒に、ね?」
その言葉を聞いて、私の我慢も限界に達しこなたと体を重ねる。
お互い、弱い部分を刺激し合い、感じるままに身を任せる。
愛液と空気が混ざり合ういやらしい音。
お互いの発する喘ぎ声。
そして、体を動き回るこなたの手。
それを聞き、感じて、さらに体が熱くなる。
「ね、かがみっ。もうそろそろっ」
「うんっ。私も、もうっ」
直後、二人の愛液が辺りに飛び散った。
二人とも息を荒げ、しばらく動けずにいた。
ようやく動き出したとき、玄関に私とこなたの匂いが、むせ返るほど充満しているのに気付いた。
「ちょっと、こなた。急いで空気入れ替えないと」
しかし、こなたはまだ意識が朦朧としているのか、焦点の合わない目で余韻に浸っている。
私の言葉にわずかに反応したようだが、動き出す気配は全く無い。
仕方なく、こなたをお姫様抱っこで風呂場に連れて行き、シャワーを浴びさせる。
ようやく意識がはっきりしたのか、こなたが顔を赤らめる。
「もう、かがみ。すっごく恥ずかしかったよ」
確かに玄関でなんて、いくら鍵を掛けているとはいえ、冷静に考えれば恥ずかしいなんてもんじゃない。
だけど、今はそんなことを言ってる暇は無い。
「それより、玄関を何とかしないと」
「ちょっ、かがみ。今何時?」
「分かんないわよ。でも、結構時間が経ってると思う」
こなたが慌てて風呂場からでていくと、時間を確認したのか大声が響いた。
「げっ、もうこんな時間。ゆーちゃんが帰ってきちゃうよっ」
私も慌ててシャワーを済ませて、玄関の後始末に向かう。
こなたと一緒に廊下を丁寧に拭き、玄関を開けっ放しにし扇風機で強制的に空気を外に出す。
お菓子の入った袋を、こなたの部屋に持っていき、何とか証拠隠滅が完了はず。
そして、玄関を閉めこなたの部屋に移動したとき、玄関が開く音がした。
二人して部屋から顔を出すと、汗をいっぱいかいたゆたかちゃんだった。
その顔は暑さの為に、真っ赤になっていた。
「ゆーちゃん、すごい汗だよ。それに顔が真っ赤だよ。しゃわーでも浴びれば?」
「う、うん。そうするね」
ゆたかちゃんは、そう言うと自分の部屋に向かう。
その途中、私たちの前で立ち止まると、もじもじしながらこう言った。
「あの、その…… お楽しみでしたね?」
そして駆け足で去っていった――
**コメントフォーム
#comment(below,size=50,nsize=20,vsize=3)
- GJ!!(≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-09-27 19:47:17)
- みちゃったのね -- 名無しさん (2010-05-24 17:28:42)
- たぶん後片付けを見られていたんじゃないかな? -- 名有り (2009-06-27 12:42:35)
- サイキッカーユタカ -- 名無しさん (2009-05-07 00:44:02)
- プレイが十分変態です、かがみさん。 &br()だがそれがいい!! -- 名無しさん (2009-05-06 21:47:49)
- ↓ ですよね。普通を通り越してとってもGood! &br() こな×かが最高! -- 無垢無垢 (2008-12-01 17:27:03)
- かがみ攻めだと変態風味のほうがあってるから大丈夫 だからこれが普通なのさ &br()かがこな大好き!! -- 名無しさん (2008-07-16 09:47:15)
- なんでだろう・・・ &br()ががみが変態プレイに目覚めてるのに &br()甘々で可愛らしい作品に読めてしまうのは自分だけ? -- 名無しさん (2008-07-05 00:03:12)
- みつかっちゃっtアッー!!! -- 名無しさん (2008-06-30 10:29:16)
2023-09-27T19:47:17+09:00
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Maid in Konata
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1930.html
私のクラスの方が早く終わったので、こなたを廊下で待っていた。
帰りに、本屋に行く約束をしていたから。
なかなか終わらないホームルームにため息が出る。
待ち合わせをしたときは、いつも私が待っている気がする。
早く終わりなさいよっ。
なんて心の中で言ってみても、黒井先生には届かないわよね。
仕方なく、廊下の窓越しに空を見上げて雲を眺める。
常に形を変える雲を見ていると、飽きないから。
「かがみんっ」
突然声を掛けられて驚いた私は、とっさに振り向こうとした。
その瞬間、背中に軽い衝撃を受けてバランスを崩した私は、こなたと一緒に倒れこんだ。
「ちょっと、何やってんのよあんたはっ」
背中に乗っかっているこなたに、私は怒鳴りつける。
まったく、こなたは何しでかすか分からないわね。
だから一緒にいて飽きないんだけど。
でも、こういうのは勘弁してほしいわ。
「ご、ごめん……」
私から降りたこなたが、手を差し出してきた。
「まったく、気をつけなさいよ」
手を取り立ち上がろうとしたら、右足に激痛が走った。
足首から発した痛みが、頭の天辺まで一瞬で駆け抜けた。
「痛っ」
立ち上がることができず、こなたの手を握ったまま、片膝を付いた体勢で動きが止まる。
こなたが心配そうな顔で覗き込んできた。
「か、かがみ。大丈夫…… じゃ無いよね」
正直、大丈夫じゃない。
さっきから、足首が心臓になったんじゃないかと思うくらい疼いている。
片足で立ち上がろうとしたけど、右足を僅かに動かしただけで、痛みで力が抜けてしまう。
ふと、こなたの手が離れたと思ったら、目の前に背中を向けてしゃがんでいた。
「さ、かがみ」
こなたが何をしようとしているのか分からなかった。
「ほら、はやく。保健室までだから」
やっとこなたが、私をおんぶしようとしていることを理解した。
こなたにおんぶされたら、引きずられそうな気が。
それに、最近ちょっと体重増えてるし……
「いいわよ、恥ずかしいし。肩を貸してくれたら歩けるから」
「駄目だよっ。無理に歩いたりしたら、怪我を悪化させるんだよっ」
こなたが、いつになく真剣な声で反論してきた。
悪いことをしてしかられた子供が、反省しているような、悲しげな感じの表情を見せて。
まったく、そんな表情するくらいなら、もうちょっと考えて行動しなさいよね。
それに、そんな顔見せられたら断れないじゃない。
「分かったわよ」
こなたは、私をおんぶしてもよろけたりしなかった。
そのことに、ちょっとほっとする。
だって、もしよろけられたりしたら、重たいって言われてるようなもんじゃない。
ゆっくりとした歩調で保健室へ歩き出すこなた。
きっと、私の足にできるだけ振動が伝わらないようにしてくれてるんだ。
保健室に着いて中に入ると、そこには誰もいなかった。
先生が戻ってくるのを待つしかないか。
と思っていたら、こなたが私の前に座る。
「ちょっと痛むかもしれないけど、靴と靴下脱がすからね」
私の足を取ると、手際よく上履きと靴下を脱がされた。
そして、左手でふくらはぎを持ち、右手はかかと包むように添えられる。
「すこし動かすから、痛かったらちゃんと言ってね」
私は首を縦に振ることで、肯定の意をこなたに伝えた。
あまりの手際のよさに唖然としていた。
それよりも、今まで感じたことの無いこなたの雰囲気に、声が出せなかった。
よく分からないけど、必死な感じ、かな。
しばらく私の足を診ていたこなたが、ほっとした表情を浮かべる。
それを見て、私もなんだかほっとして、一つ息を吐いた。
こなたの表情を見てたら、なんかこっちまで緊張しちゃってた。
だけど、こなたの真剣な表情って、見慣れないからか違和感あるな。
やっぱり、こなたの笑ってる顔が一番好き。
そんなことを考えていたら、いつの間にか湿布を貼り、包帯で足首を固められていた。
そのとき扉が開き、天原先生が姿を現した。
こなたが事情を説明すると、先生が包帯の巻き方とかを確認してくれた。
「うん、これなら大丈夫ですよ。泉さん、私より上手じゃないかしら」
「ありがとうございます」
どこかおっとりとした雰囲気で話す天原先生に、私はお礼を言った。
「お礼なら、泉さんに言ってください。それと、今日は誰かに迎えに来てもらった方がいいわね」
「はい、分かりました」
「あと、明日は一日安静にしておくこと。それで、痛みもひくと思うわ」
必要なことを私に伝えると、先生はまだ用事があるらしくすぐに保健室を出て行った。
素直に返事をしたものの、怪我の原因はこなただからちゃらだと思うけど。
でも、ちゃんと治療してくれたんだから、お礼は言っとこうかな。
私と天原先生が会話している間、私に背を向け外を見ていたこなたに声を掛けた。
「こなた、ありがと」
こなたは、振り返っただけで何も言わなかった。
逆光のせいで、表情ははっきりと見えないけど、何か違和感を感じた。
うまく説明できないけど、いつものこなたじゃないと思う。
相変わらずこなたの表情は見えないけど、私から声を掛けるのは躊躇われた。
少しの間、二人の間に沈黙が訪れた。
その状況を動かしたのは、やはりこなただった。
私の前に立つと、深々と頭を下げる。
「かがみ、ごめんなさいっ。何でも言うこと聞くから、許してください」
その行動が、言葉が、普段のこなたじゃないことを物語っている。
なんなのよ、いったい。
怪我もたいしたこと無かったし、気にしなくていいのに。
「べ、別に何もしなくていいわよ。これから気をつけてくれれば」
「でも、私が怪我させたわけだし……」
声を震わせながら、なおも食い下がってくるこなたは、明らかにいつもと違っていた。
こなたのやつ、倒れたときに頭でも打っておかしくなったか?
今の感じだと、授業なんかも真面目に受けそうだし、それはそれでいいかも。
でも、それはきっと私の好きなこなたじゃないわけで……
あーもうっ。
どうしたら、いつものこなたに戻るわけ?
もしかして、こなたは私をからかってるのか。
ちょっと確かめてみるかな。
「じゃあさ、今晩からみんな出かけて誰もいないから、明日の晩まで私のメイドになってくれる?」
普段のこなたなら、きっと「ちょ、かがみさん。まじですか」とか言ってくるはず。
じゃなければ、絶対にこなたはおかしくなってる。
そんなことは無いと思うけどね。
でも、返ってきたのは全く予想外の言葉だった。
「うん、分かったよ。それじゃ、一旦帰ってから行くからね」
そう言って、走って保健室から出て行くこなたを、私は呆然と見送った。
みんな出かけてしまうのは事実で、できればこなたに来てもらいたいのも本当。
でも、私、メイドって言ったわよね。
それに対して、こなたは分かったって返事したわよね。
いったいどうなってるのよっ!
私は、いのり姉さんに迎えに来てもらって帰宅した。
足の怪我を知ったお母さんが、用事を取りやめて家にいようか、と言ってくれた。
けれど、こなたが来てくれるからと言うと、予定通りに出かけてくれた。
私以外誰もいない家に、こなたが来たのは七時を回った頃。手には大きな鞄を抱えていた。
そして、すぐにメイド服に着替えると、完全に私のメイドになっていた。
何度か「もういいから」と止めさせようとしたけど、こなたは「約束ですから」と受け入れなかった。
「こなた」
勉強机の椅子に座っている、髪をポニーテイルにし、紺色のメイド服を着たこなたを呼んだ。
呼びかけに応じて、こなたは読みかけの本を机に置く。
セミロングスカートの裾を、物に引っ掛けないように気を使いながら、私の元へとやってくる。
「お呼びでしょうか、かがみ様」
優雅な動作でお辞儀をするこなたは、とても可愛らしい。
でも、いつものこなたじゃない。
私をからかったり、ちょっと憎たらしいような笑顔もない。
いつもなら、表情で何を考えているのか分かるけど、今のこなたは作られた笑顔しか見せてくれない。
ずっこなたのことを考えてたせいで、ちょっと頭がぼうっとしてる。
コーヒーでも飲んで、しゃきっとさせたい。
「うん、飲み物が欲しいの。そうね、コーヒーがいいな」
「少々お待ちください」
テーブルにポットが二つ置いてある。
つかさが出かける前に準備してくれた、コーヒーと紅茶だ。
そのうち一つを手に取ると、カップに注いでいく。
「お待たせいたしました」
コーヒーを受け取ると、こなたは椅子に座り再び本に目を落とす。
私が何も言わなければ、ずっとそうしているだろう。
最初、こなたはじっと椅子に座っているだけだった。
あまりにも気になるので、「本でも読んでなさいよ」と言ったら、それからずっと読み続けている。
その姿を眺めながら、コーヒーを口に運ぶ。
苦味で少しはすっきりするかと思ったけど、全く効果は無かった。
なぜこなたがこんなことをしているのか、思考をめぐらす。
私をからかうネタを作ってるのか?
けれど、保健室で私がお願いをしたときの笑顔は、心から喜んでいるようだった。
あれが演技とは思えなくて、その考えは消し去った。
でも、それ以外に合点がいく理由を思いつかない。
結局、何も思い浮かばず、こなたは私の言うとおりに動くという現実だけが残った。
――こなたは私の言うことを聞く――
それを、はっきりと認識した心に、蠢くものがあった。
――今なら何でもできる――
理性がそれを押し留めようともがいているが、蠢きだした欲望を止めることはできない。
――好きなことを何でも――
私の心は欲望に支配された。
――思い通りにできる――
大好きなこなたは今、私のもの……
「こなた、ちょっと」
こなたは、素直に私の元へくる。
心を欲望に絡め取られた私の元に。
「もういいから、止めにしない?」
今日何度目の提案だろう。
こなたが止めると言えば、全てが終わる。
けれど、今のこなたなら絶対に、今までと同じ返事をするはず。
この問いかけは、メイドであるこなたではなく、友達のこなたへの問いかけだから。
それを理解しているから、こなたは必ず同じ返事をしてくるわ。
私に怪我をさせたことへ負い目を感じ、その謝罪として私のお願いを聞いたこなた。
その約束を守らないことで訪れるかもしれない、『何か』に怯えているから。
「いいえ、約束ですから。明日の晩まで、私はかがみ様のメイドです」
そう言うと、こなたは頭を下げる。
思ったとおりだ。
これで、こなたは私から逃げられない。
「メイドなら、主人である私の言うことを聞いてくれるのね」
私はあえて確認する。
こなたに拒否権が無いことを、分からせるために。
「はい。私にできることでしたら」
顔を上げ、何のためらいも無くそう言うと、再び頭を下げた。
満足感に満たされる心に、ほんの僅かな痛みが走る。
今から言おうとしている言葉に、良心が反応したのだろうか。
しかしその痛みは、私の気持ちをさらに高ぶらせる。
「こなた、スカートを持ち上げなさい。下着が見えるように」
興奮のためか、思わず普段より大きな声が出た。
こなたは驚きの表情を見せたが、従順に私の言葉に従った。
スカートの裾付近を掴み、下に着けていたペチコートと一緒に持ち上げる。
#image(http://www33.atwiki.jp/kairakunoza?cmd=upload&act=open&pageid=885&file=up0042.jpg)
しなやかな足は、白のオーバーニーに覆われていた。
スカートが腰の高さまで持ち上がると、、フリルが可愛い純白の下着が見える。
こなたがよく言う、萌えってこういうことなのかしら。
確かに、なんともいえない喜びと言うか、嬉しいものね。
「ふうん。可愛い下着ね。いつもこんなのをはいてるの?」
羞恥に顔を赤らめ、横に顔を背けているこなた。
返事をしないこなたに、私は苛立ちを覚える。
「答えなさいっ、こなたっ」
強い口調で命令すると、こなたは、びくっと体を震わせ口を開いた。
しかし、絞り出された声は小さく、はっきりとは聞き取れない。
「い……、ふだ……はちが……」
普段見ることの無い、こなたの女の子らしい仕草。
その一つ一つに反応し、私の体が熱を帯びる。
「ま、いいわ。こなた、メイド服を脱ぎなさい」
私の命令に従い、ゆっくりとした動作でメイド服を脱いでいく。
脱ぎ終わった服を椅子に掛けると、私の前に戻ってきた。
目の間のこなたは、下着とオーバーニーを身に着けている。
下着は上下お揃いのものらしく、ブラもフリルのあしらわれた純白のものだ。
一人でするときに想像していたものが、目の前にある。
しかし、そのブラの膨らみが、本来のこなたの大きさでは無い。
明らかに大きい。
「こなた。パッドを入れてるわね」
「はい。メイド服を着るときは、衣装を綺麗に見せるために着けています」
おそらくは真実だろう。
けれど、今の私は単純にそれを鵜呑みにするつもりは無い。
愛しいこなたをいじめることで精神が高揚し、それが気持ちいいから。
「ふんっ。バイト先ではそうやって胸を大きく見せて、客をたぶらかしてるのね」
私は冷たく、そう言い放った。
こなたのバイト先に行ったときのことを、思い出しながら――
一度だけ、こなたのバイト先に行ったことがある。
衣装をまとい、笑顔で接客をしているこなたを見て、苛立ちを覚えた。
その笑顔が私に見せるものと違い、作られたものだと気付いてほっとした。
その苛立ちが、安堵感が何なのか、最初は分からなかった。
そして、その気持ちが嫉妬だと気付いて愕然とした。
まさか女の子を好きなるなんて、考えたことも無かったから。
そんなはずは無いと、否定しようとすればするほど、私はこなたが好きだと言うことを思い知らされた。
そして私は、こなたに恋をしていることを自覚した。
「それとも、客に好きな人でもいて、アピールするためかしら。だったら、今はいらないわよね」
私の言葉の意味を理解して、こなたはブラを外す。
わずかな膨らみと、その頂点にある、綺麗な桜色をした突起があらわになる。
こなたは腕で隠そうとするが、私の視線に気付いて腕を下ろした。
随分と分かってきたみたいね。
「質問には答えて無いわよね。誰か好きな人がいるんじゃないの」
「…… はい。好きな人がいます」
わずかに間をおいて、こなたの口から出た言葉は、私の心に突き刺さった。
「誰なの、それは」
「そ、それは……」
私は何を期待しているの?
私を好きだと言ってくれると思うの?
そんなわけ無いじゃない。
否定しつつも、淡い希望を捨てきれずにいる自分が哀れだと思った。
「まあいいわ」
心の痛みを和らげようと、私はこなたの体に手を這わせる。
わずかな膨らみの胸。
乳首の周りに指を這わす。
しまったお尻を、揉むように愛撫する。
太ももを撫で、秘裂へと指を伸ばす。
その一つ一つの行為に、反応を示すこなた。
そして、私自身の秘部も熱を帯びる。
「こなた。あなたの携帯を持ってきなさい」
「えっ……」
驚きながらも、命令に従って携帯を取ってきたこなたに、また手を伸ばす。
必死に声をこらえるこなたが、可愛くて仕方が無い。
乳首はつんと立ち上がり、下着にはしみが広がり始めている。
こなたの下着を膝まで下ろし、秘部をあらわにさせる。
秘裂からあふれ出た愛液が、下着との間に橋を掛ける。
「こなた。今から、さっき言ってた好きな人に電話を掛けなさい」
指を秘裂に這わせながら、こなたに命令する。
こなたの秘裂を指で開き、陰核を刺激する。
その行為に体を大きく反応させ、小さく声を漏らすこなた。
私も我慢できなくなり、スカートの中に手を伸ばし、自らの秘部に指を落とす。
既にぐっしょりと濡れていた下着の脇から、指を忍ばせようとした瞬間、私の携帯が振動した。
ったく、なんなのよ。こんなときに。
枕元においてあった携帯を取り、発信者を確認するとつかさだった。
出ないわけにはいかないだろう。
「こなた、ちょっと待ってなさい」
そう言って、苛立つ心を落ち着けるために、深呼吸をしてから電話に出た。
つかさは心配して電話を掛けてきてくれたんだけど、タイミングが悪い。
まるで、私の行動を諌めるかのようだ。
そのためなのか、さっきまでの興奮が一気に冷めていく。
それと同時に、虚脱感が体を襲う。
頭にもやがかかったような感じがする。
私は適当に会話を終わらせると、電話を切った。
こなたの方に向き直ろうとしたとき、また電話だ。
言い忘れたことでもあって、つかさが掛けてきたと思って、そのまま電話に出た。
「つかさ、なにか忘れてたの」
しかし、聞こえてきた声はつかさのものじゃなかった。
そして一言だけ。
「鈍感」
同じ声が、言葉が反対の耳からも聞こえた。
私は携帯を耳に当てたまま、体の動きを止めていた。
この部屋にいるのは、私とこなただけ。
何を言ってるの、こなたは。
鈍感ってどういうこと。
それよりも、なぜこなたは私の電話に掛けてきたの。
混乱する頭に、声が響く。
「かがみの鈍感。私が好きなのはかがみだよっ」
恐る恐る振り向くと、こなたが恥ずかしそうに笑っていた。
そこには、怯えるような雰囲気は一切無かった。
どういうことよ。
さっきまでのこなたはなんだったの。
私はなんてことをしてたの。
「かがみ、泣かしちゃってごめんね」
こなたに言われて、涙が流れていることに気付いた。
そして、こなたが私のほうに寄ってこようとして、倒れこんできた。
「うわっ」
こなたが私に覆いかぶさる。
その衝撃で、足にわずかな痛みを感じる。
けれど、それは本当にわずかで、気になるほどじゃなかった。
「あちゃ。下着下ろしてたの忘れてた」
てへへ、と笑うこなたを見て、自然と笑顔になる。
私の大好きなこなただ。
でも、私はこなたにひどいことをした。
許してはくれないだろう。
それが悲しくて、また涙がこぼれた。
「かがみ、本当にごめん。まさか、こんな風になるとは思わなくてさ」
えっと、どういうこと?
まさか……
「こなた、ずっと演技してたの?」
「うん、そだよ」
「い、いつから」
「んと、保健室でかがみに謝ったとこかな――」
こなたの話によると、こういうことだったらしい。
こなたは私のことが好きだった。
そのことをアピールしてたのに、私がなかなか気付かないから、やきもきしてたらしいのよ。
どうしようかと考えていたときに、たまたま私に怪我をさせてしまった。
そうそう。私に飛びついてきたのも、こなたなりのアピールだったらしい……
その瞬間は、とんでもないことをしてしまったと思ったんだけど、私が気にしてなくて安心したって。
それならば、これは一歩前進するチャンスだと考え、私のお願いを聞こうと思った。
「宿題を自分でしなさい」とか、「授業を真面目に受けなさい」って言われるだろうからって。
そんなことでも、私に気に掛けてもらえれば嬉しいんだって。
言われた私は、思いっきり照れちゃって。もちろん、こなたにからかわれたわよ。
話がそれたわね。
ところが、私がしたお願いは「メイドになってくれ」でしょ。
驚いたけど、面白そうだからオッケーしたんだってさ。
あのときの笑顔は、楽しいことを見つけた笑顔だったのよ。
見事にだまされたわ。
それと、ご想像通り言われたわよ。「それ、なんてエロゲ」って。
そのときには、一歩前進とか忘れてたって言うんだから、呆れちゃうわよね。
後はごらんの通りよ。
暴走してる時に、私の愛を感じたって言われたわ。
どこをどう見れば、そういう結論に至るのか分からないけど。
こなたを好きなことは、間違い無いからいいけどね。
は、恥ずかしい話しちゃったわね。
それじゃ、こなたのとこに戻るから――
「かがみってば、攻めに入ると結構Sっ気強いんだね(=ω=.)b」
「ちょっ。何言ってんのよっ!」
「ま、私がコーヒーに混ぜた、怪しげな薬のせいかもしんないけどね」
「ほっほー、こなたさん。その話、詳しく聞かせて欲しいわね」
「あなたの隠れた性癖を暴き出す、ってうたい文句の薬があってね。それをちょっとねー」
(って、嘘だけどね。時々足が痛そうだったから、コーヒーに痛み止めを入れたんだけど)
(わ、私って、あんなことしたかったんだ…… 確かに、気分よかったけど)
「かがみ様。また、お願いいたしますね」
「すっ、すっ、するかーっ!」
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2023-09-27T08:17:07+09:00
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