亀 回 路

4. 補論

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kaerujicho

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4.1 目標とは別に


ここまで説明してきた事を大雑把に振り返ると、

  • 1章では「自分の問題を客観的視点から把握する」ということを目的に、把握するための基本概念について論じました。
  • 2章では「出題時のゲームの進行をよく考えて問題を構成する」ということを目的に、問題構成の例を見ていただきました。
  • 3章では「出題のタイミングと誘導に配慮する」ことで解答者に過度の負担や物足りなさを感じさせる危険を減じるができる、ということを論じました。

どれも言うのは簡単ですが実際やるとなると大変です。私にとってもこれらは努力目標のようなもので、完全に実行してきたとは言えないし、今後も出来ないで しょう。せいぜい可能な限り心がけるというのが関の山で、胸を張って人にかくあるべしといえる種類のものではありません。もとより本稿は基本的に人に何か を勧めることを目的とするものではありませんが、一点だけこれらの目標とは別に、私が実行してきていると言えて、かつ古株の一人として出題に悩む方にお勧 めしたい事があります。それがこの章のテーマです。


4.2 失敗してもいい


 お勧めしたい事、それは失敗を 恐れず出題しよう、ということです。よく考えて作った問題がうまく行かなかったとしても、それはよくある事です。元々相手が見えない環境で相手に配慮する には限界があります。十分な配慮をしてもなお意図したように行かないというのは避けられません。我々にできるのは基本的に失敗の確率を下げる努力を怠らな いということであって、常に成功させることは本質的に不可能です。

 また、好みの違いというのもあります。自分がこれはと思う問題が受けず、全然たいしたことないと思う問題が受ける経験はどなたにもあるでしょう。これはつまらなそうだと思ってもそれを出題しない理由にする事はありません。

 よく配慮して作った問題が空振りしても、それは失恋のようなもので、自分が悪いわけでも相手が悪いわけでもなかったりします。ですから悲しい事ではありますが、恥ずかしい事ではありません。

 とはいえ自分に落ち度が無かったかについては、自分の問題を世界一よく分かっている自分の責任において、よく再検証しておく必要はあります。この問題は 解答者から見てやりにくいものでなかったか、進行で無理のない誘導ができたか、適切なタイミングで投下されたのか・・・?などなど。それなくして失敗は何 ももたらしてくれません。そして自分の問題の落ち度を見いだしたらなら、改善し次の出題に生かすことが失敗作につきあってくれた解答者の方々への恩返しと なるのではないでしょうか。


4.3 型に嵌る必要はない


 話が少し横道にそれますがこの 稿を通じて私がやっているのは問題を作るとき、出すときに私が気をつけている事の一部を説明する事だけです。どんな問題を作るべきか、もう少し厳密に言う ならどんな構成にするべきかとかどんな要素を入れるべきかなどといったことには言及していませんし、する意図もありません。

 どんな問題をつくるべきかは、その問題の構成や要素がどんな効果をもたらすか把握したうえで(ここで解答者から見てどう見えるかという、自分の問題に対する認識と把握が必要で、それがこの稿の主眼です。)出題者の責任で決めるべき事と私は考えています。

 理想の問題と言うのは人によって違うし、またそうあるべきなのに、それを型に嵌めてしまっては出題者の持ち味がなくなってしまうからというのがその理由 のひとつですが、それだけでなく型に嵌ってしまっては新しい発展が望めないからというのも大きいです。私はスタンダードなウミガメから外れた変な事をよく 試しては失敗したりしてきていますが、その中から亀夫君問題のようなものが生まれる事もあるので、新しい試みも危険は伴いますが決して悪いことばかりとは 言えないと思います。大事なのはその新しい試みがどんなメリットをもたすのか、そのメリットはデメリットを上回るものなのかなど、効果の目算をつけておくこと、そして読みが当たっていても外れていても結果を受け止めて次の作問にフィードバックすることです。


4.4 この点だけもう一度


 もう一度この章の最後に私が自分もやってきました、そしてみなさんにもお勧めですよと胸を張って言える唯一の事を記して締めくくりとします。

「失敗を恐れず、失敗しても凹まずGO! でも失敗したときはなぜそうなったか考えよう」






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