すぺしゃるイベント 愛のお見合い大作戦


まず初めに、私を投票で選んでくださった皆様と、応援してくれたたけきの藩国のみんなに感謝の言葉を。
本当にありがとうございました。

実際のお見合いイベントで、どのような形で提出されるのか現状ではわからず、リアル事情でこれ以上の時間が取れないため、想定しうるシチュエーションをこのページに詰め込んだ形になっています。時間がない中、愛だけは込めたつもりです。

テンダイスの告知を読む限り、リアルタイムでのゲームプレイが必要そうですが、リアルの家庭の事情により7月28日~8月5日の間、アイドレスへの参加をお休みすることになるため、参加できない可能性もかなり高い気がしています。

それでも、投票してくださった皆様と、相談にのってくださった藩国のみんなと、頑張った自分のためにアピールページは提出させていただきたいと思います。

作戦


【作戦目標】
1次目標:黒オーマと仲良くなる
2次目標:バロ様に告白する。
3次目標:このイベントをとことん楽しむ

【基本方針】
  • とにかくバロ様狙いで、真っ向からアプローチする。
  • 黒オーマ相手に外見を飾ることの無意味は承知の上だが、恋する乙女として少しでも自分を綺麗に見せたい気持ちがあるので、そのための努力は惜しまない。
  • 同じバロ様狙いのライバルとも正々堂々と戦う。
  • 妨害部隊との戦闘については警備部隊と共闘する。
  • 心が折れそうな時は、犬士による励ましを受ける。

【お見合い当日までの準備】
  • 事前にエステに行って、肌の状態を万全に整える。
  • 事前に美容院に行き、ヘアトリートメントをして、黒髪の艶やかさを保つ。
  • 前日は早く寝て、体調とお肌の調子を万全の状態に整える。
  • 藩国内の東国人+犬妖精+ドラッガー+ドラッグマジシャンに予知夢を依頼し、バロの好物を事前にチェックしておく。
  • 当日持参するお弁当のメニューを試作し、何度も練習しておいて絶対に失敗しないようにする。
  • ライバルのプロフィールやインタビューを熟読して、ライバル情報に精通しておく。
  • 妨害部隊等との戦闘に備え、お見合いに連れて行く犬士達と連携強化の特訓を行う。

【当日の装い】
  • 黒オーマの好みを予測して過度に飾り立てず素のイメージを大切にするが、好きな人の前では綺麗でいたいという恋する乙女の想いもしっかりと込める。
  • 東国人らしい清楚な柄の和装をきっちりと着こなし、清潔感のある装いにする。
  • 藩国一の着付けの名人に着付けて貰っているので、帯も紐も全く苦しくない。
  • 藩国一の着付けの名人に着付けて貰っているので、どんなに動いても着崩れない。
  • 東国人なので和装は着慣れているため、身のこなしに影響がでない。
  • メイクは動き回って汗をかいても化粧崩れしないようにしっかり対策しておく。
  • 艶やかな和装に負けないよう、メイクはある程度しっかり施すが、派手すぎない控えめメイクにする。
  • ポイントメイクはピンクをメインに、華やかなフェミニンメイクではんなりとした和の美しさを表現する。
  • アクセサリーは華美になりすぎないように、黒髪に良く映える上品なパールのピアスのみとする。

【お弁当・手土産】
  • 得意である料理の腕を存分にふるったお弁当を持参する。
  • 食料生産地であるたけきの藩国の豊かな食材を使って、美味しい料理を作る。
  • お弁当には冷めても美味しいものとお酒のおつまみになるものを詰める。
  • お弁当のメニューは、事前にドラッグマジシャンに予知夢で調べてもらったバロ様の好物にする。
  • 動き回ってもお弁当の中身が偏ったりしないように、きっちりと詰める。
  • お弁当の中身が傷まないように食材と調理方法を工夫する。
  • バロ様が食べ損ねることがないように、人数分の十分な量のお弁当を用意する。
  • パンダおむすびと眼鏡パンダおむすびでたけきの藩国らしさをアピールする。
  • たけきの藩国の竹林から湧き出た名水で仕込んだ美味しい地酒を持参する。
  • 応援してくれたひわみさんから手渡されたバロ様に似合う眼鏡を持参する。

【会話】
  • 緊張をほぐすため、事前に掌に犬の文字を書いて飲み込んでおく。
  • 第一印象が肝心なので、相手の目を見て笑顔できちんと挨拶する。
  • 変に飾り立てたりせず、ありのままの自分をアピールする。
  • 自分の事を訴えるばかりではなく、相手の話もしっかり聞く。
  • 共通な話題や相手との違いなど、会話のきっかけを探して話が弾むようにする。

【妨害部隊と戦闘になった場合の装い・装備】
  • 素早くたすき掛けをして、袖が邪魔にならないようにする。
  • 裾をからげて動きやすい格好にする。
  • 裾をからげて蹴りを繰り出してもはしたなく見えないように、下着にはしっかり気を配っておく。
  • 金属製のかんざしを武器として利用する。
  • いつも料理に使う調味料の中からタバスコを持参。目つぶしに使用する。
  • いつも料理に使う調味料の中から胡椒を持参。くしゃみによる相手の戦闘力低下を狙う

【妨害部隊との戦闘】
  • 警備部隊と協調し、基本的には警備部隊に戦闘をまかせる。
  • 妨害部隊が警備部隊を突破して来た場合には、恋する乙女パワー全開で白兵で迎え撃つ。
  • 帯同した犬士との絶妙なコンビネーションで敵を迎え撃つ。
  • 素早い動きで確実に叩きのめす。
  • どんなに動いてもお弁当は死守する。
  • 消費は天領持ちなので、心おきなく燃料を注ぎ込み、白兵評価21で殴る。

【バロ様狙いのライバルとの戦闘】
  • どんなに動いてもお弁当は死守する。
  • 正々堂々と真っ向から勝負する。
  • 恋する乙女パワー全開で白兵で迎え撃つ。
  • 消費は天領持ちなので、心おきなく燃料を注ぎ込み、白兵評価21で殴る。

(作戦:りあらりん@たけきの藩国)

SS、イラスト

【りあらりん、恋に落ちる】


「どうしよう……。私、恋に落ちたみたい」
「えーっ」
    りあらりんとたけきの国民の会話 71707002

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黒オーマとの見合いの話が持ち上がった時、たけきの藩国で真っ先に手を挙げたのがりあらりんだった。黒オーマの指揮官であるバロに憧れていたからである。
「バロおじ様、格好いいv。お料理作ってあげたいなー」
うきうきした気持ちで、料理を作り、お見合い衣装を選んだ。彼女が選んだお見合い衣装はたけきの藩国民らしい着物。その色は彼女の大好きな赤だった。
バロへの憧れを胸に書き上げたエントリーページは、自分でも驚くくらいに真っ向から乙女路線になった。技族である寿々乃と月光ほろほろは素敵なお見合い写真を仕上げてくれたし、ひわみの書いてくれた支援SSは「バロ様に眼鏡をかけてもらいたい」と思っていた彼女の心をまるで読んでいたかのようで、びっくりして嬉しくて感動したと彼女は語っていた。
応援者の協力を得てエントリーページを作り上げた時、その全体を貫く乙女らしさに「ちょっとした羞恥プレイだよね、これ」とりあらりんは笑っていたのだった。
その時点では、彼女は自分の心に起こる変化を予想すらしていなかった。


16日の当初の締切に間に合うようにエントリーした時点で、既に各国から多くの参加者が声をあげており、まるで綺羅星のような各藩国の代表者の名簿を見て、彼女はひっそりと溜息をついた。
「こんなゴージャスメンバーの中、6人のうちの一人に入るなんて難易度高すぎるわ……」
その後、エントリーの締切は延期され、17日の最終締切には90人を超えるメンバーがエントリーする結果となった。エントリー人数の増加によってお見合い参加人数も増えるということだったが、倍率が高いことには違いはない。
他の参加者のエントリー情報を端から端まで熟読して、自分が選ばれる難易度を考えて、りあらりんはへこみにへこんだのだった。


とことんへこんでみたところで、りあらりんはあることに気がついた。
エントリーは決めた時、バロに対して抱いていた気持ちは憧れだった。
だが、弾んだ気持ちでエントリーページを書き上げ、お見合いというイベントに向けて盛り上がっているうちに、いつの間にかその気持ちに変化が生じていたのだ。
「どうしよう……。私、バロ様が好き……」
りあらりんは困惑した様子で呟いた。
もし、メンバーの一人に選ばれてお見合いに参加できるのならば、胸を張って堂々とバロに告白するつもりだった。それでバロから色よい返事を貰えるかどうかはまた別の話だが、真っ向からアタックできるなら、全力を尽くすつもりだった。
だが、大人数のエントリーにより、お見合いメンバーに選ばれるということが非常に狭き門であるとわかった時点で気がついたこの気持ちは、りあらりんを動揺させるのに十分なものだった。
「お見合いメンバーに選ばれなかったら……私が参加もできないところで選ばれた誰かが誰かがバロ様の心を射止めてしまったらどうしよう……」
恋は人を強くも弱くもするが、りあらりんの場合はどちらかというと弱気になってしまったようだ。バロに会いたいと高まる気持ちを自分でもどうにも扱いかねて、りあらりんは他の国民に打ち明けた。
「私、バロ様に恋してしまったの。お見合い行きたい」
切々と訴えるりあらりんを寿々乃が励ました。
「メンバーに選ばれると良いですね」
「でも、あの綺羅星のようなメンバーじゃ、私なんかじゃとても太刀打ちできない」
「たけきの藩国の票を結集すれば、行けるかもしれないですよ」
国内の票まとめを提案してくれたのは、こんこだ。
「ありがとう。でも、私ね、ゆみさんのエントリーも大好きなの」
りあらりんと同じくたけきの藩国からエントリーするコダマゆみは、お見合いは争奪戦だという意気込みで参加を決めていた。そのノリはとてもたけきの藩国らしくて良いなぁと彼女は考えていたのだ。だから、たけきの藩国内で票まとめをするようなことはしたくなかった。
「マイルをためたら、小笠原でバロ様に会えるのかなぁ。バロ様、小笠原に呼んだら来てくれるのかな」
後ろ向きになったりあらりんは悪い方、悪い方へ考えが向いているようで、お見合いメンバーに選ばれなかった場合のことを考えはじめる。
「そもそも、私、出仕とか全然してないから(リアル事情で難しいし、資格もない)マイルをためる機会なんて全然ないのよ。今回のお見合いのエントリー記念で2マイルもらっても、それでやっと合計3マイルなの。20マイルって遠すぎる……」
しょんぼりと呟くりあらりんに、こんこが優しく声をかける。
「他の国民と一緒に行くならマイル出しあえるんじゃないですかね?」
「そ、それは恥ずかしいから嫌」
まったくもって我が儘である。でもまあバロにメロメロになっているところを見られるのはさすがに恥ずかしいと思うので、そこは勘弁してください。
手の付けられない状態で、ハートマークとしょんぼり感を同時に漂わせるという器用な真似をしながら、りあらりんは自宅に戻った。
「せめて、お見合いでバロ様と話すところ、妄想してみよう」
妄想力は人一倍のりあらりん。無駄に妄想を始める。その妄想が甘く恥ずかしいものであればあるほど、我に返ったら空しいということに、彼女はまだ気付いていないのだった。


【りあらりん、恋心暴走中】

「バロ様に会いたいよー」
    りあらりんの叫び 91707002

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唐突に恋に落ちたりあらりんは目下暴走中であった。
藩国民の集まりに顔を出しては、バロへの恋心を切々と訴える。そんなはた迷惑なりあらりんに対して、たけきの藩国の優しい人々はその乙女ぶりを暖かい目で見守ってくれるのだった。


ついに、お見合いに参加するメンバーを選出する投票がはじまった。
りあらりんは落ち着きなく投票会場を行ったり来たりしながら、一票、また1票と投じられる票をはらはらと見守り、しまいには集計を待つことができなくて自前で集計を始める始末だった。
多くの票を集めている人物のエントリーページを隅から隅まで熟読し、自分に足りないものを確かめている。
「インパクトが足りない……」
彼女のエントリーページには、圧倒的に押しが足りないのが明らかだった。
「あともう少しこの気持ちに気付くのが早かったら、もっと想いを込められたのに……」
はーっと、りあらりんは大きな溜息をつく。
彼女が自分の恋心に気付いたのは、お見合いのエントリーが締め切られてからのことだった。だから、彼女のエントリーページには、今この瞬間にも彼女の中で燃えさかっている熱き恋の炎の片鱗も感じられないのだ。
「もうっ。なんてタイミング悪いのかしら」
りあらりんはそう嘆くのだが、そもそもお見合いにエントリーしたことによって高揚した気持ちが今の彼女の恋心を育てたのだから、エントリーページにその想いを込めるのは時間軸的に無理な話だったのだ。
「うう、切ない。どうしてこんなに急に好きになっちゃったんだろう」
考えたところで、恋には理屈も理由もない。まあでもこの場合は、理由の一つとして考えられるものがあった。
それは、りあらりんの妄想力である。


りあらりんは、感情移入過多なゲーマーである。
ゲームをプレイする時はキャラクターに過剰に感情移入して、あらん限りの妄想を働かせながら、その世界にどっぷりひたりこんで楽しんでいる。
そんな彼女にとって、アイドレスの世界は非常に居心地の良い場所だった。どっぷりと自分のキャラに感情移入して、たけきの藩国の雰囲気を楽しみ、たけきの藩国民として楽しい日々を送っていた。
そんなりあらりんはお見合いにエントリーした時点で、自分が代表に選ばれてバロと話すところを猛烈に妄想してみたのだった。
憧れのバロにどんなことを言おうか、どんな風に眼鏡のことを切り出そうか、果たしてバロは自分の作った料理を食べてくれるのだろうか、自分の言葉にはどんな答えを返してくれるのだろうか、等々。
とにかく何度も何度もいろんなパターンのシミュレーション(という名の妄想)を繰り返しているうちに、りあらりんはすっかりバロに夢中になっている自分に気がついたという訳だ。
よくよく考えたら、それって単に脳内バロに萌えているだけでは……ということに気付いて、ちょっとへこんでみたりもする。
「それでも、バロ様を想うこの気持ちは嘘じゃないもん!」
とりあえず暴走した勢いでつらつらと恥ずかしいSSを書き綴るだけの勢いはあった。
この恋心は決して嘘ではあるまい。
かなり羞恥プレイ気味なSSを公開することであとで、あとでどれだけ恥ずかしい思いになるのかは、この際目をつぶっておくことにする。今はもうのぼせちゃってそれどころじゃないからだ。


このSSが執筆されている時点では投票の締切までにはまだ時間があるが、やはりエントリーページの押しの弱さからこれ以上の票集めはなかなか難しいように思われた。
(りあらりんに投票してくれたたけきののみんな、ありがとう。)
そこで、りあらりんが目を付けたのは同じくたけきの藩国からエントリーしているコダマゆみの存在であった。少なくても現時点でりあらりんよりは票を集めている。
「こうなったら、せめてゆみさんにこの眼鏡を託して、バロ様に眼鏡をかけてもらうしか……」
そう言ってりあらりんはひわみに手渡されたバロにもっとも似合う眼鏡のケースをぎゅっと握り締める。自分からアプローチするチャンスがないのなら、せめてバロの眼鏡姿に萌えたい。健気というよりはすっかり見当違いな考えにりあらりんの暴走振りがうかがえる。
「あとは高神喜一郎さんに頑張ってもらって……と」
エントリー一覧を眺めて、りあらりんは呟いた。他の女にとられるくらいなら、高神喜一郎さん相手の方が許せる……というか、さすがに脳内バロに萌えているだけの自分では、直接バロにあって助けられて恋に落ちたという高神喜一郎さんの想いには勝てない気がする。(悔しいけどね)
「あ、そうだ。メンバーに選ばれなかった場合は、緑ジャケットを着て邪魔しに行くって手もあるか」
それは天啓だった。緑ジャケットの妨害軍団にまざってお見合い会場に潜入し、そこでおもむろにジャケットを脱ぎ捨てて、バロに告白するのはどうだろうか。そのプランを語ったりあらりんに、藩国のみんなも賛同した。
「りあらさん、それだ!」
「それ、名案」
恋する乙女は手段は選ばない。その盛り上がりこそネタ国家、たけきの藩国に相応しいものではないだろうか。
わいわいと騒ぐ仲間に囲まれながら、りあらりんは本当にこの国を選んでアイドレスに参加して良かったなぁと胸を熱くする。
「それにしても……。小笠原に行けばバロ様に会えるのかなぁ。そもそもバロ様、小笠原に呼べるのかなぁ」
思いつくがままにいろんなことを言い出すりあらりんに優しい仲間が答えを探してくれる。
「んー。黒の騎士の次のアイドレスに入っているから、呼べるんじゃないかな」
「そっかー。じゃあとにかく頑張ってあと17マイル稼がなきゃ。遠い……遠すぎる。そして、デートは更に遠い道のりだわ。マイルーっ」
「マイルね。お、更新だ。青のあっちゃんと舞ちゃんの公募で1マイル貰えるってよ」
そのフォローの優しさは骨身に染みる。ホント、マジでたけきの藩国万歳。みんな、ありがとう、愛してる。
恋してるのはバロ様だけどね。


りあらりんは、無名世界観を舞台にしたゲームはGPMしかプレイしていない。GPMキャラは好きだけど、GPMキャラ同士で仲良くしているのを眺めているのが好きなので、小笠原ゲームがはじまったと聞いても特に興味は持っていなかった。
マイルがなかなかたまらないこともあり、縁がないねとスルーの方向だった。
だが、今、りあらりんは熱烈にマイルが欲しい。小笠原に行きたいと願っている。
バロ様に会いたい。
恋心がもたらしたりあらりんの暴走はまだまだ続きそうである。



【りあらりん、ぐるぐる中】

「ぎゃー、寝過ごしたーっ」
    りあらりんの寝起きの叫び 02707002

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たけきの藩国内にある自宅で目を覚ましたりあらりんは、ぼんやりした顔でうるさく鳴り響く目覚ましを止める。
「むー。もう朝か……朝!?」
目覚まし時計をひっつかみ、文字盤を凝視する。針が示すその時間は、ジャスト。
「うそ、うそ、うそーっ」
一瞬夜じゃないかなーと期待してみるが、やはりどう考えても朝の7時であった。
「やーん。投票の締切過ぎちゃってるじゃないのーっ。恥をしのんで自分に1票投じようと思ってたのにーっ」
しょんぼりと肩を落とし身支度を調えると、りあらりんは藩国民のたまり場に顔を出してみた。
さすがに朝のそんな時間に集まっている者はいなかったので、りあらりんは訪問ノートに一言書き置いて、仕事にでかけることにした。


数刻後。誰もいないたまり場に顔を出したでいだらのっぽは、訪問ノートに残されたりあらりんの書き込みを見て首をかしげる。
『ぎゃー。寝過ごしたーっ。朝まで爆睡しちゃった。恥をしのんで自分に投票する筈がー』
でいだらのっぽは、顔にハテナマークを浮かべたまま、思ったことをそのまま訪問ノートに書き残す。
『今日投票すればいいんじゃ?>りあらさん』
本日の日付は7月20日。投票の締切は20日23時。
でいだらのっぽの意見はまったくもって正論であった。


さらに数刻後。仕事の合間にふらっとたまり場に顔を出したりあらりん。
やはりたまり場には誰もいなかったので、とりあえず訪問ノートを開いてみた。
『今日投票すればいいんじゃ?>りあらさん』
「え?」
りあらりん、慌ててテンダイスを見に行った。
自前でお見合い投票を集計しているくらいなので、何度も見ている筈のお見合い投票記事。そこに書いてある締切は……20日の23時。
「えーっ!?」
要するに、締切が19日の23時だと思ってしょんぼりしていたのである。お見合い騒動で動揺するあまり、日付も正確に読めなくなっているらしい。
まあ、あれだ。いわゆるぐるぐる状態である。

ついでに、テンダイスの別の記事も読む。
「あ、お見合いの中間速報」
中間速報の結果では、たけきの藩国からのもう一人のエントリー者、コダマゆみの健闘が報じられている。中間速報時点で2位との情報である。
「わー。ゆみさん、すごい。やっぱりインパクトあるからなぁ」
やっぱり眼鏡を託す方向で考えた方がいいのかもと、再び眼鏡ケースを握り締めるりあらりん。
「お見合い参加枠は18名? わ。結構増えるなぁ」
お見合いの参加枠は6名から18名に増やされることになった。単純計算では3倍だが、有名人枠やランダム枠があるから、実質的な主力枠は8枠。投票で争うのはこの8枠なので結局のところ、狭き門であることは変わりがない。
「うー。こうなったらランダム6枠に賭ける? でもでも、それもまた確率低すぎるし……」
すっかり過ぎていると思った投票締切までにはまだ時間がある。投票権はまだあるのだ。ざっくり集計した投票リストを見ながら、自分の1票をどうしようかとりあらりんは考える。
「さすがに自分に投票してる人、いなかったよねぇ」
恋する乙女は手段は選ばない……と思ったけれど、自分に投票するのはちょっと恥ずかしすぎる気がしてきた。
考えれば考えるほどどうすれば良いのかわからなくなって、りあらりんのぐるぐる状態は収まりそうにない。
「それにしたって、黒の参加メンバーなによーっ。バロ様が賞味期限切れってどういうことーっ」
りあらりんの叫びは、むなしくたけきのの空に響き渡るのであった。



【りあらりん、投票そして当選】

「みんな……ありがとう」
    当選を知ったりあらりんの呟き 12707002

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でいだらのっぽの的確な指摘により、投票の締切がまだ過ぎていなかったことに気付いたりあらりんは、自分の票を誰に投じるべきか真剣に思い悩んでいた。
少しでも当選の可能性を高めるために自分に投票したいとは思うのだが、互いに票を投じ合っているライバルの清々しい姿を見たりすると、それもどうかと思ったりもする。
自分の1票をどうすれば良いのか決めかねて、りあらりんはぐるぐるしながら投票所を行ったり来たりしていた。そんな時、エントリー者の一人、つまりりあらりんのライバルである人の投票が、彼女の目に入ったのである。
それはFVBの曲直瀬りまの票だった。正々堂々と自分に一票を投じているその態度の潔さが、思い悩んでいたりあらりんの背中を押す。
「うん。やっぱり私も自分に投票する。だって、一番投票したいのはやっぱり自分自身なんだもん」
きっぱりと決意したりあらりん。投票の前にその文面を練った。
エントリー後に気付いた恋心。そのタイミングの悪さからエントリーページにはその想いを込められなかったのだから、せめて投票の文面で少しでもこの想いをアピールしたい。
そんな想いを込めて、りあらりんが投票所に書き込んだのが下記の内容であった。

『憧れのバロ様にお料理を食べてもらいたいとう気持ちでエントリーした私ですが、エントリーが締め切られた後に憧れが恋に変わってしまいました。
もう少し早くこの気持ちに気付いていたら、エントリーにもっと気合いを入れたのにと後悔しきりです。

これ以上後悔はしたくないので、出来るだけのことはしたいと思います。
恥をしのんで自分に1票です。』

その文面がいささかのアピールとなったのか、後半にぐんと得票が伸びた。たけきの藩国民のたまり場で炸裂させていたりあらりんの乙女パワーに押されたのか、国内からの投票も多かった。
そうして、無事に自分の投票を終えたりあらりんは、投票前の逡巡で消耗していたのか、自前での集計はやめて、結果を大人しく待つことにした。
どっちにしろあとはもう結果を待つだけなので、今更悪あがきしても仕方がないと思ったようである。

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21日の結果発表の当日、りあらりんは買い物帰りのバスに乗っているところだった。
何気なく携帯でテンダイスにアクセスする。
「あ、お見合いの結果発表が……」
ドキドキしながら開いた結果発表には、見事当選の文字。
「2位、15票なんてすごい……」
テンダイス上に書かれた自分の名前が、まるでそこでぴかりと輝いているように見える。りあらりんは投票してくれた人々への感謝を胸に、藩国民のたまり場に乗り込んだ。とりあえず誰もいなかったので、訪問ノートに一言、感謝の言葉を書き置いて夜を待った。


その夜、たけきの藩国民のたまり場では、皆に感謝するりあらりんの姿と、りあらりんの当選を祝福する仲間達の姿があったとと言う。

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文中、曲直瀬りまさんのお名前を呼び捨てにしてますが、SSの地の文ということで、そう言う形を取らせていただきました。ご了承ください。
そして、曲直瀬りまさん、本当に勇気をありがとうございました。

【恋する乙女、出陣】

「バロ様、待っててねーっ」
    お見合いに向けて盛り上がるりあらりんの叫び 52707002

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恋とは偉大な魔法である。
恋の魔法によって、すっかり恋する乙女となったりあらりんは、たけきの藩国中を駆け回り、お見合いの準備に奔走していた。

まずはエステに通う。
りあらりんは心地良いフェイシャルケアを受けながら、バロのことを考えて心を弾ませる。お肌の調子はこれでばっちりだ。

それから、美容院に行き、いつも以上にきちんと髪を切りそろえ、入念にトリートメントしてもらった。東国人らしい黒髪に美しい艶が宿る。

当日身につける着物を選び、藩国一腕の良い着付師を探して、試着までしてみた。試着に合わせてメイクの色合わせも事前に行った。

藩国内のドラッグマジシャンに協力を仰ぎ、彼らの予知夢でバロの好きな料理を予測してもらい、その上で当日持参するお弁当のメニューをじっくりと考えた。
メニューが決まればそれを何度も試作して、万が一にも失敗しないようにとことん練習する。
警備としてお見合いイベントに参加する国民に試食を頼んで、お土産として持参するたけきの藩国の地酒と良く合うようにと、味の調整もばっちりだ。

りあらりんは、後悔しないでもすむように、そして当日慌てることがないように、とにかく事前の準備を入念に行ったのだった。

それから、生まれてはじめての編成を行った。
黒オーマとのお見合いの席にはI=Dの持ち込みや犬士、猫士の帯同が許されている。
シオネ・アラダの守り手であるりあらりんは、パイロットとしてI=Dに乗り込むこともできたが、たけきの藩国のたけきのこ藩王のアドバイスにより、藩国の資源犬士を11匹伴うことに決めた。消費も天領持ちということなので、消費のことは気にしないで編成することができる。
そうして、他の国民の助けを借りながら、りあらりん本人が部隊編成を行ったのだ。
ツールの助けを借り、藩王であるたけきのこから犬士を11匹連れて行くアイディアを貰って、二郎真君に編成の添削をしてもらったが、それでもどうにかりあらりん本人が編成データを作成したのだ。
数字と計算がとことん苦手な根っからの文族であるりあらりんにとって、それは大変な快挙であった。
お見合い参加という機会がなければ、りあらりんが編成に関わることなどなかったであろう。うんうん唸りながら編成を行ったりあらりんは、戦時に編制を行っている人々を心の底から尊敬し、そして感謝した。こんな機会がなければ、知り得なかったその思いがりあらりんを成長させる。
とにもかくにも、苦手なことにもチャレンジしようというパワーはまさしく恋の魔法がもたらしたものであった。

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当日、りあらりんは事前の万全な準備の元に、美しく装い、美味しいお弁当と地酒を用意した。
緊張しないように、出発前には掌に「犬」の文字を書いて飲み込んだ。

恋する乙女、りあらりん。
今、まさにお見合いという戦場に出陣である。

【りあらりん、絶望する】

「リアルタイムゲームなの……?」
    りあらりん、絶望のつぶやき 62707002

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仕事帰りの電車に揺られながら、携帯電話でテンダイスにアクセスしたりあらりんは『物語で見るお見合い方式の変更』の記事に気付き、それを熟読した。
文章を読むのは大好きで活字中毒の気があるりあらりんだが、携帯電話でいろいろ読むのはあまり好きではない。一画面で読める情報量が少なすぎ、何度も通信しなければならないまどろっこしさが嫌いだったのだ。

そうは言っても重要な情報なので、むさぼるように読み、そして絶望した。
テンダイスには『各員が15分から30分のお見合いを実際にやって相手を口説いたらお持ち帰り』との記述があった。りあらりんの読解力が間違いでない限り、それはリアルタイムゲームが行われるということであろう。

バロが笑って言ったというお見合いを許可する言葉に、更にバロへの恋心が募っただけに、その絶望は深かった。


絶望の理由は、スケジュールだった。
7月28日~8月5日まで、りあらりんはアイドレスの参加をお休みすることになっている。アイドレスの残り日数を思えば、お見合いイベントはりあらりんが再びアイドレスの世界に戻ってくる前に終了していることだろう。それはすなわち、折角お見合い参加者に選ばれたというのに参加できない可能性がかなり高いということだ。

その時期にりあらりんがネットにアクセスしないということは、彼女がアイドレスに参加するよりもずっと前、1年も前から決まっていた日程なのだった。
毎年、この時期にりあらりんは両親や祖母をはじめとした家族と少し早めの夏休みを過ごすことになっていた。
その時期だけはPCから離れ、携帯の電波もほとんど入らない高原で過ごすのが習慣だった。両親や祖母もりあらりん達家族と過ごすのをとても楽しみにしており、りあらりんは家族の暖かな団欒の時間をネットに費やすことはしたくないと考えていた。

だから、彼女は絶望した。
テンダイスの記事を読んだ瞬間にポキリと心が折れる音が聞こえたような気までした。

そもそもお見合いにエントリーする際、その日程が頭をよぎらなかった訳ではない。だが、あの時はまだ14日だった。エントリーが締め切られたのですら16日だった。アイドレスが終盤であり残り日程が少ないことを考えたら、その後10日も経ってようやく詳しいことがわかるほど、長期にスケジュールを引っ張られるとは思いも寄らなかったのだ。
その点、彼女の読みは甘かったと言える。


テンダイスでの告知がないまま日数が過ぎ、お休みの期間が近付いくるのを嘆いて藩国のたまり場で嘆いていたりあらりんの背を「嘆く暇があったら動け」と押してくれたのは、二郎真君だった。
背中を押され、やる気を出して、このアピールページを突貫工事で作り上げたのはまさしく恋の力だった。


だからこそ、絶望した。一気に気が抜けてしまったともいう。
それでも、実際にゲームに参加できるかどうかはわからないけれど、りあらりんに票を投じてくれた人々と、励ましてくれたたけきの藩国民と、自分の頑張りに報いるために、エントリーとアピールページの投稿だけはしようとりあらりんは決意した。
それが折れた心と、タイトなスケジュールの中、残された時間で出来る精一杯のことだった。
(文:りあらりん@たけきの藩国)

【りあらりんがお弁当に詰めたパンダおむすびと眼鏡パンダおむすび】

(おむすび作成・写真撮影:りあらりん)
※おむすび写真は立体物ルールに準ずるものとします。


事前RP

【バロ様に対する真っ向からのアプローチ】
りあらりん@たけきの藩国:「(バロの目を見てにっこりと笑いながら)バロ様、はじめまして。たけきの藩国のりあらりんと申します。今日はよろしくお願いしますね」
りあらりん@たけきの藩国:「今日はバロ様のためにお弁当を作ってきたんです。召し上がってくださいませんか?」
りあらりん@たけきの藩国:「私はバロ様にお会いしたくてここまでやってきたんです!」
りあらりん@たけきの藩国:「たけきの藩国の美味しい地酒も持ってきました。お弁当のおかずもお酒のおつまみにぴったりのものをたくさん詰めてきたんですよ。バロ様、いかがですか?」
りあらりん@たけきの藩国:「たけきの藩国にはこのおむすびみたいな可愛らしいパンダがたくさんいるんです。バロ様、是非たけきの藩国に遊びにいらしてくださいませんか?」
りあらりん@たけきの藩国:「たけきの藩国は緑オーマに荒らされてしまいました。バロ様、どうかたけきの藩国の復興をお手伝いしてくださいませんか?」
りあらりん@たけきの藩国:「バロ様、お会いしたのは今日が初めてですが、お慕い申しております。私とおつきあいしてくださいませんか?(直球)」
りあらりん@たけきの藩国:「バロ様のお嫁さんになれるよう、私を鍛えてください。厳しい修行には慣れてます!」
りあらりん@たけきの藩国:「黒オーマが拳で愛を語るというなら、死ぬ気で受け止めて見せますからっ」
りあらりん@たけきの藩国:「これが私の想いです。拳にのせたこの想い。あなたのハートで感じてください!!(と言いながらバロ様の胸、心臓の辺りを全力で殴る)」
りあらりん@たけきの藩国:「(バロの胸をポカポカ殴りながら)もうっ。バロ様のバカバカバカッ。どうしてそんなこと言うんですか!!」

【攻撃(対妨害部隊)】
りあらりん@たけきの藩国:「人の恋路を邪魔するヤツは馬に……いいえ! 私に蹴られるんですからねっ!(ドカッ)」
りあらりん@たけきの藩国:「私は自分の意志でお見合いするんです。お見合いを楽しみにしてきたんです。邪魔するんなら泣くまで殴りますよ」
りあらりん@たけきの藩国:「そこ、どいてください。どかないんなら、腕づくでも排除します!」
りあらりん@たけきの藩国:「恋する乙女のパワーを甘く見ないでください。大怪我したくなかったら今すぐ、そこを通しなさい!」
りあらりん@たけきの藩国:「人の恋路を邪魔する朴念仁は私の拳で吹き飛ばすわよ」
りあらりん@たけきの藩国:「食らえ! タバスコ目つぶし!」
りあらりん@たけきの藩国:「あなた達に食べさせる料理はないわ。胡椒煙幕でも食らいなさい!」


【防御(対妨害部隊)】
りあらりん@たけきの藩国:「バーカ。そんな蠅が止まったような攻撃、効くはずがないでしょっ」
りあらりん@たけきの藩国:「恋する乙女の防御力は、評価値をも凌駕する。痛くもかゆくもないわ!!」
りあらりん@たけきの藩国:「警護部隊の皆さん、よろしくねっ(そう言ってとっとと逃げる)」

【攻撃(対お見合いライバル)】
りあらりん@たけきの藩国:「ごめんなさい。でも、私だってバロ様が好きなんです。あなたには負けられません!」
りあらりん@たけきの藩国:「悪いけど、全力でいかせてもらいます。バロ様を諦める気はありませんから」
りあらりん@たけきの藩国:「邪魔する相手は誰であろうとぶん殴ります。悪く思わないでね」


【防御(対お見合いライバル)】
りあらりん@たけきの藩国:「こんなことで私を止められると思ったら大間違いです。負けませんよ」
りあらりん@たけきの藩国:「恋する乙女はこれくらいでへこたれたりしませんよ!」
りあらりん@たけきの藩国:「負けるもんですか! バロ様への想いの前では、こんな攻撃効きません!」


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最終更新:2007年07月26日 21:38