EV172 人イグドラシル:忠誠の民


L:忠誠の民 = {
 t:名称 = 忠誠の民(人)
 t:要点 = ぽち,ラブ,雑多な人々
 t:周辺環境 = この世の終わり?
 t:評価 = 体格2,筋力2,耐久力2,外見2,敏捷2,器用3,感覚3,知識2,幸運6
 t:特殊 = {
  *忠誠の民の人カテゴリ = 高位人アイドレスとして扱う。
  *忠誠の民は一般行為判定を伴うイベントに出るたびに食料1万tを消費する。
  *忠誠の民はぽちと同じ戦場にいる際、全能力に+8する。
 }
 t:→次のアイドレス = 親衛軍人(職業),街の人(職業),許し(イベント),帝國騎士(職業)



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――ぽちLOVE。
――それは、彼らの意地・誇り・魂の咆哮。

帝國の藩塀に、になし藩国という国がある。
大藩とは言えないまでも、わんわん帝國tera領域封土の頃に姿を見る事の出来る、
由緒有る古豪であり、炎の如く赤き髪をたなびかせる騎士の国である。

だが、彼らを説明するのには、もっと相応しい一言があった。
即ち“ぽちLOVE”の国である、と。

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LOVE、即ち、愛。
わんわん帝國において“ぽち”という一人の乙女に向けられた、
人が持つ感情、思想、情動、あらゆる精神的活動の中で、
最も定義か困難で、しかしシンプル極まり無い“それ”こそが、
になし藩国の国是であり、文化であり、国体としての全てである…と言って、
帝國民であれば、誰でも納得するであろう。

になし藩国民とは、それ程までに純粋な国民性の持ち主であった。
一般的に“頭が少し弱い”とされるはてないの民である事を差し引いても、
最早美徳の領域にまで高められたと言って良い程、純粋な心根であったと言っても、
差支えは無いであろう。

彼らはその長い年月を経て、
わんわん帝國至尊の座へと登壇した愛しの乙女を守らんと、
鍛練に次ぐ鍛練を己に課し、戦場において、或いは政争の場において。
常に己の全力を傾注出来る事を目指し続けて来たのである。

それは果たして、如何なる愛であったか。
十人に問えば、十様の答えが返ってくるであろう。
ただ。
強いてそれを示すのであれば…誇らしくも危なっかしい、曲がった事が大嫌いな、
可愛いお姫様を守りたいという、親愛と敬愛のない交ぜとなった暖かな感情ではないだろうか。

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わんわん帝国に個人に忠誠を誓わせるという法律はない。
ぽち陛下はその人柄、帝国が帝国たる所以―ヒロイックさも相まってそれは大層な人気者であるけれど、別段そういうことを求めたりはしていない。
むしろ私よりも民に帝国に尽くしなさい、というお人である。
が、その民自身がぽちのために、というのがになし藩国である。
その人柄に惚れ込んでいるのが事実なのだった。
骨の髄までぽちらぶなのだった。
愛というか気持ちが昂じ過ぎてその昔一部暴走したことがあったが、
迷惑なのとそんなの(当時)姫は望んでないということもあって、即刻潰されたこともあった。
本当に姫のためを思うならなら姫が嫌がらないことで、がんばろうという話なのだった。

自分よりも常に何かを優先し、それを当然であり、そのためにつっぱしっていく彼女の後ろに迷いなくついていく。
時にはI=Dを駆り最前線に出張る彼女についていくためにパイロットとコパイを排出し、
時には彼女をの詔と志を守る騎士として駈けるのがになしの民の本望である。

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かくて、鍛練に次ぐ鍛練を重ね、
今や“ぽちファンクラブ”という名の猛者集団を結成するに至ったになし藩国民達であったが、
結成から時が経ち、そんな彼らの中でも一目置かれる者たちが表れ始めていた。

それは、ぽちファンクラブの中でも“精鋭”と位置づけられるような、
結晶のように純化された“ぽち愛”を持ち得る者たちであった。

それを測る明確な尺度など当然存在し得ない。
ただ。彼らの心は強かった。
そして、それを体現するかのように、彼らは強かった。
それは、薄皮一枚隔てたような、何の変哲も無い、しかし確かな“強さ”であった。

そんな彼らには、機に臨んで付ける為のアクセサリーが、“証”として贈られた。
“付け犬耳”と“付け犬尻尾”である。

それは、帝國における複数の搭乗員を必要とするI=D操縦等の際、
名バディとされる“犬妖精”と呼ばれるポジションの象徴とされた物であった。
それは“どんな状況にあっても、パートナーの言葉を聞き洩らさない耳”と、
“例え表情に表す事が出来なくとも、心を伝える尻尾”という象徴であった。

それが表わすのは、金剛石よりも硬い、
一人の乙女と、彼女が護らんとする祖国、その建前への愛に裏打ちされた、
友への信義であった。

――ある世界では“犬”とは揶揄する意味において使われる事がある。
だが。
この世界。彼らにとって。
“ぽちの犬”と呼ばれるならば。
それは何よりも誇り高き呼び名として通るのであった。

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それはいっそ愛と紙一重の忠誠だった。
ただ好きと伝えるために、見返りを求めない姿勢。
貴族であるとか土地柄が縁深いであるとかそういうことからでなく、ただただ彼女の愛する帝国の民という喜びをかみ締め生きる。
奉じるのはあの日から続く彼女のまなざしと心。

いつしかそれを誰からともなく、忠誠の民と呼んだのだった。


テキスト:天津 武・瑠璃
イラスト:瑠璃
最終更新:2011年08月23日 02:51