「赤髪の乗り手」


L:赤髪の乗り手 = {
 t:名称 = 赤髪の乗り手(職業)
 t:要点 = ぽちのブロマイド、専用パイロットスーツ、マフラー
 t:周辺環境 = になし藩国
 t:評価 = 体格3,筋力3,耐久力5,外見3,敏捷2,器用3,感覚3,知識3,幸運3
 t:特殊 = {
  *赤髪の乗り手の職業カテゴリ = ,,,派生職業アイドレス。
  *赤髪の乗り手の着用制限 = ,,,着用制限(根源力10万以上でなければならない)
  *赤髪の乗り手の同時着用制限 = ,,,同時着用制限(職業4ぽちの騎士着用者でなければならない)
  *赤髪の乗り手のパイロット資格 = ,,,搭乗可能(I=D、人騎兵)
  *赤髪の乗り手の搭乗補正 = ,,,(パイロットとして搭乗している場合での)全判定、評価+3、燃料-2
 t:→次のアイドレス = 撃墜王(職業),人騎兵の従者(職業),騎士階級の勃興(イベント),おまもりソード(オプション)
}}



はてない国人+犬妖精+騎士+黒騎士枝に組込。
はてない国人+騎士+黒騎士+赤髪の乗り手 とします。

はてない国人
騎士
黒騎士
それぞれから要点を継承しています。


/*/

<<赤髪の乗り手>>

赤髪の乗り手とは、端的に言うとになし藩国のエリートパイロット集団のことである。
半ば自然発生的に職として制定された黒騎士とは違い、
最初からコンセプトに沿って計画的に立案、運用された。
(黒騎士は「なんか国内にそれっぽいのが増えてきたから職業ということにしちゃおう」という一声で職業として制定された、非常にはてない的な背景がある)

乗り手に要求された資質、能力は以下の通り。
1.ぽち王女のために戦う騎士である事(国として当然)
2.パイロット要員として戦闘力の向上に繋がる事(になし藩国ではパイロットは戦闘能力の底上げにほとんど繋がっておらず、この部分の強化が必要とされた)
3.低物理域への対応能力(特に人騎兵にも搭乗できる事)
4.実戦経験豊富である事(根源力が高く、敵オーマの即死絶技にも対応できそうな人材が求められた)

このうち2と4の兼ね合いとして今までコパイロットとして数々の戦闘を潜り抜けてきた黒騎士の中から、
優秀な人材に特別な訓練過程を経験させて鍛え上げていこう、という事になった。
国内に人騎兵に関するノウハウがまったくないため、3の条件は特に問題視されたが、
これに対しては星鋼京の教導パイロットを誘致して訓練教官になってもらう事、
その際人騎兵であるAntaresを借りて操縦訓練を徹底して行う事などで対応するよう計画されている。
(訓練実施途中でやはり人騎兵に対する適性の問題が浮上。訓練計画の見直しが行われ、PPGに出向している土場藩国の魔術的舞踏子からも協力を得る事で対応力を向上させている)
これらの条件を満たす人材が元々少なかった上に、実機を用いたダンジョントライアルや模擬戦闘など、
実践寄りの訓練が行われたため途中での落伍者も後を絶たなかった。
しかし、厳しい訓練を乗り越えた一握りの人間は今までのパイロットとは一線を画した戦闘能力を発揮したのだった。

尚余談ではあるが正式採用者にはプリンセスぽちの特製ブロマイドが贈与されるとか。
それ目当てで大量に希望者が出たが採用者は三桁にも満たないという狭き門である。

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≪ある乗り手の訓練時代の手記≫

「おいこら、中途半端に下がるな!敵の動きを見ろ!」
後部、コパイ席からの怒鳴り声。返事をすると同時、一度は後ろに取った運動ベクトルを無理矢理反転させて異形の魔物に突っ込んでいく。
ここはダンジョンで、駆るのは人騎兵Antares。ついでに訓練相手は魔物と鬼教官。
もう何度目になるか解らない、魔物との遭遇戦を繰り返す。ただ己を磨き上げるために。

というのが目的なのだが。
「ありゃだめだ。全然だめ。せいぜい並。良くて中の上くらい」
わざわざ星鋼京から誘致した教導パイロットからの有難いお言葉がこれである。
どうでもいいがお言葉と男場は似ている。心底どうでもいい。しかも男場ってなんだ。
「それはだめとは言わないのでは?」
これまたわざわざ視察に来た摂政の突っ込み。別に擁護してくれてるわけではない。
「いや、普通のパイロットなら及第点ですけどね」
要求されたのはエースパイロットでしょう?と視線で問い返す。さもありなん。
「……一番見込みがありそうな奴を残したんですけどねぇ」
実際一期生として選ばれた中では一応一番だったんですよ。模擬戦でも筆記でも。
他の奴は全員辞めたり辞めさせられたりで残ってるの俺一人だし。
気分は三者面談で「おたくのお子さん成績はそれなりですけど頑張らないと志望校には届きませんねぇ」と言われた生徒のようだ。
もう頑張ってますよ!
「具体的にどこがだめなんですか?」
怪我人の傷をえぐるようなことをおっしゃる摂政様である。
ちなみに摂政が敬語で教官がタメ語なのは立場とか考慮しない単なる性格の差。
「戦闘機動はまぁまぁ。技術も度胸もまぁまぁ。……光る所がない、ってのが一番あってるな」
まるで「○○くんっていいひとだと思うんだけど付き合う気にはなれないの…お友達でいましょう?」とか言われたような気分になった。
「後はまぁ、なんか違和感があるのが気になるな。上手く言えないんだけど」
「はぁ、違和感ですか」
「なんつーか、こう、ズレがある、というか。説明できないんだけど後ろに乗っててモヤっとする」
「自覚は?」
目線を向けられたので首を横に振っておいた。
なんか「お前の操縦は生理的に受け付けない」、って言われてるみたいで正直へこみます、教官。
「うーん、まぁ、そういうことならこっちで何か考えておきますよ」
という摂政の一声でその場は解散となった。

基礎体力作りとかマニュアルの熟読とか、特筆すべきこともなく過ぎ去っていく日々。
結局このまま俺も落とされるのかなーと心配しながら訓練を続けていたある日、摂政に連れられて奴がやってきた。
真っ黒な三角帽子に同色のマント、どっかの軍服みたいなタイトミニのスカート。どこからどう見ても魔女っ子。
「あー、あなたが私の生徒ですか?」
とかいきなり言われても俺は何にも聞いてないんですが、摂政を見るとうんうん頷いている。
「人騎兵の操縦の極意を教えて欲しいとかでPPGから来ました。よろしくっ☆ミ」
もしかしたら語尾は音符(♪)だったかもしれない。
「ほんとは5人くらい連れてきてみっちりやるつもりだったんだけど、薬中とか殺人衝動とか色々問題あって動けるのが私くらいしかいなくって」
いくらなんでも多すぎる。
「まぁ他人に教えた経験とかないけどやるだけやってみようということで。改めてよろー」

……ということで。俺のまったくあずかり知らぬ所で教師が増えてしまった。
俺一人のために他国から教師を二人も誘致しているわけで、否が応にも自分にかけられている期待の大きさを自覚してしまう。
正直プレッシャー。しかも今日の訓練内容は教師チームとの模擬戦である。
同じ機体だしここで良い所を見せるぜ!と意気込んでいたが……結論からいうとぼこぼこにされました。
「全然だめねぇ」と魔女子さん。
「ああ、だめだな」教官も容赦なく同意してくれやがります。
これは一種のいじめだと思う。名付けてティーチハラスメント。
きっと自動車教習所とかで嫌な思いをしたことのあるひとがいるはずだ。今の俺のように。
「私が思うにI=Dの時の癖が付きすぎてるんじゃないかなぁ」
「……確かに、I=Dなんか精々10~15m級なわりに人騎兵は20m級だし、」
「人騎兵は心で動かすのよ!エモーショナルハートビートなのよ!」
まじょっこはなぞのじゅもんをとなえた!
「…………お前は何を言っているんだ」
きょうかんはこんらんした!
(そうか、そうだったのか!心、つまり、気合だな!)
おれはなにかにめざめたきがした!
「その目……ようやく自分に足りないものがわかったようね。さぁ、もう一度勝負よ!」
「いやいやいやいや。ちょっと待て」
きょうかんはまだこんらんしている!


「で、勝てたんですか?」
「いや、惜しいところまでは行ったが負けた」
「……今の話だけ聞いてると貴方が混乱してて足を引っ張ったように聞こえます」
「違う!大体二試合目は俺+あいつ対魔女子だったんだ」
あいつって俺の事です。念の為。逆に解りにくいかもしれんが。
「まぁ上達したって事ですよね?」
「……まぁ、そうだな。謎の違和感もなくなってたし。人騎兵だけじゃなくてI=Dの時の動きもはっきり言って別人」
「それはよかった」
手放しで褒められるのも逆に落ち着かない男心です。
「じゃあこれからは教員二名体制ということで」
「ていうか正直、俺いらなくね?」
教官のアイデンティティーが崩壊しつつあった。
「そんな事ないと思いますけど。技術的な普通のアドバイスもできるひとがいてくれた方が……なんでもかんでも気合とかノリとかで解決できるとは限らないですし」
「そうか……そうだよな。そうだといいなぁ…」
どこか遠くを見る教官であった。


それからも数々の訓練を経て、俺は赤髪の乗り手第一号として国に認められ、戦場に立つ事となった。
全てはぽち王女と、王女の愛する帝国を守る為に--。


文章 九重 千景
イラスト 瑠璃
最終更新:2009年02月28日 08:01